コロッケスマイル ~俺様御曹司は、庶民女王と子供たちにご執心!~ のすべてのチャプター: チャプター 71 - チャプター 80

109 チャプター

スマイル15 おかえりなさい 04

 昼に寿司パーティーをしたから、夕飯は野菜中心のメニューで簡単なもので済ませた。美羽曰く、贅沢は続けてはいけないらしい。買い込んできた肉類は、施設の大きな冷凍庫に保管した。 簡単とはいえ、料理の腕はピカ一の美羽が作る飯はやっぱりうまい。 それから子供たちとめいっぱい遊んで、風呂に入って、美羽と手分けして遊戯室に布団を引いて、全員を寝かせた。電気を消して暗くすると、あっという間に子供たちは夢の中だ。  さあ、俺は今から契約書作り!  美羽も内職があるから、応接室でそれぞれの作業をすることになった。 ひとりで作業するつもりだったのに!  俺、我慢できるかな。夜に美羽と密室にふたりきりなんて、大丈夫かな。  自分が暴走しない事を願いつつ、持ってきたノートパソコンで作業を始めた。  ふと視線を感じて顔をあげると、目が合った美羽が話し始めた。「王雅、今日はほんとうにありがとう」「なにが」 「王雅が帰ってくる前、横山さんから連絡があったの。王雅のおかげで工場を手放さなくてすみそうだって。手厚く礼を言っておいてくれって」「俺は見込みのない会社には投資しない。横山の製品がよかったんだ。おかげで今後の明確なビジネスプランも立てられたし、俺としてもよかったんだ」「でも、王雅って勘いいね。横山さんが施設の土地を持っていたひとだって、あなたに話してないのに」「前に美羽が言ってただろ。花井の前の持ち主は、金も取らずにこの土地を貸してくれてたって。だから、話の内容や、優しそうな容姿からして、彼のことだろうなって思った。それだけだ」「そっか……」「一を聞いたら十を知る――俺はずっとそんな世界で生きてきた。頭の回転が悪かったら、すぐ蹴落とされるんだ」「王雅も大変なのね」「そうでも無いぜ。ビジネスは思い通りにならないところも含めて楽しい。まあ手腕がいいから、大抵うまくいくけど」  うまくいかないのは美羽だけだ、って言ってやろうか
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スマイル15 おかえりなさい 05

 あれからどのくらい時間が経ったのか――気が付くと契約書は出来上がっていた。 一体いつ、どのように仕上げたのかまったく覚えていないが、内容を確認すると問題なく仕上がっていた。記憶がないほどに、苦しい思いを消したくて仕事に没頭していたんだな。 まだ胸が苦しい。どうにかなりそうだ。  傍には美羽がいる。心配そうに俺を見つめている美羽を、応接室の狭いソファーに押し倒した。  お前が悪いんだ、美羽。 お前が好きだって言う男の傍へ無防備でやって来るから、こういう目に遭うんだ。 思い知れ。   無言で美羽の衣類を引き裂いた。彼女が着ていたライトブルーのパジャマから、ボタンが千切れて弾け飛んだ。   ――抱きたいなら、抱けば。別にいいわよ。    美羽が無表情で言った。俺を軽蔑する眼差しを向けている。 俺が好きだから抱いて欲しいとか、そういう感じじゃねえよな。 横山のことがあるから、別に俺に抱かれてもいいって、俺の言う通りにしてやらなきゃって、思ってるだけなんだろ!?   想像通りだな。 俺はお前の恩人を救った男だから従うんだ。    こんなに、好きなのに! こんなに、愛しているのに!!   腹が立ってどうしようも無くなって、俺は暴れた。 美羽をこの手で傷つけた。メチャクチャに犯して抱いた。  最低なことしてるって判っているのに止められなかった。  なにが立派な男になる、だ。 バカだろ
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スマイル16 お菓子の家 01

