بيت / 恋愛 / 独占欲に捕らわれて / Chapter 71 -الفصل 80

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苦悩12

紅玲はコンドームをティッシュに包んで捨てると、千聖を抱き寄せた。「疲れちゃった……」「私もよ……」千聖は紅玲の胸板に頬を寄せる。「少し、寝よっか」「えぇ……」ふたりは目を閉じ、寝息を立てた。夕方6時過ぎ、千聖は背中に痛みを感じて目を覚ました。「うぅ……、なんでこんなに痛むんだろう?」紅玲の腕からすり抜け、躯を起こすと、視界に赤がチラついた。「何……?」何事かとシーツをよく見ると、血が付着している。「まさか……」着乱れたネグリジェが落ちないように押さえながら洗面台へ行くと、背中を見た。背中にはいくつもの引っかき傷が出来ており、ネグリジェにも背中にも、乾いて赤黒くなった血がついている。「どうすんのよ、これ……」千聖は肩を落としてベッドへ戻る。まだ寝息を立てている紅玲の背中を見てみると、やはり引っかき傷が出来て、シーツにも染みが出来ている。「んー……。あれ? チサちゃんは……?」目を覚ました紅玲は、寂しそうな声で千聖を呼ぶ。「私ならこっちよ」千聖がネグリジェを直しながら声をかけると、紅玲は反射的に振り返る。「一瞬、女神様かと思ったよ……。おはよ、チサちゃん。やっぱりそれ、よく似合っているよ」「それはどうも……」歯が浮くような口説き文句に、千聖は頬を引き攣らせながら言葉を返す。「ねぇ、血がすごいんだけど……」千聖は背を向け、ネグリジェに付着した血を見せる。「もしかしてオレ、引っ掻いちゃった?」「そうよ。……私もね」千聖が気まずそうに言うと、紅玲は声を上げて笑った。「あっはは、それは流石に知ってるよ」「笑い事じゃないわよ……。ベッドも汚しちゃって……」「これくらいなら怒られることはないよ」「でも……」千聖はベッドについた血に触れながら、眉尻を下げる。「これくらいの血汚れでお金とるなら、処女がホテルに連れてこられたりなんかしないよ」「……平然とおぞましいこと言うわね」「そう?」紅玲は不思議そうに千聖を見る。
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苦悩13

「まったく……。でも、ちょっと心苦しいけど、お金を請求されることがないのならよかった……」「心配性だねぇ。そういうところも好きだけど。名残惜しいけど、シャワー浴びて出よっか。どこか辛いところない?」紅玲は千聖の頭を撫でながら、心配そうに顔をのぞき込む。(言われてみれば、なんかだるい……)背中の傷でそれどころではなかったが、いざ聞かれてみると、腰が重く、だるさを感じる。「少しだるいけど、これくらいなら平気よ」「ダメ、少し横になってからにしよ」紅玲は千聖の手を引き、強引に寝かせると、優しく抱きしめる。「もう、大丈夫って言ったじゃないの」「少しでも無理させたくないの。そうだ、なんか飲もっか」紅玲はバスローブを羽織り、コンビニボックスの前にしゃがみこむ。「コーラとミネラルウォーターと緑茶。あと、微糖の缶コーヒーとビール。なにがいい? あ、おかしセットあるよ。ポテチとチョコクッキーだって」後半声を弾ませながら、紅玲はコンビニボックスのラインナップを千聖に伝える。「緑茶をもらえる?」「緑茶ね、分かった」紅玲は緑茶とミネラルウォーター、それとおかしセットを抱えてベッドに戻った。「なに、おかしまで買ってきたの……」「チョコクッキーが食べたかったんだ」呆れ返る千聖の隣に座ると、彼女に緑茶を渡してチョコクッキーを開封する。「チサちゃんもどーぞ」「……ありがとう」千聖は緑茶で口内を潤すと、チョコクッキーをひと口かじった。どうやらカカオ高めのチョコレートらしく、ほろ苦さとバターの香りが口いっぱいに広がる。「大人の味だねぇ。オレとしては、もう少し甘い方がよかったけど……」紅玲は残念そうにチョコクッキーを見ると、ひと口かじった。「意外と甘党よね」「そんなに意外?」千聖は穏やかな目で紅玲を見上げ、彼はキョトンとして千聖を見下ろす。「見た目は甘いの好きじゃなさそう」「あっはは、よく言われる。刺激物好きそうとかね。残念なことにオレは甘党だよ。というわけで、これはよかったら持ち帰って」紅玲は筒状の箱に入ったポテトチップスを、千聖の膝上に置いた。「ありがとう、お酒のつまみにするわ」
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苦悩14

