All Chapters of 異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい3: Chapter 31 - Chapter 40

54 Chapters

31話 同室の宣言、独占欲と銀髪の猫

「ふふ、これでもう心配ないでしょ? ずっと一緒にいられるんだから。ねえ、ユウヤ、もう一回……ちゅってしていい?」 彼女は期待に満ちた瞳でユウヤをじっと見つめ、ゆっくりと顔を寄せてくる。街は何事もなかったかのように静まり返り、二人の間には甘やかな空気だけが漂っていた。 二人の仲を深める穏やかな対話が続き、ユウヤは新たに授かった飛行スキルを試しながら、サーシャと共に夜の風を切って屋敷へと舞い戻った。 だが、玄関をくぐり抜けた瞬間、ユウヤは違和感に足を止めた。 窓から差し込む月明かりの角度も、屋敷の静まり返った空気も、あの大騒動から何時間も経ったはずの今とは、明らかにかみ合わない。(あれ? あんなにゆっくりとサーシャと過ごしていたのに、魔石の研究をし終わった頃の時間じゃん)「時間が、おかしいんだけど?」「えへへ……♪ もっとゆっくり過ごしたいんだもんっ」 サーシャはユウヤの腕に全体重を預けるようにして、楽しげに笑った。彼女は二人きりの時間を延ばすために、王都全体の時間だけでなく、局所的な時の流れさえも弄っていたらしい。「まぁ……良いけど。サーシャの部屋も用意しないとだな」「ん? ユウヤと一緒で良いよ」「ダメだろ……」「いやぁっ。一緒がいいっ! 夫婦だよっ」 サーシャは子供のように首を振って、ユウヤの服の袖をぎゅっと握りしめた。その瞳には、一分一秒たりとも離れたくないという、切実なまでの独占欲が滲んでいる。「あ……そっか。でも……ミリアがヤキモチを妬くと思うぞ」「それはナイ。ナイ。わたしは、わたしだし」 サーシャは自信満々に言い切り、全く気にする様子もない。彼女にとって、他の誰がどう思おうと、自分とユウヤが夫婦であるという事実に勝る理はこの世に存在しないのだ。「でも、他の人を巻き込まないようにな~?」「はぁ~い♪」 サー
last updateLast Updated : 2026-01-16
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32話 神の加護と少女の独占欲

「そこは素直に謝るよ……ごめん。でも忙しかったんだよね……見てて分かってるよね?」「まぁ……忙しそうにしてたよね。うぅん……キスをしてくれたら許してあげるっ♪ ユウヤから、まだキスをされてないし」 サーシャは期待に満ちた瞳でじっとユウヤを見つめ、小さな唇を少しだけ突き出してみせた。 女神様に自分からキスをするなんて、不敬どころの話ではないかもしれない。だが、本人がこれほどまでに熱烈に求めているのだ。 ユウヤは覚悟を決め、彼女の透き通るような白い肌に顔を近づけようとした。 サーシャをじっと見つめると、陽の光を吸い込んだ銀髪がさらさらと輝き、その美しさに息を呑む。 彼女は俺と同じ金色の瞳をそっと閉じ、期待に胸を膨らませるように、微かに肩を震わせていた。 その可愛らしい表情に鼓動が早まるのを感じながら、俺は緊張で強張ったまま顔を近づけた。 真っ赤な頬に、ちゅ♡と軽く音を立てて唇を落とす。「もおっ! 頬じゃないよっ! こっち~っ!」 案の定、サーシャは目を開けるなり不満そうに声を上げた。 彼女は自分の唇を可愛らしく突き出し、そこを指差しながら抗議してくる。「ん~ホントに良いの?」「夫婦なんだから、良いに決まってるでしょ~はやくっ♪」 サーシャの熱い催促に押され、俺は改めて彼女の顔を引き寄せた。 触れれば壊れてしまいそうなほど、ぷるん♡とした柔らかい唇。 覚悟を決めて重ねた瞬間、サーシャの細い腕がするりと俺の首に回された。 そのままぐいっと引き寄せられ、深く、甘く、唇を吸い上げられる。 頭の芯が痺れるような、全身の力が抜けてしまいそうなほど気持ちの良いキス。 潤んだ瞳で俺を見つめる彼女の余裕たっぷりの表情を見て、俺は思わず眉をひそめて不満そうな顔をした。(……俺がキスをしたはずなのに、完全にサーシャにリードされちゃってるじゃん)「ふふっ♪ ユウヤ、顔が真っ赤だよ? すっごく可愛かった~」 サーシャ
last updateLast Updated : 2026-01-17
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33話 創造主と歩む夜、不敬な牙を剥く愚者たち

