真帆は答えず、逆に問い返した。祥子は一瞬呆気に取られた。「え?」「西園寺家が縁談を進めている相手は誰かって聞いてるんです」真帆は思わず声を荒げたが、すぐに気づいて声を落とした。「ごめんなさい、ただ……気になっただけで……」しかし、無意識に両手をきつく握りしめるその姿は、とてもただの好奇心には見えなかった。彼女も西園寺家の事情はある程度把握している。一雄の三人の兄たちはすでに結婚しており、独身なのは五男と一雄だけだ。真帆は、せめて五男であってくれと、最後の一筋の望みに縋るような思いだった。「誰って、決まってるじゃないですか。政略結婚なら一番権力のある人を選ぶものでしょう。当然、西園寺グループの現在の最高権力者、一雄さんですよ」祥子の言葉が、彼女の淡い幻想を無残に打ち砕いた。「……確かなの?」「本当ですよ。このニュース、一昨日からずっとトレンドの1位ですから」そう言いながらスマホを取り出し、画面を真帆に見せた。「ほら、見てください」何気ない仕草のようでもあり、あるいは意図的なようでもあり……真帆はそのニュースに頭を殴られたような衝撃を受け、冷静な判断力を失っていた。トレンドのトップにその文字が躍っているのを確認すると、彼女は何かを思い出したように、慌てて自分のスマホを取り出した。震える手で検索ワードを打ち込み、決定ボタンを押す。しかし、表示されたのは……真っ白なページだった。どうして……真帆の顔色が劇的に変わった。パニックになりながら、隣にいた知恵に「スマホを貸して」と詰め寄った。知恵は事情が掴めないながらも、大人しく自分のスマホを差し出した。真帆が同じ操作を繰り返すと、そこにはしっかりとトレンドの記事が残っていた。彼女は瞬時にすべてを悟り、表情を強張らせた。「先生、一体……」祥子の心配そうな瞳の奥には、捉えがたい意味深な光が宿っていた。だが、今の真帆には彼女の声など一切耳に入らなかった。知恵はただならぬ空気を感じ取り、愛想笑いを浮かべて場を収めようとした。「鈴木さん、申し訳ありません。ちょうど裁判が終わったばかりで、急ぎの事務処理が山積みなんです。名刺を置いておきますので、また何かお困りのことがあれば直接ご連絡いただけますか?」そう言って、バッグから名刺を取り出しテーブ
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