コロッケスマイル ~俺様御曹司は、庶民女王と子供たちにご執心!~ のすべてのチャプター: チャプター 61 - チャプター 70

109 チャプター

スマイル13 父親 05

 SPはこっちに来ているから、施設の警備がガラ空きだった。 たった1万円ほどの金欲しさにサトルを取り返しに坂崎が施設に乗り込んで来たんだ!「リョウ、待ってろ! すぐ行くっ!! サトルは? サトルは無事かっ!?」「わかんないっ……怖いよお……ひっく……うわあぁあぁーん!!」 リョウが電話口で泣き出した。よほど怖いのだろう。かわいそうに。「大丈夫、近くにいるからすぐ行く! 待ってろ、リョウ! サトルから目を離すんじゃねえぞ! 俺が行くまで頑張れ!!」 急いで電話を切って内藤の方を向いた。「説明は後だっ! 俺と一緒にマサキ施設に来てくれ! アンタが探している、サトルがいるんだ!! あいつ、今、大変な目に遭ってる! 急ぐぞっ!!」  敬語を使うのも忘れて、俺は内藤に向かって叫んだ。 SPも同行するよう促し、内藤の腕を引っ掴んで施設目指して走り出した。 俺がグズグズ悩んでだから、こんなことになったんだ。さっさと事情を話して施設に向かっていたら、子供たちを怖い目に遭わせることもなかったのに。ホント最低だ。 大急ぎで施設へ行くと、美羽とサトルと坂崎が施設の小さな広場でモメていた。 坂崎は恐ろしい罵声を美羽に浴びせているが、彼女は微動だにせず、大柄の力の強い坂崎から、サトルを取り返そうと必死になっている。 「悟っ、悟――っ!!」  泣き叫ぶ我が子の姿を見た内藤は、サトルの名前を呼びながら大柄の坂崎に体当たりした。 内藤は細いから坂崎はビクともしなかった。しかし負けていない。サトルを奪い返すと、ぎゅっと抱きしめて坂崎から守ろうとして、その場で蹲った。 「なんだ、テメエ、邪魔すんなっ!」  坂崎が内藤の背中を蹴飛ばした。しかし内藤はサトルを強く抱きしめて、サトルに危害が及ばないよう、
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スマイル13 父親 06

 「怖いオッサンは俺が追い払ったから、もう怖くないぞ!」  抱えきれない程腕いっぱいに子供たちを抱きしめ、俺は誓った。 子供を傷つける親や大人は早急に引き離して罰せられるように、法律が変わればいいのに――そうだ。俺の力でなんとかならねえかな。  プロジェクトが無事に成功したら、政治家を目指すのもいいな。プロジェクトが成功すれば、注目を浴びる。タイミングとしては良いかもしれない。  ただ、政治家になるなら金の力は必要だ。でも俺なら実現可能ときた。  俺は美羽や子供たちに出会って変わったんだ。暗くて寒い、温かみもない世界で生きてきた俺の毎日が、楽しく明るく色づいたんだ。 だから、お前たちの為に力を尽くし、高みを目指して頑張ろうと思う。  子どもたちが毎日笑って楽しく過ごせるように、美羽とは違った方法で、俺は命を懸けるぜ――   ※   子供たちが落ち着いたので応接室に向かった。内藤は今までの経緯を自分の口から美羽に話したようだ。「お父さんも、ご苦労されたのですね。でも、サトル君にこんな素敵なお父さんがいるなんて、先生嬉しい!」  内藤の横にちょこんと座っていたサトルは、笑顔で頷いた。 「妻とは裁判します。離婚と、親権確保と、同時に進めます。また、こちらで今までお世話になったお礼は、後日お持ちさせていただきます」「お礼なんて、結構です」  おい、美羽。お礼って多分、金だろ。 どうして受け取らねえんだよ。 「今までサトル君には、たくさん楽しい思い出をいただきました。この施設は国から補助が出ていますから、お礼のことは気にしないでください。裁判には高額な費用が必要
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スマイル14 商店街デート 01

