All Chapters of コロッケスマイル ~俺様御曹司は、庶民女王と子供たちにご執心!~: Chapter 91 - Chapter 100

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スマイル19 涙 02

 「今からチイと母親をホテルに護送できる準備をする。身辺警護も付けて、随時連絡も入れさせる。関西だったら遠いし、父親の目はすぐに届かない。大阪に櫻井グループ所有のホテルがあるから、自家用機を飛ばしてやる。それでいいか?」「お願いします……」 上目遣いで俺を睨みつけながら美羽が頼んできた。「任せとけ。悪いようにはしない」 スマホを操作して、家に電話した。俺のスマホからの着信だから、相手は誰からの連絡かわかっている。「はい、王雅様、どうなさいましたか」とワンコールも終わらないうちに執事が出た。 「急で悪い。今すぐ大阪のホテルを一室押さえて、暫く住めるようにして欲しい。30代の女性と、2歳の子供を暫く住ませたい。生活できるように準備してくれ。あと、ホテルまで運んでやりたいから、自家用機も必要だ。身辺警護も付けたいから、SPも頼む。それから、マサキ施設の回りに、上村という男がウロウロしてないか調べてくれ。今から写真送るからよろしく」  それだけ言って電話を切った。 「諸々、手配済んだぜ? 自家用機の準備は30分ほどだ。、チイの母親には、親父を追い払ったら施設に来いって言ってやれよ。あとチイの親父の写真を貸してくれ。無いならこっちで調べる。親父の本名教えてくれ。今から親父の画像送るから」  手際よく話を進めていく俺を美羽は驚いた様子で見つめている。「おい、ぼんやりしてる場合じゃねえだろ。さっさと親父の写真を用意してくれ」「あっ、ごめん。急ぐわ」「俺の手にかかったらこんなもんだ。惚れ直したか?」  美羽は無言で俺を睨みつけ、書類や写真関係は仕事部屋にあるから取りに行くと言って、急いで出て行った。 関西で女性の自立支援のできる施設や、相談できるところも探しておくか。ノートパソコンを広げて電源をつけたところで、美羽が親父の写真を持って戻ってきた。 「これ」 写真を受
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スマイル19 涙 03

 「そ、それはダメっっ!!」  美羽が慌てて俺から逃げようとするから、ぎゅっと逃げられないように抱きしめた。いつもの清潔な香りがする。美羽の香りはすごくいい匂いだ。「どうしてダメなんだよ」「あ、あのっ、だから……それは……っ」「まだ俺を信用できないか? だったらせめて期限つけてくれ。いつまで待てばいい? 俺はお前が欲しい。美羽、お前以外欲しいものなんてないんだ」  美羽が真っ赤になって俺を見つめている。これはイエスとみなしていいのか? もう、そういうことにしてしまえ――なにか言いたげな美羽を無視して、彼女との距離を詰めた。 雰囲気で流してしまうのもアリだろ。そのまま同意を取ってやる。   吐息がかかり、もう少しでキスできそうなところで、俺のスマホがやかましい音を立てて鳴った。  「あっ、電話っ、王雅、電話鳴ってるっ! 早く取らなきゃっ」  チャンスとばかりに美羽が俺から離れて、慌てて逃げだした。このタイミングで電話なんかかけてくるな! 一体誰だよっ!? 俺は舌打ちをしてディスプレイを見た。SPからだった。無視できない相手だったので、仕方なく電話に出た。 「はい」いいところを邪魔されたので、棘のある声で返事を入れた。『例の男、捕まえました。どうしましょうか?』「適当に転がしとけ。俺は今、取込中だ」『承知しました』  俺の機嫌なんか露程気にもせず、用件だけ言って通話が途切れた。パソコンの画面を見ると、施設近辺でマーキングしたチイの親父の姿が無くなっていた。 相変わらず櫻井家のSPは仕事が早い。警察いらなかったな。ここに警察がきたら面倒だから、「男はすぐいなくなった、もしなにかあればまたすぐ相談するから、もう大丈夫」と、再度警察に連絡を入
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スマイル19 涙 04

