LOGIN職場では真面目なOL、夜は男をとっかえひっかえして遊んでいる千聖。 酒豪OLの千聖が親友の優奈に無理やり連れてこられた合コンにいたのは、苦手要素を凝縮した男、紅玲 ある日母親から兄が闇金から借りてしまったという連絡が…… ちょうど通りかかった紅玲を利用しようと彼に相談を持ちかける千聖。 快く了承する紅玲には、なにか思惑があるようで……?
View More都内のある駅前、誰もが2度見をするほど美しい女性が、スマホを見て舌打ちをする。
「もー、今日はストレス解消したかったのに……」 美女は不満げに頬を膨らませながらスマホを操作すると、カバンにしまった。彼女の名は綾瀬千聖、24歳のOLだ。豊満な胸にキュッと締まったくびれ、控えめなサイズのヒップにスラリと伸びた長い脚と、モデル顔負けのプロポーションの持ち主である。大きな目にすぅーっと通った鼻、薄く小ぶりな唇と、顔立ちも整っている。
そんな彼女がイラついている理由は、至極単純でありふれたものだ。千聖には、優奈という高校時代からの親友がいる。
彼女は自称“彼氏途切れると死んじゃう病”で、男に振られては憂さ晴らしから合コンまで、千聖を振り回す悪癖がある。 千聖も頭では突き放せばいいと思ってはいるが、数少ない友人を放っておけないでいるのだ。「お待たせ、千聖ちゃん」
陰鬱な顔をしている千聖に声をかけたのは、白髪混じりのオールバックが似合う、高級スーツを着た中年男性だ。腹は少し出ているが、高い背丈と自信に満ち溢れたオーラが、それをカバーしている。「ヨシさん、ごめん……。今日はホテルに泊まれなさそう……」
千聖は顔の前で手を合わせ、頭を下げる。 「また例の親友かい?」 ヨシさんと呼ばれた男性は、慣れているのか、嫌な顔せずに聞く。彼の名は芹沢義和。とある会社の社長で、千聖の“パパ”だ。「そう……本当にごめん……。1時間半くらいしか、ホテルにいられそうにない……」
「気にしないで。時間がそれくらいなら、デートしようか」 義和はにこやかに言う。「デート? ホテルに行かなくていいの?」
千聖は狐に包まれたような顔をする。 「せっかく君のような美人が、私のようなおじさんを相手にしてくれてるんだ、ホテルに行くことばかりにこだわっては、損というものさ。たまにはデートして見せびらかさないとね」 義和は茶目っ気たっぷりにウインクしてみせる。「な、なに……?」「時間になっただけだよ」紅玲はサイドテーブルのスマホを手繰り寄せると、アラーム画面を見せた。そこには“契約終了”の文字が並んでいる。千聖はアラームを止めると、スマホをソファの上に投げた。「契約なんて、もう知らない……。ねぇ、愛して? いつもみたいに、愛してるって言って!」「愛してるよ、チサちゃんだけをね」紅玲が千聖を抱きしめて唇を押し当てると、どちらからともなく舌を絡ませた。水音と吐息が、淫靡に響き渡る。「んっ……ふ、ぁ……は、んんっ……」唇が離れると、千聖は紅玲の首に腕を回す。「愛してるわ、紅玲。ずっと、そばにいてね」「チサちゃんに愛されるだなんて、オレは幸せ者だなぁ」紅玲は千聖を押し倒すと、首筋に舌を這わせる。「あぁ……! お願いよ、私はあなたのものだって、痕をつけて」「いくらでもつけたげるよ」紅玲は千聖の首筋を甘噛みすると、思いっきり吸い上げた。鈍い痛みさえも千聖は愛情と快楽に捉える。「いっ……んはぁ……! ちゃんとついた?」「うん、綺麗についたよ。もっとつけようか」「嬉しい……」紅玲は再び首筋に顔を埋め、いくつもの所有印をつけていく。それは首筋だけにとどまらず、胸元にまで彩りを添えていく。