 話し合いも落ち着いたので、内藤は帰ることになった。準備を整え、すぐにでもサトルを迎えに来ると約束して彼は施設を後にした。 ただ、男ひとりの生活から、いきなりサトルを抱えた生活は仕事をしている以上、無理がある。そのため、サトルが小学校に入るまでは施設を保育園代わりに利用し、気持ち分だけ月謝を払うという内容で話がまとまった。 これからは仕事からの帰りに内藤が迎えに来る。サトルは内藤の家に一緒に帰るんだ。そして翌朝、また出勤前に内藤がサトルを施設に連れてくる。だから、いつでもサトルには施設に来れば会える。  話がスムーズにまとまって良かった。 「王雅、時間ある?」「あ、うん」「せっかくだから、お茶くらい飲んで行きなさいよ」「じゃあ遠慮なく」  俺に向かって偉そうなのは相変わらずだけど、それでも嬉しくなってしまうのは恋の病だ。 施設で採れたてのアイスハーブティーを用意してくれた。うん、うまい。 「王雅。今日は助けてくれてありがとう」「心配だったから」「サトル君のお父さんまで連れてきてくれるなんてね」「ああ。でも……正直に言うと、最初は内藤にサトルが施設にいるってこと、話せなくてさ。グズグズ悩んでたらリョウから坂崎が来たって電話があって、慌てて来たんだ。情けねえな」「そんなことないわ。それだけ王雅がサトル君を好きになってくれたんでしょ。私だってお別れは辛いもの。子供たちをご両親に返したくないなって常に思っているのよ」「美羽でもそんな風に思うんだな」「言わないだけで、思うのは勝手でしょ。私の手から離れていくのは、淋しいわ。とっても」  そう言いながらも、美羽は優しい微笑みを浮かべている。少し愁いの帯びた、母親そのものの笑顔だ。 子供達を優しく包んで守る女神のように。  そうだ。俺はそんな女神
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スマイル14 商店街デート 02

 待ちに待った土曜日がやって来た。楽しみすぎて殆ど眠れなかった。俺は楽しみなことがあると、眠れない体質だということが分かった。23年生きてきて、初めて知った事実に驚く。今までは楽しみが一切無かったから、知らなかったんだ。  すでに準備は完了。髪型や服装に乱れはなく完璧だ。 なんせ初・デートだからな。気合が入る。現金はもちろんのこと、ブラックカード3枚財布に入れた。美羽のことだから、これで足りないということはないが、もしも万が一のことがあれば恥をかく。 でも、足りないっていうくらい、美羽に買い物してもらいたいと思う。お前が欲しいものは、俺がぜんぶ買ってやりたい。 でも、宝石や洋服、靴にバッグ、女が目の色変えて喜びそうなものを買ってやるって言っても、美羽は「いらない」って言うんだろう。それよりも子供たちにアメ玉のひとつでも買ってやる方が、喜ぶ女なんだ。  さあ、そんな庶民女王 VS セレブ王の初めてのデート、吉と出るか凶と出るか!? 俺様にも全く想像できない。だから、楽しみで仕方ない。  とりあえず泊りの着替えとか、荷物があるから、施設に早めに行くことにした。デート(買い出し)に行く準備があるなら、手伝ってやろう。 遅刻は嫌いだから時間前到着は当たり前だが、少し早すぎたか。約束の1時間前に来てしまった。舗装のできていない砂利の多い狭い路地を曲がって少し歩くと、ボロい門扉が見えてくる。あれが見えると、顔がゆるんでしまう。マジでヤバい。 俺、美羽にフラれたらどうやって生きていけばいいんだ?  マサキ施設を心の拠り所にしてしまって大丈夫なのか。放り出されたら生きていく自信ない。 とにかく美羽にフラれないよう、細心の注意を払うぞ。 門を開けるとボロいから、キイイイ、という錆びた鉄独特のやかましい音を立てて門が開く。綺麗に直してやろうかと思ったが、これはこれで風情があるんだ。俺の周りはこんなボロはなかったから、結構好きになってきた。マサキ施設らしいって感じがする。 ま、ボロボロすぎるから、今度ペンキ
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スマイル14 商店街デート 03

