Semua Bab 怖い話まとめ1: Bab 71 - Bab 80

99 Bab

多趣味

 僕は結構熱しやすく冷めやすいタイプで、趣味がコロコロ変わる。 手先が器用で、頭を使うのが好きなので、インドアな趣味をたくさん持ってる。 今までハマってたのはジグソーパズル、裁縫、将棋、読書……。他にもあるけど、書き続けるとキリがないので、この辺で。 父は幼い頃に亡くしているので、片親だからか、僕は母によく懐き、ことあるごとに母に趣味を明かしていた。 久しぶりに会った友達とも、よく趣味の話をする。 その時に高確率で不可解なことがある。不可解というか、ちょっと気味悪いというか……。「最近○○にハマっててさ」と言うと、必ず「✕✕も好きだったな」と言われる。 その✕✕は話した相手によって違うんだけど、共通点がある。✕✕に当て嵌まる人は、全員他界している。 母いわく、父も読書、ジグソーパズルが好きで、その数年後に亡くなった祖父は将棋が好きだったそうな。 でも、この辺ならまだ分かる。身内だし、「遺伝だよね」って話だろうし。 友達や同僚に話した時に返ってくる「✕✕も好きだったな」は、僕の知らない人がほとんどで、薄気味悪い。「誰それ」と聞くと、知らない人の名前が返ってくる上に、「○年前に死んだけど」と言う。 これが常識なのか、周りがおかしいのか一時悩んでた時期があって、知恵袋で相談したことがあるけど、ほとんどの人が「おかしい」と答えていた。 やっぱりおかしいことなんだと安堵し、ネットで友達を作るようになった。 趣味の話になると、彼らも「✕✕も好きだったな」と言う……。 モヤモヤする程度で不幸ってほどじゃないけど、これも呪いの1種なんじゃないかと思い始めている。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-21
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トナラー

 トナラーって時々話題になるよね。電車やバスとか、トイレの個室とか。たくさん空いてるのに、わざわざ隣に来る人のこと。 これは私が異常なトナラーに会った話。 私はマンションの角部屋に住んでて、隣は空き部屋で割と快適だった。その空き部屋の入居者が決まって、挨拶しに来てくれた。「初めまして、隣に引っ越してきたAです。よろしくお願いします」 Aは小柄で可愛い系の女性で、見た目年齢は20代半ば。第一印象は礼儀正しくていい子。 Aとはそれなりに付き合うようになって、時々お茶をする仲になった。別の地方に住んでたけど、ストーカーから逃げてここに来たらしい。 休日、ひとりで散歩して、ひと休みしようとベンチに座る。しばらくボーッとしてると、隣に誰か座る気配がした。横目で見るとAで、私は彼女に挨拶をした。「○さんだったんですね、気づきませんでした」 Aは人懐っこい笑みを浮かべ、軽く雑談した後別れた。 その日からAはよく私の隣にいる。ひとりでカフェにいる時も、電車やバスに乗ってる時も。 極めつけはトイレで、ショッピングモールのトイレに行ったら、隣に人が入る音がした。ここはトイレが10個くらいあって、私が入った時は2つしか埋まってなかったのに。 トイレから出ると、少し遅れて私の隣からも人が出る。「もしかして、○さん?」 振り返るとAがいた。「奇遇ですね、こんなところで」「そうですね……」 なんだか気味が悪くて、適当に話を切り上げ、手を洗ってから気分転換に服を見ることにした。 お気に入りのショッピングで服を見てると、隣から「この服可愛い!」と聞こえた。横目で見るとAで、私は服を戻してそそくさと帰る。 どう考えてもおかしい。Aは私のストーカーなんじゃないのか? けど、同じ女性だから訴えにくいし、誰に相談していいのか分からない。それに、ただ隣にいることがやたら多いだけで、危害を加えられた訳ではない。 その後も外に出るとAと遭遇したり、同じタイミングでAと部屋から出て鉢合わせたりするようになった。 やっぱりAは私のストーカーだと確信してきた頃、マンションの管理人に呼び出された。「こんな話、あまりしたくはないんだけどねぇ……」 管理人のお爺さんは、どこから話すか考える素振りを見せてから口を開く。「何があったんですか?」「その、Aさんが、あなたにストー
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-21
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エリーゼの呪い