「ああっ! んぅ、ゃ……あぁんっ! 紅玲……ひぅっ、んんっ……好きよ、愛してるの……」千聖は熱にうなされたように、愛の言葉を口にする。「オレもチサちゃんのこと、愛してるよ」紅玲は耳元で囁くと、深い口づけをした。ふたりは明け方近くまで愛を口にしながら求め合い、チェックアウトギリギリまでホテルに滞在した。数日後、仕事を終えた千聖は1等地に建ててある一軒家の玄関を開けた。「ただいま」「おかえり、チサちゃん。今日もお疲れ様」紅玲は千聖を出迎えて抱きしめると、色白の細い首に真っ赤な首輪を付けた。(あぁ、ようやく紅玲を独り占めできる……。独り占めしてもらえるんだ……)千聖は仕事用のカバンなどは乱雑に隅に投げ、紅玲の首に腕を回し、キスをした。
「おまたせ、チサちゃん」紅玲はヘッドホンを取ると、千聖をベッドの上に運んだ。その間千聖はずっと口を動かしているが、声は出ていない。「喋ろうとしない方がいいって言ったのに……」紅玲は茶色の小瓶をカバンから出すと、再び口移しで飲ませた。「少ししたら喋れるようになると思うから、無理しないでね」紅玲は千聖の髪をひと撫ですると、ベルトを外していく。「紅玲、あなた……げほっ、ごほっ……」紅玲の言葉を無視して言葉を発すると、声は出たが未だに残る閉塞感で咳き込んでしまう。「まったく、無理しないでって言ったそばから……」紅玲は拘束具を外すと、千聖を抱きしめた。「ひどい……げほっ……あなたは、ひどい人よ……」涙ながらに訴える千聖の背中をさすり、頬にキスを落とす。「うん、ごめんね? お水でも飲む?」紅玲がコンビニボックスへ行こうと千聖から手を離すと、千聖はその手を力強く握った。「チサちゃん?」「ダメ、行かせない……。あんな女のところには……」そこまで言って、千聖は再び咳き込む。「大丈夫、お水持ってくるだけだから。この部屋からは出ないよ?」紅玲は子供をあやす様に、千聖に言い聞かせる。「本当に……? ここにいる?」「いるって。すぐそこだから」紅玲がコンビニボックスを指さすと、千聖はようやく手を離した。紅玲はミネラルウォーターを購入すると、キャップを外して千聖に渡した。千聖は半分近く飲むと、ペットボトルを投げ捨てて紅玲に抱きつく。「嫌よ……。あなたは誰にも渡さないんだから……。ミチルなんかに、渡すものですか……」(あぁ、やっぱりあの時ミチルが怒鳴ってたのは、チサちゃんだったか……。あとでお礼しなきゃなぁ)千聖の言葉に、紅玲はミチルに再会した日のことを思い出した。そのことを確かめるのを兼ねて、ミチルと特徴が似ているデリヘル嬢を呼んだのだ。「チサちゃんは、オレのこと好き?」「えぇ好きよ、愛してるの……。もう変な意地張らないから、どこにも行かないで……。私のそばにいて……」紅玲は自分にすがる千聖を抱きしめると、そっと唇を重ねた。同時に、紅玲のスマホがけたたましく鳴る。
紅玲は熱っぽい目で女性を見ながら、何度も口を動かす。千聖にはそれが愛を囁いているようにしか見えず、嫉妬にかられる。(私のこと好きって、愛してるって何度も言ってたのに! 紅玲はそんな女を選ぶの? 嫌よ、そんなの……。あんな女に、紅玲は渡さない!)千聖の中で嫉妬の炎が燃えたぎる中、ふたりはおかまいなしに互いの躯に触れる。女性は紅玲のペニスを咥え、頭を上下に動かす。紅玲は気持ちよさそうな顔をしながらゆるゆると腰を振り、女性の髪を撫でる。ふと、紅玲はなにか思い出すような顔をすると、こちらに向かって妖艶な笑みを浮かべる。だがすぐに視線を女性に戻し、彼女の髪を撫で続ける。(ひどい……! なんで私にこんなの見せつけるのよ!? 紅玲から離れなさいよ、このアバズレ! 