 ―――――…… 『美羽』洗い物をしている美羽を、後ろから強く抱きしめた。『きゃっ、どうしたのっ?』 抱きしめると、いつものシャンプーの良い香りがする。美羽がシャンプーやトリートメントにお金をかけるとは思えない。どうせ商店街で売っている徳用パックを使っているんだろうけど、すごく清潔でいい香がするんだ。 『好きだ、美羽』『からかわないで……』『からかったりなんかしてない。美羽、今すぐ結婚してくれ。俺、美羽や子供たちと一緒に暮らしたい。櫻井家に未練は無いんだ。みんなが一緒にいてくれたらそれでいい』『王雅……信じていいの?』『もちろんだ。信じてくれ。俺と幸せな家庭を築いていこう』  重なる唇。優しく美羽を抱きしめて、イエスの返事をもらって――……   おっ。今の想像だけどさ、すごくいい感じじゃね? さて、本番だ。とりあえず実践してみよう。  さきほどの想像どおり後ろから美羽抱きしめようと近づいたら、彼女が急に振り向いた。「あれっ。王雅、まだいたの? どうかした?」 「あっ、いやっ、べ、別にっ。なっ、なんでもないからっ」  抱きしめようと腕を広げたら、本物は振り向いて声をかけてきた。おかげで焦った。「変な王雅」振り向いていた美羽が、再び体制を戻した。 洗い物が終わったようで、美羽はキッチンの片付けに入ったので、俺は退散した。 はあぁ。うまくいかねえな。まあ、めげずに頑張るしかない。 とにかく今日のデートで挽回だ! 親密度超アップ大作戦で頑張ろう!  荷物を置いて食堂の片付けを終わらせてから遊戯室へ向かった。中を覗くと、子供たちが思い思いに遊んでいる。 「おーたん! おーたん
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スマイル14 商店街デート 04

 商店街にやって来た。小さな商店街だから、入口から出口まで、少し歩いて買い物したら、すぐに終わる感じだ。入口から既に向こうの出口が見えている。天井はアーケードになっていて、雨でもゆっくり買い物ができる。 入口側から入ってすぐ、小さくて古いスーパー、金物屋、それから個人商店が2、3件並んでいる。もう少し進むと肉屋、魚屋、果物屋、花屋、八百屋など。ここで買い物すれば、欲しいものは大抵揃うようだ。 ちなみに、コロッケ屋も通常営業している。今日は3個100円の激安コロッケ特売日では無い。 「ねえ、今日の夜はなにが食べたい? 王雅の好きなものを作ってあげる。お礼しろって言ってたでしょ。タダ働きのお礼よ」「えっ、ほんとか!?」 それはなんという嬉しい提案! 俺が一番食いたいもの言ったら―― 「王雅はなにが好きなの?」「お前」「えっ?」「だから、美羽、お前だよ。お前が食いた――……」   あっ、美羽がメチャクチャ冷ややかな目で俺を見てるっ。 ミスったか。 「じょ、冗談だよ。えーっと……お前が作ってくれるご飯だったら、なんでもいい。好きなものなんてないから」「張り合いないわね。リクエストくらいあるでしょ?」「無い。お前が作ってくれるから嬉しいんだ。俺、毎日お前の料理を子供たちと一緒に食べたい」  俺は真剣に伝え、そして精一杯の笑顔を見せた。 「……そんなの無理でしょ。王雅は仕事もあるし、どうやって一緒の時間に合わせて食べるのよ」  そうだよな。遠回しのプロポーズとか、俺様の渾身の笑顔とか、お前には通じないよな。 SPの気配には気付くのに、俺の気持ちは全部スルーなんて。くそっ……。  まあ、焦るな。デートはまだ始まったばかりだ。
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スマイル14 商店街デート 05

