بيت / 恋愛 / 独占欲に捕らわれて / Chapter 81 -الفصل 90

جميع فصول : الفصل -الفصل 90

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苦悩22

「本当にね……。母さんは何をしたかったんだか……。それでも父さんは、オレを施設に入れたりせずに手元に置いた。オレが小学生になるまで、世話係を雇ったんだ。その後2年くらいかな? 教育係を雇ってたのは……」「教育係? なにそれ」「料理や家事を教えてくれる人。……って言っても、父さんの部下の奥さんを雇ってたんだよ。教育係のおかげで、小学3年生になる頃には、一通りの家事をこなせるようになったよ。つまり、家政夫になったわけ」紅玲は自嘲気味に笑った。「家政夫って……。そんなの……」あまりにも事務的で非道な行いに、千聖は言葉が見つからない。「父さんよりはやく起きて、ごみ捨て行って朝食作って、帰ったら洗濯物や夕飯の準備。土日は家の掃除……。完璧主義者の父さんは、成績もトップクラスでいろって言うから、勉強だってしないといけなかった。最初はそれでいっぱいいっぱいだったけど、半年もすればそんな生活にも慣れちゃってね。そしたら今度は、株の取引……」「はぁ!?」驚いて素っ頓狂な声を出すと、紅玲は声を上げて笑った。「あっはは、普通はそうなるよね。小学生が株だなんて。でも父さんは、“稼がぬ者食うべからず”なんて言ってさ、オレに株取引のいろはを叩き込んだ。自頭はいいからね、覚えるのは早かったよ。父さんより稼いだことだって、何回かある」「神童だったのね……」「うん、よく言われた。しばらくは株でどうにかしてたけど、次に教わったのはFX。こっちもすぐに覚えて、ある程度稼げるようになったよ。晴れてオレは人間として、父さんに認められるようになった」「人間としてって……今までは……」千聖が震える声で言うと、紅玲は彼女を抱きしめた。「人型のゴミ、汚物。金食い虫。父さんからすれば、オレはかなり目障りだったと思うよ? オレを見る度に、きっとあの夜を思い出しただろうから」「そんな……。酷すぎる……」「まぁ、ある程度の歳になるとね、煽りスキルが身につくわけ。“オレが生きてるだけで、ロボットみたいな父さんが不快そうな顔して楽しい”って。だから案外楽しかったところあるんだよねぇ」ざまぁみろ、と紅玲は笑う。
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苦悩23

「そ、そう……。結構たくましいのね……」「まぁね。オレの方が稼いだ日なんか、高級レストランに連れてっいったりしてさ。その時の父さんの顔と来たら……、笑えたね」よほど面白かったのか、紅玲はクツクツ鳴らしながら笑う。「で、そんなお父様が、今日はなんて?」千聖はこのまま紅玲の気が紛れることを祈って、質問をする。「それがさぁ、くっ、あっははっ! 会社が危なくなってきたから、資金をよこせって言うんだよ。このままじゃ赤字で、来月は社員達の給料も払えるかどうか……なぁんて涙ぐみながら言ってきてさ」「はぁ!? なによそれ、ずいぶん勝手じゃないの……」「あぁ、本当にね。わざわざこんなカッコして、ピアスまで開けて反抗しまくった息子に、土下座までしちゃってさぁ」紅玲は唇のピアスを指先でつつく。「え? まさかとは思うけど、反抗するためだけに、それやってるの?」「そうだよ。本当はもう少しシンプルな服装が好きだし、自分の躯に穴を開けてまでするオシャレなんて理解できない。髪だってさぁ、染める気なんてなかったんだよ?」白いメッシュをいじりながら、小さく笑う。理解できないと言いながらも唇にまでピアスをしていることから、彼の意志の強さが伝わる。「凄まじい反骨精神ね……」「まぁね。あぁ、でも……。斗真がいなかったら、ここまで出来なかったなぁ。もしかしたら、まだ父さんの言いなりになってたかもしれない」紅玲は目を細める。「斗真は何をしたの?」「大学デビューのお手伝い」紅玲は長財布から、2枚の写真を出して千聖に見せた。1枚目はブレザーの制服をキッチリ着こなした紅玲と斗真だ。どちらも黒髪で表情も固く、真面目そうだ。2枚目の紅玲は赤と黒で統一されたヴィジュアル系の服に身を包み、髪には白メッシュが入っている。斗真は髪色こそ変わらないが、紅玲と色違いで青と黒の服を着ている。こちらの写真の方が、ふたり共生き生きしている。「へぇ、まるで別人ね」千聖は写真を返しながら言う。「でしょ? 同じ大学に入るって分かってから、斗真が父さんを言いくるめるための台本をオレに渡してきて、これでどうにかひとり暮らししてみろって」
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苦悩24