 それからすぐチイの母親はマサキ施設にやって来た。彼女は30歳過ぎのおっとりした優しそうな女性だった。名前は上村佳奈美(うえむらかなみ)。 愛らしい大きな瞳や、肌触りのよさそうなすべすべの白い肌、なによりチイに顔がよく似ている。ひとめで親子だとわかった。だけど、性格は真逆に思える。 美羽が佳奈美に俺を紹介してくれて、大阪のホテル等を手配した旨を伝えてくれた。 佳奈美やチイが落ち着くまでは責任をもって支援することを約束し、さっき調べた女性の自立支援のできる施設や相談できるところのリストを渡してやった。 「見ず知らずの私に、こんなに親切にしてくださって……ほんとうに、ありがとうございます」  佳奈美が涙を見せた。  ずっと辛くて苦しくて、誰に相談しても話を聞いてもらえず、自分の訴えを誰にも信じてもらえず、あのDV男――上村信夫(うえむらのぶお)との異常な生活に限界を感じていた佳奈美が、夫の目を盗んで、チイを連れてマサキ施設にやってきたいきさつを聞いた。 信夫は周囲からの信頼も厚く、周りを味方に取り込むのが上手い男だったようだ。実の両親にさえ、信用してもらえなかったというから、その辛さたるや想像を絶する。また、周りをそこまで信用させる信夫の行動も、周到で脅威的だと思った。  彼の狂気を見ない限り、誰も信夫がそんな酷い事をするような人間には見えない。完璧な優しい男の仮面に、みんなして騙されていたというわけだ。  さらに、DVも目に見えるようなわかりやすい暴力等ではなく精神的なものだった。目に見えないからこそ余計、誰にも分ってもらえなかったようだ。  マサキ施設に初めて訪れ、門の前で困った様子で立ちすくんでいた彼女を見つけた美羽だけが、佳奈美を信じて「辛かったですね」と話を聞いて抱きしめてくれたと聞いた。   美羽はやっぱりすごい女だ。困っている子供だけじゃなくて、大人だろうが分け隔てなく公平
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スマイル19 涙 05

 なんとか同意をもぎ取って、美羽をさっさと俺のものにしないとな。今日にでも結婚できないかな、と思う。  とりあえず婚約だけでもできないか? なんとかならないのか。マジで。 勝手に婚姻届けを出したら怒られるかな。偽造書類なら俺の財力をもってすれば、いくらでも作れるんだけど。  今後は危険を回避するためにも、見知らぬ男は助けないでほしい。男は基本頑丈にできているから、放っておいても死なない。 今すぐ結婚が無理なら、困った男はこれから助けないようにしてほしい。   あっ、そうだ。そうしよう! 男なら、俺が救いの手を差し伸べてやればいいんだ!  美羽がやる必要はない。  仕事ならいくらでも斡旋できるし、美羽から離れた遠くの町に住まわせてしまえばいい。   これからは、知らない男がマサキ施設に入ったら、俺のパソコンとスマホの警報が鳴るようにセットしておこう。どんな仕事中だろうがすぐに施設へ駆けつけ、解決し、美羽から遠ざけるんだ。仕事よりそっちの方が大事だ。  よし。SPにも常に施設を見張らせよう。変な奴がやってきたら、即・尋問開始だ。  当面はこれで大丈夫。名案を思い付いたことでテンションが上がった。  でも、もうすぐチイとの別れが迫っているんだ。美羽のことも大切だけど、チイと会えなくなるのは辛い。佳奈美の準備が整ったので、遊戯室に寝かせていたチイを起こして彼女に託した。 実の母親に久々に会えて満面の笑顔のチイを見て、やっぱり俺なんかの出る幕はないのだと痛感した。 本物の親には誰にも敵わない。他人の俺がどんなに大切に想っても、親子の絆は断ち切ることができないんだ。 チイの笑顔は、それを浮き彫りにさせてくれた。  コイツもそのうち、俺のことなんか綺麗さっぱり忘れてしまうんだろうな――そう思うだけで、とても辛い気分になった。&nb
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スマイル20 寄り添うふたり 01

