《結婚式で捨てられた後、私は彼の最大のライバルと結婚した》全部章節:第 141 章 - 第 150 章

153 章節

第百四十一話 弟の存在と襲うショック

倉田からの電話に緊張が走った。 『坊ちゃん、若奥様の弟さんが見つかりました』 それは、思ったより早い報告だった。 もちろん美奈に聞けば済むことだ。 しかし、美奈が綾に──素直に本当のことを話すとは思えない。 それに、綾ももう会いたくはないと思っている。 あらゆる方面から探してもらい分かったようだ。 綾の弟は──アメリカに居た。 やはり美奈がアメリカ留学中に二人は出会ったようだ。 まさか異母姉弟だとは知らずに……。 美奈は綾の2歳年下、更に1歳年下の弟。 名は──草壁涼太(くさかべ りょうた) 美奈のスマホにはRとう名前で登録されているようだ。 父親が知り合いの草壁夫婦には、子どもが出来ないと聞いていたので、ならばと涼太が生まれてすぐに、アメリカから引き取りに来てもらったようだ。 綾の母は、死産だったと言う父親の言葉を信じ込んだまま、亡くなってしまった。 その事実に、綾は怒り心頭している。 母が命がけで早産した我が子を知らないまま、死産したと思い込まされていた。 生まれてすぐに、大きな病院へ転院させ母親の目につかないようにした。 その頃から元看護師が絡んでいたようだ。 ──なんて酷い人たち 草壁夫婦は、ニューヨークで事業を成功させている資産家のようだ。 「草壁? あの会社か?」 修は草壁氏を知っていると言う。 業界こそ違うが、今最も勢いのある会社のようだ。 なので、綾の父親も何度か無理を言って借金をしていたようだ。 当の弟、涼太はそんな草壁の跡を継ぐべく、同じ会社に入り、ようやく勉強を始めた
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第百四十二話 実弟──草壁涼太の父

修は、草壁社長に連絡をした。 全く面識がないわけではない。 祖父の時代には、こちらが世話をした立場だったので、修は若い頃に社長と会ったことがあるのだ。 修が社長になってから直接電話で話すのは初めてのこと。 「突然のお電話申し訳ありません。私、天埜ホールディングスの代表を務めております、天埜修と申します」 『え? あの天埜さんの?』 「はい、孫です。草壁代表でいらっしゃいますか?」 『ええ、御令孫様ですか……。はい私が社長の草壁です』 「大変ご無沙汰しております」 『こちらこそ、その節はお祖父様に大変お世話になりました』 綾は──ホントだ! 修さんのお祖父様にお世話になったとおっしゃっている。天埜家、凄い! 修はなぜ草壁社長に突然電話を掛けたのかを話した。 隣りに居る妻から話したいことがあると断った上で、オンライン通話にしてもらうことを了承してもらった。 『あ〜映りました。まあ、ご立派になられて……』 草壁社長は、修を懐かしそうに見ている。 照れくさそうにしながら修は、綾を妻だと紹介した。 「はじめまして、天埜綾と申します。よろしくお願いします」 『こちらこそよろしくお願いします』 その後、草壁社長には時間を割いてもらい、どうしても早急に伝えたいことがあると、綾から話をすることに……。 まず、草壁涼太について聞く。 「私は、旧姓平井綾と申します」 そう言うと、す
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第百四十三話 涼太に突きつけられる事実

まだ眠っていた草壁涼太。 父に叩き起こされたようだ。 「何だよ、こんなに朝早くから……」 寝ぼけ眼の涼太。 綾にとっては初めて会う弟。 「何を言ってるんだ! 一大事だ!」 草壁社長が一喝しているようだ。 「えっ? 何?」 「オンライン通話で日本に居らっしゃる天埜ホールディングスの社長と奥様と話せ!」と言われ、 「は? 天埜? ……えっ? あの天埜ホールディングスの社長?!」 名前ぐらいは知っているのか、ようやく目が覚めてきたようだ。 涼太はパソコンを覗き込み、 『あっ、はじめまして草壁涼太です』と何も知らされないまま涼太は席に着いたようだ。 修も涼太に合わせて挨拶をしている。 綾は──初めて見る実弟に、母が会えなかった息子という思いを重ねてしまい、早々に目を潤ませてしまう。 修が──「妻の綾です」と紹介すると、 『あっ、奥様はじめまして、草壁涼太です』と元気よく挨拶した。 「はじめまして……」 すると、草壁社長が──『お前のお姉さんだ』と告げた。 当然涼太は驚いている。 『は? お姉さん? 何言ってんの? 親父』 涼太は、二十歳になった時、養父である草壁社長から事実を告げられていた。 自分は、幼い頃に引き取られた子だということ。 しかし、姉が居たと言うことまでは伏せられていたようだ。
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第百四十四話 涼太のけじめ

