千聖が罪悪感を覚えるのは、金銭の問題だけではない。自分が紅玲を利用していた女達と同じことをしていないか? 紅玲に恋愛感情を抱くことはないが、だからといって彼をボロ雑巾のようにするつもりなどない。「あのこと、斗真に聞いとくんだったかも……」千聖のいう“あのこと”とは、紅玲の親のことである。地元のファミレスで話した時、紅玲は自分の親も毒親だったと言っていた。その話を聞いてから、無闇にぶっきらぼうな態度が取りにくくなってしまった。「私なりに、紅玲と向き合った方がよさそうね……。少なくとも、あの3週間は会うんだから……」千聖はコピー用紙を1枚持ってくると、紅玲についてまとめだした。分かっていること・私が好き・毒親持ち・お金がある・シナリオライターやFXで生活している・外食が多い・斗真とは高校からの付き合い・女性関係のトラウマ級の過去・お酒に弱い分からないこと・私のどこが好きなのか・どんな毒親だったのか・女性をどう思っているのか・なぜ借金を肩代わりしたのかリストを書き終えると、千聖はボールペンを転がしてため息をつく。「分からないことっていうより、知りたいことになってる……。まぁいっか」ようやく睡魔が来たらしく、千聖は大きなあくびをすると、ベッドに戻った。その頃紅玲は大量の本とパソコンだけの部屋で、千聖から聞いた話を参考に物語を書いていた。一通り書き終わり、あとは読み返して誤字脱字などを確認するだけとなる。「つっかれたぁ~」紅玲は立ち上がって伸びをすると、寝室へ行ってベッドに寝転がる。「今日はもう、いいや……。それにしても、トーマはどこまで話したんだろ?」和食店での千聖との会話を思い返しながら、ポツリと呟く。斗真のことだから自分を貶めるようなことは言ってないと分かってはいても、自分の過去はあまり知られたくなかった。特に、千聖には。「あー……でも、チサちゃんは優しいから、少しはオレのこと見てくれるようになるかな? そうだったらいいんだけどねぇ」小さく苦笑すると、大学時代にかけられた言葉を思い出した。『アンタの運命の人は、きっとアンタを毛嫌いするよ。そういう人でなきゃ、本当にアンタのことを愛してくれない。そんな気がする』それは講義で偶然隣の席になった、占いサークルの部長の言葉だ。占いにはまったく興味がなかった紅玲だが、こ
آخر تحديث : 2025-12-16 اقرأ المزيد