「むぅ……今は、わたしの時間だぞ~。まあ、初日で動揺してるみたいだから仕方ないか……先に部屋で待ってるっ。ちゅ♡」 サーシャはユウヤの頬に軽く唇を寄せると、名残惜しそうに腕を解き、リビングを後にした。  彼女の姿が見えなくなった瞬間、それまで静かに微笑んでいたミリアの瞳に、パッと眩い光が戻った。「はぁ……そんなに目の前でベタベタされますと、妬けてしまいますわっ!」 ミリアは待ってましたと言わんばかりに、ユウヤの隣に飛び込むようにして座ってきた。その勢いと、少し潤んだ瞳に、ユウヤは心底ホッとした息を吐き出す。「お。いつものミリアに戻ってるね」 隣から伝わる温もりと、少しだけ拗ねたような彼女の匂い。  女神との契約や世界の修復といった非日常から、ようやく自分の知る温かな日常に戻ってきたことを実感し、ユウヤはミリアの肩をそっと抱き寄せた。「はい? わたしはいつも通りですが……いつもと違いました?」 ミリアは小首をかしげ、不思議そうにユウヤを見上げた。どうやら、サーシャがいた間の自分の反応については、彼女自身あまり自覚がないらしい。 ユウヤは愛おしさがこみ上げ、ミリアの柔らかな肩を抱き寄せると、そのまま彼女の体を倒して自分の膝の上に寝かせた。「どうしたのです? 恥ずかしいですわ……」 唐突な膝枕に、ミリアの頬が瞬く間に赤く染まる。けれど、拒むような素振りは一切見せず、どこか期待に満ちた瞳でじっとユウヤを見つめてくる。「ん~今日はミリアを触ってない気がしてさ」 ユウヤがそう言いながら、細く柔らかな金髪を指でなぞり、優しく頭を撫でる。手のひらから伝わるミリアの体温が、先ほどまでの激動の一日の疲れを癒やしてくれるようだった。「えへへ……♪ 気にして頂いて嬉しいですわっ♡」 ミリアは蕩けるような笑顔を浮かべ、幸せそうに目を細めた。彼女の純粋な愛情に触れ、ユウヤの心にも穏やかな平穏が戻っていく
last updateLast Updated : 2026-01-18
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34話 創造主の眼差しと、震える略奪者たち

「ねえ、ユウヤ。この人たち、何をするつもりなのかなぁ?」 サーシャは怯えるどころか、まるで珍しい動物の生態を観察するかのように、目を輝かせて男たちを見つめていた。「さあ……デートの邪魔をしに来た、礼儀知らずな連中なのは確かだね」 ユウヤは静かに一歩前へ出た。隣でサーシャが「ねえねえ、どうやってお仕置きするの?」と、楽しそうに袖を引いてくる。 六人の男たちは、自分たちが今、この世界の創造主と、その女神に命を捧げた男を相手にしているとは夢にも思わず、ゆっくりと武器を抜き放った。「ねぇ……ユウヤどうする?」 サーシャが俺の腕に顔を寄せ、上目遣いで覗き込んできた。夜風に乗って、彼女の銀髪から甘い花の蜜のような香りがふわりと鼻腔をくすぐる。月光に照らされた彼女の肌は陶器のように滑らかで、戦慄を覚えるほどに白く、美しかった。 「は? 「どうする?」って、サーシャの世界だろ?」 「わたしの世界だけどさ、ユウヤならどうする?」 彼女は楽しそうに金色の瞳を細め、俺の胸元に指先を滑らせた。腕に押し当てられた吸い付くような柔らかい感触と、指先から伝わる微かな熱量。周囲を囲む男たちの殺気とは対極にある甘い安らぎが、俺の意識を支配していく。 「う~ん……盗賊なら捕まえるかな?」 「盗賊じゃなかったら?」 「でも……悪そうな人だし。危害を加えて来たら、捕まえるかな……」 「そっか……ユウヤが捕まえる?」 俺たちの密やかなやり取りを、自分たちへの侮辱と受け取ったのだろう。男たちの顔が怒りで赤黒く染まり、荒い呼吸と共に、胃を焼くような濁った酒の臭いが漂ってきた。「テメェら、ナメてんのか!」という怒声が、静まり返った石壁に反響し、重苦しく鼓膜を震わせる。 一人の男が、鞘から錆びついた剣を乱暴に引き抜いた。それは月明かりを鈍く反射して不気味に輝き、男たちはじりじりと、獲物を追い詰める獣のように包
last updateLast Updated : 2026-01-19
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35話 創造主の権能と、ひれ伏す騎士たち

