「わぁ……、ユウくん! ユウくんだぁ……」 その声は弾むように嬉しそうで、ついさっきまでナンパしてきた男子学生を冷たくあしらっていた人物とは、まるで別人だった。周りの学生が驚きと羨望の眼差しを向ける中、ミユはユウヤの腕に抱きつき、その存在を全身で確かめるように身を寄せた。ミユにとって、ユウヤは他の誰でもない、特別で大切な存在なのだと、周りの誰が見てもわかる、愛らしい光景だった。 ミユに抱きつかれ、周りの視線が自分たちに集まっていることを感じ、ユウヤは急に恥ずかしくなった。居心地の悪さに、ミユからそっと距離を取ろうとした。 だが、今度はミユの方が甘えようと必死になっているようだった。ユウヤが離れようとすると、彼女はさらにぎゅっと腕に抱きつき、離すまいとする。その様子を、先ほどミユに軽くあしらわれていた男子学生が、羨望と不快感が入り混じった複雑な眼差しで睨みつけていた。「もぉ、ユウくん。あっち行こ……人少ないし」 ミユは、ユウヤの腕に顔を擦り付けながら、甘えるようにそう言った。「でも、友達は?」 ユウヤが尋ねると、ミユはくるりと振り返り、友人たちの方を見た。「ん? みんなが、行ってきなよって……」 ミユの言葉に、ユウヤが彼女の友人たちに目を向けると、彼女たちはにこにことした笑顔で、二人に向け、小さく手を振っていた。その様子に、ユウヤは少しだけ安心し、ミユの熱い腕を振りほどくことなく、二人で人影の少ない場所へと向かって歩き始めた。 木々に囲まれた細い小道は、講義の喧騒から遠く、風と葉の擦れ合う音だけが静かに流れていた。二人は寄り添うように並んで歩いている。 ミユの頬はほんのり赤く染まり、視線はまっすぐ前を向いたままだった。しかし、ユウヤの腕に触れる彼女の身体からは、張り詰めていた緊張が溶け、安堵が伝わってくる。彼女は、肘のあたりに頬が触れそうな距離で、ユウヤの腕にほんの少しだけ力を込めた。その小さな仕草は、彼への信頼と、幸福感を物語っていた。 木々の葉が風に揺れ、木漏
Última actualización : 2026-02-02 Leer más