「その台本にはなんて?」「大学入学を機にひとり暮らしさせてください。父さんといると甘えが生じてしまう気がするので、社会人になる前に修行をしたく思います、ってさ。こんなんですんなり行くんだから驚いたよ。その後決別の儀式ってことで、今みたいになったわけ」「まさかその服装やピアスに、そんな経緯があっただなんて……」千聖はまじまじと紅玲の髪やピアスを見ながら言った。「あっはは、だいぶ話がそれちゃったね。それで、父さんの頼みなんだけど、手切れ金に100万円渡して帰らせたんだ。それっぽっちじゃ足りないっていうのは知ってるけど、父さんの会社を救う義理なんてないからね。プライドへし折って頭下げに来て、それであんな額渡されちゃ、さぞかし困るだろうなぁ」楽しそうに言う紅玲に、千聖は安堵した。「やる時はやるのね。いくら必要って言われたのか、聞いてもいい?」「2千万、必要だったんだって。あてが外れて、これからどうなることやら……」企むような笑みは、いつもの紅玲だ。「近々会社の倒産ニュースがやったら、あなたのお父様と思っておくわ。それで、ミチルって人はなんて?」ミチルの名前が出た途端、紅玲は俯いて黙り込む。(あぁ、もう! 私ったら何してんのよ!)再び落ち込んでしまった紅玲に、千聖は自責の念にかられる。「ミチル、ミチルねぇ……。んー、その前に、頭冷やしてくるね」紅玲は立ち上がるが、ふらりとふらつく。「ちょっと、大丈夫なの?」千聖は紅玲の腕を掴み、顔をのぞき込む。紅玲は今にも泣きそうな顔をしている。「大丈夫大丈夫、チサちゃんと喋ってたら、それなりに酔いも覚めてきたし」紅玲はやんわりと千聖の手を退かすと、浴室へ行った。「本当に大丈夫なのかしら……?」千聖は不安に揺れる瞳を、浴室に向けた。間もなくシャワーの音が聞こえ、千聖は静かに耳を傾けながら、紅玲が出てくるのを待つことにした。5分もすると、千聖は異変に気づく。シャワーの音に、まったく変化がないのだ。普通なら髪や躯にかける時に音の変化が生じる。シャワーヘッドを固定したままにしても、紅玲が動く音が聞こえるはずだ。
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苦悩25

「何してるのよ……」胸騒ぎを覚えた千聖は、浴室のドアをそっと開けて中を覗いた。ひんやりとした空気が、足元に流れる。紅玲は椅子に座り、シャワーを浴びている。彼が冷水を浴びていると悟った千聖は、血相を変えて浴室に入る。「なにしてんのよ、バカ!」シャワーを止めると、紅玲の腕を引く。「言ったでしょ? 頭を冷やしてくるって」紅玲は抑揚のない声で返す。「もう、本当にバカじゃないの……。こんなに冷えて……」千聖は服が濡れるのもお構い無しに、紅玲を後ろから抱きしめる。「あったかいシャワー、浴びなさいよ……」シャワーの温度調節をするために紅玲を離そうとすると、紅玲はその腕を力強く握った。「チサちゃん、お願いだからベッド行こう……」紅玲は消え入りそうな声で懇願する。「……分かったわ」「じゃあ、先にベッド行ってて。顔、見られたくないんだ。きっと今、酷い顔してるだろうから……」「分かった。待ってるから、すぐに来てね」千聖がそう言うと、ようやく腕が離される。千聖は1足先にベッドに行くと、服を全て脱ぎ、浴室に背中を向けて座った。(なんだか混乱してきた……。お父様との凄惨な過去は平気で話すのに、どうしてミチルのこととなると、泣きそうな顔をするの?)今まで聞いたミチルの情報を全て思い出し、1つの答えにたどり着く。「紅玲は、まだミチルを愛している……?」小声で呟いた瞬間、例えようのない虚無感に襲われる。胸が締め付けられ、今にも叫びだしたくなる衝動にかられた。(どうしてこんなに苦しいの? これじゃあ、まるで……)ベッドが軋み、千聖の思考回路が止まる。後ろから冷たい躯で抱きしめられる。身震いしてしまうほどひんやりする紅玲に触れられ、胸が締め付けられるような苦しさが、和らいでいく。「ごめんね、冷たいままで……。顔見ないように、背中向けてくれてたんだね。ありがと、チサちゃんは優しいね」聞いたことのない、低めのかすれ声に、再び胸が締め付けられる。(そんな辛そうな声、聞きたくない……)
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苦悩26

