独占欲に捕らわれて

独占欲に捕らわれて

last updateLast Updated : 2025-12-16
By:  東雲桃矢Completed
Language: Japanese
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職場では真面目なOL、夜は男をとっかえひっかえして遊んでいる千聖。 酒豪OLの千聖が親友の優奈に無理やり連れてこられた合コンにいたのは、苦手要素を凝縮した男、紅玲 ある日母親から兄が闇金から借りてしまったという連絡が…… ちょうど通りかかった紅玲を利用しようと彼に相談を持ちかける千聖。 快く了承する紅玲には、なにか思惑があるようで……?

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Chapter 1

困った親友

都内のある駅前、誰もが2度見をするほど美しい女性が、スマホを見て舌打ちをする。

「もー、今日はストレス解消したかったのに……」

 美女は不満げに頬を膨らませながらスマホを操作すると、カバンにしまった。

 彼女の名は綾瀬千聖、24歳のOLだ。豊満な胸にキュッと締まったくびれ、控えめなサイズのヒップにスラリと伸びた長い脚と、モデル顔負けのプロポーションの持ち主である。大きな目にすぅーっと通った鼻、薄く小ぶりな唇と、顔立ちも整っている。

 そんな彼女がイラついている理由は、至極単純でありふれたものだ。千聖には、優奈という高校時代からの親友がいる。

 彼女は自称“彼氏途切れると死んじゃう病”で、男に振られては憂さ晴らしから合コンまで、千聖を振り回す悪癖がある。

 千聖も頭では突き放せばいいと思ってはいるが、数少ない友人を放っておけないでいるのだ。

「お待たせ、千聖ちゃん」

 陰鬱な顔をしている千聖に声をかけたのは、白髪混じりのオールバックが似合う、高級スーツを着た中年男性だ。腹は少し出ているが、高い背丈と自信に満ち溢れたオーラが、それをカバーしている。

「ヨシさん、ごめん……。今日はホテルに泊まれなさそう……」

 千聖は顔の前で手を合わせ、頭を下げる。

「また例の親友かい?」

 ヨシさんと呼ばれた男性は、慣れているのか、嫌な顔せずに聞く。彼の名は芹沢義和。とある会社の社長で、千聖の“パパ”だ。

「そう……本当にごめん……。1時間半くらいしか、ホテルにいられそうにない……」

「気にしないで。時間がそれくらいなら、デートしようか」

 義和はにこやかに言う。

「デート? ホテルに行かなくていいの?」

 千聖は狐に包まれたような顔をする。

「せっかく君のような美人が、私のようなおじさんを相手にしてくれてるんだ、ホテルに行くことばかりにこだわっては、損というものさ。たまにはデートして見せびらかさないとね」

