結婚式で捨てられた後、私は彼の最大のライバルと結婚した のすべてのチャプター: チャプター 61 - チャプター 70

106 チャプター

第六十一話 綾への接近──昌浩

修は、珍しく日曜日なのに、朝から仕事に行くと言う。 「夕方には戻るから、美味い飯でも食べに行こう」 「分かった。気をつけてね」 「ああ、行って来る」 「行ってらっしゃい」 綾は、修を見送った。 ──最近、忙しそうだな…… 本当に仕事なのかな? 綾は、修と倉田の電話を聞いてから、少し不安になっている。しかも、麗華が突然家に来たことで、少なくとも綾は──麗華が "初恋の女の子”だと思っている。 離婚の話をされるのかと思ったら、『可愛い』なんて言うし……その後も以前と変わらず愛されている。それ以上かもしれない。 それが、綾には──初恋の女の子の代わり、麗華さんの代わり……だと思ってしまっている。 でも、修が──『麗華さん、海外に行く前に立ち寄ってくれたんだ』と言っていた。 しばらく会えなくなるのに、寂しくないのかな……と綾は、修のことを心配している。 お昼ご飯を一人で済ませ、デザインの勉強をしていた。 どんどんスキルアップしたいので、日々勉強だと思っている。 ──今の私は、洋服のデザインをたくさん考えることが一番大切なことで、楽しいことだ。 綾は、そう思っている。 そんな時──ピンポーン インターホンが鳴った。
続きを読む

第六十ニ話 大切な日①──修の喜び

修の言う通り、綾はドレスアップしようと、最終的に、自分がデザインしたニ着のドレスで迷っていた。 「う〜ん、フレンチよね。どっちのドレスがいいかしら」 綾は、落ち着いたブラックのドレスか、可愛らしいスモーキーピンクのドレスかで迷っていた。 ブラックは──胸元がV字にデザインされていて、袖はシースルーのバルーンスリーブになっている為、ノースリーブのワンピースを着ているようなデザイン。 ストンと下までストレートなスタイルだが、足元は片方だけ膝下までスリットが入っているのでセクシーさのあるワンピースになっている。 スモーキーピンク──中は無地のキャミソールのAラインワンピースになっていて、上からレースを纏っているように、胸元、袖、裾まで総レースのドレスを着ているかのようになっている。女性らしさが増している。 綾は迷って、修に──鏡に映った自分のワンピース姿の写真を撮って送った。 〈どっちが良い?〉 修は──「ウッ」と言いながら口元に手をやり、ニヤけている。 倉田が──「坊ちゃん、どうかされましたか?」 「いや……あ〜倉田、どっちが良いと思う?」 修は──綾可愛いな、どちらも似合うな…… と迷っていた為、倉田にも見てもらう。 「坊ちゃん……」 思わず倉田の顔も綻ぶ。
続きを読む

第六十五話 会社内での対立、そして雪絵

──翌日 美奈のせいで、社内にも不穏な空気が流れていたが、全面的に美奈の悪事が露呈したせいで、顧客が戻って来たこともあり、社内の雰囲気も穏やかに戻った。 昨夜、修に誕生日を祝ってもらったケーキをお詫びに一人一人に配る綾。 「まあ、美味しそうなケーキ、ありがとうございます」 「良かったら、どうぞ」 「こんなにたくさん、お祝いか何かですか?」 「ええ、昨日私の誕生日に主人が……」 「まあ、社長ったら素敵、綾さん愛されてますね」 「綾さんお誕生日だったんですね、おめでとうございます」 「ありがとうございます」 綾は嬉しくてニコニコしていた。 しかし、また綾のデザインがヒットしたことで、面白く思わない人は必ずと言っても良いほど現れる。 会社としては、嬉しい反面、ずっと日陰の存在の人は面白くないのだろう。 西山が解雇されたことで、綾はチーフデザイナーに昇進したが、周囲には──「社長夫人だからね〜」「そりゃあ、忖度されるわよね」などと、やっかむ者は居るようだ。 中でも、ずっと西山の下で働いて来た村松は、サブチーフ。 きっと、西山が抜けて自分がチーフデザイナーになると思っていたのだろう。 なのに、突然現れた綾が、社長夫人だからと言ってチーフデザイナーに昇進。 実際には、会社に貢献しているのだが…… 表面上は支持しているように見えるが、裏では敵対する同僚──サブチーフなのだから。 「凄いですね〜短期間で、社長夫人にチーフデザイナー、おまけにイケメン夫に、こんなにも愛されて……何もかも手に入れて、そりゃあ西山さんにも妬かれるわけですね」 嫌味な言い方をする村松。 「村松さん! な
続きを読む