「ねぇ、またオレの話聞いてくれる?」「辛いんじゃないの? 無理に話さなくてもいいわ」「ううん、整理するためにも話したいんだ。何より、チサちゃんには知って欲しくて……」紅玲は千聖の背中に、冷たい頬を擦り寄せた。「そういうことなら、聞かせてちょうだい」「ありがとう、チサちゃん」紅玲は千聖のうなじにキスを落とした。「実はここ最近、ミチルから連絡が来てたんだ……」「なんて?」「お金のことは感謝してる、とか、あの時酷いこと言って振ったのは、愛を確かめるためだ、とかね……。でもそんなのは、嘘に決まってる。父さん同様、お金に困ってたか、遊ぶお金が欲しかったか……」千聖を抱きしめる腕に、力が込められる。「そんな人、はやく連絡先ブロックして消しちゃえばいいのに」「頭では分かっていても、それがなかなか出来なくてね……」自嘲気味に言う紅玲の言葉が、千聖の胸に突き刺さる。「それは……、まだミチルさんが好きだから?」「まさか。オレが愛してるのは、チサちゃんだけ。今更ミチルに愛着なんかないよ」「じゃあ、なんでよ?」つい感情的になり、責め立てるような口調になってしまう。「当時のオレは、斗真ですら近づきがたいと思うほどひどい状態だった……。そんなオレに話しかけてくれたのは、ミチルだけだったんだ。いくらオレが拒んでもそばにいて、オレの彼女だって思い込んでる子達を言い負かしたりして追い払ってくれて……。何より、一緒にいてすごく楽しかったんだ。それが全部、お金のためだなんて思いたくなかった……」「紅玲……」千聖が紅玲の腕に触れると、彼はその手を強く握る。「でも、今日会って踏ん切りがついた。やっぱりミチルは、オレを金づるだとしか思ってないって、よく分かった……」「さぞかし、辛いでしょうね……」月並みの言葉しか出ない自分の語彙力を恨みながら、言葉を返す。「それがね、自分でも驚くくらい、そのことに関してのショックは少ないんだ。1日で父さんとミチルに会ってさ、“あぁ、オレには金を稼ぐしか取り柄がないんだな”って思っちゃって……」
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苦悩27

「そんなこと、言わないでよ……。あなたと過ごした時間は短いけど、利用されてると分かっていながら、私を助けてくれたじゃない。それに、気遣いだってできる。シナリオライターとしてのあなたは、とても楽しそうでちょっと羨ましくなった……。ねぇ、紅玲。あなたはとても優しい人よ。お金以外に取り柄がないだなんて、言わないで……」千聖は涙を堪えながら、紅玲に訴えかける。「優しいのはチサちゃんの方だよ。最後まで話を聞いてくれてありがとね。今日は、このままシよっか……」紅玲は千聖の髪を撫でながら言うと、彼女の耳たぶを甘噛みした。「んっ……」突如訪れた小さな快楽に、千聖は小さな口をきゅっと結ぶ。「チサちゃん、口開けて?」紅玲は千聖の唇に指を這わせながら、熱っぽく囁く。言われた通りに口を開ければ、骨ばった指が2本入れられ、口内を掻き回される。千聖は指に舌を絡めた。「んぅ……ふあぁ……は、んんっ……!」空いてる手でねちっこく乳輪をなぞられ、耳を不規則に舐められて、千聖の口からは喘ぎと唾液が垂れ流れる。「チサちゃんの言葉で救われたよ。それに、こうしてオレのワガママにまで付き合ってくれて、ありがとね。愛してるよ」どこか孤独じみた声音に、千聖は困惑する。(本当に救いになってるの? ワガママって、何?)堪えきれなくなり、熱い雫が千聖の頬を伝う。(この体勢でよかった……)涙を見られないことに安堵しながら、千聖は紅玲に身を委ねる。紅玲は千聖の口から指を抜くと、もう片方の乳輪をなぞり、乳首を挟みあげる。「ぷはっ……んっ、ふぅ……あぁっ!」「可愛いよ……。オレで感じてる声、もっと聞かせて?」耳元で渇望するように囁くと、乳房を揉み上げながら、人差し指の腹で乳首を転がした。「ひああぁっ! あっ、アッ……んんっ!」千聖は紅玲の腕を掴みながら、小さく躯を跳ねさせる。それに気をよくした紅玲は、片手を千聖の太ももに滑らせる。すぅーっと撫であげれば、千聖はいやいやと首を振る。「ぁっ……やあぁ……」「嫌じゃないでしょ? 素直にもっと求めてごらん? オレに気持ちよくしてほしいって……」それは言葉責めというよりは、切望に近い響きを持っていた。
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苦悩28

