All Chapters of 運命の輪~愛してる~: Chapter 51 - Chapter 60

68 Chapters

旅行 7

「蓮さんとこうやってお風呂に入れて、なんだか嬉しいです。最初は緊張しましたけど。蓮さん、長く入っていますが、大丈夫ですか?のぼせたりしてません?」 私のことを待っていてくれた彼は、私より遥かに長い時間入っているはずだ。お風呂の中でもたくさん話しちゃったから。大丈夫かな?「ええ。大丈夫です。そろそろあがります。美桜と綺麗な夜景を見ることができて良かったです」 その時、ふと優菜の言葉を思い出した。《一緒のベッドで寝たのに、キスだけって……。蓮さんが可哀想》 蓮さんは普通にお風呂からあがろうとしているけれど、一般的な男女の場合、このまま何もせずに終わる方が不自然なのかな。 私がいやらしいことばかり考えすぎ? 男性経験がないため、全然わからない。 そういえば、二人きりなのにここではキスもしていない。 海辺では、蓮さん、キスしてくれたのに。  もしかして、私に魅力がないから!? いや、きっと蓮さんはただ一緒に夜景を見ることが目的だったから、そういったことは考えていなかったのかな。 私に気を遣ってくれてる? いろんなことを一瞬にして考えちゃった。 私が蓮さんともっと触れたいだけかもしれない。 もっと求めてほしいって思っているから、こんなこと考えちゃうんだ。「蓮さん!」「はい?」 蓮さんはキョトンとして、どうしたんですか?と不思議そうにしている。 お風呂の中で少し移動をして、蓮さんに触れられる距離まで移動をする。 私は身体を伸ばして彼の顔を手で包み、チュッと軽くキスをした。「美桜……?」「私、蓮さんになら……されても怖くありません。それか、私って女性としての魅力が足りませんか?」 こんなストレートな質問、蓮さん困るかな。 ないですなんて、思っていても蓮さんの性格なら言えないよね。 彼の動きが止まる。「美桜と一緒に夜景を見ることが目的でしたので、ここでもし変なことをしたらマナー違反かと思っていました。でも、そんなことを考えさせてしまってすみません。答えを言うのであれば……」「きゃっ!」 彼はお風呂の中で、私を少し強引に抱きかかえた。 そして私の顎を上にあげ、キスをする。「んん……!」 優しいキスではない。 彼の舌が私の口の中に入ってくる。 舌と舌が絡まる。「はぁっ……」 吐息が漏れる。 お風呂に入っているた
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旅行 8

 私は自分の荷物の中から、包装されたボックスを渡した。「どうぞ」 「ありがとうございます。開けてもいいですか?」 私が頷くと、蓮さんはその場でボックスを開けてくれた。  私が蓮さんにプレゼントしたものは「ネクタイ……。嬉しいです。ありがとうございます」「ネクタイなら仕事でも使えるし、何本あってもいいかなって思って」  私が旅行に行く前、優菜と下着を買いにお店に行った時に、優菜にも付き合ってもらいながら、付き合って一カ月記念のプレゼントを探した。 蓮さんにはいつも何かしてもらってばかりだったから、私からも一カ月記念日を口実に何か渡したかった。 結局、蓮さんからもプレゼントをもらっちゃったけれど。「初めて男の人にプレゼントをするから、デザインとか色とか悩みました。でも、蓮さんが青が好きだって言っていたから青を選んだんですけど、大丈夫でしたか?」「はい。会社に行く時、着けて行きます。好きな子からのプレゼントってこんなに嬉しいんですね」  彼はずっとネクタイを見つめていた。 大人のイメージの蓮さんだけれど、それがとても可愛らしく思えた。 女の人からプレゼントとかたくさんもらっていそうなのに。 私から見てもこんなに喜んでくれるなんて、嬉しい。 二人でソファに座りながら話をしていたら、夜も更けた。「寝ましょうか?明日もありますし」「はい」 二人で寝る準備をして、ベッドへ入る。 この後、さっきの続きをするのかな。 期待と緊張でどうしていいのかわからないけれど、とりあえず横になった。  となりには、蓮さんがいる。  いつも一人で寝ているけど、今日は彼と一緒。 彼がとなりにいるときは、安心してすぐ眠ってしまったことが多かった。 けれど今日は、私なりに心の準備はできているつもり。 下着も新しく買った。 なんだかこれじゃあ、やる気満々って感じだけれど。「電気消しますね」 何事もないように、蓮さんは電気を消してくれた。 このあと、何か起こるのかな。 そんなことを考えると緊張で動けない。硬直している。 あれ、何分経ったんだろう。 蓮さんは何も言ってこないし、何もしてこない。 これはやっぱり、私が女性としての魅力が足りないから? それとも、蓮さんにいろいろと任せすぎているから? 私の考えすぎ?はじめてのお泊り
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はじめての夜