第六十六話 業界の大御所──曽根龍樹

雪絵は、西山に電話をかけた。 西山が解雇された時に、真っ先に電話をかけた張本人だ。 「西山さん、天埜家から追い出されたそうですね?」 「……あなたは誰?」 ──誰だって良いじゃない? もう一度デザイン業界に戻してあげるって言ってんだから……。 雪絵は、業界の大御所に連絡していた。 曽根龍樹(そねたつき) デザイナー業界で彼の名前を知らない者は居ない。 日本のトップモデルは皆こぞって、彼がデザインした洋服を着てランウェイを歩きたいと願うほどだ。 龍樹とは、友達のパーティーで知り合い仲良くしている。 雪絵は龍樹に──天埜修の元で長年働いて来たデザイナー女性が居る──そう話すと…… 「何かやらかしたのね?」 龍樹は、すぐに察したようだ。 「ちょっと男女のいざこざで……でも腕は確かよ。このまま才能を放置するのは勿体ないかと……」 「雪絵ちゃんの紹介なら間違いないわね。分かったわ、会ってあげる」 「ありがとう」 「その代わり、雪絵、一度俺と付き合えよ」 「ハハッ、そういう時だけ龍樹は、オスになるのね」 「当たり前だろ。こんなこと雪絵以外の人の頼みなら容易く受けない」 「分かったわ」 「なら、りょーかーい」 龍樹は、自分で"オネェデザイナー”だと言っているが、女性にも男性にも興味があるバイセクシュアルなのだ。 しかし、ほとんどが男性との恋愛なのに、なぜか雪絵にだけはオス全開で接したくなるようだ。 普段は、恋バナもするほどの仲だが、龍樹はそんな雪絵が愛おしくて、どうも女として捉えている。 そして雪絵は──もう一度西山に電話をかけた。
続きを読む

第六十七話 曽根龍樹との関係

タクシーで龍樹の自宅へ着いた二人。 「雪絵! 着いたよ」 「う〜ん……」 龍樹は、酔っている雪絵を抱こうとは思っていない。 ベッドに寝かせた。 すると……「お水ちょーだい」と言う雪絵に、ペットボトルのミネラルウォーターを差し出す。 「はい雪絵、お水飲んで」 龍樹は、雪絵を座らせてお水を飲ませようとする。 「ん、飲ませて」と甘える雪絵。 ペットボトルのまま飲ませようとする龍樹に──「龍樹が飲ませて」と口移しをせがんでいる。 仕方なく龍樹は、ミネラルウォーターを自分の口に含むと、雪絵に飲ませた。 「あ──美味しい」 あざとく、舌を出し龍樹をジッと見つめる雪絵。 あまりの可愛さに龍樹は、堪らなくなりもう一度雪絵にキスをした。 雪絵は龍樹に抱きつき、そのまま二人はベッドに倒れ込んだ。 雪絵は、酔ったフリをしていたのか、酔いが醒めたのか、龍樹を誘い求める。 龍樹は、元々雪絵のことが好きだから抑えていた感情が溢れ雪絵を女として扱う。 「雪絵、綺麗だ」 「龍樹〜好きよ」 嘘でも龍樹は嬉しかった。 『忘れて』と言われたあの日から、考えないようにしてきたが、──やっぱり無理だ! 白く綺麗な雪絵の肌に舌を這わせ愛することの嬉しさ。 「雪絵、愛してる」 しかし、雪絵は答
続きを読む

第六十八話 ファッションショーの準備

龍樹は、雪絵に頼まれて綾への嫌がらせを始める準備をしていた。 綾の事は、業界でも有名だった。 突然現れた新星なのだから……。 龍樹は──「う〜ん、どうしてこんなに味気ないデザインがウケてるのかしらね〜理解できないわ」 綾が手掛ける洋服のデザインは、いつもシンプルだ。 デザイン業界の人間なら、如何に自分の持てる技術と才能そして発想を開花させ、皆んなに披露するかだと思っている龍樹には全く理解出来ないようだ。 「無地! シンプルね〜何にもない画用紙に、一つだけの小さなマーク、しかも、まるで幼稚園児が描いたような絵ね」 味があって良いのに、バカにしている。 それがシンプル志向の人々には、圧倒的に支持されているようだ。 綾のデザインは無地の物が多く、布の材質によって色を繋いで作る切り替えのデザインになっている。 なので、余計な絵はいらない。絵は有ってもワンポイントに留めてある。 しかしドレスは、婚礼やパーティー用の物が多いので、派手な色使いの物からシンプルな物まで、こちらも布の素材と細やかな色使いに重視してデザインされているのでカラーバリエーションが凄い。 「確かに色のバリエーションは多いわね、普段あまり使わない色まで細かく繊細に使ってあるわ」 龍樹は──綾のデザインを認める部分もあるが、愛する雪絵の為だから、批判すべき所を探している。 すると── スタッフが「龍樹さん、ファッションショーに天埜綾も来るようですよ
続きを読む
前へ
1
...
56789
...
11
コードをスキャンしてアプリで読む
DMCA.com Protection Status