私が生まれ育ったのは、少し寂れた都会って雰囲気の街。色んなお店があるから結構快適だけど、トラウマがあったため、私は高校を出ると県外に就職した。 親友のAがこの街のどこかで事故にあって亡くなった。ずっとここにいたら立ち直れないと思って、大学に行かず、就職を選んだ。 お盆や年末年始も実家に帰らずにいたけど、冬に父さんが入院したと連絡が来たから、仕方なく帰省した。 でも父さんが入院したのは嘘で、私に帰ってきてほしかったからだったみたい。腹は立ったけど、逃げてばかりもいられないと思って、3日間生まれ故郷に滞在することにした。 街を歩いてみると、あの頃とほとんど変わってない。懐かしみながら歩いていると、真冬だというのに、陽炎が見えた。しかも、陽炎の中に死んだ友人がいる。 友人はどこかを指さしていた。何故かその方向にいかなければならないと思い、友人が示す方向へ歩く。 その後何度か陽炎と共に友人が出没しては、どこかを指さしていた。 たどり着いたのは私の家や学校とは反対方向のコンビニ前にある横断歩道。「ここだよ」 声のする方を見ると、親友は道路のど真ん中に立っていた。信号が青になってることを確認してから駆け寄ると、彼女はにやりと笑う。「ここで死んだんだよね」 冷たい声に背筋が凍るのとほぼ同時に、全身に衝撃が走り、そのまま意識を手放した。 気がつくと私は病院のベッドの上にいた。 母さんと何故か隣の家のおばさんが、目覚めた私を見て喜んでる。 話を聞くと、隣のおばさんが救急車を呼んだり、母さんに私が事故にあったことを知らせてくれたらしい。 おばさんいわく、コンビニから出たら私が青信号の前で止まってて、赤になった途端、嬉しそうに笑いながら渡って、車に轢かれたらしい。幸い車ははやめにブレーキを踏んでくれたみたいで、骨折などはしてなかった。 念の為に数日入院して様子をみることになった。 もしおばさんの話が本当だったら、彼女は私を恨んでたのだろうか? それとも、ひとりが寂しくて私を――?
Last Updated : 2025-12-21 Read more