しかし、どれほど彼女が抵抗しようとも、飛鳥は決して離婚に応じようとしなかった。それどころか、彼女を無理やり自分のそばに軟禁し続けていたのだ。そんな執念深い男が、突然星歌を自分のテリトリーから解放したというのか。以前、星歌が墨霞邸に火を放って全焼させた時でさえ、絶対に手放そうとしなかったのに。それが今になって……?理由はなんだ?夏蓮の娘が死んだから?「夏蓮の子供が死んだわ。そして、彼は……」星歌はそこで言葉を区切り、静かに江里子の目を見つめた。「彼もまた、私に完全に絶望したのよ」「…………」絶望した。その言葉の響きに、江里子はなんとも言えない違和感と不快感を覚えた。夏蓮の子供が死んだから、飛鳥は妻である星歌に絶望した?一体どれだけ馬鹿な男なのだろうか。「それってつまり、飛鳥は夏蓮の子供の死を、完全にあなたのせいだと信じ込んだってことね」「『火のない所に煙は立たない』なんて言うけど、今の私に言わせれば『火のない所に勝手に放火された』って気分よ」星歌は自嘲気味に笑った。暴れる時は、いつだって正々堂々と正面から暴れてきた。隠れてこそこそと、赤ん坊の命を奪うような卑劣な真似など、天地神明に誓って一度もしたことはない。――だが結果として、冴島家の人間はすべてを彼女のせいにした。結局のところ、連中にとって真実などどうでもいいのだ。夏蓮の言うことなら、それがどんなに荒唐無稽な嘘であっても、あいつらは盲目的に信じ込むのだから。「本当にどうかしてるわ。なんであいつら、夏蓮の言うことなら何でも盲目的に信じるわけ?」「いいのよ。――このまま一生、彼女を信じ続ければいいわ」そう呟いた星歌の声には、恐ろしいほど冷たく、意味深な響きが含まれていた。その声音を聞いた瞬間、江里子は背筋がゾワッとするのを感じた。「……ちょっと、今の言い方。なんだか、あいつらが後で取り返しのつかない痛い目を見るのを、わざと待ってるみたいに聞こえたんだけど?」冴島家の連中がこのまま夏蓮を信じ続ければ、いずれとんでもない破滅が待っている――そんな風に聞こえたのだ。星歌はふふっと妖艶に微笑むだけで、それ以上は何も語らなかった。「お腹いっぱいになった?」「ええ、おかげさまで胃袋が落ち着いたわ」先ほどま
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