 翌日。朝早くに横山の所へ契約書を届けるつもりだから、今、出発の準備を整えている最中だ。 昨日、優しく美羽に包まれて俺は決めた。今後拠点となる会社を、キングフェザーと名づけることにした。 意味はそのまま、王の羽だ。 俺が認めた会社なら、救いの羽を渡してやる。これを手にしたものは、どんな会社や企業でも助けてやる――王の俺が、美羽のように優しい羽根で包んで守りたい、そんな意味を込めて名付けた。   きっとうまくいく。  櫻井グループなんかよりも、もっと素晴らしい会社にしてみせる!! 髪型をセットし、私服の薄手のジャケットの袖に手を通したところで応接室にノックがかかった。「おはよう、王雅。入ってもいい?」「ああ」 美羽が現れた。トレイに淹れたての珈琲とサンドウィッチを用意してくれている。  彼女の恰好は、昨日のライトブルーのパジャマじゃなくて、もう既に着替えていた。  白と黒のボーダーの半袖カットソーに、膝丈までのピンクのスカートを履いて、白いエプロンを着けている。あのパジャマは悪いけどもう見たくなかったから、普通の服でよかった。 来週までに美羽のパジャマ、新しいものを俺が用意しよう。色はライトブルー以外で。 「朝早くからご苦労様。軽く作ったんだけど、食べれる?」  焼きたてのたまごを挟んでるので、サンドウィッチからも珈琲と同じく湯気が出てる。うまそうだ。 俺のために朝早くから作ってくれたんだな。嬉しかった。 「ああ、サンキュー」  ソファーに座って、美羽が持ってきてくれたサンドウィッチを頬張って、淹れたての珈琲を飲んだ。 たまごは半熟トロトロで、絶妙の焼き加減。最高にうまい。 サンドウィッチを頬張っていると、ソファーの向かい側に美羽が座って俺をじっと見つめきた。 「なんだよ」
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スマイル16 お菓子の家 02

 横山の工場に行くと、彼は俺の到着を工場の入り口に立って待っていた。そんな所で待たなくてもいいのに。 工場敷地内の駐車スペースに自分の車を停めて中から降りたら、すぐさま横山が駆け寄ってきた。 「櫻井さん! 朝早くからご足労をかけて申しわけありません」「気にしないでください。それより、暑いから中で待っていて下さればいいのに」「こちらの都合で来ていただくのです。中で待つなんて、とんでもない」  とんでもなくないって。一体いつから待っていたんだ。まだ朝とはいえ、8時を過ぎると日差しも暑くなるだろ。こんな暑い中外で待ったりして、熱中症で倒れたらどうするんだよ。 早めにきてよかったぜ。 「こちらです。どうぞ」  俺は横山に案内される形で、工場の事務室に向かった。 簡易的な小さな机や椅子が置いてあった。向かい合って座ると、早速契約書に判を押すための印鑑を用意してきたから、作成した契約書に判を押した。 立ち上げたばかりの会社のために、正式な印鑑が無い旨の説明と、月曜日の朝に振込がされる旨は伝えた。既に手配したと言ったら、横山がまた泣きやがった。  まあ、気持ちはわかる。大切な城がもう少しで売却され、人手に渡り、自分のものでなくなってしまう苦しみは、計り知れないものがあるからな。  実は俺も経験があるんだ。  初めて立ち上げた会社が、最初はうまく軌道に乗せて売り上げをあげることに成功したけれど、突然の取引先の連鎖倒産の影響で、立ち行かなくなったことがあったからな。 あの時は、まあ、こんな言い方したら顰蹙(ひんしゅく)を買うとは思うけれど、櫻井グループに入社して、初めての練習台に作った会社だった。赤字を出してしまったけれど、他の事業でそれ以上の利益を上げて損失自体は防いだ。でも、会社をひとつ潰すことになって、ショックだった。しかもそれは、初めて自分が作った会社だから余計に。
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スマイル16 お菓子の家 03

