その後。准は、芽衣の転院準備に全力を注いだ。S国にあるその病院は医療資源においても世界のトップレベルに属しており、特に准が考えている所は同国出身の医師が何人かいることから芽衣たちも意思の疎通がしやすく、細かい心情にも配慮をしてもらえるだろうと思った。しかもそこは療養型と一体となった入院施設で、終末を家族と過ごせるようにもなっている為、部屋自体が広々としていて、一つの家のような様相を呈していた。当然ながら費用も一般には手が届かないほど高く、何もかもが特別な場所だった。にも関わらず、そこへの入院を希望するVIPが多く、その質を証明していた。今も部屋の空きがなく、順番待ちの状態で芽衣の治療は遅々として進まず、入院が決まればその時点で投薬を中止して服薬のみで状態を維持する計画も頓挫していた。「准ちゃ」その日、准が芽衣のお見舞いに行くと、久しぶりに起きている彼女を目にした。相変わらず顔は青白く、身体は今にも折れてしまいそうなほど痩せ細っていたが、その笑顔はやはり花のように柔らかかった。「芽衣、起きて大丈夫なのか?」身体を起こして枕をクッションに、起こしたベッドに凭れていた芽衣が微笑うと、准の胸に温かい気持ちが湧き上がるのを感じた。「平気」ニコニコと笑って頷く芽衣は、ベッドの側の椅子に腰かけた准の両手をぎゅっと握った。芽衣は感情を隠すことも、嘘をつくこともない。彼女からは准に対する「好き」という気持ちが溢れ出ており、それを感じた准の表情も柔らかく、その瞳は愛情に満ちていた。そんな2人を見た尚はそっと部屋を出て行き、限られた時間を存分に過ごせるようにした。今朝、彼女は主治医に告げられていた。薬の投与は今、最低限に抑えられている。副作用がひどく、衰弱の程度が高い為、もうあまり長くは持たないだろう。転院をするなら急いだ方がいい…と。当然、骨髄移植なんて、考えられない。医師からは、転院の可能性を尋ねられ、しないのならばこの先の治療をどうしたいのかを決めてほしいと言われた。このまま最期まで治療に望みを託すのか、それとも、退院して余生を楽しむのか…。前者なら余命は少しは延びる。が、ずっと入院をして副作用に苦しめられる日々になる可能性が高い。後者なら、余命は短いが残された人生を少しでも自由に生きることができる。尚は聖人に連絡を入れた。これらを准に教え
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