この数日、莉奈は何をするのも億劫になっていた。食べるのも、目を開けるのも億劫で、この世のすべてが自分とは無関係になってしまったかのようだった。聞き慣れた、すすり泣くような声が耳に入るまでは。莉奈はようやく目を開け、ベッドのそばで鼻先を指にすり寄せてくるジャーマン・シェパードを、虚ろな目で見つめた。将軍は舌を出して尻尾を振り、喜びに満ちた目で主人を見つめている。いつもの声で名前を呼んでもらえるのを、今か今かと待っているのだ。けれど、いくら待っても、莉奈がいつもの優しい声で「将軍」と呼んでくれることはなかった。将軍はしょんぼりと頭を垂れ、莉奈の手へさらに近づいた。大きな頭を手の甲にすりつけながら、悲しそうに「クゥン、クゥン」と鳴く。そばで見ていた白崎執事は気をもみ、直哉に言った。「将軍が来れば、お嬢様も少しは喜んでくださると思っていたのですが……」どうやら今の莉奈には、将軍でさえ何の力にもなれないらしい。「承也に言われて、連れてきたんでしょう」将軍が来てもまるで反応を示さない莉奈を見て、直哉は眉をひそめた。白崎執事は黙ってうなずいた。莉奈が再び眠りにつくと、直哉は承也の病室へ向かった。だが、病室に承也の姿はなかった。そのまま振り返ると、承也がちょうどエレベーターから降りてくるところだった。直哉の姿を認めた瞬間、承也の顔色がわずかに変わり、反射的に足を速めた。しかし、直哉が行く手を遮った。「彼女ならもう寝た。今日は別の用があって来たんだ」……莉奈は眠っていなかった。ただ、目を開けた時、みんなが自分の前で無理に平気なふりをしている姿を見たくなかっただけだ。莉奈が目を開けて身体を起こすと、白崎執事がすかさず腕を支えた。「もう少しお休みになっては??」莉奈は答えた。「……眠れないの」声はひどく弱々しかった。白崎執事は鼻の奥がつんとした。莉奈を不安にさせまいと、穏やかな声で提案する。「ずっと部屋にいるせいかもしれませんね。外へ出て、少し風に当たりませんか?」莉奈はうつむき、自分の太ももを軽く押さえた。「たぶん、歩けそうにない」白崎執事はすぐに答えた。「私が何とかいたします」白崎執事はすぐに車椅子を手配してきた。莉奈を抱き上げた瞬間、あまりの軽さにその目がふいに赤
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