All Chapters of 運命の輪~愛してる~: Chapter 81 - Chapter 82

82 Chapters

もう一つの出会い3/サイドストーリー 蓮

「どうした?黒崎?なんか良いことがあったのか?」  退勤時、緑川さんに話しかけられる。「いえ、特に何もないんですが……。どうしてですか?」「なんか表情が柔らかいというか……」「そうですか?」  自分では自覚はしていなかった。  ただ、今朝の女の子のことを考えると心が落ち着くような気がする。 それから一週間ほど時間が経った。  あの朝からあの子に会うこともない。  短期間のうちに見かけたのは単なる偶然、そんな風に思っていた。 その日、違う取引先に行っている緑川さんと途中で合流し、次の取引先に向かおうとしていた。   「まだ約束までに時間があるから、珈琲でも飲んで行かないか?おススメの珈琲店があるんだよ」    連れて行ってもらったのは、落ち着いた雰囲気の昔ながらの珈琲専門店だった。 ガヤガヤしているチェーン店のカフェより、こういう雰囲気の店の方が好みだ。「お前、珈琲好きだろ?ここの珈琲、美味いんだよ」  緑川さんの後ろに続いて、店に入る。   「何名様ですか?」「二名です」「こちらへどうぞ」  若い女性店員に案内をされる。  聞いたことがある声、そう思って店員を見ると、この間の彼女だった。    思わず、立ち止まってしまう。「どうした?」  緑川さんに声をかけられる。「いえ……」 席に案内され、注文をする。  緑川さんおススメのブレンド珈琲を注文した。 注文を聞きに来たのは、彼女ではなかった。  思わず、店内にいる彼女を探してしまう。「お待たせいたしました」 珈琲を運んできたのも彼女ではなかった。  ふと前の席を見ると、彼女が注文を聞いていた。  なぜか残念な気分になる。 珈琲を飲んでみると、確かに美味しかった。「美味いだろ?」「はい」 もともと珈琲は好きで自分の家でも飲んでいるが、やはり専門店のようにはいかない。 美味しいと思いながら、ゆっくり珈琲を飲んでいた。   そんな時ーー。 <ガシャン!!>「熱い!」 珈琲カップが床に落ちて割れる音と、男性の悲鳴が聞こえた。  珈琲をこぼした拍子に、カップも床に落としてしまったようだ。「お客様、大丈夫ですか?」  すかさず近くにいた彼女が男性客に声をかけていた。「大丈夫なわけないじゃん。熱いよ。何か持ってきて!」  自分で
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もう一つの出会い 最終話 サイドストーリー 蓮

 彼女は一瞬、なぜ知っているのだろうという驚いた表情をした。 「ご心配をおかけして申し訳ございません。大丈夫です。ありがとうございます」  にこっと笑い、一礼をして席から離れて行く。 話しかけた時に目がしっかりと合ったが、彼女は何も言わなかった。  俺のことは覚えていないみたいだ。「えっ、あの子、火傷してたの?」  火傷をしていたように見えなかったため、緑川さんは驚いている。「たぶん……」    商談の約束の時間になったため、俺たちも退店をした。  会計を担当してくれたのは、彼女だった。 もう一言、何か話したい。  そう思ってしまった。   「すみません、お手洗い借りていいですか?」「はい、どうぞ。奥の右手側です」「黒崎、外でちょっと待っててくれ」  会計を済ませたあと、緑川さんはトイレに行くと言って俺から離れた。 話したいと思っていた彼女と二人きりになれた。 「良かったら、そちらのソファにおかけください。外は、雨が降りそうですので」  外を見ると、曇り空が広がっていた。「ありがとうございます」「いえ、ありがとうございました」  一礼をして、彼女は仕事に戻ろうとフロアーへ向かって歩こうとしている。「あの……」  俺は彼女を呼び止めていた。「無理をしないでください」  何を言っているのだろう、自分でもそう思った。 しかし彼女は 「ありがとうございます。お優しいんですね」  そう言って微笑んでくれた。 優しい……?  そう言われたのは、久しぶりだ。 彼女はフロアーに戻って行った。そんな彼女から目が離せない。「待たせたな!さあ、行くか?」  緑川さんが戻って来て、取引先に向かう。    また会いたい、そんな気持ちが込み上げる。  はじめての感情だ。 その日の商談も上手くまとまり、珍しく定時にあがれ、帰宅をした。 誰もいない、ただ広いだけの部屋、ソファに座り、考え込む。  あの喫茶店に行けば、彼女と会えることがわかった。  しかし、自分の感情がわからない。  恋愛感情……というものなのだろうか?  それから三日後、偶然彼女を見かけることになる。  駅前に続く道で、学校の資料か何かを落してしまったらしく、拾っていた。 「また会えた……」  急いでその場に向かい、資料を拾うのを手伝
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