 義和は茶目っ気たっぷりにウインクしてみせる。

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困った親友
都内のある駅前、誰もが2度見をするほど美しい女性が、スマホを見て舌打ちをする。「もー、今日はストレス解消したかったのに……」 美女は不満げに頬を膨らませながらスマホを操作すると、カバンにしまった。 彼女の名は綾瀬千聖、24歳のOLだ。豊満な胸にキュッと締まったくびれ、控えめなサイズのヒップにスラリと伸びた長い脚と、モデル顔負けのプロポーションの持ち主である。大きな目にすぅーっと通った鼻、薄く小ぶりな唇と、顔立ちも整っている。 そんな彼女がイラついている理由は、至極単純でありふれたものだ。千聖には、優奈という高校時代からの親友がいる。 彼女は自称“彼氏途切れると死んじゃう病”で、男に振られては憂さ晴らしから合コンまで、千聖を振り回す悪癖がある。 千聖も頭では突き放せばいいと思ってはいるが、数少ない友人を放っておけないでいるのだ。「お待たせ、千聖ちゃん」 陰鬱な顔をしている千聖に声をかけたのは、白髪混じりのオールバックが似合う、高級スーツを着た中年男性だ。腹は少し出ているが、高い背丈と自信に満ち溢れたオーラが、それをカバーしている。「ヨシさん、ごめん……。今日はホテルに泊まれなさそう……」 千聖は顔の前で手を合わせ、頭を下げる。「また例の親友かい?」 ヨシさんと呼ばれた男性は、慣れているのか、嫌な顔せずに聞く。彼の名は芹沢義和。とある会社の社長で、千聖の“パパ”だ。「そう……本当にごめん……。1時間半くらいしか、ホテルにいられそうにない……」「気にしないで。時間がそれくらいなら、デートしようか」 義和はにこやかに言う。「デート? ホテルに行かなくていいの?」 千聖は狐に包まれたような顔をする。「せっかく君のような美人が、私のようなおじさんを相手にしてくれてるんだ、ホテルに行くことばかりにこだわっては、損というものさ。たまにはデートして見せびらかさないとね」 義和は茶目っ気たっぷりにウインクしてみせる。
last updateLast Updated : 2025-12-16
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困った親友2
「あら、嬉しい。どこに連れて行ってくれるの?」千聖は自分の腕を、義和の腕に絡ませた。「どこに行こうか。千聖ちゃんはどんなところに行きたい?」義和はゆったりと歩き出しながら、優しい口調で聞く。「ヨシさんが私と行きたいところ」「はははっ、嬉しいこと行ってくれるね」義和は雑談をしながら、千聖を目的地までエスコートする。「ヨシさん、ここって……」たどり着いたのは、水族館だ。「水族館なんて、滅多に行かないからね。この時間ならきっと、静かに過ごせると思うんだ」「こういうデート、初めてかも」千聖は目を輝かせ、水族館を見上げる。「気に入ってくれたようで良かったよ。じゃ、さっそく入ろうか」「うん」千聖は腕を組み直し、館内に足を踏み入れる。チケット売り場につくと、義和はチケットを2枚購入して、1枚を千聖に渡した。(私のせいで予定変更になったのに、出してもらうのもね……)千聖が財布を取り出そうとカバンを開けると、大きな手でカバンが閉じられた。「千聖ちゃん、君がカバンを開ける必要があるのかな?」義和は穏やかに訊ねる。「私のせいで予定変更したんだし、チケット代を……」「千聖ちゃんには、私が渋々ここに来たように見えるのかい?」義和は笑顔を浮かべながら聞く。「ううん、ちっとも」「なら、そんな必要はないね。さ、行くよ」義和は千聖のカバンから手を離すと、手を差し出した。千聖はカバンを閉めると、その腕に絡みつく。ふたりは魚を見て感想を言い合ったり、館内レストランで軽食をとったりしながら、水族館を満喫した。優奈との待ち合わせ時間30分前である8時半になると、千聖は肩を落とした。「もう時間だ……。あーぁ、楽しかったのに……」「そう言ってもらえると嬉しいね。そんなに気に入ったんなら、また来ようか?」「いいの?」義和の嬉しい申し出に、千聖は顔を上げる。
last updateLast Updated : 2025-12-16
