病室を支配しているのは、低く一定の駆動音だけだった。 人工呼吸器が規則正しく空気を送り込む音が、深夜の静寂の中で一定のリズムを刻み続けている。 天道征也は、重厚な革張りの椅子に深く身を預けたまま、眠り続ける莉子の指先を両手で包み込んでいた。 微かに残る血の気を感じ取ろうとするかのように、柔らかな指の腹を、親指でゆっくりとなぞる。 指先から伝わってくるのは、ひやりとした、今にも消えてしまいそうな冷たさだ。 十二年。 長い年月が過ぎても、莉子の時間はあのアスファルトの上で止まったままだ。 征也は莉子の手の甲に、そっと唇を押し当てた。 乾いた唇が、滑らかな手の甲に触れた。 当然、返事はない。 窓の外からは、遠くの幹線道路を走る長距離トラックの単調な走行音が、厚いガラス窓を透過してくぐもって聞こえてくるだけだった。 毎日欠かさず取り替えているカサブランカの肉厚な花びらが、空調の微かな風に吹かれて小さく揺れている。 その時だった。 ピーーーーーーッ。 甲高く、耳障りな電子音が、静寂を切り裂いて鼓膜を突き破るように鳴り響いた。 心電図のモニターが、鮮烈な赤色で点滅を始める。 規則正しく波打っていた緑色の線が、不規則な細かな揺れを刻み始める。モニターの警告表示が赤く点滅し、空気が一気に張り詰めた。 息が、止まった。 征也は弾かれたように立ち上がる。 革張りの椅子が後ろに倒れ、ガタンと大きな音を立てて床に転がった。 莉子の手を握っていた征也の指先が、痙攣したように硬直する。「莉子! おい、莉子!」 細い肩を両手で掴み、何度も揺さぶる。 反応はない。 開かれたままの唇からは、人工呼吸器の空気が空しく漏れ出しているだけだ。 征也は枕元のナースコールを、指の骨が鳴るほどの力で何度も叩きつけた。 すぐさまバタンと重いドアが開き、数人の看護師と当直の医師が雪崩れ込んでくる。「天道様、お下がりください!」 医師の鋭い声が響く。 看護師たちがベッ
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