All Chapters of 異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい3: Chapter 21 - Chapter 30

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21話 不屈の向上心、恐怖を乗り越える精鋭の志

 薬の効果もあり、護衛たちの顔にはようやく安堵の色が戻り始めていた。彼らは互いに顔を見合わせ、信じられないものを見たという風に戦慄しながらも、無意識にユウヤから距離を取っている。(……でも、殺気に気付いて即座に動けたんだから、やっぱり凄い人たちなんだよな) ユウヤは心の中で彼らをフォローした。普通の人間なら気付く間もなく意識を刈り取られていたはずだ。 それにしても……と、ユウヤは自分の手のひらを見つめた。殺気だけでこれほどまでに相手を無力化できるとは思わなかった。もし「威圧」や「威厳」といったスキルを意図的に使いこなせるようになれば、無駄な戦闘を避け、睨むだけで争いを収めることもできるかもしれない。(威圧と威厳……。いつか覚えられるかなぁ) そんなことを考えていると、ようやく落ち着きを取り戻した女性の護衛が、背筋を正して深々と頭を下げてきた。「失礼いたしました、ユウヤ様。……そして、このナイフ。先ほどの輝き、確かに私を『何か』から守ってくださいました。このような素晴らしい品をミリア様に……。護衛として、心より感謝申し上げます」 彼女の言葉に、ミリアも再び自分の手元のナイフに視線を落とした。深く、静かに輝く青い魔石は、先ほどまでの激動が嘘のように、今はただ優しく主人の手を照らしている。「……ユウヤ様。このナイフ、一生大切にいたしますわ。わたくしを守ろうとしてくださる、あなたのそのお気持ちと一緒に」 ミリアはナイフを愛おしそうに胸に抱き寄せ、春の陽だまりのような微笑みをユウヤに向けた。 女性の護衛が、さきほどからずっと俺のことを見つめてきている。その視線は射抜くように鋭く、それでいてどこか熱を帯びているようにも見えて……。なに? やっぱり、得体の知れない危険人物だと思われて警戒されているんだろうか。「えっと……なに?」 耐えかねて尋ねると、彼女はハッとした
last updateLast Updated : 2026-01-06
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22話 護衛の畏敬と心からの忠誠

(おおぉ! 大成功じゃん) ユウヤは満足げに息を吐き、張り詰めていた殺気を霧散させた。ドーム状の結界を解くと、そこには驚きに目を見開いたままの護衛が立っていた。 張り詰めていた結界が霧散し、密度を増していた空気がふわりと解けていく。ユウヤは肩の力を抜いてふぅ、と静かに息を吐き出し、先ほどまでの険しい表情を和らげた。「ありがと。それで、どうだった?」 問いかけられた女性の護衛は、呆然とした様子で自身の掌に残る重みを確かめていた。「えっと……一瞬、背筋が凍りつくような鋭い殺意を感じましたが、それは本当に、瞬きをする間の一瞬のことでした。次の瞬間には、まるで春の陽だまりの中にいるような、温かくも力強い何かに優しく守られているような……そんな不思議な感覚でしたわ」 彼女は、刀身に微かな熱の余韻を宿して淡く輝くナイフをじっと見つめ、信じられないといった様子で、感嘆の吐息とともに言葉を漏らした。「大成功だね」 確かな手応えを得たユウヤの口元に、満足げな笑みが浮かぶ。「おめでとうございます、ユウヤ様。歴史に刻まれるような、このような至宝が誕生する瞬間に立ち会うことができて、この上ない光栄に存じます」 彼女は背筋を正し、深く、敬意を込めて一礼した。その真剣な眼差しには、単なる職務上の称賛を超えた、心からの畏敬の念が宿っている。「あ、ありがと。無理な頼みを引き受けてくれて、本当に助かったよ」 真っ直ぐな称賛と敬意を向けられ、ユウヤは少し照れくさそうに指先で頬を掻いた。「お役に立てて、本当に、本当に嬉しいですっ!」 先ほどまでの決死の表情が嘘のように、彼女は頬を林檎のように赤く上気させ、春の陽光のような晴れやかな笑顔を咲かせた。弾むようなその声と、心底嬉しそうに身体を揺らす姿を見て、ユウヤの胸中にも自然と柔らかな灯がともるような、穏やかな安らぎが広がっていった。「俺も訓練するなら、いつでも付き合うよ」「はい。ぜひ、お願いします!」 彼女は弾んだ声で応じ、大切
last updateLast Updated : 2026-01-07
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23話 忘れていた約束