 あなたの地域の時報メロディーは何かしら? 今は変わってしまったけど、私のところは午後3時になると、「エリーゼのために」が流れていたわ。 その頃のお話を聞いてくださる? あれは私が小学生の頃ね。覚えてる限りでは、12時にメリーさんのひつじ、15時にエリーゼのために、17時は覚えてないけど、なにか流れていたわ。 朝7時にもなにか流れていたそうなのだけど、小学生の頃、その時間は慌ただしく食事や登校準備をしていたので、気づきませんでしたわ。 もしかしたら、7時ちょっと過ぎに起きていたのかも。 誰が言い出したのか、「エリーゼのために」だけ、不吉な話がありましたの。それもふたつも。 ひとつは「最後まで聴くと死ぬ」というもので、もうひとつは「1日に3回聴くと死ぬ」というもの。 どちらにしても死ぬと言われてたわ。 どっち派か別れていましたけど、いつの間にか皆、「1日に3回聴くと死ぬ」方を信じるようになりましたわね。 「最後まで聴くと死ぬ」の対処法は、曲が流れているどこかで、腹の底から声を出して叫ぶことでしたの。自分の叫び声で、音を聴かないようにしようって作戦でしょうね。 なにせ曲全体を聴いたら死ぬということでしたから。 けど、それなら既に地域の人達ほとんどが死んでることになるでしょう? だから、「1日に3回聴くと死ぬ」が主流になりましたのよ。 確か、夏休みだったかしら。友人たちと児童館で遊んでいましたの。しばらく経ったら、時報メロディーが流れてきたのですけど、エリーゼのためにだったので、全員で時計を見ましたわ。 児童館には建物の中にも外にも時計がありましたから。 でも、不思議なことに12時でしたわ。 お昼なので家に帰って、ごはんを食べました。 そうそう、児童館で遊んでいた子達ですけど、私、Aお姉様、隣の家の姉妹のBとC。そして少し離れたところに住んでいるDの5人でしたわ。 私の家とお隣の家は、午後1時から一緒に隣町のプールに行くことになってましたの。ウォータースライダーや回るプールがあって、とても賑やかですのよ。 私達は予定通りプールへ行き、17時過ぎまで遊びましたわ。別の地域なので、時報メロディーは違うものでしたわね。15時はロンドン橋落ちた、17時は知らない曲でしたの。 家に帰ると、お祖父様が渋い顔をしていましたわ。お母様が聞いてみ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-21
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霊感スマホ