 施設に戻ると子供たちに手厚いお帰り攻撃を受けた。 嬉しい。もう、毎日この攻撃受けたい! 明日からは、そんなあったかい出迎えも無い、無駄に広い、空寒い自分の家の部屋に帰らなきゃいけないのか――考えただけで憂鬱で泣きそうになる。いや、本当には泣かないけど、そのくらい憂鬱。  美羽に頼んで、俺もここに住まわせてもらおうかな。 これから作るお菓子の家を少し残してもらって、ここに住むのはアリ?   ……無理か。   それに施設でずっと美羽と一緒にいたら、俺、彼女に手を出す自信がめちゃくちゃにある。 だからとてつもなくマズイ。 好きな女と一つ屋根の下なんて、すぐに間違いが起こるに決まってる。そんなの間違いだらけだ。起こさない男がいたら、お目にかかりたい。  実は、土日の泊りでさえ不安だし。  一触即発の気持ちを根性で堪えてるだけだから。そんな危ないギリギリのライン、なにかの拍子にすぐに限界突破すると思うんだ。でも、そんなことしたら施設出禁になるだろ。それは困るんだ。 美羽や子供たちを失うわけにはいかない。  はっ。 そういえば最近、美羽とキスしてない! これはイカン。大問題だ! 早急に問題解決に取り組もう。 今は俺様が手を出さないように我慢してやってるからな。でも、もう限界だ。しかし強引にすると……以下略。  はぁぁ。俺様ともあろうものが、女日照りが続いてる。アッチ方面乾きすぎて干からびそうだ。 言っとくけどな、俺がホンキ出したら、女なんか幾らでもタベホーダイできちゃうんだぜ? この前、すごく美人に一晩誘われちゃったんだ、浮気してもいいのか、って言ってやりたい。だから早く俺との関係を進めようぜ、って。  でも、そんなこと言ったら――
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スマイル16 お菓子の家 04

 深いふかーいため息をついていると、ガックンが俺の足にタックルしてきた。足ががくっとなる。 「お兄さーん!」「おっと」  ガックンは俺が抱き上げるのをわかっていて、わざとこうやって突進してくるんだ。軽々と抱き上げ、くすぐってやった。  きゃはははー、とガックンは大笑いして俺の腕の中で暴れる。  もう、考えるのはやめた! なるようになるだろ。もう、成り行きに任せるしか道はない。  子供たちが俺の周りに集まってきたから一緒になって遊んでいると、お菓子の家を作る業者が施設にやって来た。 面白いものを今から作るから、絶対に見るなと禁止令を出して遊戯室を封鎖し、みんなを食堂の方へ行かせた。 始めてくれ、と業者に頼み、食堂の方で待っている間、美羽が子供たちに絵本を読み聞かせていた。  楽しそうに絵本に夢中になる子供たちを見つめて、俺はこんな絵本を、一度も、誰からも読んでもらったことがないことに気が付いた。 愛情のカケラも無い家で育ったんだな。そりゃあ性格も歪んで、冷徹にもなるって。 だって、こんなあったかい愛情がこの世にあることを、今まで知らなかったから。  誰にも教えてもらわなかったし、誰も俺に教えてくれなかった。  俺が読んでいた本は、参考書とビジネス書ばっかりだった。 まあ、自分でも興味なかったのもあったけど――もしかしたら、こういうのが羨ましいって気が付きたくないから、背を向けてたのかも。  楽しそうに絵本に夢中になる子供たちを見ながら、これまた楽しそうに絵本を読む美羽を見て、幸せだと思った。  ずっとこうしてみんなを見つめていたい。 俺がみんなを守るから。 そのためなら、どんなことでもやってやる。たとえ泥水を啜らされても、どんな酷い目に遭っても、だ。
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スマイル16 お菓子の家 05

 「わあっ……すごい……!」  お菓子の家を見た美羽が感嘆の声を漏らした。 「どうだ、すごいだろ」  ポン、と美羽の肩を叩いて言ってやった。「俺からのプレゼントだ。本物だから食べられるぜ」 「王雅……」 「一緒に食うか。俺達も」 「ええ。いつも楽しいことを考えてくれて、ほんとうにありがとう! 王雅って、楽しいことを考える天才ねっ」  美羽が俺の好きなコロッケスマイルを見せてくれた。お前のその顔が見られるだけで満足だ。 「先生っ、お菓子の家だよーっ、すごいねーっ!」「早くたべたーいっ」「あ、待って、みんな。せっかくだから写真を撮りましょう。先生がカメラ持ってくるね。お家、まだ食べちゃダメよ。みんな、わかった?」 「はーい!」子供たちは、全員元気よく返事した。 「王雅っ、みんなのこと見張っておいてね! 目を離したら、すぐ約束破っちゃうからっ」  美羽が走って遊戯室を出て行った。 アイツ、子供たちのことも信用してねえな。いったい、誰なら信用するんだよ。 子供たちだってちゃんと約束守るだろうと思っていたら、美羽の姿が見えなくなってすぐ、隙を見てアイリがお菓子の家に手を伸ばしていた。 「コラ、アイリ。美羽先生の言うこと、ちゃんと聞かなきゃダメだろ」「はぁ~い」「アイリが家を食べてしまったら、食べかけの家になるだろ?」  ポンポンと子供独特の柔らかい髪を撫でアイリの手を取った。 彼女はちょっとたれ目が特徴で、ゆるい天然パーマがかかっている肩くらいまでの髪で、色は綺麗な黒、年齢は四歳。はっきり言っ
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スマイル17 オトコの事情 01

