昼に寿司パーティーをしたから、夕飯は野菜中心のメニューで簡単なもので済ませた。美羽曰く、贅沢は続けてはいけないらしい。買い込んできた肉類は、施設の大きな冷凍庫に保管した。 簡単とはいえ、料理の腕はピカ一の美羽が作る飯はやっぱりうまい。 それから子供たちとめいっぱい遊んで、風呂に入って、美羽と手分けして遊戯室に布団を引いて、全員を寝かせた。電気を消して暗くすると、あっという間に子供たちは夢の中だ。 さあ、俺は今から契約書作り! 美羽も内職があるから、応接室でそれぞれの作業をすることになった。 ひとりで作業するつもりだったのに! 俺、我慢できるかな。夜に美羽と密室にふたりきりなんて、大丈夫かな。 自分が暴走しない事を願いつつ、持ってきたノートパソコンで作業を始めた。 ふと視線を感じて顔をあげると、目が合った美羽が話し始めた。「王雅、今日はほんとうにありがとう」「なにが」 「王雅が帰ってくる前、横山さんから連絡があったの。王雅のおかげで工場を手放さなくてすみそうだって。手厚く礼を言っておいてくれって」「俺は見込みのない会社には投資しない。横山の製品がよかったんだ。おかげで今後の明確なビジネスプランも立てられたし、俺としてもよかったんだ」「でも、王雅って勘いいね。横山さんが施設の土地を持っていたひとだって、あなたに話してないのに」「前に美羽が言ってただろ。花井の前の持ち主は、金も取らずにこの土地を貸してくれてたって。だから、話の内容や、優しそうな容姿からして、彼のことだろうなって思った。それだけだ」「そっか……」「一を聞いたら十を知る――俺はずっとそんな世界で生きてきた。頭の回転が悪かったら、すぐ蹴落とされるんだ」「王雅も大変なのね」「そうでも無いぜ。ビジネスは思い通りにならないところも含めて楽しい。まあ手腕がいいから、大抵うまくいくけど」 うまくいかないのは美羽だけだ、って言ってやろうか
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