「はぅ、んんっ……! あっ……く、紅玲に、気持ちよくしてほしい……。お願い、もっと、気持ちよくシテ……?」声音で紅玲の気持ちを察した千聖は、足を開きながら、彼が望んでいるであろう言葉を発する。「いい子だね、チサちゃん。大好き」紅玲は千聖を抱きしめて頬をすり寄せると、左手の指をヴァギナに侵入させ、Gスポットを連打するように蠢かせる。右手でラビアを開きながら、クリトリスを人差し指の腹で、クニクニと上下に転がした。「あああぁっ! やっ、やぁ……! ひぅ、感じすぎちゃうのぉ!」電流が流れるような快楽に、千聖は大きく躯を跳ねさせながらよがる。「好きなだけ感じていいんだよ。顔が見えない分、声で、反応で、オレに見せつけて?」紅玲は甘く囁くと、千聖の耳を甘噛みした。それが引き金となり、千聖は声にならない声を上げながら、大きく仰け反った。「はぁ、はぁ……手だけで、あぁ……こんなに、なるなんて……」千聖は肩で息を整えながら、途切れ途切れに言う。「この程度でバテちゃダーメ。チサちゃんだって、分かってるでしょ?」紅玲は千聖の細い腰を掴みながら囁き、耳にキスを落とす。「んっ……待って、少しでいいから、休ませて……」「そんなの無理に決まってるでしょ?」紅玲は千聖を腰から抱き上げて膝立ちをさせる。それからゆっくり腰を下ろさせ、千聖のヴァギナにペニスを押し付ける。クチュリと水音がし、千聖の口からは悩ましげな吐息が零れる。「チサちゃん、自分から入れてみせて」紅玲の言葉にコクリと頷くと、千聖は紅玲のペニスを人差し指と中指で挟んで挟んで固定し、ゆっくりと腰を落としていく。「あぁ……んぁ……っ! は、拡げ、られて……ひああっ!」3分の2程まで挿入して、千聖の腰は止まる。「チサちゃん、もう少しだよ、頑張って」「ま、待って……紅玲の、大きすぎて……」「悪いけど、余裕がないんだ」紅玲は喘ぐように言うと、千聖の腰を掴んで一気に下ろした。「ああああぁ!? ふ、深い……! 急に、こんな……んあぁ!?」紅玲は千聖の腰を掴んだまま、下から突き上げる。「ひゃうぅっ! あ、あぁんっ、らめぇ……! 奥に響いて、や、んあああぁっ!」千聖は必死に紅玲の腕を掴み、されるがままに犯されていく。
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苦悩29

「あぁ……可愛いよ、チサちゃん。好き、好き……! 愛してるよ。ねぇチサちゃん、オレの名前呼んで」「あんっ、あっ、アッ……! 紅玲、ひぅっ、はぁ……っ、くれ、い、気持ちい、ぁ、んあああぁっ!」千聖に名前を呼ばれ、紅玲は千聖を抱きしめ、激しく腰を打ち付ける。「やああぁっ! 奥まで……っ! 知らない! こんなの知らないぃ! あああっ!」子宮口を容赦なく突かれ、未知の快感に駄々っ子のように首を振る。「知らないなら、覚えて……っ。オレにどう犯されて、どう感じたのかを……!」限界が来た紅玲は千聖を前に押し倒し、がっちりホールドして最奥まで犯し尽くす。「ひああああぁっ! りゃめ、壊れちゃ、あああああっ!!!」「いいんだよ、狂っちゃうほど感じても……。どんなに壊れても、オレはチサちゃんを愛し続けるから……はぁ、もう……オレも……、くぅっ……!」紅玲は千聖の奥にペニスを突き刺して落ち着くと、小刻みに身震いをして欲を吐き出す。「りゃめぇ、イクううううぅっ!!!」ほぼ同時に絶頂を迎え、千聖は意識を手放した。それでもペニスを引き抜かれれば、悩ましげな声を出す。行為が終わると、紅玲はコンドームをティッシュに丸めて捨てた。疲れ顔の頬は、涙で濡れている。「あーぁ、また無理させちゃった……」紅玲は反省しながら、うつ伏せ状態の千聖を仰向けにした。千聖の頬に伝う涙を見て、紅玲は言葉を失う。「これは、オレのために泣いてくれたって、自惚れてもいい?」聞いたところで、答えなど返ってくるはずがない。紅玲はそれでもよかった。そっと唇を重ねると、重力で紅玲の涙が千聖の頬に落ち、2つの雫が混じり合ってベッドにシミを作った。
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独占欲に捕らわれて