 スマホを拾っただけなのに、散々な目にあった話。 バイト帰り、夜の10時過ぎ。ひとりで夜道を歩いてると、街灯に照らされてる落とし物があった。黒いスマホだ。スマホケースも防護フィルムもない無防備なスマホ。 今時珍しく、ロックもかかってない。届ける前に好奇心で見てみたけど、アプリはひとつだけ。 普通、買いたて新品でも必要最低限のアプリが入ってるだろ? カレンダーとか、天気予報とか電卓とか。 電話もメールもない。検索バーでさえ。 初期のままであろう、水色の画面には、現在時刻とひとつのアプリだけ。アプリの名前は幽霊スコープ。 話のネタになるだろうと思い、スマホを持ち帰った。 翌日、仕事場に行き、休憩時間に空き部屋にいるオカルトマニアの同僚に、スマホを見せた。「なんだこれ、面白いの拾ってきたな、お前!」 同僚は興奮しながらスマホを見る。「ちょっとアプリ起動してみろって」「どうせなんにもねーだろ」「わかんないぞ」 俺自身も気になってはいたので、仕方なく乗ってやってるのを装い、幽霊スコープを起動させた。 カメラのように、レンズが映したものを画面に映す。カメラと違うのは、シャッターや他の機能が見当たらない。「カメラっぽいな」「なぁ、それなんだ?」「それって?」「お前の指でなんか隠れてるように見えるんだけど」 指をどかすと、小さな黒い丸があって、丸の中には白い文字で除霊と書かれている。「ますますおもしれー! それ持って心霊スポット行こうぜ!」「嫌だよ。あ、まって。なんか映った」「なになに?」 スマホが映しているのは空き部屋の隅っこ。赤いもやのようなものが映っている。「そういや昔、ここで死んだヤツがいるって部長が言ってたな。この部屋、エアコンないだろ? 真夏にここで社員が荷物の整理してたんだけど、窓開けるの禁止、水分補給も禁止。おまけに休憩も禁止でさ。熱中症になって死んじまったんだって」「うわ最悪――。お前なんでそれ知っててこんなところで休憩してるんだよ」「人が来ないからだよ。ちなみに死んだ社員に命令したヤツはクビになったらしいぜ」「クビになっても浮かばれねぇだろ。って、うわ! なんか近づいてきてる!」 俺は慌てて除霊ボタンを押した。すると赤いもやは煙のように消えていった。「すげぇ! さっきの幽霊で、本当に除霊できたんじゃねぇ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-21
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隠し井戸

 俺はどこにでもいる煩悩まみれの大学生。去年の夏、金持ちの家で住み込みでバイトをしてたんだけど、それがとんでもないところだった。 遊びたい盛りの俺は常に金欠で、稼いでも稼いでも酒に消えてた。特に夏は遊びたいだろ? だから時給のいいバイトを探してたんだけど、苦労はしたくなくてさ。 そしたら先輩がいいバイトを紹介してくれることになった。 仕事内容は掃除で、金持ちの家で住み込み。持ち物は3日分の着替え、水着。その他日常に必要なもの。「なんで水着なんすか?」「去年もバイトしてたんだけどさ、庭にでっかいプールがあるんだよ。そこ、自由に使っていいんだってさ」「マジっすか? 最高じゃないですか」「だろ? 報酬もめちゃくちゃいいんだよ」 先輩は得意げに言う。そんな言い方をされると、俺も期待する。「え? いくら? 時給2000円とか?」「いや、1ヶ月で100万円」「100万!?」 こんなにうまい話があるだろうか? 普通の人は疑うんだろうけど、俺はバカだから最高としか思わなかった。 大学の休みは7月末から9月末までの2ヶ月間。つまり、200万も手に入る。俺は即答でOKした。 先輩は眼の前でその家にメールで連絡した。5分もしないうちにメールが来て、見せてくれた。 夏休みが始まる日に大学前まで迎えに来てくれるらしい。持ち物は先輩が言ったように、3日分の着替え、水着、日常生活で必要なもの。 当日、俺はリュックに着替えと水着、ノートパソコン、充電器を詰めて大学前に行った。先輩は先に来ていて、俺を見つけると手招きする。「いよいよっすね。そういえば仕事って何するんすか?」「それは向こうの人が説明してくれる。俺は説明するなって言われてるんだよね。でも、気にしなければ、いい仕事だよ」 何を気にしなければいいのかは分からないし、聞いても教えてくれなかった。 迎えの車はすぐに来た。黒塗りの高級車で短めのリムジンって感じのやつ。車種は分からないけど、席が3列分の長さ。窓もドアも3つあった。 中に入るとよく冷えたドリンクや軽食があって、好きに飲み食いしていいって運転手に言われたので、俺と先輩は遠慮なくいただいた。 2時間近くかかってついたのは、映画やドラマで見るような豪邸だ。庭も馬鹿みたいに広くて、噴水なんかもある。 豪邸に入ると天井がめちゃくちゃ高くてさ。普通
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-21
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お洒落好き

