「外の人間」が誰を指しているのかは、もはや言うまでもなかった。「では、よそ者とは誰のことだ」和久の冷ややかな声が響いた。諒助が返す言葉を探しあぐねていると、記理子がたまらずといった様子で勢いよく前に出た。「和久!あんたはもう全部手に入れたじゃないの。それでもまだ足りないというの?この家をめちゃくちゃにしたいわけ?それとも、おばあ様まで消すつもり?」自らの立場が危ういと悟った記理子は、とっさに小百合の名を盾にし、場をかき乱そうとした。唐突に名を出された小百合は、不快げに眉をひそめた。もっとも、こうなってしまった以上、記理子に話を合わせるしかない。諒助の立場さえ守り抜ければ、いつかまた和久と渡り合える日が来るはずだからだ。「和久、もういいでしょう。誰の肩を持とうと、今日のことはここで終わりにしなさい」「それを決める資格が、あなたにあるのか?」和久は冷ややかに言い放ち、ゆっくりと部屋を見渡した。「どうせ全員揃っているんだ。いっそ全部、白日のもとにさらしてしまおう」その鋭い視線が、菜穂を射抜いた。「さあ、話せ」「な、何を……?」菜穂はびくりと身をすくめた。「ここに、お前の身内がいるだろう」「いません!柏原社長、いい加減なことをおっしゃらないでください。私と柏原家は何の関係もありません」「家とは関係ない。だが、この場にいる誰かとは――ある」和久は一歩、また一歩と、逃げ道を塞ぐように菜穂へにじり寄った。「わ、私は……そんなこと、ありませんっ!」菜穂はくるりと背を向け、逃げ出そうとした。だが、鷹と悠人がすっと立ちふさがり、その行く手を阻んだ。「認めないのか?それとも、俺たちの手で暴かれたいか?」「あなたたち……」菜穂の顔に、隠しきれない狼狽が広がった。鷹が菜穂の持つバッグに目を落とした。「そのバッグは新作だ。読飼市でこれをいち早く手に入れられる人間は、たった一人しかいない」「最初に疑ったのは関根成美だった」悠人が静かに引き継ぐ。「支払い記録を辿ったら、彼女が買った痕跡が残っていたからな。ただ、そこまで迂闊なことをするとは思えなくて、もう少し深く調べることにしたんだ」「関根成美はそのバッグを受け取った後、誰かへのプレゼントだと言っていた」鷹が畳みかける。「さて、誰に渡したのか――
続きを読む