その日、准は戸部から一方的な報告を受けた。〝真田芽衣の投薬治療は終了した。残りの服薬治療に関しては、本人と家族の希望により、他所で行うことを決定した。〟というものだった。「それは、どういうことですか?」意味がわからずそう尋ねた准に、だが戸部は同じ事を繰り返し言っただけだった。准は苛立たしげに更に問うた。「では、どこで服薬治療を行うのか、教えてください」『それに関してはー』本人の希望により、あなたには教えられません。そう言われた。ショックだった。これまでただの一度も、芽衣は自分に内緒で何かをするなんてことはなかった。例えば誕生日のサプライズでさえ、彼女は我慢できずに「お誕生日、楽しみだね〜」などと匂わせていたのだ。それが…。准は初めて彼女に拒否された感覚に、胸が締めつけられるようだった。芽衣…。自分は、彼女の信頼を失ったのか…?呆然としていていつの間にか切れていた通話に、准はスマホを投げだし大きく息をついた。戸部の口調から、彼女たちが既に研究施設を出ていることが察せられた。どこだ?どこに行った?考えられるのは怜士のところか、各地に点在する別荘のどこかにいるのでは…。そう思い、准は急いで怜士に連絡を取った。だが、彼は「来ていない」と言った。それが本当なのかどうかすら、わからない。他にも各地の別荘やホテルを捜させた。が、どこを捜しても見つけられなかった。准は気が狂いそうに焦った。十中八九そうだと思った場所にいなかったことが、彼の思考を混乱させていた。ダンッ!!苛立ちをぶつけるように拳を叩きつけて、准は更に思考を巡らせた。*「わぁ〜、綺麗だね〜」芽衣のはしゃいだ声に、尚はホッと息をついた。A国。ここは前世、尚が聖人と共に過ごし、生涯を終えた場所だ。怜士も知らない田舎町にあって、景色の良い小さな家だった。使用人もいない。完全に、家族3人だけの空間だ。「不便だと思う?」隣に立つ夫に訊くと、彼はニコッと笑って否定した。尚は元々自分だけで生活をしていた。使用人を使うような生活は、聖人と結婚してから得たものだ。だから家事などにも困らない。彼女は久しぶりの感覚に、実は少し開放感も感じていた。この家は、作家の仕事で稼ぐようになってすぐに手に入れていた。思い出の場所であり、心が安らぐ場所だったからだ。今回、准には
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