 「あんな美羽ちゃん初めて見たよ。店先でケンカするなんて」「あ、大声で悪かったな」  なんだよ、説教か。勘弁してくれ。 嫌そうな顔をした俺を見て、オヤジは首を振って笑った。「お説教じゃないよ。美羽ちゃんが君のこと、すごく信頼してるんだなって思っただけ」「はっ? 俺を信頼? どこが」  なに言ってんだこのオヤジ。魚みたいな顔しやがって。目が細くて、目と目の間も結構開いてて、ヒラメみたいな顔なんだ。オヤジが魚屋というのは、ぴったりだ。 さっき、このオヤジがモテたとかいう話に、美羽が笑い出したのもわからなくはない。「小さい頃から美羽ちゃんを知っているけど、外で大声出してケンカするなんて、初めて見たよ」  まるで娘を愛しむような眼でオヤジは美羽を見つめ、更に囁いてきた。「それだけ気を遣わずに言い合えるって、君のことをとても信頼してるからだよ。美羽ちゃんは良い子だよ。おじさんが保証する。美羽ちゃんが好きなんて、お兄ちゃん見る目あるね。応援するよ」  美羽がこの俺を信頼……? さっぱりわからねえけど。 俺には理解できなかったが、幼い頃から美羽を知っているというオヤジが言うなら、そうなのかな。信用してやろう。 「あの子は小さい頃から苦労してるからね。頼むよ、お兄ちゃん。美羽ちゃんを大切にしてやっておくれ。美羽ちゃんには幸せになってもらいたいんだ」   オヤジが笑った。目が無くなると更にヒラメに見える。きっと前世はヒラメだな。 ヒラメオヤジは、美羽を大事に思っているんだな。イイ奴だ。気に入った。 「よし、決まりだ」  俺が突然大きな声を出したから、お兄ちゃん、どうしたの急に、とオヤジが驚いた。 「美羽。今日の飯、寿司にしよう。オ
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スマイル15 おかえりなさい 01

 ドキドキ買い出し商店街デートも終えて施設に戻った。色々買い込んだのに、数万円も使わなかった。安すぎて驚愕。この地域の物価は、一体どうなっているんだ。 ちなみに美羽が狙っていたお徳用トイレットペーパーは、最後に寄るって言ってたスーパーで嬉しそうに買い込んでいた。宝石よりもお徳用トイレットペーパーを喜ぶのが美羽だ。 持ちきれないから宅配を頼んだ。近隣だから宅配は無料だってさ。ただでさえ安いんだから、宅配くらい金取れよって思う。  寿司パーティーを今からやるぞ、と子供たちに伝えたら、大喜びして近所中に声をかけに走ってった。  準備をしていると予想以上の魚が施設に届けられた。 その時、ヒラメオヤジが律儀に釣りを返してきた。俺が渡した封筒に入れて、魚と一緒に持ってきた。釣りなんか要らないって言ったのに、受け取らなかった。しょうがないから残りは美羽に託した。最初は断られたが、子供たちの食費に当ててくれと言ったらなんとか受け取ってくれたんだ。 お金が要らないわけではないと思うけれど、彼らは彼らのルールや考えがあるんだろう。 金銭のやり取りが大変だったが、準備はマサキ施設の子供たちと楽しくできた。 昼時になったら大勢の人がやってきた。施設には人だかりができて、たくさんあった魚があっという間に無くなった。 寿司飯が足りなくなってしまったから、残りは刺身で食べてくれ、と言ったくらいだ。施設の釜だけじゃ、この量のご飯を炊くのは無理があった。 ま、バタバタしたけど楽しかった。 寿司が無くなった後は、スーパーで買ったお徳用の菓子やジュースを振る舞った。みんなうまそうに食べて、散々礼を言って帰っていった。  嵐がやって来て、嵐が去っていったようだ。  やれやれ。大変だったな。  片付けを手伝っていると、ひとりの来客があった。 「美羽ちゃん、久しぶり」  声をかけて来たのは、初老の男だった。年齢は
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スマイル15 おかえりなさい 02