「ん……。ん……!!」 唇と唇が何度も合わさる。 部屋の中には、チュッ、チュッという高音のリップ音が響く。 唇が触れたかと思うと、一旦すぐ離れる。 なんだか焦らされているような気がした。  「蓮……さん。もっとして欲しいです……」 上にいる彼と目が合う。「今日は、積極的ですね」「はい」 「怖かったり、痛かったりしたら言ってくださいね?」 そう言うと彼は、私の首筋、耳たぶにキスをした。 「んっ……。あっ……」  彼の吐息もあたり、くすぐったい。 ゾクゾクする。唇の感触が気持ち良い。「はっ……」  蓮さんの手が私の上半身に伸び、服の上から優しく胸を揉まれた。「あっ……!」 恥ずかしい。思わずギュッと目をつぶる。「嫌ですか?」「嫌じゃないです。私、蓮さんにもっと触れて欲しい」 好きだからこそもっと触れて欲しい。 そう思っちゃう。「嬉しいです」 彼は、キスをしながら私の服を捲った。 私の下着が露になる。 蓮さんがそれを見て「俺のこと、考えてくれたんですか?」 下着の色を蓮さんの好きな青にしたからか、そう聞いてくれた。「はい」 私が頷くと「可愛い」 キスをされている間に、ホックを外されていた。 そして、彼の手が直接肌に触れた。 「んんっ……」 キスされながら、ゆっくりを胸を直接揉まれる。 蓮さんの手のひらの体温が直接伝わってくる。 胸のピンク色の先端を蓮さんは指で擦った。「あっ!んんん。蓮さんっ、変な声出ちゃうっ」 こういう時は、声は我慢した方がいいの? 私が手で自分の口を押さえていると、彼が私の手を優しくベッドの上においた。「美桜の声、聞かせてください」 そう耳元で囁かれ、ゾクっとした。 彼は私の上半身の洋服を脱がし、鎖骨周辺から舌で這われ、胸の先端をチュッと吸われた。「あぁっ!ん……。はぁ!」 感じたことがない気持ち良さに、声が止まらなかった。 そのまま胸の突起を口の中に含ませ、チュッと吸われたり、舌で上下に動かした。「あんっ、ああっ……」 片方の胸は吸われ、片方の胸は蓮さんの手の中にある。 優しく揉まれたり、先端を指の腹を使ってクイクイっと擦られる。「んっ!あぁっ……」 はじめての快楽に身体がぴくッと小刻みに反応しちゃう。「美桜。気持ち良いですか?」 蓮
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はじめての夜 2