チョコクッキーを食べ終えると、ふたりは横になる。千聖は紅玲の腕枕でうとうとする。「おやすみ、チサちゃん。好きなだけ寝てていいからね」紅玲の甘く囁くような声は、千聖の眠気を促す。千聖はあっという間に眠ってしまった。「チサちゃんをこうして抱きしめてると、いくらでも寝れちゃいそうだね……」紅玲は小さくあくびをすると、瞼を下ろした。次に千聖が目を覚ましたのは、夜7時過ぎ。紅玲はとっくに着替えて、千聖の顔を見つめている。「おはよ、チサちゃん」「今何時?」「夜の7時過ぎだよ」千聖は目を見開き、勢いよく飛び起きる。「もう、起こしてくれてもいいのに……」「なにか用事あった?」「それは、ないけど……」バツが悪そうに言う千聖に、紅玲は小さく笑う。「何がおかしいのよ?」「用事がないのに、何をそんなに慌ててるの?」「だって、あなたは時間大丈夫なの? それに、ここの休憩時間だって……」千聖が珍しくおどおどしながら言うと、紅玲は吹き出した。「そんなの、気にしなくていいのに。それより、夕飯どうする? 一緒に食べる?」この時間となると、今から帰って夕飯を作るのは、めんどうだ。だからといって、これ以上紅玲に金銭的負担をかけるのは気が引けた。「気持ちだけいただくわ。せっかくおつまみもらったし、宅飲みでもしようと思う」千聖はポテトチップスを振りながら答えた。「そっか。それじゃあ、また今度誘うね」「えぇ、是非ともそうしてちょうだい」千聖はポテトチップスをカバンにしまうと、シャワーを浴びに行く。「……っ!」お湯と泡が、背中の傷に染みる。痛みに耐えながらシャワーを終えると、髪の水分をあらかた飛ばして、服に着替える。「じゃあ行こっか。忘れ物とか大丈夫?」「大丈夫よ」千聖が返事をすると、ふたりはエレベーターで1階へ行く。紅玲がフロントに追加料金を払い、鍵を返している最中に外で待つ。
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苦悩15

「おまたせ、駅まで送るよ」「ありがとう」ふたりはどちらからともなく手を繋ぎ、駅まで歩いた。駅に着くと、紅玲は名残惜しそうに手を離す。「幸せな時間はあっという間だね……」「大げさよ」「そんなことないって。チサちゃんがいない日は、寂しいんだよ?」紅玲は千聖の目をまっすぐ見ながら言う。「そんなこと言う割には、呼び出す回数少なかったけど?」「忙しかったからねぇ……。でも、これからはもう少しこまめに会えると思うんだ。それじゃあ、気をつけて帰ってね」紅玲は千聖の頭を撫でると、人混みに紛れて姿を消した。「えぇ、ちゃんと呼び出してくれないと、私が困るわ……」千聖は人混みに呟くと、改札を抜けた。契約2週間目、紅玲は宣言通り、千聖を呼び出す回数が一気に増えた。ほとんど毎日のように千聖を呼び出しては、外食をしたり、夜景を見たりした。3回に1回のペースでホテルへ連れ込む。いくら紅玲が体力をあまり使わないように気遣いしていても、精神的に疲れてくる。「できれば、土曜か日曜のどっちかは休みたいんだけど……」紅玲は以前、断りたいなら断ってもいいと言ったが、自分の立場を考えると、どうしても断る気になれないでいた。土曜日の朝、スマホを見ると紅玲からLINEが来ている。「げ……。なんの用よ?」警戒しながらトークを見ると、千聖には嬉しい言葉が並んでいた。“仕事帰りだったのにたくさん付き合ってくれてありがと。土日はゆっくり過ごしてね”「よかった、これで心置き無く休めるわ……」千聖はスマホをベッドの上に置くと、朝食を作りに台所へ行った。この土日、千聖は自由気ままに満喫した。パパから誘いのメールやLINEが何通か来ていたがすべて断って、部屋の掃除をしたり、昼からお酒を呑んだりと、とても有意義な過ごし方をしてリフレッシュした。月曜火曜は、紅玲からの誘いで食事へ行くことになった。だがどちらも食事だけで終わり、ホテルに連れていかれることはなかった。
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苦悩16

