当時高校3年生の私には、妹がいた。妹と言っても血の繋がりはない。かといって、戸籍上の付き合いもない。 妹、イオとは、チャットで知り合って意気投合して、メールのやりとりや電話をするようになっていった。 ネット上の家族ってやつ。 私とイオは別の県に住んでるけど、電車に乗れば会いに行ける距離だったので、数ヶ月に1回会って、一緒に遊んでるような仲。 ネットで知り合ったからこそ、お互いの年齢を気にせず、本音で話し合えた。周りは馬鹿にするだろうけど、私にとってイオは大事な家族。 確か、秋頃だったかな。まだ暑さが残ってて、アイス食べたいって思ってたの、覚えてる。 帰りに自転車を押しながら、イオと電話して、家族や学校の愚痴を言い合ってた。「あ、今鳥居見えるわ。石造りの灰色のやつ」「え? マジで? 私も見える。左側にあるわ」 なんとなく目についたものを言うと、イオも同じものが近くにあると言う。しかも、私の方も左側にあるんだよね。 数分話した後、さっき同じものが見えたのが面白くて、視界に入ったチェーン店の名前を言うと、イオのそばにもそのお店があるって言うの。 それから数分話しては、目についた特徴的な建物を言うというのを交互に繰り返した。 4回くらい言い合ったかな。そしたら全部一致。「不思議なこともあるねぇ」 イオの声が電話口の他に、近くで聞こえた気がした。見回すとイオがいた。イオも私に気づいて駆けてくる。「え、嘘!?」「なんでなんで!?」 驚いたけど、当時の私達は、それはもう孤独なリアルを送ってきてたもので、驚きよりも嬉しさの方が勝って、気づいたら抱き合ってた。 ちなみに私とイオの住んでる場所がどれくらい離れてるかというと、電車を2,3本乗り継いで、ふたつの県をまたぐ。といっても、またぐ県は両方ともすみっこを通るだけなんだけど。 私達は近くの公園でずっとおしゃべりしてた。 放課後だったこともあり、すぐに日が暮れて、帰らなくちゃって思った。イオもどうやって帰るんだろうって。 そしたら急に抗えないほどの睡魔が来たの。 気がついたら私は部屋にいた。ガラケーで日時を確認したら、間違いなくイオと会って喋ったのは今日だった。時間はもうすぐ19時。 どうしても夢とは思えなくて、イオに電話した。「もしもし?」「あの、変なこと言うかもだけど」 そう
Terakhir Diperbarui : 2025-12-21 Baca selengkapnya