「あ……これ、リビングでやることじゃないわ。ヤバイ、外に出よ……」 黒炎が放つ圧倒的な破壊の気配に、ユウヤは冷や汗を流しながら立ち上がった。このままでは愛着のある家具やカーテンが灰になりかねない。「ちょっと庭に出て、剣の素振りでもしてくるね」「ユウヤ様……もぉ……」 ミリアは呆れたように肩を落としつつも、ユウヤの無鉄砲な行動に溜息をついた。その視線の先では、先ほどの護衛たちが再び戦慄し、慌てて道を開けていた。 ユウヤは炎を吹き上げる剣を慎重に掲げたまま、足早に庭へと向かった。 夜の冷気が漂う庭に出ると、暗闇の中で黒炎はいっそう禍々しく、そして美しく揺らめいている。軽く一振りするだけで、風を斬る音の代わりに「ゴォッ」という低い燃焼音が響き、空気が熱で歪んだ。(……これ、ただの属性剣どころじゃないな。火龍の力は、想像以上だな) ユウヤは柄から伝わる力強い鼓動を感じながら、夜の静寂の中でゆっくりと剣を構え直した。 夜の静寂に包まれた庭で、ユウヤは「収納」から木製の人型の的を取り出し、地面に据えた。手の中の剣は、依然としてどろりとした黒炎を纏い、闇を不気味に侵食していた。シュ…… 鋭く横一文字に振り抜くと、手応えは驚くほど軽かった。  斜めに断ち切られた的は、断面から溢れ出した黒炎に一瞬で包まれ、音もなく崩れ落ちて灰へと変わる。これだけの火力がありながら、不思議と周囲の地面には焦げ跡一つ付かず、ユウヤ自身も熱さを感じなかった。(……なるほど、対象物だけに干渉してるのか) ユウヤは再び新しい的を出し、今度は切っ先で軽く突いた。  刹那、接触した一点から猛烈な勢いで黒炎が広がり、生き物のように的を呑み込んでいく。数秒もしないうちに、そこには何事もなかったかのように夜の闇が戻っていた。「おおぉ。これ、面白いかも……」 
last updateLast Updated : 2026-01-08
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24話 降臨する少女

「……あ、あはは。ごめん、色々とバタバタしてて……」 あまりの豹変ぶりに引きながらも、ユウヤは頬を掻きながら苦笑いするしかなかった。『もう、本当に心配したんだから。こっちではあなたの活躍を、ちゃんと見てるんだからね! でも、声が聞けるのはやっぱり別格ねっ♪』 女神様の浮き足立ったような喜びが伝わってきて、ユウヤの心に微かな罪悪感と、それ以上の妙な親近感が湧き上がってくる。「忙しいんじゃ……?」 ユウヤは気まずそうに問いかけた。先ほどの怒声を聞いた後では、どうしても仕事の邪魔をしているような気がしてならない。「あ、良いの。良いの大丈夫よ♪」 女神様の声は弾むように明るく、先ほどの殺伐とした雰囲気は微塵も感じられない。「忙しいのに、すみません」「それで、そっちは……どんな感じなの? 楽しくやってる?」「お陰様で。ミリアたちと一緒に、無事に生活できてますよ。色々と驚くことも多いですけど」「へぇ~良かったっ♪ だったら、遊びに行っちゃおうかな~」「遊びに来れるんですか? 神様の世界から……」 そんなことが可能なのかと、ユウヤが驚きに目を見開いた時だった。「そりゃ……私が創った世界だよ?」 耳元で、吐息を感じるほど近くから、鈴を転がすような声が聞こえた。「え?」 背筋を氷の粒が走るような感覚に襲われ、ユウヤは慌てて振り向いた。 そこには、いつの間にか一人の少女が立っていた。月明かりを透かしたような神秘的な銀髪は、肩の下でふわりとウェーブを描いて揺れている。清楚な白いワンピースに身を包み、悪戯っぽく微笑むその姿は、この世のものとは思えないほど美しい。 透き通るような肌と、宝石のように輝く瞳。神々しさというよりも、どこか親しみやすさを感じさせる圧倒的な美少女が、ベッドのすぐ傍で小首を傾げていた。
last updateLast Updated : 2026-01-09
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25話 女神の休息、仮面を脱いだサーシャの素顔