水曜日、紅玲からの呼び出しがなかったため、千聖は久しぶりにひとりで居酒屋へ行こうと、ヒールの音を響かせながら、夜の街を歩く。「どこで呑もうかしら?」今まで行った居酒屋のメニューを思い浮かべながら歩いていると、ふたり組の女性とすれ違う。「ねぇ、さっきのヤバくない? あんな修羅場初めて見たわ」「ねー。てかあの白メッシュの男の人イケメンだったー! バンドマンかな?」「だとしたらウケるー! てか、そうだったらあの男が悪いんじゃん?」女性達はゲラゲラと笑い声を上げながら、千聖の横を通り過ぎた。(白メッシュのバンドマン……?)「まさか……!」紅玲と一致するふたつの特徴に胸騒ぎを覚えた千聖は、駆け足で彼女達が来た方向へ向かう。角を曲がろうとすると、誰かにぶつかり、転びそうになる。「きゃあっ!?」「ちょっと、危ないじゃない! なに考えてるのよ!」ぶつかってしまった女性はウェーブのかかった髪やシフォンスカートに似合わない、蔑むような口調と目で言うと、早歩きでその場を去った。「感じ悪い……。って、今はそれどころじゃなくて……!」千聖は曲がった先を見たが、人通りが少ない道に、紅玲の姿はどこにもない。それどころか、白メッシュにバンドマンの様な服装の男すらいなかった。「……なにしてんだろ、私……」紅玲の姿がなかったというのに、千聖はもやもやした気持ちを抱えたまま、近くの居酒屋に入った。ふたり掛けの席に案内されると、さっそくハイボールを注文する。運ばれてくると、もやもやした気持ちを誤魔化すように飲み干すが、気持ちが晴れることは無い。この近辺にはライブハウスや、生演奏が売りの飲み屋がいくつかある。紅玲と似たような容姿の男はいくらでもいる。千聖はそのことを知ってはいるが、どうしても気になって仕方がない。「お姉さんどーしたの? しんみりしちゃって。失恋でもした? 一緒にどうよ?」ロン毛茶髪の男は断りもなしに、ビール片手に千聖の前に座る。
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苦悩17

(仕方ないわね……)千聖は内心呆れ返りながらも笑顔を作ると、男の前にメニュー表を広げた。「これの一気飲みで、お兄さんが勝てたらね」そう言いながら千聖が指さしたのは、テキーラ。写真では、小さなグラスに入っている。「それくらい余裕余裕」「そう、それならよかった」ヘラヘラ笑う男に笑いかけると、千聖は店員を呼び止めた。「ねぇ、テキーラをふたつ頂ける? こんな小さなグラスじゃなくて、ジョッキで」千聖の注文に、男も店員もポカンと口を開ける。「もちろん、この値段で出せなんて横暴なこと言わないわ。言い値で払わせてもらうつもりよ」「お、お姉さん、冗談でしょ?」男は引きつった笑顔で聞く。「冗談じゃないわ。あなただって、これくらい余裕って言ってたじゃない?」千聖はメニュー表の写真を指さしながら言う。「あの……本当にテキーラを、ジョッキで……?」店員は恐る恐る千聖に聞く。「えぇ、彼と飲み比べをしようと思って。ね?」「あ、いや……は、はははっ……やっぱひとりで呑むわ……」男は逃げるようにカウンター席へ戻っていった。「つまんない男ね」千聖は目で男を追いかけ、鼻で笑った。「あの……、注文は……」「あぁ、ごめんなさいね。ハイボールのおかわり頼める?」千聖はグラスを空にして店員に差し出し、にっこり微笑む。店員はグラスを受け取り、厨房へ消えた。(まったく、どうしてこんなに気になるのよ……)おかわりのハイボールを待ちながら、ふたり組の女性達の会話を脳内で何度も繰り返し、ぶつかった女性の顔も思い出す。「そもそも、あれが本当に紅玲だったとして、私になんの関係があるっていうのよ?」自分に言い聞かせるように言うと、運ばれてきたハイボールを勢いよく呑む。毛嫌いしていた紅玲をある程度は理解して普通に接しようと心がけていた千聖だが、斗真に言われてそうしているというのが大きい。毛嫌いはしなくなったとはいえ、紅玲が苦手なのは今も同じだ。第一千聖は、契約期間を終えたら彼と会うつもりはない。
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苦悩18