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困った親友3
「もちろんだよ。言ったろう? 君のような美人は、見せびらかさないと。それに、私も楽しかったからね。ほら、これで友達と呑んで来なさい」義和は薄桃色の可愛らしい封筒を差し出した。「いいの? ホテルに行ってないのに」「当たり前だろう。ほら、遅刻してはいけないよ」「ありがとう、ヨシさん。またね」千聖は義和の頬にキスをすると、小走りで駅に向かった。「まったく、千聖ちゃんは男を喜ばせるのが上手いね……」義和はキスされた頬に触れながら、ニヤけ顔で呟いた。待ち合わせ時間10分前、千聖は待ち合わせ場所に指定された居酒屋についた。店内を見回し、スーツを着た童顔ツインテールの優奈を探す。「あ、いた……」4人掛けのテーブル席に座っている優奈はもう、カシスオレンジを呑んでいる。「もう来てたの?」「おっそーい! 30分くらい待ったんだけどー?」優奈は不機嫌全開で、カシスオレンジを飲み干した。「アンタが9時って言ったんでしょ? 時計を見なよ、まだ8時50分よ?」千聖はあきれ返りながらも向かいの席に座ると、通りがかった店員に、ハイボールを注文した。優奈もカシスオレンジのおかわりを注文する。「こんな状態で、ひとりでいらんないわよ……」優奈はすすり泣き出した。(こりゃ徹夜だわ……)千聖は内心ため息をつきながら、ポケットティッシュを渡す。以前ハンカチを渡したら、鼻をかまれてしまったことがあり、それ以来、千聖はポケットティッシュをふたつは持ち歩くようにしているのだ。「それで、今回はどうしたの? あんなに仲良かったじゃない」千聖が聞くと、優奈は泣きながら別れの経緯を話し出した。話の最中に思い出話を混じえたり、同じ話を何度も繰り返したりしたため、5分で終わる話が1時間もかかってしまった。
last updateLast Updated : 2025-12-16
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困った親友4
要約すると、優奈が同棲しているマンションに帰ったら、彼氏がAVを観ていたらしい。それが原因で喧嘩をした翌日、彼氏はそのAVに出ていた女優と似た系統の女性と仲睦まじく食事をしていたのだという。「不潔よ! 当てつけよ! なに!? 私が童顔だから? 胸が小さいから? どんな理由にしろ、ありえない!」優奈は何杯目か分からないカシスオレンジを飲み干すと、声を張り上げた。店内の人々は、何事かとふたりを見る。(まったくもう……)千聖はため息をこらえ、財布を出した。「優奈、カラオケ行こ」「行くー!」優奈は片手を突き上げ、だらしない笑顔で賛同する。千聖は足早でレジに行くと会計を済ませ、優奈の手を引いて居酒屋を後にした。カラオケ店に着くと、千聖は優奈の十八番曲を入れ、彼女にマイクを握らせる。優奈は泣きじゃくりながら歌う。……正確には、叫んだ。(そういえばヨシさん、いくらくれたんだろ?)泣き叫ぶ優奈に背を向け、カバンに入ったまま、封筒を開ける。折りたたまれた万券を数えた。(1、2、3、4、5……。5万円!? ヨシさん、くれすぎ……)きっと予定通り、外泊の代金を用意して、そのままくれたのだろう。そう思うと、いたたまれなくなった。(ま、返そうとしても受け取ってくれないだろうけど……。なんかプレゼントでも買おう)千聖は心の中で義和に手を合わせると、失恋ソングをいれた。優奈が失恋した時は、こうして失恋ソングをたくさん聴かせ、たくさん泣いてもらうのが1番だ。結局カラオケは、閉店時間である5時まで続いた。「ありがとう、千聖! 少し元気出た」「そ、そう……」吹っ切れた笑顔の優奈とは対象的に、千聖はげんなりした顔であくびをしている。「じゃ、お開きってことで……」「お礼にご飯ご馳走させて。確かこの近くに、24時間ファミレスあったよね」優奈は鼻歌を歌いながら千聖の腕を引っ張っていく。「勘弁して……」「何食べようかなぁ」千聖の言葉など聞く耳も持たず、優奈はファミレスに彼女を連行した。
last updateLast Updated : 2025-12-16
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困った親友5