「蓮さん……っ!お願い……して?蓮さんにも気持ち良くなって欲しいっ」「わかりました。痛かったら、無理しないでくださいね」 蓮さんはどこからか避妊具を取り出し、ピッと袋を破く。 そのあとは蓮さんにキスをされていたから見えなかった。「美桜、力を抜いて?」 彼の声が耳元でしたかと思った瞬間、蓮さんの身体の一部が私の身体に挿ってきた。「あ……!あっ……あ!!」 熱い、こんな感覚初めて。痛い。 グッグッと少しずつ挿ってくるはじめての感覚にどうしたらいいのかわからない。「んっ。んん!」 この感覚がわからなすぎて、涙がこぼれちゃった。「痛いですか?止めますよ」 蓮さんはそんな私の顔を見て、心配そうな顔をしている。「止めないで。蓮さん……。大好き」「俺も……。大好きです」 ゆっくりと蓮さんの腰が動く。 ギュッと私は彼の背中に掴まっていたというよりは、しがみついちゃった。「あっ。ああっ!!」 身体と身体が合わさる音がする。 蓮さんも時折「はっ……」っていう甘い吐息みたいな声を出すから、それがまた艶っぽい。 蓮さんがゆっくり動いてくれたから、痛みは少しずつなくなっていく。 変わりに、子宮の奥を突かれるたびに、声が出た。「ああっ。あっ。蓮さんっ、好きっ」「俺も。美桜の身体、すごく締め付けてきて。もう、ダメかもっ」 少しだけ苦しそうな蓮さんの顔が見えた。 あれ、どうしよう。 なんかキュンっていう気持ち良さがとまらない。 蓮さんは腰を動かしながら、キスをしてくれる。「んっ!ふっ」 舌の感触も柔らかくて気持ちが良い。 唾液がこぼれちゃう。 何も考えられない。「美桜、俺、もう……」「蓮さんっ。私もなんか身体がおかしいっ」 蓮さんの腰の動きが速くなったかと思ったその瞬間、キスしていた舌の動きも止まった。「はっ。はぁっ……」 蓮さんも息があがっている。 彼と交わることができ、また自然と涙が零れた。「蓮さんっ。好き」「俺も美桜のことが大好きです」 頭が真っ白になっちゃって、くたっと身体が動かない。 そんな中、うっすら覚えているのは、蓮さんが濡れているところを拭いてくれたり、飲み物を持ってきてくれたり、身体のことを労わってくれたことだった。 何もできない私を朝までずっと抱きしめていてくれた。 こんな幸せがずっと続けば
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はじめの夜 3

 昨日より、すごいことをするのかな。 想像しただけで、鼓動が速くなる。 こうして、私のいろんな意味でのはじめての夜は終わった。 その後、朝風呂に入った。 もちろん一人で露天風呂に入っている。 蓮さんから「一緒に入りますか?」なんて聞かれたけれど、朝から刺激が強すぎる。 それに昨日は夜で辺りが暗かった。シチュエーション的になんとかロマンチックな気分に浸って、落ち着いていられることができたけれど、朝から蓮さんの裸を見るとか、逆に私の裸を見られるとか、無理だ。 今日まだ旅行が残っているのに何も考えられなくなりそう。「景色、綺麗だな」 昼間見る景色もとても綺麗。 夜とは全然雰囲気も違う。 解放感があった。 海もはっきり見えて、波が揺らいでいるのがわかる。 今日の海ってそんなに荒れてない方なのかな。 ぼんやりとそんなことを考えながらも、今日で旅行が終わってしまうと考えると寂しく感じた。  まだ終わってないのに。ずっと蓮さんといられるから、それが一番だな。 お昼近くにゆっくりと別荘を出発した。 行きたいところは昨日行けたので、あとは帰るだけだった。 観光スポットになっているような道の駅などに寄ったり、お土産を見ながら帰る。 帰り道は、あっという間だった。 ただ、運転をしている蓮さんを見るだけで昨夜のことを思い出し、思わず目を逸らしてしまう。  夜の蓮さんは優しいけれど、雰囲気が違った。  またしたいな。 好きな人とのセックスって、あんなに幸せなんだ。 蓮さんの身体が合わさって、最初は痛かったけれど、ギュってされると嬉しくて。蓮さんの吐息が耳元で聞こえるだけで、気持ちが高揚した。 経験不足で、蓮さんがどんなことをしたら喜んでくれるのか、気持ち良いって感じてくれるのかまだわからないけど、早く覚えたい。  こんなこと考えちゃうのは、変なのかな。「旅行、あっという間でしたね」 私のアパートに着き、荷物を下ろしてもらう。 大した荷物ではなかったが、彼はアパートの玄関先まで運んでくれた。「俺もそう感じています。あっという間でした。正直、もっとずっと一緒にいたいです。また行きましょう」「はい!」 蓮さんが車に乗り、見えなくなるまで見送る。   なんだかすごく寂しい。会えなくなるわけでも、別れるわけでもないのに。 喪
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跡が残るように

