星羅からメッセージが届いた。【もう向かってる。さっき気づいたんだけど、桐島先生の位置情報が静山になってた】【今日は関係者以外立ち入り禁止じゃなかったっけ?】【私も不思議。昨日は、今日は用があるって言ってたのに、なんで静山にいるの?】茜は画面を見たまま、隣に座る諒助の横顔をちらりと窺った。「手塚さんは元気にしてます?」その名前を出した途端、諒助がわずかに眉をひそめた。スマホを伏せて茜を見る。「なんで急に」「ネットの記事で、結婚秒読みって書かれていましたから。ご祝儀の準備でもしておこうかと思って」「結婚はしない。お前の考えすぎだ」「じゃあ、お腹の子はどうするの?」茜は首を傾けた。「あれは彼女の子供だ。産むかどうかは、あいつ自身が決めることだ」「…………」茜は呆気に取られて言葉を失った。絵美里の子供?それは、自分の子として責任を取るつもりはないということだろうか。さすがにそれ以上は聞けなかった。軽く笑ってごまかす。「じゃあ、二人は今……」諒助は茜を見て、自嘲するようにわずかに笑った。「まだ俺の心配をしてくれるんだな。あいつとはいろいろ込み入ってるんだが、いずれちゃんと別れるさ。そのときに全部言うよ」どう返したものかわからなかった。茜はただの冗談のつもりで、口を開いた。「まさか、私と結婚でもするつもりですか?」諒助はぴたりと黙り込んだ。本当にただの軽口だった。でも諒助はそれを真に受けたように固まり、かといって、すぐに頷くこともできずにいた。茜は小さく笑った。「冗談だってば。もう昔の話ですよ」「茜……」「あっ、もう着いたみたいですね」茜はそれ以上、この話を続けるつもりはなかった。車を降りると、会場の入口にはすでに多くの人が集まっていた。諒助の身分があるため、二人はVIP専用の入口からそのまま中へ通された。席に着くと、再び星羅からメッセージが来た。【指定の席に着いたよ。今、後ろにいる。でも、ちょっと気になることがあって】【何?】【ありとあらゆる出入り口に、ボディガードが立ってる。諒助さんのお出かけって、いつもあんなに仰々しいの?】【本当にボディガード?】【柏原家の人っていつも同じ格好してるから、見間違えないよ。さっき尾行してきた車に乗っていた連中と同じ
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