ファミレスに入ると、眠そうな女性店員が席に案内してくれた。「何食べようかなぁ」ご機嫌な優奈は、メニュー表をパラパラとめくる。「何か軽いもの……」食い気より眠気な千聖は、軽食を探す。「千聖、決まった?」「うん、決まった。モーニングトーストで」千聖の返事を聞いた優奈は、呼び鈴を押した。すると目の下に濃いクマを作った男性店員が、注文を聞きに来る。「チキンドリアとモーニングトースト。ドリンクバーふたつと、いちごパフェください」優奈は千聖の分まで注文してくれる。男性店員は虚ろな目で注文を繰り返すと、厨房に消えた。「さ、何飲む?」「んー……あったかいお茶がいい……」「お茶ね、オッケー」優奈は軽い足取りで、ドリンクバーへ行く。飲食店に来た時、こうして積極的に動いてくれるのは彼女の美点だと、千聖は勝手に思っている。「ふわぁ……ねっむ……。しっかしまぁ、朝っぱらからよくドリアやらパフェやら食べられるわね……」千聖は優奈の注文を思い出し、呆れ返った。「お待たせ」優奈はメロンソーダと珈琲カップを持ってきた。カップの中にはティーバッグの煎茶が入っている。「ありがと」千聖はティーバッグを上下させ、抽出を急かす。(今日は睡眠で潰れそ……)テーブルに突っ伏したいのを我慢しながら、千聖はゆっくりと煎茶を口に流し込む。煎茶特有の優しい味と香りに、頬が緩む。(そういえば優奈、ヤケに静かね……)喋っていないと死んでしまうんではないかというほどよく喋る優奈の静寂に疑問を覚え、ふと顔を上げると、いつになく真剣な顔でスマホを見ている。「優奈、なにしてんの?」千聖が声をかけると優奈は肩を揺らし、顔を上げた。「合コンのセッティング準備」優奈は短く答えると、また食い入るようにスマホを見る。(まったく、次から次へと……)恋愛に興味のない千聖は、うんざりしながら煎茶を飲む。
last updateLast Updated : 2025-12-16
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困った親友6
千聖からすれば男は、性欲を満たす金づるでしかない。そんな彼女からすれば、彼氏いないと死んじゃう病の優奈は理解不能の生き物だ。「お待たせいたしました」今にも死にそうな顔の男性店員は、チキンドリアとモーニングトーストを運んできた。「お腹減ったぁ! 食べよ食べよ」優奈はスマホを置くと、嬉しそうにスプーンでドリアをすくう。「こんな早朝から、よくそんなの食べられるわね……」千聖は疲れきった目で優奈を見ながら、トーストをかじる。「だって美味しいんだもん」「見てるこっちが胃もたれしそう……」千聖は自分のお腹をさすりながら言う。「それを言うなら、こっちはお酒呑んでる千聖見て胸焼けするわ」優奈は苦笑すると、メロンソーダをひと口飲んだ。「そう?」「そうよ。昨日だってハイボールとか焼酎とか、水みたいに呑んでたじゃん」「あれくらいで酔うわけないでしょ」千聖はそういうが、昨夜の彼女はハイボール3杯にビール1杯、焼酎4杯も呑んでいるのだ。「ホント、酒豪だよねぇ……。ところでさ、千聖は彼氏作んないの?」勿体ない、と優奈は唇を尖らせる。「めんどくさいし、そもそも男が少ないじゃない」「自分より呑めない男は男じゃない! なんて言ってるからでしょー?」優奈はため息をつく。「そもそもいらないからいいの」千聖は声に苛立ちを孕ませながら言うと、トーストをかじった。千聖は本人が言うように、元々恋愛に興味がなかったのだが、優奈が原因で尚更恋愛が嫌になったのだ。高校時代、千聖が優奈の彼氏に呼ばれただけで、優奈の昼食であるホイップパンが、千聖の顔にクリーンヒットしたり、このカップルに何かある度に、とばっちりを受けるのは、いつも千聖だ。それでも千聖が優奈といるのは、千聖の美貌を妬まないでいてくれるからだ。「恋はいいよ。恋をすれば人生薔薇色だもん」千聖の苛立ちに気づかない優奈は、うっとりしながら言う。「へぇ、そう」めんどくさくなった千聖は適当に流すと、最後のひと口を食べて立ち上がった。「ご馳走様、悪いけど寝るわ」「あいあい、おつかれー」優奈は片手をぶんぶん振った。
last updateLast Updated : 2025-12-16
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困った親友7
