Semua Bab 犬猿の仲……いいえ、犬猫の仲です: Bab 91 - Bab 100

106 Bab

第八十六話:選べなかった想い

「はぁ?お前の都合なんざ知らねぇよ。ただな——祐希が欲しいなら、死ぬ気で奪え。じゃなきゃ、あいつは奪えねぇ」 来人が低く呟く。 その言葉に、小林さんは怒りを露わにした。 「俺は……祐希を奪いたくないんだ!」 その叫びは、どこか悲鳴にも似ていた。 「奪うんじゃなくて……選ばれたい、か?」 来人が鼻で笑う。 「ハッ……だからダメなんだよ。祐希はもう……選ばない。いや──正確には、選べないんだ」そう言って、来人は苦しそうに顔を歪めた。 「俺が……春馬を選んだからな……」その言葉が、静かに落ちる。 「多分……祐希が、最初で最後に望んで選んだのが俺だからだ」 言い切ったその声には、迷いがなかった。 「俺も、最後まで一緒にいるつもりだった。あの時の気持ちに嘘はない。……でも、春馬に惹かれた自分の気持ちにも、嘘はつけなかった」 静かに続ける。 「そのことが……こんなにも祐希を傷付けるとは、思わなかったんだ」まるで懺悔のようだった。告白する者と、それを受け止める者。そんな光景を、僕はただ見ていた。小林さんは、何も言わずに来人の言葉を受け止めている。やがて、ゆっくりと目を閉じた。そして──深く息を吐く。 「……わかりました。もう、結構です」 静かな声だった。その顔は、いつもの小林さんの表情に戻っていた。 「あなたの言いたいことは、理解しました」そう言って、来人を見上げる。 「……とはいえ、許すという意味ではありません。祐希と向き合う覚悟については、理解しました。己の弱さも……」 静かに言い切ると、 「祐希様が、なぜ貴方に惚れたのか……理解できませんでしたが」 一拍置いて、 「……ああ、顔とスタイルだけだと思っ
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-08
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第八十七話:来人は来人……

僕たちは、病室を後にした。後のことは——小林さんと竜ヶ峰の問題だ。「あの二人、うまくいくといいね」ぽつりと呟くと、「あ?まぁ、そうだな」来人が気のない返事をする。僕は駐車場へ向かう道を歩きながら、来人を見上げた。「もしかして、竜ヶ峰が他の人とくっつくのが嫌なのか?」「はぁ?そんなわけあるか」「じゃあ、なんでそんな返事なんだよ」僕がじっと睨むと、来人は大きく溜め息をついた。「あのな。祐希と小林がくっつけば、祐希はお前に変な言いがかりつけなくなるだろう?」「え?じゃあ来人は、僕のために?」「当たり前だろうが……。じゃなきゃ、他人の恋愛ごとに口出すかよ」心底めんどくさそうに呟く。「ったく、慣れないことなんか……するもんじゃねぇな」そうぼやく来人を、僕は唖然としながら見つめた。「せっかく惚れ直したのに……」 そう漏らすと「だろう?」なぜか来人がドヤ顔をする。「いや、今の一言でがっかりしたよ」「なんでだよ?」「来人、僕が同じことしたらどうする?」「春馬が? まさか、彰となにかあったのか!」「なんでそこで、彰兄さんが出てくるんだよ」「春馬の過去の男といえば、アイツしかいない」「……はぁ」思わず深い溜め息が出た。「やっぱり、来人は来人だね」そう呟いた。「な!どういう意味だよ!」「自分の頭で考えたら!」僕が怒りながらズンズンと歩き出すと「春馬~、なんで怒ってるんだよ~」そう言いながら、来人が追いかけて来た。竜ヶ峰……。僕はどうやら、駄犬をしつけ直さないといけないらしい。見上げた空は真っ青で、なんとなく──あの二人は、うまくいく気がしていた。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-09
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第八十八話:竜ヶ峰祐希のその後