「えへへ、だって友達でしょ?」 彼女は上目遣いでケロリと言ってのけるが、友達同士でこんなことをするだろうか。いや、絶対にしないはずだ。ユウヤは混乱の極致に叩き込まれ、ベッドの上で固まってしまった。 女神様なのに、あまりに無防備で、あまりに積極的すぎる。「え!? 友達同士でキスはしないでしょ」 ユウヤが顔を真っ赤にしながら抗議すると、サーシャは不満げに頬を膨らませた。「えー! だって、久し振りに会えたんだよ? つい、嬉しくてさ〜。えへへ……♪」 彼女は照れ隠しのように舌をぺろっと出し、悪戯っぽく笑う。その奔放な振る舞いに、ユウヤは頭を抱えたくなった。「サーシャって、こんなキャラ……だっけ? もっとお淑やかだったような……」 記憶を辿ってみるが、最初に出会った時もどこか抜けているというか、威厳よりも親しみやすさが勝っていた気がする。そもそも、フレンドリーな感じだったからこそ、ユウヤも「友達になってほしい」なんて口にできたのだ。「ん〜、普段はこんな感じだけど? それに友達でしょ? 女神としてここに居る訳じゃないし。いつも女神様をやってるのって、肩が凝るっていうか、本当に疲れるんだよねっ!」 サーシャは大きく伸びをしながら、ベッドの上で足をパタパタと動かした。  どうやら、他の信徒や住人たちの前では「女神」という仮面を被って、お淑やかに振る舞っているらしい。ユウヤの前でだけは、その重たい役職を脱ぎ捨てて、一人の少女……サーシャとして接してくれている。「いつもは女神らしくしてるんだね。俺の時は始めから、そんな感じだったけど……」「それはユウヤが、最初からわたしを『神様』じゃなくて『わたし』として見てくれたからだよ」 サーシャは少しだけ真面目な顔になり、透き通るような瞳でユウヤをじっと見つめた。その眼差しは優しく、そして深い信頼がこもっている。「……まあ良いか。サーシャがここで過ごしやす
last updateLast Updated : 2026-01-10
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26話 最上級の不器用、説明下手な創造主と呆れる少年

「ユウヤ様~久しぶりです♪ それにサーシャ様もお久しぶりです♪ お二人はいつも仲が良いのですね。次は、わたしの番ですよ~♡」 シャルは屈託のない笑顔で、当然のようにサーシャに声をかけた。「分かりましたよっ。シャルちゃん」 サーシャもまた、慣れ親しんだ様子で明るく応じる。「約束ですよぅ~」 シャルは満足げに頷くと、そのまま楽しげにリビングを出ていった。 残されたユウヤは、あまりの出来事に思考が停止し、目を見開いたまま固まってしまった。(ん? え? どういう事? シャルもサーシャと知り合いだったの?) 先ほどまでミリアたちに説明が必要だとばかり思っていたが、シャルは驚くどころか、最初からサーシャがここに居ることを知っていたかのようだった。「ねえ、サーシャ……どうしてシャルが君を知ってるんだ?」 ユウヤが驚きを隠せずに問いかけると、サーシャは抱きついた腕にさらに力を込め、楽しそうにクスクスと笑った。「ふふっ、そんなに驚かなくてもいいじゃない。ね、ユウヤ。それよりお茶、まだかな?」 サーシャはユウヤの困惑をよそに、運ばれてくるお茶を待ちわびるようにテーブルを見つめている。 ユウヤは混乱する頭を抱えながら、この自由奔放な女神と、彼女を当たり前のように受け入れたシャルの関係について、激しい疑問を抱かずにはいられなかった。「え? えっと……サーシャは、シャルと知り合いだったの?」 ユウヤが困惑しながら尋ねると、サーシャは首をかしげて銀髪をさらりと揺らした。「会うのは初めてかな~」「え? 知り合いっぽかったっていうか……すごく親しい仲に見えたけど」 シャルのあの態度は、初対面の人間に向けるものではなかった。まるでもう何度も会っているような、家族に近い親愛の情さえ感じられたのだ。「だから~わたしは、わたしで、それ以外でも、それ以上でも、それ以下でも無いって事だよ」「ん? 意味が分からないんだけど?」
last updateLast Updated : 2026-01-11
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27話 無自覚な告白、可愛くて大切な人への想い

