1週間後、深夜。コンコン…書斎で今朝送られてきた資料に目を通していた准は、視線を上げてドアの方を見た。「どうぞ」誰が来たのか確信しているかのような声音に、静かにドアを開けて入って来た人物の顔には、苦笑が浮かんでいた。「透視でもできるのか?」冗談ぽく言ってはいるものの、顔色は悪かった。「芽衣のことですか?」尋ねると、その人物、聖人は頷いた。歩を進め、執務机の前にあるソファに座ると、彼はネクタイを緩めて疲れ切ったため息をついた。准はそんな叔父を見て、静かに問いかけた。「病状のことなら、少しは知っています。それと関係が?」「……」聖人は少しの間目を閉じて逡巡しているようだったが、やがて意を決したように口を開いた。「あの娘の治療を…止めようと思う…」「…なぜですか?」その問いに、聖人は項垂れた。「熱は、あらかた下がった。今は微熱程度だ。でも…回復にはまだまだかかる。次の治療には…もう間に合わない」苦渋に満ちた声だった。彼は指先で眉間をぎゅっと摘み、涙を抑えているようだった。その指先が既に濡れていることは、准の目にも見えていたが…。「叔父さん…」准の呼びかけに、聖人はゆっくりと顔を上げた。「芽衣の意思は…彼女は、同意しましたか?」「……いや、訊いてない」聖人は否定した。だからその後に「でも…」と続く言葉を准は遮った。「お気持ちは分かります。でも、彼女の意見も訊いてください」そう言われて、聖人はカッとした。「あの娘に訊いて何がわかる!?自分が死ぬかもしれないって…そんな残酷なこと言えってのか!?俺は、お前の意見を訊きに来たんだっ。それだけでもー」有難いと思え!そう続いたのだろう言葉を、だが准は再び遮った。「これは!…彼女の命です。彼女がどうしたいのか、訊くべきです。……俺は、それに従います」最後に静かにそう言うと、彼は先ほど見ていた資料を手に取って聖人に渡した。「これは…?」聖人はそれに視線を遣り、そして読み進める内に目を見開き、その手を震わせた。「こんなこと……可能なのか…?」「あちらとは、既に父さんが連絡を取って確認済みだそうです」「……」聖人の瞳の中に迷いを見て、准もため息をついた。「すぐに決められないのは分かります。正直、私も今朝これを見せられて、何度も読み返しました」「でも…」聖人は躊躇
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