あれから——竜ヶ峰を助ける意味も含めて、十三家紋で話し合いが行われた。神蛇家は、竜ヶ峰祐希を祐巳一族の残党として引き渡すよう要求してきた。だが、竜ヶ峰の父親が他の家紋に頭を下げて回り——最終的に、竜ヶ峰祐希は竜ヶ峰一族の霊山で預かる、という形で決着した。そこに行けば……もう簡単には会えなくなる。竜ヶ峰一族の霊山は、完全な結界の中にある。一度足を踏み入れれば、生きて下山することはできないと言われている場所だ。俗世から完全に切り離された、神に最も近い場所。そこに行けば、竜ヶ峰はもう——神蛇に怯えることはない。……でも、それは同時に。僕たちとの別れを意味していた。霊山に出入りできるのは、竜ヶ峰の当主と、修行を積んだごく一部の者だけ。今回、竜ヶ峰の父親は——神蛇に囚われていた祐希の母親を救い出し、当主の座を祐希の兄・綾人に譲って、家族三人で霊山へ向かうらしい。その決断もあって——竜ヶ峰祐希と、その母親の罪は不問とされた。「寂しくなるな……」ぽつりと呟く。その言葉に、来人は小さく微笑んだ。「まぁな。でも、これで祐希はやっと……自由になれる」そう言って、少しだけ目を細める。「それに——家族プラス一で行くみたいだしな」そう言いながら、狗飼家の当主からの手紙を僕に差し出した。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-10
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第八十九話:竜ヶ峰と小林さん

竜ヶ峰の退院日が決まり、僕と来人は護衛を任された。「別に護衛なんて要らないのに……」そうぼやく竜ヶ峰の隣には、甲斐甲斐しく世話を焼く小林さんの姿があった。なんとなく……うまくまとまったのかな?僕と来人が顔を見合わせると、「なに?なにか言いたいことあるの?」竜ヶ峰のツンツンモードが全開だった。「え?あ……いや、なにもないよ?」白々しく返すと、「本当、いい性格してるよね!」と呟きながら、「春菜の時から、そうしてくれればよかったのに……」ぽつりと続けた。「竜ヶ峰……」「別に、だからってどうなるとかないけどさ!……嫌な奴にはならなかったよ、多分」そう呟く。どうしよう。竜ヶ峰が……今日も可愛い。そのツンツンした可愛さに、僕がふにゃけていると──隣でもっとふにゃけている人がいた。「祐希……今日も可愛いなぁ……」思わず漏れたのだろうその言葉に、竜ヶ峰がキッと隣を睨む。「可愛いって、僕もう二十代後半にさしかかってるんだけど!」すると本人は、うんうんと頷きながら、「怒った祐希も、照れた祐希も……全部可愛いよ」そう言って、小林さんが竜ヶ峰の頭を撫でている。……うまくいって、キャラ崩壊したのか?唖然としている僕に、「言っとくけど、小林って本来こういう奴だから!君たちが知ってる小林は、よそいきの顔だからね!」そう言って、フンっと顔を逸らした。やばいよ、竜ヶ峰。可愛さが……限界突破してる。口元に手を当てて震えていると、「なんだよ?なんか言いたいことあるわけ?」口をへの字にして見上げてくる。どうしよう……抱き締めたい。そう思った瞬間──竜ヶ峰を、小林さんが背後
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第九十話:近付く距離と、近付く別れ