修は──「それに……」と続けた。 「涼太くん、キミは美奈と男女の関係にあったのか?」 その言葉に、涼太は呆然としたまま、 『ええ、そうですよ。俺は美奈を愛していますから』 過去形ではなく未だ現在進行形の言葉に、修と綾は驚きと少しの安堵を覚える。 しかし、異母姉弟という言葉がのしかかる。 涼太は肩を落とし背中を丸めながら俯いた。 修は、優しく語りかけた。 「そうか……涼太くん、美奈は獄中出産をしたんだ」 修の言葉に、俯き項垂れていた涼太が顔を上げた。 『え?!』 やはり初耳のようで、驚きながらも涼太は自分の子だと確信しているのか、 『それって、俺の子ですよね?』 「美奈はそう言っているようだ」 涼太は喜びと戸惑いの中、両手を合わせて、 『俺の子……』そう言いながら涙を流している。 修と綾には──涼太は美奈が産んだ子のことを思い優しい顔で喜んでいるように見えた。 しばらくすると涼太は、 『男の子ですか? 女の子ですか? 今何処に居るのですか?』と聞いてきた。 修が──希(のぞみ)と美奈が名付けた娘で、乳児院に居ることを告げると、涼太は──『今すぐにでも迎えに行きます!』と言った。 隣りで聞いていた草壁社長の奥様が──『綾さん、申し訳ありませんでした。涼太の子ならこちらで引き取らせてください、お願いします』と頭を下げている。 草壁社長も──『ぜひ私どもで育てさせていただきたいです』そう言ってくれた。 もちろん、それは今すぐ自分たちが決められることではない。 まずはDNA鑑定をして親子関係を確定してからの話だ。 乳児院へもその旨を告げ、必要書類を
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第百四十五話 鑑定結果と今後について

修と綾は、涼太から届いた厳重に管理された髪の毛を持って乳児院へ行くことにした。 修の仕事終わりに、倉田の運転で向かった。 その時、修は乳児院へ多くの寄付金を振り込んでいた。 綾が──「修さんありがとう」とお礼を言うと、 自分にとっても姪っ子だからと言ってくれたことに綾は嬉しかった。 実は綾も自分がデザイナーとして稼いだお金から、寄付していたのだ。 前回、初めて乳児院を訪れた時、かなり老朽化している建物や使用している機器の古さに驚き、将来的には慈善事業に携わりたいと思っている綾にとって衝撃的なことだったから。 乳児院に到着するとまずは、施設長からお礼の言葉があった。 「いえ、こちらこそお世話になっております」と修と綾が感謝の意を伝え、綾は実弟と話したことを施設長に伝えた。 その上で、DNA鑑定をし親子関係が認められれば認知し、祖父母と共に父親である涼太が希を育てたいと言っている旨を話した。 綾自身もまだ実際には会ったことはないが、オンライン通話での様子では、立派な両親に育てられ良い環境だということは分かったと話した。 施設長も──「実のお父様と希ちゃんが同居出来ることが一番良いですものね」と言った。 修は、DNA鑑定の為、すぐに希の髪の毛が欲しいと言った。 希が眠っているベッドまで一緒に行き、枕元にあった髪を数本貰った。 修は、すぐに倉田を呼び、 「大至急鑑定してくれ」と頼んだ。
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第百四十八話 美樹と母と修の愛

