自分の世界に土足で踏み入り、自分の庇護下にある存在を脅かした者を、徹底的に排除しなければ気が済まない衝動。 陽向の瞳の奥から、青年らしい瑞々しい光が消え失せ、底知れない深淵が広がっていく。「……お前ら、名前は」 陽向の声が、先ほどよりもさらに一段階、低く沈んだ。 それは、喧騒に包まれていた渡り廊下の空気を、ビリビリと震わせるような、異質な響きを持っていた。 陽向は、右手に持っていたスマートフォンを、男たちの目の前へと突き出した。 画面には、赤い録画マークが点滅している。「な、なんだよそれ。撮ってんのか!?」「さっき、お前が彼女の腕を掴んで無理やり連れて行こうとしたところから、全部録画させてもらった」 陽向の冷たい瞳が、金髪の男の顔を射抜く。 男は慌てて陽向のスマホを奪おうと手を伸ばしたが、陽向はそれを軽く躱した。「無駄だ。データはすでにクラウドに同期されている。今ここでこの端末を壊したところで、何の解決にもならない」「ふざけんな! 消せよ!」「……お前、三年の木崎だな。経済学部の」 陽向は、男が首から下げていたサークルのネームカードを、視線だけで一瞥した。「木崎。……お前がたった今、数分の浅ましい欲求で満たそうとしたのは、自分自身のこれからの数十年の人生だ」「は……? 何言って……」 木崎の額から、じわりと脂汗が滲み出した。 陽向の顔には、怒りも焦りもない。ただ、相手の弱点を正確に把握し、真綿で首を絞めるような、息の詰まる静けさだけがあった。「お前たちが彼女の行く手を塞ぎ、腕を掴んで恐怖を与えた動画。……これを、大学の学生課と警察に持ち込めばどうなると思う? 単なる勧誘の行き過ぎでは済まされない。明確な暴行未遂、あるいは強要の証拠になる」「ぼ、暴行なんて大げさな……!」「大げさかどうかは、第三者が判断することだ。&he
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