 あの後、手をよく洗ってから食べても良しという美羽のお達しが出て、お菓子の家が解禁になった。  早速手を洗って家に突撃した子供たちにお菓子の家はあっという間に食べ尽くされた。もう欠片も残ってない。俺の予想以上に早い崩壊だった。  俺の仮住まいは、なにも残されなかった。 屋根部分のチョコレートビスケットを少し分けてもらって食べたけど、思った以上にうまかった。子供たちからは、またお菓子の家を建ててくれとリクエストをもらった。 昼食は簡単におにぎりを作って食べた。今度は俺も手伝って、ちゃんと綺麗なおにぎりを作ってやった。やればできる俺様。得意気になって美羽に上達ぶりを伝えると、上手になってすごいね、と笑ってくれたんだ。 子供扱いされてる気がするけど、ま、いいか。 その後は昼寝タイム。子供たちを寝かせている間に、デジカメで写した写真を美羽がプリントアウトしてアルバムに貼るんだってさ。俺も写真が欲しいと頼んだ。スマホとパソコンの待ち受け画面にセットしよう。 プリントアウトには少し時間がかかるから、その間、今までに撮ったアルバムを見せてもらった。 古いものから順番に見ていった。そこには綺麗なマサキ施設が映っているものがあった。美羽の両親も映っていたし、幼い美羽や恭一郎、俺の知らない子供たちの写真が数多く収められていた。 美羽にとって色あせてしまうことのない、大切な思い出。  俺にはそんな綺麗な想い出はなにもない。素直に羨ましいと思った。 でも、これからは俺も作るんだ。みんなと一緒に。 今日ここに貼る写真は、その1枚目。  パラパラとめくっていくと、リョウの誕生日パーティーがあった。俺が初めてケーキ作った時のやつだ。写真のケーキがボコボコのまま映っている。下手くそにもほどがあるな。 美羽はいつの間にこんな写真撮っていたんだろ。 あ、こっちはコロッケパーティーのやつだ。俺が子供たちとおにぎりを食っている時の写真が貼られている。 知らなかった。こんな写真を撮って、大切な想い出の1枚として俺を飾ってくれていたなんて。  ページをめくると、他にも普段の子供たちの様子や、成長の様子なんかもあった。 俺がプレゼントしたプールの写真もあった。他の近所の子供たちと一緒に遊んでいる。 この前のバーベキューの写真もあったけど、1日目の途中までの写真しか
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スマイル17 オトコの事情 02