車は、なぜか──運転手が来人、助手席に小林さん。後部座席には、竜ヶ峰と僕が座っていた。──ことの始まりは。「ちなみに、運転は大丈夫なんでしょうね?」と、小林さんが疑いの目を向けたことだった。出発して最初に立ち寄ったパーキングエリアで、「なんなんですか、あの運転は!」小林さんが怒り出し、「うるせぇな!だったら他の車に乗れよ!」来人と言い争いが始まった。「あんなに飛ばすから、他の車がついて来ていないじゃないですか!」「あーねー」「あーねーじゃありませんよ!祐希様が乗っているのですから、安全運転をですね!」車を降りて早々、激しく言い合う二人にハラハラしていると──竜ヶ峰は我関せずといった様子で、売店へ向かって歩き出した。「竜ヶ峰!一人で行動したら危ないって!」慌てて追いかけると、「来人と小林の相手してたら、ご飯食べそこなうよ。早く行こう、春馬」そう呟いた。「え?まぁ……そうだけどさ……」と答えた瞬間、僕は耳を疑った。「え?……今……」慌てて竜ヶ峰を見る。背中を向けているけど──耳まで真っ赤だった。やばい、竜ヶ峰が可愛い。「竜ヶ峰!!」思わず抱きつくと、「ぎゃー!なに抱きついてるんだよ!」真っ赤になって叫ぶ。「じゃあ、俺も祐希って呼ぶね!」ぎゅっと抱き締めたその身体は、細くて軽かった。胸が、鈍く痛む。元々身体が強くないとは聞いていた。それでも──僕と出会うまでの間、来人の背中を守り、瘴気を受け止めていたのだと思うと……切なくなる。すると竜ヶ峰は、僕に軽くデコピンして、「過去は過去だよ、春馬」そう言って微笑んだ。「僕だって、きみをたくさん傷付けた。むしろ……僕の方が酷いことをしたんだ。だから、春馬が気にすることはないよ」まっすぐに僕を見つめながら、そう言う。その姿は──本当に美しかった。……せっかく、こうして仲良くなれたのに。別れの時間が、すぐそこまで近付いている。それが、どうしようもなく──切なかった。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-13
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第九十一話:別れ

竜ヶ峰は、僕の気持ちを察したのか——「……手紙くれれば……気が向いたら返事書くし。また、会えるよ……きっと」そう呟いた。その言葉が嬉しくて、僕はぎゅっと抱き締める。「返事くれなくても……手紙送るから……」「うん」「いっぱい、いっぱい書くから……」「……」「え?いっぱいはダメ?」「小林みたいに、毎日大量は困るけど……」ぼそりと呟かれる。「え?小林さん、そんなに?」驚いて聞くと、「毎日、十通は来てた……」心底迷惑そうに言った。「え?小林さん……暇なの?」思わず漏らすと、竜ヶ峰が吹き出した。「春馬のそういうとこ、もっと早く知りたかったな」そう言ってから、「僕が言うのもなんだけど……来人のこと、頼むね」と続ける。「竜ヶ峰……」そう呟いた瞬間──来人が乱暴に僕を引き剥がし、小林さんが竜ヶ峰を背後から抱き寄せた。「祐希……早速、浮気ですか?」「春馬!お前、何浮気してんだよ!」声が重なる。「はぁ?誰が誰と浮気?」竜ヶ峰が目を据わらせる。「くだらないこと言ってる暇あるなら、さっさとご飯食べさせてよね!」ぷりぷりと怒るその一言で、来人と小林さんは、揃ってしょんぼり歩き出した。──さすがだな、竜ヶ峰。食事を終え、霊山へ向かう車の中。竜ヶ峰は、外の景色を焼き付けるように見つめていた。その横顔が切なくて、僕は何も言えなくなる。やがて──五時間の道のりを経て、竜ヶ峰家の霊山の麓に辿り着いた。入口には、僕でも破れない強力な結界。「ここまで送ってくれて、ありがとう」そう言って、竜ヶ峰は右手を差し出した。「今まで……色々ごめんね。ありがとう」その言葉に、胸が詰まる。僕は、その手を強く握り返した。「ここまで、僕たちを守ってくれていたんだよね?」小さく微笑む。——そうだ。神蛇の追っ手から、僕たちが認識されないように。来人と車、そして僕たち四人に——認識阻害の結界を張っていた。さすが竜ヶ峰だ。全部、分かっていたんだな……。そう思った、その時。「祐希、そろそろ行かないと……」小林さんが静かに促す。彼もまた、気配を感じ取ったのだろう。「最後まで、二人に迷惑かけてごめん」その言葉に、来人と顔を見合わせる。「祐希、俺たちは強いから大丈夫だ」来人が、いつもの調子で笑った。そして──「祐希……長
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-14
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第九十二話:対決

