麗華の的確すぎる指摘に、会場にいたファッション関係者たちが、ハッとしてドレスの裾を食い入るように見つめ、次々に納得の声を上げ始めた。「……確かに、裾のラインが波打っている」「シフォンの縫い代が表に響いてるぞ……あれじゃ素人の仕事だ」 ざわめきが、急速に剣吾への不信感へと変わっていく。 麗華はつまんでいたシフォンを汚いものでも捨てるように放り投げると、冷たい視線で剣吾を見下ろした。「あんたの服作りは、ただ高い布を切り刻んで、スパンコールという名の接着剤でごまかしているだけ。そこには、着る人間の体温も、骨格も、呼吸すらも計算されていない」「だ、黙れ……っ! 警備員! この女をつまみ出せ!」 パニックに陥った剣吾が叫ぶが、誰も動こうとはしない。いや、私の着ているミッドナイトブルーのドレスの放つ異様なまでの美しさに魅了され、誰も麗華の言葉を止めることができなかったのだ。 麗華はステージの端まで歩み寄り、私を、そして私が着ているドレスを指差した。「これを見なさい。これが『真のドレス』よ。シルクの落ち感だけでボディラインを構築し、一針の歪みすら許さない、ミリ単位のドレープの調整。……この服はね、着る人間の呼吸に合わせて生きているのよ」 私は静かに息を吸い込んだ。 その胸の動きに合わせて、ドレスの布地が滑らかに滑り、照明の光を波のように反射させる。 締め付けられている感覚は全くないのに、私の身体は誰よりも美しく、気高く見えているはずだ。それが、麗華の指先が作り出した魔法だった。「……服を愛していない人間に、ファッションを語る資格はないわ」 麗華のその言葉は、かつて彼女が最も見下していたはずの『服への愛情』そのものだった。 どん底の縫製工場で、油に塗れ、爪を割って、血を滲ませながらミシンに向かっていた日々。虚栄心をすべて剥ぎ取られ、残った純粋な執念だけが、彼女を真のクリエイターへと昇華させたのだ。 剣吾は膝から崩れ落ちるように後ずさり、背後の壁に背
Baca selengkapnya