 「あの、ちょっといいですか」  美羽と横山が話している間に割って入った。「工場と聞こえましたが、なにを作っていらっしゃるんですか?」「機械全般です。ご要望があれば、小さな部品まで作ります」「突然すみません。俺、こういう者です」会社で使っている名刺を取り出して自己紹介し、横山に渡した。  俺はどこで誰に会ってもいいように、名刺は欠かさずいつも持ち歩いている。ビジネスチャンスは、いつやって来るかわからないから。「近くにいたものですから、先ほどのお話が聞こえました。工場が危ないとか……失礼を承知で確認しますが、銀行の融資も無理なのですね?」「お恥ずかしながら……新しい商品開発のための、設備投資の返済が利益を圧迫していまして、マイナスが続いているんです。銀行の返済が滞っておりまして、もうどうにもならず……」「成程。今から工場へ行って、製品を見せて頂くことは可能ですか?」「あ、勿論です。でも……あの……」「商品が良ければ、俺が買います。顧客になります」「えっ!?」横山が目を見開いた。「工場をたたむと判断するのは、俺が製品を見た後にしてください。さあ、行きましょう」 俺は彼を促した。「悪い、美羽。ちょっとこの人――横山さんと話してくるから、ここの片付け、切り上げてもいいかな?」「え、ええ。いいわよ」「子供たちと遊ぶ約束してたけど、夜に延期だって言っといてくれ。横山さんの工場に行って来る。話がついたら戻る」「王雅、あの――……」  なにか言いたそうな美羽を引き寄せて耳元で囁いた。「話聞こえてたから、大体察してる。この横山って人、前に施設の土地貸してくれてた、お前の恩人なんだろ? 俺が助けてやる。でも製品次第だ。いくら美羽の恩人とはいえ、つまらないものに金は払えない」  それだけ言って俺は横山と施設を出た。工場は車で10分程の所にあるらしい。車に乗せてもらって、彼
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スマイル15 おかえりなさい 03

 彼が落ち着いてから話を聞くと、挨拶回りをした後に自決を考えていたようだ。自分が死んだ後の保険金で少しでも社員の給料が出ればと考えていたらしい。  バカじゃないか、と怒鳴ってやった。横山さんが死んでも誰も喜ばないしむしろ迷惑、それより苦汁を舐めてでも生き残って這いあがれ、と言ってやった。 だから俺を利用しろ、と。お互いの利益を生もうと誓った。手厚く礼を言われて、なんども握手された。 横山はマサキ施設の近くの大通りまで送り届けてくれて、俺が路地に入るまで頭を下げていた。律儀なヤツだ。  思いのほかいい話が早くまとまった。  契約内容については、思った通り特許もいろいろ持っていたから、4億円の契約金で話がついた。持っていた特許だがハッキリ言って宝の持ち腐れで、特許の取り方もずさんだった。 これは早急に特許の取得のやり直しをさせる。このままだと穴だらけで、他所の会社か企業に技術を盗まれて持って行かれてしまうだろう。 きちんと手続きを踏み、俺がプロデュースしてこの特許を生かした製品を作って企業に売り込めば、1000倍以上の価値は付くだろう。  あんないい工場、特許も含めて4億円の契約で済むなら安いくらいだ。  横山工業――俺がもっと大きくしてやる。世界で通用するような、一流企業に。  路地を曲がるとマサキ施設のボロ門扉が見えた。帰ってきた。 さあ、子供たちと美羽のうまい夕飯を食べて、いっぱい遊んで風呂に入って、子供たちが眠ったら契約書作ろう。   うるさい音を立てて開くボロ門扉を開け、横開きのスライド扉をガラガラ音を立てて開くと、入口で待っていた子供たち全員が、おかえりなさーい、と俺を取り囲んだ。  「みんな……」   子供たちの後ろに美羽が立っていた
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