「やぁ、ハニー。久しぶり」背後に黒い蛇の影を従え、神蛇が現れた。その顔に、思わず眉間にしわが寄る。「険しい顔のきみも、とってもキュートだよ」楽しげに笑うその表情が、ひどく不快だった。「僕たちは、永遠に会いたくなかったけどね」そう返しながら、僕と来人は並んで鳥居の前に立つ。霊山──あの先は神域だ。簡単に踏み込ませるわけにはいかない。「きみがそんなに嫉妬深いなんて思わなかったよ。祐希を霊山に閉じ込めるなんて……。まぁ、あの美しさは芸術レベルだから、分からなくもないけどね」神蛇の言葉に、嫌悪感が込み上げる。僕は一歩下がり、来人の背中を掴んだ。「大丈夫だ、春馬。春馬は俺が守る」振り向いた来人が、優しく笑う。「来人……」その一瞬──「僕の前でイチャイチャされると、腹が立つんだけど?」神蛇の背後の蛇が、鞭のようにしなりながら襲いかかってきた。来人は右手から剣を出現させ、一閃。黒い蛇を次々と切り裂いていく。「お前、そんなんだから祐希に振り向かれないんだよ」呆れたように言う来人に、「はぁ?祐希は僕にとって、美術品みたいなものだよ。眺めて楽しむ存在だ」神蛇は平然と答えた。「ハッ!ふざけんな!あいつを絶望に突き落としたくせに!」来人の怒りに呼応するように、剣に炎が宿る。神蛇はそれを見て、くつくつと笑った。「祐希を絶望に落としたのは、きみたちだろう?」その言葉に、空気が凍りつく。「何度も呼んでたよ。“来人、助けて”ってね」神蛇の口元が歪む。「絶望に打ちひしがれる祐希も……本当に美しかった」恍惚とした表情。吐き気が込み上げる。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-15
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第九十三話:反撃

僕の叫びよりも早く、来人が迫り来る黒い蛇を断ち切った。 「ワンッ!」 僕の腕の中に、ライトが飛び込んできた。 その身体をぎゅっと抱き締めた瞬間—— 眩い閃光が、辺りを包み込む。 次の瞬間、光の中から遠吠えが響いた。 振り向いた先には—— 以前にも見た、あの犬の影。 それが今度は、無数となって神蛇の黒い蛇へと襲いかかっていく。 「これは……一体誰が?」 来人が驚いた声を上げる。 すると神蛇は、舌打ちをして 「チッ……多勢に無勢とは、卑怯な奴等だな」 そう吐き捨てた。 「ハニー、また近いうちに会おう」 そう言って、こちらに投げキッスをしてくる。 僕が反応するよりも早く—— 来人がそれを一刀のもとに斬り払った。 そして—— 気付いた時には、神蛇の姿は消えていた。 「来人! 春馬君、大丈夫か?」 光がゆっくりと収まり、その先から狗飼家の当主が姿を現す。 「親父! あの式神、親父だったのか!?」 驚く来人に、 「あぁ、春馬は知らなかったか。親父は昔、術が使えなかったんだ」 と説明が入る。 ……なんだろう。 当主様の背後から感じる、母さんのドヤ顔。 「あぁ……番になったことで、封印が解かれたんですね」 そう呟くと、 「なんだそれ!」 来人がすかさず拗ねた声を上げる。 「来人、なんで拗ねてるんだよ」 「はぁ? 唯一、親父に勝ててたのは能力者ってところだったのによ」 唇を尖らせるその姿に、 「ふふふっ、来人君ったら子供みたい」 と、母さんが笑った。 どうやら、あの閃光は母さんの仕業だったらしい。 光が完全に消え、母さんがこちらへ歩み寄ってくる。 「ライトを連れて来てくれたのも、母さんたちだったんだね」 そっと頭を撫でると、 「これからは一緒に連れて行きなさいよ。今の来人君みたいに拗ねちゃって、大変だったんだから」 と呟いた。 その瞬間—— 来人とライトが、同時に顔を見合わせる。 そっくりな表情に、僕たちは思わず吹き出した。 「ごめんな、ライト。さっきは大丈夫だったか?」 殴られた場所に、そっと力を流す。 ライトは「くぅん」と甘えながら、僕の頬をぺろぺろと舐めた。 「ライトは、僕のヒーローだよ」 そう言って抱き締めた、その時—— 「ごほん!」
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-16
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第九十四話:友達