 幽霊系の話だけど、たぶん怖くない。というか、結構シュール。 俺のいとこに、ヘアメイクの仕事をしてるヤツがいる。おれより3つ上で、姉のような存在だ。 しばらくは貧乏生活だったいとこだけど、実力を認められ、今では引っ張りだこで、貯金も順調に貯まっていった。 いとこには夢があった。一軒家を購入して、練習部屋を持つこと。その願いが叶い、俺は引越の手伝いをすることになった。 中古の家をリフォームしたらしくて、見た目は昔ながらの瓦屋根の家だけど、中は今時の美容室みたいな部屋がある。それが練習部屋だ。 練習部屋にはドレッサーであってるのか? 美容室にある鏡と椅子があって、椅子にはマネキンの体が座っている。 壁際には収納棚があって、マネキンの頭がずらりと並んでいる。ヘアセットしたい頭を、体にくっつけて練習するらしい。 何度も荷物を運びに出入りしていると、女の霊がいることに気づいた。 女の霊って言うと、赤か白のワンピースにボサボサの頭ってイメージが強いけど、女子高生の霊だ。ブレザーの制服を着崩し、手首にはヘアゴムが何本かひっかけてある。髪はサラサラのロング。 女子高生は興味深そうにマネキンを見ていた。 いとこは心霊系の話が苦手なので黙っていることにした。  しばらく女子高生の霊を観察していると、いとこのヘアセットに興味津々で、ロングのマネキンでヘアセットをしていると、真似をしようとするけど、いとこの手際が良すぎて真似できず、がっかりしていた。 なんとかこの霊の力になれないかと、俺なりに考えてみるけど、残念ながら思い浮かばない。「もっと自分の宣伝とかしてみたいんだけど、なにかいい方法ないかな」 手伝いのお礼として、ファストフード店でごちそうになっていると、いとこが相談を持ちかけてきた。俺は霊のことを思い出し、ひとつ、ひらめいた。「動画やってみたら?」「動画?」「そう。初心者でもできるヘアアレンジを教える動画。それで知名度上がってきたら、教室開くとかさ」「いいね、それ。教室はやるか分かんないけど、動画やってみる」 食べ終わると、さっそく動画撮影に付き合わされることになった。仕事一筋だったいとこは、趣味が動画漁りの俺にコツを聞きながら、ヘアアレンジの説明をしていく。 横目で女子高生を見ると、嬉しそうに真似をしてた。 ヘアアレンジと撮影が終わる
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-21
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お喜憑様

 俺の地域には、オキツネ様がいる。といっても、狐ではない。字は「お喜憑様」と、当て字っぽい。お喜憑様がどんな姿をしているのかは知らないが、この地域ではずっと昔から祀られている。 文字通り、喜んで取り憑く存在で、困った人に取り憑いては、ピンチを切り抜けてくれるという。 俺もお喜憑様に助けられたことがある。 中学生の頃、俺はいじめられていた。内容は覚えてないけど、課外学習で自然豊かな場所に行き、大人の話を聞いて、昼は皆で弁当を食べる。 午後は自由時間で、敷地内を自由に歩き回る。ほとんど遠足みたいなイベントだった。 自由時間、俺はいじめっ子に追いかけ回され、急斜面ギリギリまで追い詰められた。3人に囲まれて逃げ場はないし、後ろには垂直に近い急斜面。 いじめっ子達は石や棒切れを持っていて、「ここから飛び降りろ。じゃないとこれを全部お前にぶつける」と言う。 ひとりは野球部だったので、この言葉が余計に恐ろしかった。「そら、毛虫だ!」 ひとりが猫じゃらしを俺に投げつける。虫嫌いを俺はビビりまくって急斜面に落ちた。けど、痛みはない。というか、意識が消えた。 気づいたら俺はいじめっ子3人の上に座っていて、ボロボロのいじめっ子達は泣きながら謝っていた。 俺は何がなんだか分からず、とりあえず3人の上から退くと、救急車のサイレンが聞こえる。サイレンはこちらに向かってきてた。 先生と数人の生徒が来て、目を丸くするが、俺といじめっ子3人を救急車に乗せた。 救急隊員が来て、俺の体の状態を見てる時に、あちこち痛むのに気づいて自分の体を見ると、制服はところどころ擦り切れてて、傷もたくさんあった。 後から先生やクラスメイト達から聞いた話だが、クラスメイトのひとりが、俺が急斜面から落ちるのを見つけ、先生に知らせてくれたらしい。あの斜面から落ちたら間違いなく骨折はしてるだろうと思い、急いで救急車を呼び、施設の管理人さん、先生、クラスメイト数人が駆けつけてくれた。 たまたま近くにいた隣のクラスのヤツが言うには、俺は急斜面に落ちた後、勢いよく登ってきて、3人をコテンパンにぶちのめしたらしい。 医者は解離性障害の可能性があると診断したが、家族は「お喜憑様が守ってくれた」と言っていた。 相手がいじめっ子だったとはいえ、人を傷つけてしまったのは事実なので、しばらく精神科に通院したり
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-21
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ママ