 サーシャの銀色の睫毛が揺れ、穏やかな慈愛の光がその瞳に宿る。二人の間に流れる時間は、神と人という境界を超え、ただの親しい友人同士の温かさに満たされていた。「でも、どうして俺には甘いんだ?」 ユウヤがふとした疑問を口にすると、サーシャは少し視線を泳がせながら、さらに腕への抱きつきを強めた。「それは……外見は、わたし好みにしたしぃ……。それにユウヤを創ったのは、わたしの尊敬する師だからねっ。だから、わたしの力があまり影響しないみたいだね~」「ふぅ~ん……でも姿は別人に変えられてるから、サーシャが創ったと同じじゃないの? それに、スキルとか色々とさ」「ん~外見はね。スキルとかは、オプションみたいな物だし。魂まではイジれなかったしね」 サーシャは、どこか遠くを見るような瞳で語った。彼女にとってユウヤは、自らの手で整えた存在でありながら、同時に神としての干渉を超えた、対等な魂の持ち主でもあるのだろう。 そんな穏やかな会話を遮るように、突如として空気が震えた。 ズゥゥゥンッ……!! 凄まじい轟音と共に、足元の地面から突き上げるような衝撃が走る。窓の外が、一瞬にして夕闇を焼き払うような不気味なオレンジ色に染まり、昼間のような明るさに包まれた。続けて、また一回、二回と、大地を揺らす咆哮のような衝撃が押し寄せる。「ちょっと、外の様子を見てくるから、大人しくしててくれるかな」 ユウヤは鋭い目つきになり、すぐさま立ち上がった。平和な邸宅を襲った異変に、冒険者としての本能が警鐘を鳴らしている。「あ、うん。ユウヤも気をつけてよ」 サーシャは少しだけ寂しそうな顔をしたが、素直に頷いて腕を離した。 ユウヤはリビングを飛び出し、夜風が火の粉を運んでくる庭へと駆け出す。視界の先、屋敷の防壁の向こう側で、何かが激しく燃え上がり、巨大な影がうごめいているのが見えた。 屋敷の玄関を飛び出したユウヤは、迷うことなく結界の術式を編み上げ、屋敷全体を強固なバ
last updateLast Updated : 2026-01-12
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28話 静止する世界と時の流れを止める神の領域

「……サーシャ、そこにいて。俺、行ってくるから」 ユウヤは鋭い眼差しを巨大な影へと向け、先ほど作成したばかりの黒炎の剣の柄を、力強く握り締めてドラゴンの元へ走って向かった。 近づくにつれ、その絶望的な大きさが視界を覆い尽くす。一歩歩くたびに地響きが鳴り、ドラゴンの鼻息だけで周囲の荷馬車が吹き飛んでいた。(ちょっとデカすぎじゃないの!? あれに……勝てる気がしないんだけど!)「ユウヤじゃ、アイツに勝てないよ~」 必死に地を蹴るユウヤのすぐ後ろから、のんびりとしたサーシャの声が聞こえた。「はぁ……付いてこないでって言ったよね。サーシャ、ケガするよ! 死ぬかもよ……」 ユウヤは背後の彼女を守るように咄嗟にバリアを張り巡らせると、一気に跳躍した。黒炎の剣を振りかぶり、渾身の力を込めてドラゴンの足首へと斬りつける。どろりとした黒炎が刀身から溢れ、ドラゴンの硬質な鱗に接触した。 だが、手応えは皆無だった。黒炎は鱗の表面をなめるだけで、傷一つ付けることができない。それどころか、羽虫に触れられた程度の刺激に、ドラゴンがその巨大な頭をこちらへ向けた。 黄金の瞳が、ユウヤとサーシャを真っ向から捉える。(ん~、これは不味いかも……もしかしたら、ヘルフレイムで倒せるかもとか思っていたんだけどなぁ……) ドラゴンの喉の奥が、熱を帯びて赤く発光し始める。次の瞬間には、すべてを焼き尽くすブレスが放たれるだろう。ユウヤは歯を食いしばり、隣に浮いている少女を振り返った。「悪い……サーシャ、守りきれないかも」「そっか……」 サーシャは怯えた様子は無く、表情を変えることも無く、ユウヤを見つめて微笑んでいた。(さすがだな……こんな状況でも余裕ですか。) 死を目前にした極限状態だというのに、彼女の周囲だ
last updateLast Updated : 2026-01-13
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29話 分体の譲渡と女神が下した「嫁入り」の決断