「どうしちゃったのよ、私は……」千聖はため息をつくと、ハイボールを飲み干した。勢いよくグラスを置くと、スマホが鳴った。音でLINE通話だと分かる。スマホをポケットから出して画面を見れば、紅玲の名前が浮かび上がっている。千聖は何故か安心を覚えながら、スマホを耳にあてる。「いきなり通話だなんて、珍しいじゃない?」『千聖さん、斗真だよ。……そのにぎやかさから察するに、呑んでる最中か……』何故か紅玲のスマホで連絡を取ってきた斗真の声音は、重苦しいものがある。「あら、あなただったの。えぇ、呑んでる最中だけど、どうしたの?」『悪いんだけど、カーラ・ミラっていうバーに来てもらえるかな? 何か嫌なことがあったらしくてね、紅玲が酔いつぶれてるんだ。さっきからスクリュードライバーだのアレキサンダーだの、そんなのばっかり呑んでて大変なんだよ……。僕が止めても聞かなくってさ……』斗真は困り果てたような声で言うと、ため息をついた。「千聖ちゃん、君は酒豪だから大丈夫だろうけど、バーに連れてこられたら、自分でカクテルを選んだ方がいい。酒とバラの日々って映画を、今度見てごらん」アレキサンダーと聞いて、千聖は初めて義和にバーへ連れていってもらった日のことを思い出す。カクテルにはレディーキラーといって、女性好みの甘い味に似合わず、アルコール度数が高いものがたくさんあると教わった。アレキサンダーはもちろんのこと、スクリュードライバーもそのひとつだ。「分かった、今行くわ」『助かるよ……。通話切ったら地図を送るよ』「えぇ、おねがいね」通話が終わってすぐに、地図アプリのURLが送られる。URLをタップすると地図が開き、ここから歩いて3分もしない所にあることが分かった。「じゃあ、あの話はやっぱり……」女性達が話していたのが紅玲とぶつかった女性だと悟った千聖は、会計を済ませて居酒屋を飛び出した。早歩きで地図通りに歩くと、電柱に寄りかかっている斗真の姿が見えた。「斗真!」小走りで近寄れば、斗真は目を丸くする。「驚いた……。ずいぶんとはやいな……」「偶然近くで呑んでたの。紅玲は中に?」「あぁ、そうだ……。悪いけど、紅玲を頼む。今度僕のおごりで呑みに行こう」斗真はおちょこを傾ける仕草をしながら言う。
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苦悩19

「私を呑みに誘うなら、50万は持っておいた方がいいわよ」「ははは、それは怖いな……。それじゃあ僕は、君の飲み代を稼いでくるとしよう。紅玲を頼んだよ」千聖が冗談めかして言うと、斗真は苦笑しながらその場を去った。「さてと、行きますか……」短く息を吐いて覚悟を決めると、千聖はドアを開けた。ドアについているベルがカラコロと鳴り、千聖の入店を知らせる。「いらっしゃいませ。ようこそ、カーラ・ミラへ」優しそうな初老の男性が、穏やかな笑みを浮かべて出迎えてくれる。「おひとり様ですか?」「ごめんなさいね、お客として来たわけではないんです。酔いつぶれたバカがいると思うんですけど……」千聖の言葉に、マスターはあぁ、と納得したような声を出す。「カウンターの奥に、若い男性がおります」マスターに言われて奥にあるカウンター席に目を向けると、紅玲がカクテルグラスを一気に煽っていた。(まったく、あのバカは……)千聖はマスターに礼を言うと、紅玲の元へ行く。「カシオレ1杯で赤くなるくせに、何してんのよ……」声をかけると紅玲は小さく肩を揺らし、ゆっくりと顔を上げる。そこにはいつもの余裕の笑みはなく、今にも泣きそうな顔をしている。かなり呑んだようで、耳や首まで真っ赤だ。「なんて顔してんのよ……」千聖が言うと、紅玲は空になったグラスに視線を戻す。「ほら、ここから出るわよ」千聖は紅玲の腕を引くが、彼は微動だにしない。「ここにいるとお店の人に迷惑がかかるから」「ここから出たら、オレと一緒にいてくれる?」紅玲は潤んだ目で千聖を見上げながら、縋るように言う。「……いてあげるから、行くわよ」「へへっ、やったぁ。チサちゃんは優しいね」締りのない笑顔を浮かべながら立ち上がろうとするが、尻もちをつくように座り込んでしまう。「あっはは……うまく、動けないや……」「仕方ないわね……。捕まって」千聖は紅玲に肩を貸し、なんとか立ち上がらせる。
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苦悩20