紅玲の過去を本人から聞いてちょうど1週間が経つ。あの日以来、紅玲からの連絡は途絶えた。昼休み、千聖はスマホを眺めてため息をつく。「はぁ……。なんで連絡がないのかしら? まぁ楽だからいいけど」自分に言い聞かせるように言うと、LINE通知が鳴った。「もしかして……!」LINEを開いてみると義和から呑みの誘いで、千聖はがっくりと肩を落とした。「……って、何がっかりしてるのよ、私は」自分の気持ちに戸惑いながらも、千聖はイエスと返信する。「前はヨシさんからの誘いが来ると、すっごく嬉しかったのにな……」紅玲の泣きそうな顔が頭から離れず、最近はそのせいで呑む気にもなれないでいた。「ま、気分転換にはいいわよね」千聖は静かに呟くと、スマホをしまって仕事に戻った。仕事が終わると、千聖は約束のバーまで足を運ぶ。義和は店の前で千聖を待っていた。「ヨシさん、おまたせ」「千聖ちゃん、お疲れ様。私も今来たところさ」義和は茶目っ気たっぷりに片目を閉じると、千聖を店内にエスコートする。義和が予約していた奥の席に座ると義和はアドニスを、千聖はダーティーマザーを注文する。「最近忙しそうだね。正直、今日も断られると思っていたから、ラッキーだよ」「私もヨシさんと過ごしたいんだけどね……。込み入った事情があるのよ……」千聖はやれやれと肩をすくめてみせる。「込み入った事情ねぇ……。それは私が聞いていいものなのかい?」義和の顔は真剣そのものだ。「えぇ、むしろ聞いてほしいくらいよ……」「あぁ、是非とも聞かせてもらおう。お酒が運ばれてきたらね」義和はテーブルの上で手を組むと、その上に鋭い観察眼をはめ込んだ顔を置く。千聖はどう話すか考えながら、カクテルが運ばれてくるのを待つ。「お待たせ致しました、アドニスとダーティーマザーです」若いバーテンダーは、ふたりの前にカクテルを置く。「こちらお通しです。どうぞごゆっくり、おくつろぎ下さい」バーテンダーはチーズとサラミの小さな盛り合わせを置くと、恭しく一礼して去っていく。
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独占欲に捕らわれて2

「乾杯」ふたりはグラスを目の高さまで持ってくると、乾杯するように小さく傾ける。それぞれひと口呑んでグラスを置くと、千聖は口を開いた。「詳しいことははしょりながら話すけど、1ヶ月近く前に、身内が借金をしたの」「なんだって?」義和は眉間にシワを寄せる。「お母さんから連絡が来て知ったんだけど……、私が払える額だったの。それでも、好きじゃない家族のために貯金切り崩すのって嫌だなって悩んでた。そしたら紅玲……この前話した、合コンで私にしつこく構ってきた男が通りがかってね。彼、株とかFXとかで生計立ててるって言ってたからお金あると思って、相談を持ちかけたの」千聖は小さく息を吐き、ダーティーマザーで口を湿らせる。「それで、その紅玲くんはなんて?」「利用されると分かっていながら、私の話を聞いてくれたのよ。それで、契約をした」「それは、どんな?」義和の目を見ればそこに好奇の類はなく、千聖は心の中で彼の存在に感謝する。「紅玲が借金を肩代わりする代わりに、1ヶ月間セフレになるって」千聖の言葉に、義和は目を丸くする。「よく承諾したね。若い子嫌いの君が」「それだけお金を出すのが嫌だったのよ。実際に寝てみたら、若い子にしてはセックス上手かったわ」「千聖ちゃんが言うなんて、よっぽどなんだろうね。なるほど、彼に呼び出されて私と会えなかったのか」義和は納得したように大きく頷く。「そういうこと。最初の1週間はそんなに呼ばれなかったんだけど、2週間目はほぼ毎日呼び出されてたわ」「それは……随分と躯に負担がかかったんじゃないのかい?」義和は心配そうに千聖を見つめる。「大丈夫、ホテルに行く回数は少なかったから。紅玲が言うことには、セックスするだけがセフレじゃないって。だから、ご飯だけで終わることが大半だったんじゃないかしら」「へぇ、意外に紳士なんだね」義和は感心したように言いながら、腕を組む。
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