 メッセージを開くと<今日会いたい>という蓮さんからのメッセージだった。  いつもなら<今日、会えますか?>って連絡をしてくれる彼だったから<会いたい>普通のメッセージかもしれないのに、何かあったんじゃないのかって不安になる。 蓮さんが私のアパートに来てくれることになった。 私の部屋は狭いから、いつもお泊りする時は蓮さんの部屋だったけれど、蓮さんもこの部屋には何度か入ったことがある。 <着きました> メッセージを確認したすぐあと、アパートのインターホンが鳴る。 ドアを開けると、仕事終わりの蓮さんが立っていた。「お疲れ様です。どうぞ入ってください」 私が声をかけると、蓮さんは「お邪魔します」 いつもより声に元気がないような気がする。 チラッと蓮さんの顔を見ると、少し怒っている? 眉間にシワが寄っている気がした。 あまり見ない彼の表情と雰囲気。 仕事が忙しくて疲れているのかな。 昨日までは普通だったのに。「お疲れ様です。蓮さん、疲れてますか?」「大丈夫です。急にお邪魔してしまってすみません」 なぜだろう。なんだか嫌な予感がした。 今日、ずっと感じていた嫌なことを言われる気がして、肩に力が入る。「夕ご飯、食べましたか?何か作りましょうか?」 蓮さんの言葉を聞きたくなくて、私はいつも通りでいようと思い、彼の雰囲気を気にすることなく、そんなことをたずねてみた。「大丈夫です」 大丈夫って、どっちなんだろう。やっぱりいつもと違う。「どうしたんですか?蓮さん、体調とか。悪いですか?顔色も悪いような気がします」 彼の顔を覗き込む。「美桜は、何があっても俺を信じてくれますか?」「えっ?」 予想していなかった言葉に即答できない。 蓮さんを信じることなんて当たり前だけど。 何があってもって。理由を知りたい。「もちろんです。信じています」 蓮さんは真剣な表情で私を見つめるも、なぜか悲しそうな目をしている。「ありがとうございます」 その後、間があり「しばらく会えなくなるかもしれません。理由は言えないんです」 そう言って、私を抱きしめた。  会えなくなる?忙しいから?別れるわけではないよね? どうしてって言いたくなったけれど、理由は言えないって言われている。 いつもの蓮さんなら、きちんと説明してくれるのに。 
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突然のさよなら 

 蓮さんと会えなくなって、二週間。 毎日やり取りをしていた連絡も、今は一切来なくなった。 私から送る連絡も既読にはなるが、返信がない。電話をかけても折り返しはない。「彼を信じる」とは伝えたけれど、理由もわからず、こんな状況のため落ち着くわけがない。大学がある日は優菜に毎日相談をしてしまう。「今日も連絡がなかったんだよね」「そっかぁ。どうしたんだろうね?黒崎さんもなんか事情があるのはわかるけどさ、一言教えてくれたって良くない?」 優菜の言葉に、私はなんて返事をしていいのかわからない。<蓮さんのことだから、大丈夫>って自信を持って言えればいいのに。 彼と繋がっていた毎日は、なんでもない平凡な日でも楽しく幸せに感じていたのに、正直今は不安という気持ちが一番だ。  蓮さんの声が聞きたい。 連絡が取れない理由を知りたい。 今日はアルバイトもお休みだし、一瞬でもいいから彼に会いたい。<少しだけでもいいので、会えませんか?> 我儘かもしれないが、そうメッセージを送ってしまった。「そのくらい、いいんじゃない?理由を教えてくれない蓮さんが悪いよ」 お昼くらいに送ったメッセージは、夕方になり講義が終わる頃になっても返信はない。「じゃあさ、直接家に行っちゃえば?黒崎さんからいつでも来ても良いって言われていたんでしょ?」 いつでも来てもいいと蓮さんには言われていたけれど。 今は状況が違うような気がして行動に移せない。「私も今日アルバイト休みだし、一緒に付き合うよ!黒崎さんに会いに行こう。親には遅くなるって連絡しとくから!」「えっ?本当?」 一人で行く勇気がなかった。 優菜が一緒なら心強い。「黒崎さん、帰り遅いんでしょ?じゃあさ、とりあえず近くのファミレスで時間を潰そうよ」「うん」 講義が終わり、蓮さんの家の近くのファミレスに移動をして時間を潰していた。 「ねえねえ。美桜、大丈夫?顔色悪いよ」 緊張と不安で押しつぶされそう。 前みたいに普通に話せるかな? 何年も会っていないわけではないけれど、いつもの自分でいられるだろうか。 そんなことを思いながら、ガラスに映る人々を見ていた。 ファミレスの席は窓際だった。 通り過ぎる男女がとても幸せそうに見える。 私もこの前まで、あんな感じだったのかな。蓮さんと並んでいた時、カップルに
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突然のさよなら 2