「王雅、この写真貼ってよ」 ちょうど、開いていたアルバムの最後のページだったので、続きを貼るように言われた。「いいのか?」 美羽が頷いた。「透明のフィルムめくって、のりがくっついている面に写真を置いて、透明のフィルムを元に戻すのよ。空気が入らないように気を付けてね」「難しそうだな。汚くなったらいやだから、美羽がやってくれよ」「じゃあ、一緒にやりましょ」 美羽が俺の横に座って来た。狭いソファーだから、ふたりで座ったらいっぱいで密着するんだ。 おい、それ、危険だって。 手、出ちゃうぞ? 手だけじゃなくて、エロくて危ないヤツも、俺の中から出てくるけどいいのか? ――ダメだダメだ、堪えろ、櫻井王雅! 俺は世界一の男になるんだろっ!! 美羽の同意が取れるまでは、手を出さないって決めたじゃないか! 悪夢再来はいやだ。 でもな、待ってくれ。いくら世界一の男でもこの状態じゃオオカミになるって。 密室に好きな女とふたりきり、しかも密着横並びなんて、拷問だろっ!! 俺の息子は日照り続きで渇いているんだ。潤いを求めてる。現状、砂漠を水も飲まずに歩いてる、旅人のようなものだ。オアシスで水を見つけたら欲しくなって、心ゆくまで水、飲んじゃうだろ!? そんな心境だ。 俺に水をくれ、水を。「こっちの手、貸して」 美羽に手を伸ばそうとしたら逆に手を取られた。 透明のフィルムに手が当てられ、ここからめくるのよ、と教えてもらったのでそれをめくった。美羽の手が俺の手に添えられているから、ドキドキする。 でも俺はフィルムじゃなくて、お前の服をめくりたい。「開いているところに写真を置くの。それを軽く押さえて……あっ、そうそう、イイ感じ! うまいわ、王雅。うん、そう……優しく……あっ、ダメっ、そんなに乱暴にしちゃ……」 おいっ!! 美羽っ! お前、後半、エロすぎ!! うまいわ、王雅、優しくって……ダメっ、乱暴にしちゃって、ナニしてんだよっ!? 言い方も何か、色っぽくてエロいし。 あのな。俺は上手いぞ? 乱暴にはしないけど、ここではとても言えないような、エロくてスゲーのやっちゃうぞ。お前、耐えれるのか? 俺を焦らせた罪は重いから覚悟しておけよ。そういう意味では、乱暴かもしれない――じゃなくて! 写真貼ってるだけだろ! イケナイコトしてるみたいなセリフ
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スマイル17 オトコの事情 03

「はい、できたっ」 美羽が俺の手に重ねていた手を取って、にっこり笑った「一緒にやったら、ちゃんとできたでしょ?」「ああ、うん」 いや、俺は今、それどころじゃない。写真がうまく貼れたとか、透明フィルムが元に戻せたかなんて、どうでもいいんだ。お前に触れたくてヤバい。理性を必死に堪えいるんだ。察してくれ。「どうしたの? さっきから怖い顔して」 美羽が俺を覗き込んできた。「やっ、べ、別にっ! なんでもないから、それ以上近寄るなっっ」 必死に堪えてるオトコの事情を、勝手に覗き込むなっ!「なによ、近寄るな、なんて失礼ね」「頼むから離れてくれ。俺は出禁になりたくない!」「出禁って何よ」美羽が怪訝そうな顔をして、焦る俺を更に覗き込もうとする。「なんでもねえよっ! ほらっ、あ、あの、そうだっ、ノド乾いたっ! 飲み物持ってきてくれ、早く! 今すぐっ!!」「偉そうね」「俺が偉そうなのは生まれつきだっ。とにかくなんでもいいから持ってきてくれ!」「しょうがない王様ね」 不承不承といった感じで美羽が立ち上がり、俺から離れて応接室を出て行った。 はぁぁぁぁぁ。セーフ!  だが、これからも施設に泊まって美羽と過ごす時間が増えれば増えるほど、数多くの恐ろしい試練が俺を待ち受けているに違いない。 大丈夫か? このままじゃ、身体がもたねえ……って、待てよ。 万が一間違いが起こったとしても、同意があるなら、これは間違いじゃねえぞ! どうにかして、美羽からの同意を取れば問題解決! 死ぬ気で頑張るしかない。 コンコン 同意について考えていると、応接室にノックがかかった。「美羽か?」「ブブー、ハズレ! アイリだよぉ」「お前……また昼寝もしないで」 仕方なく応接室のドアを開けてやった。「アイリ。昼寝はどーした、昼寝は。子供は今、寝る時間だぞ」「もう子供じゃないもぉーん」「なに言ってんだ。まだまだチビっこいくせに」「でも、おーちゃんもみーちゃんも、起きてるもんっ」「俺や美羽先生は、大人だからいいんだよ。それよりアイリ、なんだそのおーちゃんって。みーちゃんもやめろ。先生だろ。ちゃんと、美羽先生かミュー先生って呼べよ」「いーのっ! みーちゃんはみーちゃんなの。で、おーちゃんは、王雅だから、おーちゃん」『おーたん』とか『おーちゃん』とか、面白いニックネー
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