 「なにそれ……すごい便利じゃんっ。どうやるの?」 「え? ユウヤも出来てたでしょ? ミリアちゃんの護衛に同じ様なのを使ってたのを見たけど?」 サーシャに指摘され、ユウヤは記憶を探る。確かに、以前迫りくる脅威からミリアを護るために放った、あの肌を刺すような圧力のことだろうか。 ん?……あぁ~殺気のこと?ここで殺気を出すのは、流石に刺激が強すぎて不味いと思うけどなぁ……。 ユウヤは、震えを止めることができずに涙を流している男たちを見下ろした。彼女の「睨み」がもたらした恐怖の余波が、まだピリピリと大気を震わせている。「殺気の事?」 ユウヤは、腰を抜かして震え続ける男たちを見やりながら首を傾げた。確かに自分も戦いの中では鋭い気配を放つが、サーシャのそれはもっと根本的で、抗いようのない絶対的な圧力のように感じられた。「殺気は周りに迷惑じゃないかな~ユウヤが殺気を出したら町の皆が驚いちゃうよ~あはは♪」 サーシャは鈴を転がすような声で笑い、ユウヤの腕を再びぎゅっと抱きしめた。彼女の髪から漂う甘い香りが、凍り付いたような路地の空気をわずかに和らげる。 やっぱり殺気じゃないのか。じゃあ……闘気? 威圧?「睨むんだよね? 威圧かな? 震えてるし……」「う~ん……ちょっと違うかな~でも同じ様な感じか……力の差を分からせる感じかなぁ」 彼女は人差し指を顎に添えて、可愛らしく小首をかしげた。力の差。それは人間同士の格差ではなく、深淵を覗き込んだ時に感じるような、根源的な畏怖に近いものなのかもしれない。「練習しなきゃ出来ないか……教えてくれる?」「うん。良いよ~♪ 一人解除しようか。はい」 サーシャがぱちんと指を鳴らした瞬間、それまで泡を吹いて倒れていたリーダー格の男が、びくりと肩を跳ねさせて意識を取り戻した。男は血走った眼で周
last updateLast Updated : 2026-01-20
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36話 創造主と囲む食卓、月夜に響く二人の笑い声

  混乱しかけたユウヤだったが、彼女が以前言っていた言葉を思い出し、すぐに得心がいった。 あぁ~「わたしは、わたし」ってヤツね……。  彼女がこの世界の理そのものである以上、この街の住人にとって彼女が「敬うべき高貴な存在」として認識されているのは、もはや書き換えられた事実なのだろう。 隣で再び俺の腕を確保し、満足げに微笑むサーシャ。 彼女の銀髪が月明かりを浴びてキラキラと輝き、まるで最初からこの夜景の一部であったかのように馴染んでいた。「そんな便利な能力があったら、初めから使ってればよかったのに」  ユウヤは、手際よく盗賊を連行していく警備兵の背中を見送りながら、思わず苦笑いを漏らした。 彼女がその気になれば、この世界のあらゆる問題は一瞬で解決してしまうのではないだろうか。「だって~勝手に呼んじゃうと仕事のジャマになっちゃうしさ……」  サーシャは申し訳なさそうに眉を下げ、俺の腕をぎゅっと抱きしめた。 伝わってくる彼女の体温はとても温かく、全知全能の神というよりも、周囲を気遣う心優しい少女のようだった。「でもさ、警備兵の仕事じゃん?」「そっか~、普段はあまり手出しをしないようにしてたからさ~」  彼女は夜空を見上げ、遠くを見つめるような眼差しをした。 その仕草に、彼女が気の遠くなるような長い年月を、ただ一人でこの世界を見守り続けてきた孤独が透けて見える気がした。「なんとなく分かる気がする」  世界を観察して、なるべく手を出さないように調整をし、世界のバランスが崩れるような大きな問題が起きないようにしているのだろう。 彼女にとっての「干渉」は、平穏な水面に石を投じるようなものなのかもしれない。  それでも今は、その理を少しだけ横に置いて、俺の隣で一人の女性として歩いてくれている。 ユウヤは、自分を頼もしげに見つめるサーシャの小さな手を優しく握り直すと、再び活気を取り戻した夜の通りへと歩き出した。「さすが~♪ もう行こっ。デートの続きしよ」  サーシャは弾んだ声で言いながら、俺の手を引いて再び歩き出した。
last updateLast Updated : 2026-01-21
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37話 創造主の演技指導、林に響く甘い悲鳴

