その十数枚の写真は、カメラで撮ったものほど鮮明ではなかった。十分にはっきり写ってはいるものの、スマホで撮った写真をプリントアウトしたような画質だった。写真は一枚一枚、薄くラミネート加工されている。小槌が破って口に入れないようにするためだろう。この年頃の子供は、何でも口に入れたがるものだ。写真を貼った人の、細やかな気遣いが感じられた。そしてそれらはすべて、別々の角度から撮られた莉奈の日常の写真だった。将軍を抱きしめてスイカを食べている姿、松風レジデンスの庭で枝を剪定している姿、ダイニングテーブルで朝食をとっている姿、お団子ヘアでソファにあぐらをかき、ノートパソコンを抱えて原稿を直している姿……どの一枚も、いつ、どんなふうに撮られたのか、莉奈にはもう思い出せなかった。ふいに、彼女の視線がある一枚の写真で止まった。ベッドに置かれた細い指が、思わずぎゅっと握り込まれた。これは……莉奈には、かすかな記憶があった――あれは椎名邸で家族の食事会があった日だ。食事のあと、祖母に強く引き止められ、彼女と承也は椎名邸にある二人のための部屋に泊まることになった。なぜ、そこまで鮮明に覚えているのだろう。あの夜は、承也が部屋に戻ってくる前にシャワーを浴び、ソファに横になって一晩やり過ごすつもりでいた。日中ずっと外回りの取材をしていたせいか、その夜はとりわけよく眠れた。ところが翌朝、目を覚ますと、なぜか自分はベッドに寝かされていた。ベッドから起き上がった莉奈は、ベッド脇にもたれてスマホをいじっていた承也を問い詰めた。だが承也は、「君が夜中に自分でベッドへ潜り込んできたんだ」と言い張ったのだ。莉奈は覚えていた。目を覚まして身体を起こしたとき、承也はたしかにスマホをいじっていた。写真の中の彼女は、髪をなめらかに肩へ垂らし、顔色もよく、白い肌にはうっすら赤みが差していた。目元にはどこか普段とは違う熱が滲み、ひどく生き生きとして、可憐に見えた。こんな写真を撮れる人は、ほかにいない。あのとき、部屋にいたのは莉奈のほかには承也だけだったのだから。ということは……莉奈は無意識に承也へ目を向けた。すると、まるでずっと彼女の一挙一動を見守っていたかのように、承也も折よく彼女を見ていた。視線が交差する。いつもは深い水底のように
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