あの後、僕たちは猫柳家に集合した。「とりあえず、春馬、来人君。護衛、ご苦労さま」じいちゃんはそう言うと、白い封筒を差し出した。来人と顔を見合わせる。「それは、竜ヶ峰家からの報酬だ」そう言われて、僕たちは同時に首を横に振った。「祐希の護衛は、俺のけじめだったので……」来人がそう言うと、じいちゃんは険しい顔になった。「竜ヶ峰家のけじめなんだそうだ。受け取りなさい」静かに、しかし強く言われる。差し出された封筒は、見ただけでそれなりの金額が入っていそうだった。……でも。これを受け取ったら、もう竜ヶ峰に会えなくなる気がして、怖かった。すると母さんが、軽い口調で言った。「受け取りたくないなら、二人で返しに行けばいいじゃない?」僕たちは思わず顔を見合わせる。「竜ヶ峰家は……僕たちと話してくれるかな?」ぽつりと呟くと、じいちゃんは小さく笑った。「春馬、勘違いするな。これは手切れ金じゃない。むしろ、お前たちには感謝していると話しておったよ」その言葉に、胸が少し軽くなる。「祐希君がな、『僕にも友達が出来たんだ』と嬉しそうに話しておったそうじゃ」——多分、春馬のことじゃろうな。そう続けられて、僕の目に涙が滲んだ。「竜ヶ峰が……僕を?」「じゃからな、春馬にとっても初めての友達だと、そう答えておいた」じいちゃんの言葉に、胸の奥がじんわりと熱くなる。……ああ、僕たち。ちゃんと、友達になれていたんだ。「だったら、尚更受け取れないよ。友達を助けるのは、当たり前なんだから」そう言った僕の隣で——来人がしょんぼりしていた。「春馬が友達なら、俺は?」「は? 来人は元カレ
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-19
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第九十五話:閑話休題~手紙~

拝啓竜ヶ峰祐希様お元気ですか?お二人が霊山に入って、1ヶ月が経過しました。まだ一ヶ月なのに、祐希がいない生活が寂しく感じるなんて、不思議な感じです。こっちは相変わらずの毎日だけど、そっちはどうですか?来人は祓いの仕事が夜に多いからか、朝寝坊でライトの散歩の時間が遅くなって困ってます。(祐希と付き合ってた時からそうだった?)祐希はどう?きっと、小林さんと規則正しい生活を送っているんだろうな。会って、たくさん話をしたいよ。また手紙書くね。猫柳春馬拝啓猫柳春馬様元気そうだね。こっちは日が昇ったら起こされて、日が暮れたら就寝だよ(笑)来人も僕も、夜行性だったからね。朝は苦手だったよ。春馬は健康的な生活してたっぽいよね。小林? あいつ、人間じゃないよ。朝、日が昇る前に起きて境内の掃除してるんだよ。信じられない。あいつ、絶対前世は坊さんだったよ。次に会った時、ライトは触らせてくれるかな?僕、動物好きなんだけど、飼ったことないんだよね。春馬がいたら、ライトも触らせてくれる気がするんだ。ライトに触らせてくれるなら、会ってあげてもいいよ。手紙、また気が向いたら返事書くね。竜ヶ峰祐希***「春馬、どうした?楽しそうに手紙読んでるけど」手紙を読んでいると、来人が声を掛けて来た。「祐希からの手紙だよ」「あぁ……春馬と祐希は文通してるんだっけ?」来人はソファーに座る僕の横に座ると、肩に頭を預けて来た。「文通……って言ったら、祐希は怒りそうだけどね」苦笑いを浮かべた僕に「でも、手紙を出すと必ず返事が来るんだろう?あいつは基本的に面倒くさがりだから、春馬のことが気に入ったんだろう」と答えた。でも、少し拗ねているのが分かる。「なに?嫉妬してるの?」「そりゃあね。祐希から手紙が来る度、嬉しそうにされたら、嫉妬しちゃうよね」来人の言葉に小さく笑い「祐希がさ、今度会ったらライトを撫でたいんだって」と言うと「はぁ?」と、来人が頭を上げた。「あ!来人じゃなくて、ライトだからね!」僕の言葉に、来人が目を据わらせた。「春馬、お前……わざとだろう?」僕を抱き締める来人に、僕は笑い転げた。幸せな時間。幸せな瞬間。穏やかな日々……。竜ヶ峰も、こんな時間を過ごしていると良いな。***「春馬さんからの手紙です
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-21
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