 俺は溢れる涙をそのままに、チイを抱きしめた。  これで最後なんだな。チイ。本当に、もう終わりなんだな。マサキ施設から、お前が居なくなってしまうんだな。  お前のちゃーい――いってらっしゃいが、もう聞けなくなる……。この腕から離れてしまって、遠い所に行ってしまうんだな。 本当はお前を離したくないけど、俺には止める権利がない。チイは母親と一緒に暮らすのがいちばんいい。 だから、辛く苦しい別れを乗り切って、また笑顔で会おうぜ、チイ。 元気でな。佳奈美と幸せに暮らせよ。 「チイ、ほら行けよ。佳奈美(ママ)が待ってるだろ」  お前が困ったら、俺様がぜったいに助けてやるからな―― 俺は泣きながら精一杯の笑顔を見せた。涙が溢れてくるのは、どうしようもなかった。 自分では止められなかった。 「あーい」  チイが手を振って笑顔を見せてくれた。 いつもはお前が俺と離れるのが嫌で大泣きするのに、今日は逆だな。お前と離れたくなくて、俺様の方が泣いてしまうなんてな。   チイ、ありがとう。 お前が俺に教えてくれた大切なことは、ぜったいに忘れないから。   佳奈美と落ち着いて暮らせるようになったら、俺がお前に会いに行く。   だけどな、お前が大きくなって、メチャクチャ美人になって、嫁に行くことになったら、俺は賛成できないぞ。結婚式なんて出席してやらねえからな。本物の親父以上に泣いてしまいそうだから。   佳奈美とチイがヘリに乗り込んだ。ふたりが大きく手を振った。 俺達は定位置まで下がって、ヘリが上昇して見えなくなるまで手を振って、彼女たちを見送った。 チイが居なくなって
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スマイル20 寄り添うふたり 02

 施設に戻ってきた俺達は、美羽と一緒に夕飯の支度をして、それを食べた後は、男児を俺が風呂に入れ、女児の方は美羽が風呂に入れ、いつも以上に一緒になって楽しく遊んで、遊戯室に布団を敷いて全員を寝かせた。 チイの分の布団を敷かなくてもよくなったことが淋しさを助長させ、思わず泣きそうになってしまった。  俺、マジでダメ男だな。こんな調子でこの先やっていけるのか。  この施設から大好きな子供たちが一人でもいなくならないで欲しい。チイだけでもこんなに辛いんだ。もうこれ以上は耐えられない。 内藤や佳奈美みたいなまともな親じゃなくて、マサキ施設に子供を預けている親は、千夏みたいなロクでもない親であって欲しいと願わざるを得ない。そしたら子供たちは、親にその存在を求められず、ずっとこの施設で暮らせるだろ。  俺と美羽が大事に育ててやるから、もう親元に帰らないでくれって、心の底から思う。  でも、美羽は俺以上に別離を繰り返して、今日まで生きてきたんだな。これまで大勢の子供たちを笑顔で見送り、親元に返して、一人ぼっちで泣いていたのかと思うと、堪らなくなった。   美羽――ホントにすごい女だ。   これからは美羽が一人で泣く時……そんな淋しい夜に、俺が傍にいることができればいいのにな、って思う。俺がお前を支えてやることはできないのかな。  まあ、今の段階では情けないことに、俺が支えられてるからな。 だから俺は早く世界一の男になって、どんなことがあっても美羽を守り、支えになってやらなきゃな。 落ち込んでる場合じゃねえ。今はこの辛さを乗り越えるしかない。  そうそう。送り出したチイと佳奈美は用意した大阪のホテルに到着したと連絡があった。  早く落ち着いて暮らしていけるように、俺も手伝ってやろう。定期的に連絡がもらえるから、美羽も安心できるはず。俺
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スマイル20 寄り添うふたり 03