「……婚約者のサーシャを、王都を守らなきゃって思って……」 掠れた声で正直な想いを口にすると、サーシャは一瞬、驚いたように目を見開いた。「まったく~無理をするね。でも、嬉しかったよ。初めて、守ってもらったしな~。ちょっとキュンっ♡って、しちゃったっ♪」 彼女は少女のように頬を染めて、えへへと嬉しそうに微笑む。「そんな、呑気なことを言ってて良い時なの……?」 ドラゴンの咆哮が至近距離で轟き、地面が激しく振動する。命を奪い合う戦場の只中だというのに、彼女の周りだけが、どこかピクニックにでも来ているかのような穏やかさに満ちていた。「そうだよね……アイツ、ちょっと……邪魔でウルサイわよねぇ……」 サーシャがふっと視線をドラゴンへと向けた。その瞬間、彼女の纏う空気が一変した。優しげな少女の面影の奥から、全てを統べる絶対者の、底知れぬ威圧感が溢れ出す。「創造主のわたしに対して……敵意と殺意を剥き出しにして、攻撃をしてくるバカなヤツは、要らないわよ……」 彼女が静かに、ドラゴンに向けて白く細い指先を突き出した。 その指先から、パチンコ玉ほどの小さな光の粒が放たれる。音もなく夜の空を滑った光弾が、ドラゴンの眉間に吸い込まれるように着弾した。 ――刹那。 爆発も、断末魔すらもなかった。山のような巨躯を誇っていたドラゴンは、光が触れた箇所から、まるで陽炎のように揺らぎ、霧が晴れるように静かに、この世界から消滅した。 後に残されたのは、ただ静まり返った夜の静寂と、美しすぎる女神の微笑みだけだった。「えっと……なに、その次元の違う強さは……まるでチートじゃん!」 呆然と夜空を見上げながら、ユウヤは乾いた笑いを漏らした。あんなに苦労して、命まで投げ出す覚悟で挑んだ相手が、まる
last updateLast Updated : 2026-01-14
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30話 復元の光と指先一つで巻き戻された王都の惨劇

「嫌な訳ないじゃん……可愛いし俺も好きだよ。うん」 ユウヤが腹を決めてそう告げると、サーシャの顔がパッと花が咲いたように明るくなった。女神様と結婚なんて、冷静に考えれば全く想像がつかない。この世界の理はどうなるのか、神としての公務(?)は大丈夫なのか。不安は尽きないけれど、目の前でこんなにも無邪気に喜ぶ彼女を見ていると、そんな悩みはどうでもよくなってくる。「じゃあ……今から夫婦だねっ♡」 サーシャは感極まった様子で、膝枕をしていたユウヤの首筋に抱きついてきた。普通なら、教会での儀式や親族への挨拶、煩雑な手続きがあるはずだ。だが、この世界において彼女以上の権威など存在しない。「あ……うん。お願いします。って、そんな簡単でいいの?」「この世界の創造主が認めたんだよ? 他に誰に認められれば気が済むの?」 サーシャは当然だと言わんばかりに、得意げに人差し指を立ててみせた。神の承認こそが絶対。彼女自身が「いい」と言えば、それがこの世界の真実になるのだ。「そっか。それで、能力って?」 ユウヤが先ほどの言葉の続きを促すと、サーシャは意味深に微笑んで、ユウヤの胸元を指先で優しくなぞった。「そんなに焦らなくても大丈夫っ。時間はたっぷりあるんだし、ゆっくり教えてあげるから。……わたしの分体そのものをあげるんだから、ユウヤの体にも色んな変化が起きるはずだよ?」 彼女は耳元で悪戯っぽく囁き、熱い視線を送ってくる。この世界のこともまだ十分に理解できていないのに、女神様の領域の話なんてさらに分かるはずがない。「……まあ、サーシャがそう言うなら、そういうもんなのか」 未だにサーシャに膝枕をされていて、その太ももの驚くほどの柔らかさと、包み込まれるような心地よさに、ユウヤはつい起き上がるタイミングを失っていた。「遠慮しなくて良いのに~、まだ起きちゃダメ!」 サーシャは、ユウヤの髪を愛おしそうに指で梳きながら、離したくないと言わんばかり
last updateLast Updated : 2026-01-15
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