 いつまでも上がらない給料やパワハラで病んだ私は、仕事を辞めて実家に帰り、心療内科に通院することになった。 働けなくなった上に、家の手伝いすらできない自分を責めたり、ほとんど寝たきりになってつらかった。 病んでるせいか、母に甘えるようになったんだけど、自分でもおかしいなって思うことがひとつ。 私は子供の頃、母のことを「お母さん」と呼んでたし、中学生あたりからは母の名前はりつ子なので、りっちゃんと呼んでいました。 なのに、母が恋しくなると、心の中で「ママ」と呼んでいたのです。 1年半くらい経ってだいぶ良くなってくると、外出できるようになりました。それでも働けるほどの元気はありません。 そういえば、踏んだり蹴ったりだったなと思い、厄落としをしてもらおうと、有名な神社に予約をしました。 当日、母とほとんど旅行気分で神社に行くと、神主さんは私を見るなり、顔をしかめて、「必要なのは厄落としではなくお祓いですね。私の専門ではありません。専門の方をお呼びしますので、少々お待ちを」と言って、どこかに言ってしまいました。 30分もすると、プリン頭でガラの悪い青年が着て、私達の向かいにあぐらで座ります。後から神主さんが来て、「見た目は不良ですが、Sさんは専門の方ですので」と言った。 Sさんは母に出ていくように言い、神主さんに何かを持ってくるように言いました。聞き取れなかったので、何かは分かりません。「あの――、私に霊が憑いてるんですか?」「あぁ、憑いてる。っつっても、悪霊の類じゃない」「え? じゃあなんなんですか?」「子供の霊だ。弱ってるアンタに共鳴して憑いてきたんだろうな」 子供の霊と言われて納得し、母をやたら恋しがること、ママと呼んだことないのに、そう呼びたくなってしまうことがあることを話しました。「あぁ、そのせいだろうな。その子は寂しがってる」 Sさんが言い終わるのと同時に、神主さんが入ってきて、私達の前に真っ白な徳利とお猪口を置きました。 Sさんは手のひらサイズの壺を徳利の隣に置き、お経らしきものを唱えると、壺から白い粉をひとつまみ、お猪口に入れました。 徳利からお猪口に注ぐと、私に呑むように言います。 何かは分かりませんでしたが、一気に飲み干すと、独特の苦みのしょっぱさがあります。数秒遅れて胸が焼けるような感じがしました。「あの、これ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-21
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強い子