紅玲は私のものなのに……)嫉妬や戸惑い、更には独占欲でぐちゃぐちゃした感情が渦巻き、千聖は今にも気が狂いそうになる。目頭が熱くなり、涙が溢れる。薬のことなど関係無しに、千聖は叫んだ。声が出ていようがいまいが、関係ない。叫ばずにはいられなかった。「私の紅玲よ! どうせお金が目的でしょ!? 離れなさい、このろくでなし! 紅玲も紅玲よ……。私のこと愛してるなら、そんな女いらないでしょ!? 今すぐ追い出してよ!」のどは相変わらず閉塞感で満たされ、聴覚も奪われている。それでも普段使わない罵詈雑言を女性に浴びせ、紅玲は自分のものだと叫び続けた。紅玲は絶頂を迎えたらしく、ベッドに寝そべる。女性はティッシュに紅玲の欲を吐き出すと、うがいしに消えた。「なんてもったいないことするの!? 信じられない!」千聖の言葉が途切れたタイミングで紅玲は起き上がり、笑顔でこちらに手を振った。「紅玲、あなた最低よ! 私がいるのにあんな女と! 許さないんだから!」実際にはこれらの声はふたりに届いていない。だが怒り狂った千聖には、そんなことは頭の片隅にすら残っていない。女性が戻ってくると紅玲は彼女にお金を渡し、女性はそれを受け取って部屋から出ていった。「結局金だけじゃないの! 紅玲、あなたいつまでこんな女に騙され続けるつもりなの!?」画面から紅玲が消え、トイレのドアが開けられる。千聖は潤んだ瞳で紅玲を睨みつけた。
「ちょっと待っててね」紅玲はトイレから出ていく。(怖い……。私、どうなっちゃうの? 殺されたりとか、しないわよね……?)まったく読めない紅玲の行動に恐怖を感じ、悪い方へ思考を回す。「おまたせ。これがあれば退屈しないと思うんだ」戻ってきた紅玲は、洋式トイレの蓋を閉め、その上に小型テレビを置いた。テレビには、先程までいたベッドが映っている。(何をする気なの……?)不安になって紅玲を見上げると、彼は優しく微笑んで髪を撫でる。「そんな不安そうな顔しないで? オレがチサちゃんに、酷いことするわけないでしょ? だって、こんなに愛してるんだから」紅玲は千聖の頬にキスをすると、今度はヘッドホンをつけた。大音量でジャズが流れる。紅玲は口を動かすが、何を言っているのか聞こえない。自由と声、そして聴覚を奪われて怯える千聖にキスをすると、紅玲はトイレから出ていった。小型テレビを見ると、紅玲はベッドに腰掛け、電話をしている。電話が終わると、こちらに向かって手を振った。(もう、なんなの!? なんで私がこんな目に合わなきゃなんないのよ!)千聖の叫びは誰にも届くことはない。10分もすると紅玲はベッドから立ち上がり、画面から消えた。すぐに戻ってきたが、女性と一緒だ。女性はウェーブのかかった髪に、シフォンスカートをはいている。ふたりは笑顔で話をしながら、ベッドを素通りして画面から消える。その先にあるのは、浴室だ。(今の女……。もしかして、ミチル!?)以前ぶつかった女性と同じ特徴を持つ女性に、千聖の胸がざわつく。例の女性がミチルと確認したわけでもなければ、画面に映った女性と同一人物というわけでもない。それでも混乱に陥った千聖は、例の女性と画面の女性がミチルだと思い込んでしまった。シャワーをすませたふたりが、ベッドの上に戻ってくる。ふたりは情熱的なキスを何度も交わしながら、バスローブを脱がせ合う。紅玲は愛おしげな目を女性に向けながら押し倒し、貧相な女性の胸を貪る。(なんで? どうして私じゃない女をあんな目で見たの? なんでそんな女に夢中になるの? その女は、あなたを金づるだとしか思ってないのよ?)千聖の中で、疑問と怒りがふつふつと沸き上がる。