「ふふ、これでもう心配ないでしょ? ずっと一緒にいられるんだから。ねえ、ユウヤ、もう一回……ちゅってしていい?」 彼女は期待に満ちた瞳でユウヤをじっと見つめ、ゆっくりと顔を寄せてくる。街は何事もなかったかのように静まり返り、二人の間には甘やかな空気だけが漂っていた。 二人の仲を深める穏やかな対話が続き、ユウヤは新たに授かった飛行スキルを試しながら、サーシャと共に夜の風を切って屋敷へと舞い戻った。 だが、玄関をくぐり抜けた瞬間、ユウヤは違和感に足を止めた。 窓から差し込む月明かりの角度も、屋敷の静まり返った空気も、あの大騒動から何時間も経ったはずの今とは、明らかにかみ合わない。(あれ? あんなにゆっくりとサーシャと過ごしていたのに、魔石の研究をし終わった頃の時間じゃん)「時間が、おかしいんだけど?」「えへへ……♪ もっとゆっくり過ごしたいんだもんっ」 サーシャはユウヤの腕に全体重を預けるようにして、楽しげに笑った。彼女は二人きりの時間を延ばすために、王都全体の時間だけでなく、局所的な時の流れさえも弄っていたらしい。「まぁ……良いけど。サーシャの部屋も用意しないとだな」「ん? ユウヤと一緒で良いよ」「ダメだろ……」「いやぁっ。一緒がいいっ! 夫婦だよっ」 サーシャは子供のように首を振って、ユウヤの服の袖をぎゅっと握りしめた。その瞳には、一分一秒たりとも離れたくないという、切実なまでの独占欲が滲んでいる。「あ……そっか。でも……ミリアがヤキモチを妬くと思うぞ」「それはナイ。ナイ。わたしは、わたしだし」 サーシャは自信満々に言い切り、全く気にする様子もない。彼女にとって、他の誰がどう思おうと、自分とユウヤが夫婦であるという事実に勝る理はこの世に存在しないのだ。「でも、他の人を巻き込まないようにな~?」「はぁ~い♪」 サー
Last Updated : 2026-01-16 Read more