 「お待たせ」  淹れたてのアイスハーブティーを持って美羽が応接室にやって来た。冷たくて美味い飲み物が欲しいって言ったから、俺のために淹れてくれたんだ。  それに、密着横並びだと絶対手を出してしまうから、向かい側に座ってもらった。それでも不安だけどな。まあ、チイを見送った後だ。今はそんな気分になれないし、大丈夫だろう。  向かい側に座った美羽は、俺が用意したピンクのパジャマを着てくれている。 例の悪夢を見た時のライトブルーのパジャマは封印してもらった。内容までは話せなかったけど、怖い夢を思い出すから着るのをやめてくれと正直に言ったら、美羽はあっさりオーケーしてくれたから助かった。 プレゼントしたパジャマは、形はオーソドックスだけど、ポケットやボタンを閉める所に黒ラメのラインが三本入っていて、お洒落でカワイイ。ネグリジェみたいなエロくて透け感と露出ある方が俺は好きだけど、それだと欲情してしまうから普通のパジャマを用意した。美羽はピンクがよく似合う。 「今日はバタバタして渡しそびれたから、こんな時になんだけどさ、これ、美羽にプレゼントだ。遠慮なく受け取ってくれ。うまい飯の礼だ。いつもありがとう」「お礼なんて、そんなの気にしなくていいのに。王雅は律儀ね」「別に律儀とかじゃねえよ。俺がお前にしてやりたかったんだ。開けてみてくれよ」「なんだろう……じゃあ、遠慮なくもらうね。王雅、ありがとう」  美羽がコロッケスマイルを見せてくれた。かわいいな。毎日見ていたい。 美羽が丁寧に包装紙を剥がし、中に隠れていた黒のケースを開けた。メタリックピンク色の最新型のデジタルカメラがケース内に収められている。彼女は驚いた顔を見せた。 「こんな高そうなカメラ、ほんとうにもらってもいいの?」「ああ。美羽のカメラ、壊れかけてるだろ。あと、プリンターも調子悪いって言ってた
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スマイル20 寄り添うふたり 04

 でも辛いと言ってばかりいても仕方がない。それよりこの時間を楽しむことに専念しよう。折角ふたりきりなんだ。流れる時間がゆったりとしていて、幸せだな。 チイがいなくなってしまって、もっともっとドン底になるだろうと思っていたけれど、美羽が傍にいてくれるから思った以上に大丈夫。  俺は目の前に置いてくれたアイスハーブティーに手を伸ばして飲んだ。みずみずしくて、フレッシュな香りが口に含んだ瞬間、鼻腔をつく。 相変わらず、うまい茶だ。 半分ほど飲んだ所でグラスを置き、美羽に話しかけようと思ったら、彼女は目にいっぱい涙を溜めて、震えていた。 さっきまで笑っていたのに、一体どうしたのかな。 「どうした、美羽。傍に、行ってもいいか?」  美羽は首を振った。「なんでもないの。ごめんなさい。来ないで」  ――そうか。今は、お前がひとりで泣く時なんだな。   きっと今、チイのことを思い出して、悲しんでいるんだ。 来ないでと言われたが、好きな女が涙を堪えて悲しみに耐えているのに、黙って見ているバカ男にはなれない。勝手に美羽の傍に行って、狭いソファーの横に座って優しく彼女を抱きしめた。  あっ、密着横並びだからって、こんな時に手を出したりしないから。 ちゃんと優しく慰めてやろうと思ってる。だから大丈夫。 「今まで辛かったな。たったひとりでよく頑張った、美羽。俺の前だけは遠慮せずに泣けよ。俺がずっと傍にいてやるから」 悪夢を見た時も、俺が崩れてしまいそうな時も、嫉妬で押しつぶされそうになった時も、美羽はいつだって俺を包んでくれた。だから今度は、俺がお前の支えになってやるから。 お前が大丈夫だって思えるまで、ずっとこうしててやるから。 「美羽。今は、なにか楽しいことを考えよう。施設で
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スマイル21 双子の兄妹 01