「すごぉい……っ! 本当にユウヤと二人きりなんだね……♪」  テーブルに並んだ料理を前に、サーシャは宝石を散りばめたように瞳を輝かせている。俺も前世を含めて、こんなデートらしいデートは経験がない。胸を突く緊張感と、それ以上に込み上げてくる純粋な嬉しさに、少しだけ手が震えるのを感じながら、俺は彼女の向かい側に腰を下ろした。「うわぁ~♪ ホントにデートだね~すごいっ。すごいっ♪」  テーブルに並んだ料理を前に、サーシャは子供のように椅子の上で体を揺らして喜んでいる。月明かりが木の葉の隙間からこぼれ落ち、彼女の銀髪を幻想的な光の粒で飾っていた。「デートって、こんな感じじゃない?」「うん。うん。こんな感じだよね。でも林の中で、こんな事をしてる人は滅多に見ないけどねっ。最高♪」  彼女の弾んだ声が、静かな夜の森に心地よく溶け込んでいく。せっかくの時間をモンスターや不届きな人間に邪魔されたくなかったので、俺は周囲を多重のバリアで覆った。結界の中は、風の音さえもどこか優しく響いている。  この世界ではピクニックってしないのか?まあ……モンスターや猛獣が出るし、山や林でわざわざ食事をする奴なんていないか。でも「滅多に」ってことは、変な奴はいるんだな。冒険者の恋人同士か、それとも畑仕事の合間に外で食べる人か。いや、それはデートとは言わないか。「さ~食べちゃおっか」「いただきま~すっ♪」  サーシャは丁寧に手を合わせると、まずは串焼きの肉を一口、幸せそうに頬張った。じゅわりと溢れる肉汁に、彼女の薄桃色の唇が艶やかに光る。「味は、どうかな?」「うん。うん。美味しいよ~ユウヤと一緒だと更に美味しい♪」  咀嚼しながら目を細め、蕩けるような笑顔を向けてくる。その仕草があまりに可憐で、俺は自分の分の料理を口にするのも忘れて見惚れてしまった。  本当にご機嫌だな。楽しそうに笑う彼女を見ていると、俺の心まで温かい何かに満たされていく。前世では味わえなかった、誰かと「美味しい」を共有する時間
last updateLast Updated : 2026-01-22
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38話 創造主の誤算、最強種の心臓を抜く者

  俺は目前まで迫った人形のモンスターを視界に捉え、その体内にある魔石だけを標的に定める。そのまま「強制回収」のイメージで収納スキルを発動させた。  シュン、と小さな空間の歪みが鳴る。モンスターの核であった魔石が瞬時に俺の収納内へと移動し、動力源を失った人形は、糸が切れたようにその場に崩れ落ちた。乾いた音を立てて転がる木屑と布切れの残骸を、夜風が静かに撫でていく。「ん?あれ?何したの?」  サーシャは目を丸くして、倒れたモンスターと俺の顔を交互に見つめた。 「怯えて助けを求めるヒロイン」という設定も忘れ、素の好奇心が顔を出している。「あ、モンスターの魔石を強制収納したんだけど……」「へぇ~おかしな使い方を考えたね~すごいっ」  サーシャは感心したように声を弾ませ、驚きと喜びを混ぜたような表情で俺を見上げた。彼女にとってさえ、概念的な干渉ではなく、純粋な「収納」の応用で命の核を抜き取るという発想は新鮮だったのかもしれない。  まあ……こんな使い方をする奴は他に居ないだろうな。そもそも異空間収納を使える人間自体が稀だし、それを戦闘中の精密射撃のように使うなんて。あ、目の前にいる神様なら、もっととんでもないことができるんだろうけど。「離れた場所にある物も収納できるからさ~試しに強制的に回収してみたら成功したんだよね」「だったら、さっきのドラゴンも倒せたんじゃない?」「あっ!?そうかもね……でも、ドラゴンに効くのかな?」「試してみれば?はい」  サーシャが軽く指を鳴らした瞬間、静寂に包まれていた林の空気が激しく震えた。目の前に突如として立ち塞がったのは、先ほど俺が抗う術もなく命を落とした、あの巨大なドラゴンの姿だった。禍々しい鱗、天を突くような咆哮。そんなに簡単に、死の象徴のような存在を呼び出さないでほしい。「きゃぁ~!助けてっ!ユウヤ~コワイよ~」  サーシャは怯えた表情を作り、俺の腕にしがみついて震える振りをしている。だが、その芝居じみた可愛らしさに翻弄されてい
last updateLast Updated : 2026-01-23
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39話 創造主の涙と、赦しの歩み寄り

