倉田からの電話に緊張が走った。 『坊ちゃん、若奥様の弟さんが見つかりました』 それは、思ったより早い報告だった。 もちろん美奈に聞けば済むことだ。 しかし、美奈が綾に──素直に本当のことを話すとは思えない。 それに、綾ももう会いたくはないと思っている。 あらゆる方面から探してもらい分かったようだ。 綾の弟は──アメリカに居た。 やはり美奈がアメリカ留学中に二人は出会ったようだ。 まさか異母姉弟だとは知らずに……。 美奈は綾の2歳年下、更に1歳年下の弟。 名は──草壁涼太(くさかべ りょうた) 美奈のスマホにはRとう名前で登録されているようだ。 父親が知り合いの草壁夫婦には、子どもが出来ないと聞いていたので、ならばと涼太が生まれてすぐに、アメリカから引き取りに来てもらったようだ。 綾の母は、死産だったと言う父親の言葉を信じ込んだまま、亡くなってしまった。 その事実に、綾は怒り心頭している。 母が命がけで早産した我が子を知らないまま、死産したと思い込まされていた。 生まれてすぐに、大きな病院へ転院させ母親の目につかないようにした。 その頃から元看護師が絡んでいたようだ。 ──なんて酷い人たち 草壁夫婦は、ニューヨークで事業を成功させている資産家のようだ。 「草壁? あの会社か?」 修は草壁氏を知っていると言う。 業界こそ違うが、今最も勢いのある会社のようだ。 なので、綾の父親も何度か無理を言って借金をしていたようだ。 当の弟、涼太はそんな草壁の跡を継ぐべく、同じ会社に入り、ようやく勉強を始めた
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