 昨夜は美羽と二人きりで初めて長い時間を過ごした。ただ黙って傍に居て、流れる時間を過ごすだけだったけれど、すごく幸せだった。 悲しみに震える彼女を包んで、ずっと傍についていたんだ。 それができるのが俺でよかった。知らない所で他の男に慰められたりしたら困るから。 ま、今のところ、美羽の周辺に俺以外の男の影は皆無。子供たちや恭一郎は眼中にねえ。近辺に居ると思われる、ヒラメオヤジや横山は心配いらないかな。既婚者だし。 ――ハッ。でも待て!  そういえば横山の工場に融資の話した時、美羽が真剣に俺に頭下げて来たよな。お陰で悪夢を見てしまったんだ。横山は美羽が一番苦しかった時に助けてくれた恩人だから、とかなんとか、って言ってた。  ま……まさか……。  変な想像をしてしまいそうになったけど、横山と美羽がどうこうなる絵図は浮かばなかった。歳も離れすぎているし、美羽にとって横山は親戚のオヤジみたいな感じだろ、多分。 横山だって美羽を娘みたいに可愛がっているんだ。だから横山も安全牌だ。大丈夫。 但し、万が一にも横山が美羽に手を出そうとしたら、俺は絶対に、どんな手を使ってもオヤジの工場を潰す。融資金も即回収だ。そうなったら横山は、莫大な借金抱えた上に、更に酷い目に遭うだろう。 そう考えるとヒラメオヤジだって油断ならねえぞ! 商店街に買い物行った時、魚のアラあげるとか言って、美羽の極上のコロッケスマイルを引き出していたからな。いや、横山だって油断ならねえな。恩人だし……。  アホなこと考えるのはもうやめよう。彼らがそんなことするわけない。 着替えてキッチンに行くと、もう既に忙しく朝食の準備を始めている美羽がいた。大人数の食事を一人で作っているから大変だな。「おはよ。なんか手伝おうか?」「あれっ、王雅、おはよう。昨日遅かったのに、もう起きちゃったの?」「あ、うん。なんか、目覚めちゃって」
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スマイル21 双子の兄妹 02

 手分けして食事の用意をしていると、キッチンの端に取り付けられた白いシンプルな壁掛け時計の針が、午前7時前を指そうとしていた。 この時計はキリのいい時刻を知らせるチャイムが鳴るようになっている。ようするに、7時になったらチャイムが1回鳴る。機能としては鳩時計のようなものだ。時間を知る目安になっていい。 施設には似たような時計が各部屋にも付いていて、小さな子供たちにも時間がわかるように工夫されている。 「子供たちを起こしに行ってくる」「ええ。お願い」  キッチンを出て遊戯室へ向かった。見ると既に電気が点いていて、リカやガックンが先陣を切って、自分よりも小さな子供たちを起こし、着替えを手伝っていた。 このくらいの子どもの時、俺は召使に起こされ、着替えさせられ、全てを人任せだったな。ガックンやリカは偉いな。親がいないというのは、子供たちにとって相当な負担がかかっているに違いないが、その分心が立派に育ち、自立する。この施設は素晴らしい。 「おはよう! 全員起きたか?」「おはようございまーす!!」  遊戯室に俺が入って行って声をかけたから、子供たちが元気な声で挨拶してくれた。 「いい返事だ。よしっ、準備もできていて偉いぞ! できていないやつは、俺が手伝ってやる」  着替えを手伝っていると、俺の傍で着替えを終わらせたライタが自分の布団を丸めだした。 ライタは3歳のイガグリ頭をしたヤンチャ坊主だ。ヒーローごっこが大好きで、よくサトルやリョウと一緒になって遊んでいる。  でも、まだ小さいから布団を畳むまでは無理なんだ。うまくできずに布団と一緒に転がってしまい、挙句、遊びだしたのを見て笑ってしまった。 朝から、なんて幸せなんだろう。 みんなと一緒に居たら、いつでも幸せになれるんだな。 「ホラ、遊んでないで食堂へ行かないと、
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