千聖はマンションに帰ると、化粧を落としてシャワーを浴びた。下着まで身につけるのが面倒になり、バスローブだけ羽織ってベッドに潜り込む。千聖が目を覚ましたのは午後3時過ぎ。充電が危ういスマホを見れば、優奈からLINEが入っている。スマホを充電しながら確認してみれば、合コンのお誘いだ。「もう、興味ないって言ってるのに……」千聖が断りのメッセージを打ち込んでいる最中に、魅力的な写真が送られてきた。少しお高いウイスキーとテキーラのボトルが並んでいる写真だ。「なによ……」期待に胸を膨らませながら、千聖は断りのメッセージを消す。“報酬はこれでどう?”「優奈ったら、いつからそんなに私の買収が上手くなったの? イケナイ子ね……」千聖はだらしなく頬を緩ませながら、“是非とも行かせて”と返信した。午後7時、千聖は後悔に顔を歪ませながら、居酒屋前に立っている。「こればかりは私のミスね……」そう呟いて、盛大にため息をついた。というのも、優奈から誘われた合コンが今夜なのである。了解の返事をした直後に、今夜の7時と言われてしまった。“是非とも行かせて”と言ってしまった手前、今更取り消す訳にも行かず、こうして待ち合わせ場所に足を運んだという訳だ。「あ、千聖ー! お待たせ」優奈はふたりの女性を引き連れ、手を振ってこちらに小走りしてくる。「げ……」優奈の気合いの入りように、ドン引きした千聖は思わず声を漏らした。いつものツインテールにロリィタファッション。ふんわりしたスカートは、夜の新宿に不釣り合いだ。それでも童顔で小柄な彼女には、よく似合う。「どうも、初めまして」「どーも……。被ってる、最悪……」優奈に連れてこられた彼女達も挨拶する。清楚系の彼女は丁寧に挨拶をしてくれたが、もうひとりは悪態をついた。悪態をついた彼女は仕事帰りを思わせるスーツ姿だ。千聖は男避けにと、ブラウスに黒のスラックスで来た。それでも抜群のプロポーションと美貌を持ち合わせる千聖は、この4人の中で1番目立つ。
last updateLast Updated : 2025-12-16
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合コン
(腹黒清楚にサバブリ……、能天気ロリィタねぇ……)千聖は9割偏見の目で彼女達を観察すると、どうもと一礼した。「男性陣は先に店内いるっぽいし、さっそく行こうか」優奈に言われ、4人で居酒屋に入る。駆け寄ってきた店員に優奈が話しかけると、座敷席に案内される。そこには既に4人の男性が座っている。(あー……、めんどくさい事になりそう)男性達を見て、千聖はげんなりした。真ん中ふたりがモデルと言っても納得するほどのイケメンだ。片方はメガネが良く似合うインテリ系。もうひとりは白メッシュが入り、唇にピアスをつけたヴィジュアル系。(見た目からして私が嫌いなタイプね)千聖はヴィジュアル系の彼をチラリと見て、そう思った。両端のふたりもそれなりに顔立ちは整っているが、真ん中のふたりがいてはそれも霞む。左端の彼に至っては、盛った髪型でカッコよく見えるだけだとバレバレだ。千聖は真ん中ふたりに関わりたくないため、髪型イケメンの前に座った。それから優奈、サバブリ、腹黒清楚と座っていく。「全員揃ったところで、お酒頼もうか」髪型イケメンがメニュー表を開いた。男性陣は3人がビールで、ヴィジュアル系だけはカシスソーダ。女性陣は3人がカクテルで、千聖だけが泡盛。インテリ系が店員に声をかけ、全員分のお酒と数種類のつまみを注文をしてくれる。お酒はすぐに運ばれてきた。「じゃあさっそく自己紹介からしよっか」優奈は腹黒清楚に目配せする。「ゆかりといいます、よろしくお願いします」腹黒清楚、ゆかりはおしとやかに一礼する。「かずさです、よろしく」サバブリはかずさというらしい。それから優奈と千聖が挨拶をする。次に男性陣だ。髪型イケメンはさとる、インテリ系は斗真、ヴィジュアル系は紅玲、明るい年下男子はかずやというらしい。挨拶が終わり、千聖にとってはめんどうな合コンが始まった。
last updateLast Updated : 2025-12-16
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合コン2