 あんなところを見て、声をかけられない。 あまりのショックに周りにいる人を考えず、その場に座り込みそうになった。 キスくらいって考えなきゃ。子どもじゃないんだから。蓮さんが他の女の人とキスするなんて。やっぱりもう、私のことなんか好きじゃないのかな。彼女だと思っていないんだろうか。 「大丈夫ですか?」 フラフラしていたのかわかったのか、見知らぬ女の人に支えられた。「あっ、すみません」「おい、花音。なんでそんなに走って行くんだよ?」 女の人の彼氏?だろうか。「具合悪いんですか?大丈夫?」 花音と呼ばれた女の人が私を支えてくれている。「救急車呼ぶか?」 彼氏と思われる人がスマホを取り出す。「気が早いです。お姉さんから話を聞かないと」「あっ。そこまでではないので、大丈夫です。すみません。ありがとうございます。ちょっと精神的に具合が悪くて……」「そうなんですか……」 二人は、私を心配そうに見ている。 良い人たちだな。涙が出てくる。「えっ、どうしたの?私で良かったら、話を聞きますよ?同じ年くらいだし。ねっ?いいですよね?」「お前な、俺はいいけど。勝手に人の事情に突っ込んでいくなよ。迷惑かもしれないってことを考えろ」 この二人みたいに、言いたいことを言い合えることができたら、こんなことにならなかったかもしれない。 私がさっき彼を引き留めて、話を聞けていたら、もしかしたら誤解が解けたのかもしれない。「美桜!遅くなってごめん!混んでて」 優菜が走って来てくれた。「あれっ?どうしたの?」 優菜は状況が飲み込めず、困惑していた。「ちょっと、精神的に具合が悪くなっちゃって。花音さんが助けてくれたの」 優菜が私を支えてくれたため、花音さんは私から手を離す。「ありがとうございました」 二人に頭を下げ、お礼を伝える。「いえいえ。何もしてませんから。お身体、大切にしてくださいね」 そう言って二人は私たちから離れていく。 自然と彼氏さんが花音さんの手を取り、自分のポケットに入れたのが見えた。 いいな。羨ましい。 嫉妬とかじゃない。ただ単純に羨ましいと感じてしまっただけ。 私はもう蓮さんと手も繋げないのかな。 私のアパートに帰り、私の見たことを優菜に話した。 その時には落ち着くことができたから、泣くことは我慢した。「なにそれ
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突然のさよなら 3