「そんなすごいドラゴンを出すなよ……で、このドラゴン貰っても良いのか?素材になるんだろ?」  目の前に横たわる山のような遺骸を見上げ、俺は尋ねた。これほどまでの存在だ。その鱗一枚、牙一本をとっても、この世界の常識を覆すほどの価値があるに違いない。「うん。良いよ~色々と作れるらしいね。でも売っちゃダメだからね~人間には扱い切れないしさ」  サーシャはあっさりと承諾したが、釘を刺すことも忘れなかった。確かに、最古のドラゴンの素材などというものが市場に出回れば、国家間の均衡すら崩しかねない。神の被造物としての力は、時として人にとって毒にもなるのだろう。  俺は頷くと、収納スキルを広範囲に展開した。ズウゥゥ……と空間が震え、ドラゴンの巨体が飲み込まれるように消えていく。後に残されたのは、荒らされた地面と、戦いの余韻を残す冷たい夜風だけだった。 ん~サーシャの考えについて行けない。普通、気軽にお遊びをするのにドラゴンを出すか? まったく……。  ユウヤは呆れを通り越して、心の底から脱力していた。 世界を創った神様としてのスケールなのかもしれないが、人間である俺にとっては文字通り命懸けの「冗談」だ。「分かった……売らない。ドラゴンとか止めてよ?サーシャと別れるからね……」「へ?なんで?嫌いになった?ねぇ?ごめんね?嫌いにならないで……ねぇってば~ユウヤ」  別れという言葉を口にした瞬間、サーシャの顔から余裕が消え失せた。 彼女は青褪めた表情で俺の服の裾を掴み、必死になって縋り付いてくる。 その瞳には本物の動揺と、俺を失うことへの恐怖が滲んでいた。「一緒にいたら殺されそうだし」「ちょっとした冗談だったの……ユウヤとラブラブ……したかっただけなの。ごめんね?助けられて嬉しくて……キュンッ♡ってしちゃったの……」「
last updateLast Updated : 2026-01-24
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40話 偽りの鱗と、創造主の鑑定眼

 危害を加える目的じゃないなら、まあ、これ以上怒る必要もないか。「そうなの? じゃあ帰ろっか……」「ねぇ~嫌わないで? ごめんね?」 サーシャは俺の袖を掴み、上目遣いで不安そうに顔を覗き込んできた。夜風に揺れる銀髪が、彼女の華奢な肩を優しく撫でている。「嫌ってないって……」「なんで……帰ろうとしても止めないのよ? 少しは引き止めてよね……」「帰るって言うから用事が出来たんじゃないの? 引き止めちゃ迷惑でしょ」 俺が淡々と答えると、サーシャはガックリと肩を落とした。「もぉ~……ユウヤは神様の気持ちが全然わかってないんだからっ。用事なんてないよ! 引き止めてほしかっただけなのに……」 彼女はむうっと頬を膨らませると、今度は離さないと言わんばかりに、さっきよりも強く俺の腕に自分の腕を絡めてきた。密着した体温が、冷え始めた夜の空気の中で心地よく伝わってくる。「いい? もう絶対に離れないんだからね」 反省しているのか、それとも甘えているのか。どちらにせよ、彼女の純粋すぎる好意に、俺はもう一度溜息を吐いてから、ゆっくりとその小さな手を握り返した。「わたしが帰っても寂しくないの?」 サーシャは俺の顔をじっと覗き込み、反応をうかがうように問いかけてきた。その瞳には、冗談めかした響きの中にも、本気で俺の胸の内を量ろうとする不安が混じっている。「帰るだけだよね? すぐに戻って来るでしょ? 結婚してるし」「あ、う、うん……そりゃ戻って来るってくるけど……って、帰らないしっ。寂しがらせて困らせようって思って言っただけっ!」 彼女は顔を真っ赤にして、慌てて言葉を繋いだ。どうやら俺を慌てさせて、もっと自分を求めてほしかったらしい。神様というわりには、やってくることがあまりに人間臭くて、思わず笑みがこぼれそうになる。
last updateLast Updated : 2026-01-25
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