フリートークが始まり、職業の話になった。サバブリことかずさは、千聖の会社のライバル社であることが発覚した。(ますますめんどくさい……)皆が会社名を言っているのに千聖だけ「OLです」だと浮いてしまう。どこに勤めてるのか聞かれて答えるのは、感じが悪い。千聖は渋々自分の会社名を言った。有名な社名に、周りはおぉ!と声をあげるが、かずさだけは千聖を睨みつけている。(やっぱり合コン苦手だわ……)千聖はうんざりしながら男性陣の仕事を聞く。「オレは在宅ワークだよ。株とかFXとか、シナリオライターとか」そう言ったのは意外にも、ヴィジュアル系の紅玲だ。(へぇ、見た目によらず頭いいんだ)千聖は感心するが、それだけだ。それから趣味や好きなテレビ番組の話で場が温まったところで、席替えすることになった。優奈が持ってきた男女別くじ引きを引き、さとるとかずさ、ゆかりと斗真、かずやと優奈、そして……。(なんで私がコイツと……)「チサちゃんの隣なんて、嬉しいな」明らかに不機嫌な千聖の隣には、上機嫌な紅玲が座っている。席替えが終わったところで、さとるが店員を呼び止める。「すいません、ビールひとつ。みんなは?」さとるが振り返って聞くと、めいめいにアルコールを注文していく。「私はハイボールで」千聖もアルコールを注文した。「オレはウーロン茶もらおうかな」唯一ソフトドリンクを注文したのは、紅玲だ。「お酒じゃないんだ」「意外かも」女性陣は好奇の目を紅玲に向ける。「あー……オレ、結構酒弱いんだよね。だからさっき呑んだので充分」紅玲はそう言って自分を手のひらで扇ぐ。(よく見たらちょっと赤い……。よっぽど弱いんだ)千聖は紅玲に“男ならず”の認定を改めてした。
last updateLast Updated : 2025-12-16
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合コン3
「チサちゃんってスタイルいいよね、何かしてるの?」「別に」「ナチュラルメイクでそれだけ可愛いんだから、すっぴん綺麗なんだろうな」「さぁ?」「チサちゃんって休日何してんの?」「プライベートなんで」次々と質問してくる紅玲、それらを適当に流す千聖。最初は誰も気にとめなかったが、今では参加者の大半がヒヤヒヤしている。(そろそろ頃合いね)千聖は5000円札をテーブルの上に置いた。「帰るね」千聖は作り笑いをして言うと、立ち上がる。「もう帰んの? 寂しいな」引き止めようとするのは紅玲だけで、他の参加者達は呆然とするばかりだ。居酒屋から出た千聖は、パパリストから義和の名前を見つけると、電話をかける。『もしもし、千聖ちゃん?』「急にかけたのに、出てくれて嬉しい。ねぇ、今から時間ある? 昨日の埋め合わせしたいんだけど……」『千聖ちゃんからそう言ってくれるなんて嬉しいね。もちろん、時間はあるよ』千聖は内心ガッツポーズをする。「よかった。それなら、昨日行く予定だったホテルなんてどう? 外泊で」『いいね。待ち合わせは昨日と同じでいいかな?』「オーケー、近くにいるからすぐに着くわ」『それなら私も今すぐ向かおう。じゃあ、駅で』「うん、分かった」千聖は電話を切ると、鼻歌を歌いながら駅へ向かう。「あんなガキ共といらんないわ」千聖は同年代の人間が、基本的に好きではない。正確には、若者特有のノリが苦手なのだ。恋愛に興味が無い彼女からすれば、守備範囲もなにもあったものではないのだろうが、あるとすれば中高年層だろう。駅前に着くと、時間潰しにスマホを見る。「げ……」LINE通知が来ていたのでチェックしてみれば、今日の合コングループが作られていた。脱退しようとしたところで、落ち着きのある声が千聖を呼んだ。「待たせちゃったかな?」「ううん、さっき来たばかり。随分とはやいんじゃない?」「隣の駅から来たからね。さ、行こうか」義和は腕を差し出す。「えぇ」千聖はホテルに着いた後のことを想像し、妖艶に微笑むと、腕を絡めさせた。「千聖ちゃんから急に呼び出しなんて、珍しいね。なにかあったのかな?」「友達に合コンに参加して欲しいって言われて参加したんだけど、嫌になって抜け出してきたの」千聖は苦笑交じりに話した。「おや、イケメンはいなかったのかな?」
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