 僕には霊感があって、霊の姿を見ることはできるけど、祓うことができない。霊は目が合うと嬉しくなるのか、取り憑いてくる。取り憑かれると体調が悪くなるので、祓い師さんのところに行って祓ってもらってる。 高校で一緒になったSくんも霊が見えるらしくて、意気投合した。Sくんは僕と違って、見た目が派手で、僕と違う世界の人だと思ってたから、彼と仲良くなるのは以外だった。 Sくんは家の方向が一緒で、よく一緒に帰ってるんだけど、その日、朝通れた道が工事中になって通れないので、仕方なく別の道を通って帰ることにした。その道はやたら事故が多いので避けてたけど、他にないので、渋々通る。 案の定、そこそこの数の霊がいて、僕らに取り憑いてくる。「なぁ」「取り憑かれちゃってるね。いつもお世話になってる祓い師さんのところに行こう」「あぁ、前に言ってたな」 僕らは足早にその場を去り、祓い師さんのところに行った。 インターホンを押す前に、祓い師さんは玄関の戸を開けて、僕らを見るなり、「随分連れてきちゃったねぇ」と苦笑する。「あの、こっちは友達のSくんで、僕と同じく見える人なんです。Sくんのも祓ってくれませんか?」 祓い師さんはSくんを頭のてっぺんからつま先まで見ると、にこっと笑い、「あぁ、この子は強い子だから、私が祓ってやるまでもないね」といい、僕に取り憑いていた霊を祓ってくれました。 心配してSくんを見ると、自分の肩を叩いてました。まるで落ち葉や雪をはらうみたいに。Sくんに取り憑いていた霊はそれだけで消えてしまったのです。「私なんかよりも、ずっとずっと強いようだ。いい友達を持てたねぇ」 祓い師さんは嬉しそうに行ってました。 その後、Sくんに色々聞いてみると、まだ学生なのに祓い師として仕事をしていると言うのです。「自分で祓えるのに、なんで僕と一緒に祓い師さんのところに行ったんだ?」「会ってみたかったから」 ただそれだけだったみたいです。 それ以来、僕に霊が取り憑くと、Sくんが祓ってくれてたので、快適な学校生活を送れました。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-21
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フツツキ

 最近田舎へ移住する人が増えてますよね。私もそのひとりです。 生まれも育ちも東京なのですが、のんびり屋さんの私には、忙しない都会は合わなくて、海が見える田舎町でのんびりしたいなと思い、ある離島に移住しました。 距離の近さに驚きはしましたが、皆さんいい人で、分からないことがあれば優しく教えてくれました。 引っ越してきたばかりで、荷解きをしてると村長さんが来て、木彫りの鳥をくれました。細かいところまで丁寧に彫られてて、今にも動き出しそうなほどリアルです。「ありがとうございます。これはなんですか?」「フキツツキといって、不吉なものをつついて退治してくれるんだよ。よく見えるところに飾って、大事にするんだよ」「分かりました」 ひとり暮らしでテーブルを広く使えるので、フキツツキを自分が座る席の向かい側に置きました。「よろしくね、フキツツキさん」 指先で撫でてから、荷解きを再会しました。 離島での生活はとても快適で、毎日人々に触れ合いながらゆっくりできて幸せです。若者たちは通販で買ったものがすぐに届かないのが不便だって言ってたけど、私は元々通販は使わない人なので、不便に感じることは特にありませんでした。 島やフキツツキに愛着が湧いた頃、島中が騒がしくなりました。Aさんの家の周りに人が集まって、皆何かを恐れているような顔をしています。 何があったのか聞いても、誰も教えてくれません。喋りかけたけど、私だと気づくと、口を噤んでしまうのです。 私自身はすっかりこの島に馴染んだつもりでいたのですが、島の人達はそう思ってなかったんだと、ショックを受けました。「あーあ、せっかく移住してきてくれた人を仲間外れにしちゃって。教えてあげるからおいで」 声をかけてくれたのはBさんという若い男性です。私は26歳なのですが、私より少し上に見えます。Bさんはこの島で生まれ育った人で、お嫁さんと二人で暮らしています。 既婚者男性の誘いで家に行くのは悪いことのように思えましたが、何があったか知りたくて、ついていくことにしました。 Bさんの家に入ると、奥さんが窓際の椅子に座り、海を見ながら紅茶を飲んでいました。白いロングスカートがよく似合う綺麗な人で、とても絵になります。「ただいま。やっぱり移住者さんハブってたわ」「おかえり。でしょうね。さぁ、そこに座って」 奥さんに言わ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-21
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