その時、静寂を切り裂いて二体の巨躯が爆発的な踏み込みを見せた。巨体に似合わぬ神速。大気を鋭く引き裂く音が遅れて届くほどの速度で、二振りの大剣が俺の急所を目掛けて同時に突き出される。「――っ!」 咄嗟に魔力を展開し、半透明の障壁を眼前へ多層に張り巡らせる。ガキンッ! という耳を劈く硬質な衝撃音とともに、バリアが激しく火花を散らした。 うわっ、早っ……! 今まで戦ってきたどんな魔物とも、攻撃の初速とキレが段違いだ。もし俺が剣一本だけで戦っていたとしたら、一体の突きを弾いた瞬間に生じる隙を突かれ、もう一体の刃に確実に貫かれていただろう。避けることすら困難な、精密で暴力的な同時攻撃。多重バリアという面の防御があって初めて防ぎきれる、死の連撃だった。 障壁越しにダイレクトに伝わる凄まじい振動に、腕の骨がミシリと嫌な音を立てて軋む。だが、その危機的状況とは裏腹に、俺の唇の端は自然と吊り上がっていた。 ……ヤバイな、これ。 背筋を伝う冷や汗が流れる一方で、心の奥底では熱く滾る何かが沸き上がるのを感じる。圧倒的な力を持つ創造主の気まぐれが生んだ、この絶望的なイレギュラー。本来なら恐怖に足がすくむはずの光景だ。だが、今の俺にはそれが、最高に刺激的で面白い遊びのように思えていた。 全身の血が騒ぎ、視界が異常なほどクリアに冴え渡っていく。多重バリアを叩く大剣の重みも、闇に蠢く残りの魔物たちの殺気も、すべてが俺をさらなる高みへと押し上げる糧に変わっていく。 攻勢に転じるべく、俺は魔力の障壁を鋭利な刃の形へと硬質化させ、眼前の個体へ向けて叩きつけた。重い衝撃音が夜の空気を震わせる。モンスターは咄嗟に強固な籠手でガードしたものの、その衝撃に耐えきれず後方へと派手に吹き飛んでいった。 だが、手応えは芳しくない。バリアの斬撃は厚い防具を捉えたに留まり、致命的な深傷を負わせるには至らなかった。 マジか……バリアの直接攻撃ですら、この程度しか効かないのか。 いざとなれば、対象の体内に直接バリアを発生させて内部から破裂させるなり、やりようは
Last Updated : 2026-02-11 Read more