「はい」 正直に答えた。<じゃあ、見ましたか?> 何を……と言いかけたが、止めた。 「見ました。女の人と一緒にいるところと……。あと、タクシーに乗る前のことも……」 しばらく無言が続く。 「蓮さん、どうして?連絡を取れない理由も、会えない理由も。今日のことも……」<すみません。言えないんです。もし……。美桜がこの状況を耐えられないのであれば……> ドクンと心臓の音がした。 <別れましょう。それが美桜にとっては幸せかもしれません> 別れる……。 私は、今まで誰とも付き合ったことがなかった。 大好きな人との別れって、こうも突然に訪れるものなの? こんなに簡単に終ってしまうの? 蓮さんは、そんなに簡単に別れることができるの? 頭の中は聞きたいことでいっぱいなのに、蓮さんに聞くことができない。<もう話せる時間がありません。すみません。もし、最後に会った時の言葉を覚えていてくれるのであれば……待ってい……> 電話が途中で切れた。 すぐかけ直したが、再び彼に電話が繋がることはなかった。「別れる……」 涙が頬を伝う。 泣き崩れるしか私にはできない。 蓮さんが言いかけたこと、頭から離れない。 最後に会った時の言葉って、やっぱり「俺のことを信じてください」だよね? 私はどうすればいいのだろう。 別れたくない。でもこの状況がすごく辛い。 彼の言った通り、別れた方がいいの? 彼はさっきの言葉を伝えて、もう別れたつもりでいるの? 何もかもわからない。自分がどうしたいのかも。 それから二週間、三週間と日々が過ぎた。 蓮さんから来ない連絡を毎日待つ日々。 学校にいる時や、アルバイトをしている間だけは彼のことを少し忘れられた。 しかし、家に帰って一人で過ごしているとずっとスマホを見つめてしまう。 蓮さんが買ってくれたネックスレスは、蓮さんから<別れた方が幸せかもしれない>と言われた時、あの日からつけていない。 蓮さんがプレゼントしてくれたイルカのぬいぐるみは机の上にいる。「蓮さん、どうしちゃったんだろうね?」 イルカくんに話しかける寂しい毎日。 その時、スマホが鳴った。  電話だ。 着信先を見る。「えっ。なんだろう?」 何かあったのだろうか、見慣れない着信先の相手と話す。 「もしもし?」<久しぶり。
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突然のさよなら4/自分だったら(蓮side)

「あっ!」 すぐわかった。 スーツ姿の蓮さんがこっちに向かってくるのが見えた。 スマホを見ていて、私には気づいていないみたい。 久しぶりに見る蓮さん。 カッコいいな。 呑気かもしれないけど、そう思っちゃう。 蓮さんが私に気づいて、一瞬、歩くのが止まった。「美桜……?」「蓮さん、ごめんなさい。待ち伏せみたいなことして。こうでもしないと会えないから……」 頑張れ、私。「きちんとさよならを伝えに来ました。あと、蓮さんの家にある荷物を取りに来ました。今日はそれだけで帰るので安心してください」 しばらく沈黙が続く。 蓮さんは、なんて返事をしてくれるんだろう。「わかりました。ここでは人目につくので、荷物もありますし、部屋に来てください」「はい」 私は、彼のうしろをついていく。 蓮さんは、別れたつもりでいたのだろうか。 私が<さよなら>と言っても動揺した素振りさえしなかった。  少しでもいい、寂しそうな顔をしてほしかったな。 私の存在は彼にとって、小さなものだったの?「お邪魔します」 久しぶりに入る蓮さんの部屋。 綺麗に整えられた部屋、何も変わってはいなかった。 忙しさが別れの原因だったら、部屋は散らかっているよね。 女の人の物があったらどうしようとか思ったけど、そんな痕跡もない。 二人で座って過ごしたリビングのソファも、二人でご飯を食べたキッチン前の机も、もうここへ来ることがないと考えるとすごく寂しい。 さよならするって決めたのは私なのに。決心がついたと思ったのに、蓮さんを前にすると心が揺らぐ。  リビングで蓮さんと向き合う。 私のこと、こんなにしっかりと見てくれたのは久しぶりかも。「蓮さん?」「俺は……」 その時、彼のスマホが鳴った。「すみません。電話をしてきます」 そう言って彼は寝室ではなく。珍しくベランダに出て行った。 よほど私に聞かれたくない内容なのかな。 早く蓮さんの寝室にある私の荷物を整理して帰らなきゃ。 そう思い、寝室に入る。 ベッドも何も変わっていない。 ここで蓮さんに慰められたり、抱きしめられたり、キスされたり。 幸せだったな。 もう泣かないと決めたのに、涙が溢れる。 ダメだ、我慢我慢。 私は持ってきたボストンバックに自分の荷物を突っ込んだ。 蓮さんの部屋にあった私の
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