──午後 不動産会社の方が来られ、いくつか条件を出し、すぐにでも住める家を別荘として購入する。 涼太は、最終的に二軒に絞って、ご両親と相談するようだ。 内見に行きたいと言うので、修が同行することに。 綾は、朝から同行し少し疲れたので、体調を考えて留守番することにした。 少し身体を休めないと、お腹の子もこの数日色々ショッキングなことばかりあって、驚いているかもしれない。 綾は、デザインを考えた後、リラックスするためデカフェの紅茶を飲みながら美樹に連絡をした。 今日は休日、メッセージを送る。 〈今日は、デート?〉 綾は、森川とのこともあるので、お邪魔にならないように遠慮していた。 〈さっきまで一緒に居たけど、今日は用事があるからって帰って行ったの。綾何かあった?〉 やはり美樹は森川とラブラブだったと綾は思わず笑みが溢れる。 それに普段は仕事以外、自分から連絡することなど滅多になく、美樹からの連絡の方が多いものだから、何かあったのかと察してくれる美樹も凄いと思っている。 美樹から電話がかかって来た。 『綾、大丈夫?』 ここ数日、綾が衝撃を受けたことについては美樹にも話していたので知っている。 特に、実の弟と美奈のことについては、驚き過ぎて、『嘘でしょう?……』と言葉を失っていた。 なので、また何かあったのかと心配してくれているのだ。 綾は──美樹と話したかったのだ。 美奈は涼太のことを本気で愛していることが分かったし、希のことも大切に思っていることも知ることが出来た。 「もう、私は美奈とは会うつもりはないけど、涼太や希には幸せになって欲しいと思ってるの」 美樹は─
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第百四十九話 お墓参りと……出産

翌日、綾は──初めて修と涼太を母の墓地へと連れて行った。 「お母さん、遅くなってごめんなさい」 綾は、修と結婚したことと、お腹には赤ちゃんが居ることを報告した。 修も──「はじめまして、天埜修です。大変遅くなって申し訳ありません。綾さんとお腹に居る息子を幸せにします」と挨拶してくれた。 そして──「お母さんが産んだ涼太、私の弟だよ」と母のお墓の前に涼太を立たせた。 涼太は、墓前にしゃがんで、 「お母さん、はじめまして」と両手を合わせている。 ただそれだけのことなのに、綾は涙が溢れた。 ──やっと弟を母に会わせてあげられた。 また、希を連れて来られる日が来ると良いなと思っている。 ────4ヶ月後 綾は朝から自宅で美樹とデザインの仕事をしていた。 そろそろ出産間近ということもあり、修は──仕事の時間帯は美樹を常時付き添わせ、お手伝いを増やし、その時に備えた。 綾は皆んなの監視が厳しく少し息苦しさを感じていた。 しかし、そのおかげで綾も安心出来るのだと理解している。 仕事中──その時は来た! 綾は異変を感じた。 「あれ?」 「ん?」 美樹が──「綾? どうしたの?」 『少しの反応も逃さず見ろ! 』と修から口酸っぱく言われている。 「ちょっとトイレ」 美樹
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第百五十話 天埜家の後継者誕生に賑わう

「綾、大丈夫か?」 「ウウッ、もう生まれるかも……」 修は、廊下に居る倉田に、 「倉田! 医師を呼べ!」 「はい!」 「早く! もう生まれるぞ!」 修が騒いでいるので、ガードマンたちもソワソ ワしている。 「ウウウッ痛い!」 修は綾の腰を摩る。 綾は無意識に修の腕をがっちり掴んでいる。 その強さがあまりにも強く、修の腕には綾の爪が食い込んでいる。 修はとても驚いている──出産とはこんなにも壮絶な戦いなのか! そう言えば以前……綾は──「出産ってホントに大変なんだから! 鼻からスイカを出すほどのことらしいわよ」 修は思わず鼻を手で押さえている。 ──とても痛そうだ…… 今、目の前で愛する妻が鼻からスイカを出そうとしているのだ。絶対に俺には無理だ。 綾──頼む! 俺のスイカを……イヤ息子を頼むぞ! 自分の腕に食い込む綾の爪を見ながら、 ──これくらいのこと、何でもない! 「綾、頑張れ!」 医師が到着し、看護師に、 「旦那様も外に出ていてください」と言われた。 ──!! 俺は夫だぞ…… 修は仕方なく病室の外に出る。 すると、看護師から陣痛が思ったより早く進んでいるので、分娩室に運ぶことになったと言われた。 ストレッチャーに乗せられた綾。 「綾」と修が手を握る。 陣痛の合間のようだ。 「大丈夫、頑張って産んでくるわ」 「おお、頼んだぞ」 「うん、ウウッ」 その後、またすぐに陣痛の
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