「うっ……」(重い……)いくら紅玲が細身とはいえ、身長差のせいで余計に重く感じてしまう。いくら酔ってないとはいえ、千聖も酒を呑んでいたせいで、思うように力が入らない。「ごめんね、チサちゃん……。重いでしょ?」「これくらい平気よ」しおらしく謝る紅玲に強がってみせると、千聖は会計を済ませようとレジまで行く。「タクシーをお呼びしましょうか?」「大丈夫、すぐ近くだから」心配そうな顔をするマスターに、千聖は笑顔を向けた。「チサちゃん、代わりに払って」紅玲は黒い本革の長財布を、千聖に差し出す。「はいはい。……おいくらかしら?」「1万3千円になります」予想以上の金額に、千聖は財布を落としそうになる。カクテル1杯1000円として考えても、呑み過ぎだ。斗真の分が含まれているとしても、彼からはアルコールの匂いがしなかったことから、1、2杯程度だろう。「もう、呑み過ぎよ……」千聖は財布を開けながら言う。「呑んでないとやってらんないの」子供のように言う紅玲にうんざりしながら会計を済ませると、紅玲の上着のポケットに財布を入れてドアを開ける。「どうか、お気をつけて……」マスターは眉尻を下げながら、ふたりを見送った。「よいしょ、っと……」千聖は紅玲を担ぎ直すと、ホテル街に向かって歩き出す。すぐ近くの格安ホテルに入ると、紅玲をソファに座らせた。「ごめんね、チサちゃん……。ありがと」紅玲は笑顔で言うが、今にも泣きそうな目で言う。「謝るか感謝するか、どっちかにしなさいよ……。とりあえず、水飲んで」千聖はコンビニボックスからミネラルウォーターを取り出すと、キャップを開けて紅玲に持たせた。「ありがと」紅玲はひと口呑んで、ため息をつく。「ねぇ、何があったの?」「昼過ぎに父さんがうちに来て、夜は……ミチルと偶然会った……」ミチルという名前に、千聖は目を見開く。
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苦悩21

「ミチルって……留学金を巻き上げてあなたをボロ雑巾みたいに捨てた女?」「まったく、トーマのお喋りには困っちゃうねぇ……。そうだよ、そのミチルと、偶然会ったんだ……」紅玲は千聖に寄りかかりながら、ポツポツと言う。「そう……。私でよければ、話を聞くわ。お父さんの話も、ミチルさんの話も……」「ありがと、チサちゃんは優しくていい子だね。……父さんはね、オレを嫌ってるんだ。人生の汚点だと思ってる」「そんな……!」あまりにも酷い話に、千聖は思わず声を上げる。千聖の母親も毒親だったが、それでも愛情はあった。「父さんは、有名な会社の社長なんだ。きっと、チサちゃんも名前を聞いたら知ってるようなね。父さんは野心家でねぇ、若い頃、出世したいがために、上司と一緒に女の子がいる店に行ったんだ。クラブとかキャバクラとか、そういうルールがあるところじゃなくて……、もっととんでもないところ。醜悪の最果てだって、父さんは言ってた……」「ハプニングバーとか?」千聖が当てずっぽうで言うと、紅玲は小さく笑って首を横に振った。「父さんの話が本当なら、ハプニングバーだってお上品なところだよ。あるのは酒瓶とベッドと……あと薬……。母さんはそこにいたって。逃げようとする父さんを薬で動けなくして、無理やり跨って腰を振ってたってさ……。その後、当時課長だった父さんは部長まで昇進。悪夢は忘れて、仕事に打ち込んでたんだけどねぇ……」「あなたは、その時の子供……?」千聖が聞くと、紅玲は無言で頷く。「そうだよ。悪夢から1年後の日曜日、父さんの家の前に、ゆりかごに入ったオレが置いてあったんだって。ご丁寧に、DNA型鑑定書と、命名書、それと出産届のコピーまで一緒に入ってたんだってさ。信じたくなかった父さんは、DNA型鑑定書と一緒に入ってた自分の髪の毛と、自分で抜いた髪の毛を鑑定に出したんだ。もちろん、赤ん坊だったオレとの血縁関係だって自分で調べた。結果は、父さんにとって絶望的なものだった……」「あんまりよ……」悲惨な出生に、千聖はうめくように言う。
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