Semua Bab 私の夫は義妹のために99回離婚を切り出した: Bab 181 - Bab 190

269 Bab

181話

「以前俺が連絡した内容だが……調べはついたのか?」 「どうして私が調べなきゃならないのかしら?それに、万が一私が情報を持っていたとして、どうしてあなたに教えなきゃいけないの?」 「……俺はNEW ISLANDの社長だぞ?お前の蘭デザインより社員数も多く、会社もうちの方が大きい」 だから持っている情報を教えるのは当たり前だろう? そんな不遜な態度でふんぞり返っている誠司に、蘭は呆れたようにため息を吐き出した。 「会社が大きいからってそれが何だと言うの?そんなに情報が欲しいならご自慢の大きな会社の権力を使って情報を取ればいいじゃない」 「──っ、小賢しい言い訳をするな!俺が欲しているのだから、お前は大人しく情報を渡せばいい!」 「新島社長……あんた、いつからそんな傲慢な人間になっちゃったのよ……」 蘭は目を細め、誠司をじっと見つめる。 昔の誠司を知っているからこそ、蘭は今の誠司の変わりように驚いた。 確かに多少なりとも傲慢な部分があったかもしれない。 だが、誠司がもみじと付き合っている当時を知っている蘭は目の前に居る男の変わりようが信じられなかった。 「……男って本当に駄目ね、付き合う女1つで変わってしまうなんて」 「何を意味の分からない事を……!早く教えてくれ!駅舎について何か情報を掴んでいるんだろう!?」 誠司の大きな声に蘭はため息をつくと、きっぱりと口にした。 「知らないわ」 「──は?何だと……?そんなはずは……」 「私の実家の事を知っていて、アポも取らずに無理やりやって来たんでしょうけど……私は今実家とは距離を置いているの。……勘当されているような物だから、何の伝手もないわよ」 「……っ」 蘭のあっさりとした返答に、誠司は信じられないと言うように目を見開いた。 蘭の情報をあてにしていたのだろう。 だが、実家との確執までは調べていなかった誠司は、完全にあてが外れた、た愕然とした。 「──そんな、それじゃあ……今回俺が戻って来たのは……」 「完全な無駄足だったわね。ご苦労さま」 もういい?と言うように蘭は誠司に向けていた顔をパソコンに戻してしまう。 はっきり誠司の存在を排除してしまった蘭には、これ以上話しかけても無駄だろう。 それに、実家と折り合いのよくない蘭は本当に何も情報を持っていないのかもしれない。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-26
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182話

タイミングよく鉢合わせてしまったもみじと誠司。 もみじは、誠司に振り向くと離婚届について聞こうと口を開いた。 「誠司、私が昨日渡した離婚届と離婚協議書は?まだサインしてくれていないの?」 「……仕事から帰ってきた夫に対して迎え入れる挨拶もなく、それか。随分と厚かましくなったな、お前も」 誠司は吐き捨てるように言うと、もみじの隣を「退け」と言いながら通り過ぎる。 誠司から軽く手で押されてバランスを崩したもみじは、よろりとふらめきテーブルに軽くぶつかりつつ、それでも誠司に言葉を続ける。 「もうこんな風に生活するのが嫌なのよ。誠司、あなたと一緒に居てもストレスが溜まるばかりで心が休まらないの。だからこんな事は早く終わりにしたいの。私との関係がなくなれば、誠司だって胡桃と一緒になれるからいいじゃない」 「──っ、またお前は胡桃、胡桃と!実の妹に嫉妬するのはやめろ!俺と胡桃はそんな関係じゃないと言っているだろう!」 誠司は叫びながら自分の鞄から昨夜もみじから渡された書類を取り出すと、テーブルに叩き付ける。 「それに、離婚の条件がやはりおかしい!俺には何も望まないなんておかしいだろう!俺と別れたらお前は無一文になるんだぞ!?それなのに、それでもいいから別れたいと言うのはやっぱりおかしい、と胡桃も言って──」 そこまで捲し立てた誠司は、はっとして口を噤む。 誠司の言葉を聞いていたもみじは、険しい表情で口を開いた。 「どうしてそこで胡桃の名前が出てくるの?……まさか、離婚協議書を胡桃にも見せたの?」 「……そうだ。お前の妹なんだし、別に見せても何ら問題は無いだろう」 「専門家に見せて確認してもらうのだったら分かるわ。だけど、それ以外の人間に見せるのは嫌よ。そもそも、胡桃は関係ない人でしょう。どうして胡桃に見せる必要があったの」 まだ、百歩譲ってもみじの両親に確認とアドバイスのために見てもらうのなら分かる。 だが、それだって百歩譲って、だ。 それにも関わらず、何の関係もない自分の妹に大事な公的書類を見せるなんて──。 誠司の対応に、もみじは呆れ果て、開いた口が塞がらない。 「……別に隠す事でも無いだろう」 「ええ、そうね。……それで、胡桃はなんて言ってたのかしら?喜んでた?それとも怪しんでいた?」 「喜ぶ、なんて……!自分の姉が離婚するか
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-27
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183話

(心配──?胡桃が?嘘ね。私が誠司と離婚するのを誰よりも、何よりも喜ぶのは胡桃なのに。それなのに心配するなんて……胡桃は私と誠司の離婚を思いとどまって欲しいの……?何のために……?) もみじが考え込んでいる間に、誠司の言葉は続いていた。 何やらずっと喋っているが、もみじの耳には1つも届いていない。 そんなもみじの態度に苛立った誠司は、声を荒らげてもみじの腕を掴んだ。 「──おい!聞いているのか、もみじ!」 「痛っ」 強い力で腕を掴まれたもみじは、痛みに声を漏らした。 その声に反応した誠司が青い顔でもみじの腕からぱっと手を離す。 「わ、悪い──」 誠司が声を発した瞬間。 誠司のスマホの着信音が鳴り、静かな部屋に着信音が軽快に鳴り続ける。 誠司は気まずそうな表情のまま自分のスマホを取り出すと、驚きに目を見開いた。 「──胡桃!?」 「……」 着信は胡桃からのようだった。 誠司は慌てて電話に出る。 「も、もしもし胡桃か!?急にどうしたんだ?」 誠司の声音は、とても優しく甘い。 かつてはもみじに向けられていたそれが、今は胡桃に向いている。 今、誠司は帰国していて胡桃は1人E国に残っている。 その不安が誠司の頭には残っていたのだろう。 胡桃を気遣うような感情が顕著に現れていて、もみじは再び笑ってしまった。 〈誠司……〉 静かな室内だからか、スマホの向こうに居る胡桃の声ももみじには良く聞こえた。 胡桃の声はか細く、誠司に甘えるような響きが現れていた。 「どうした、胡桃?」 〈どうしよう、誠司……凄くお腹が痛いの……〉 「何だって!?」 〈今まで経験した事がないくらい痛くて……心細くて……お仕事で戻ってるのに、こんな事で電話してごめんなさい……〉 胡桃の震える声と、ぐすっと鼻を啜る音がもみじの耳にも届いた。 誠司は胡桃の言葉を受けて顔色を真っ青にすると、電話を続けながら急いで部屋に向かった。 「大丈夫か、胡桃!分かった、今からそっちに戻るから、救急車を呼んでおけ!」 〈でも、海外でお医者様にかかると……〉 「俺が支払うからそんな事を気にするな!いいか、絶対に救急車を呼ぶんだ!搬送された病院が分かったら俺に連絡をするんだぞ!」 誠司はそう叫びながら自分の部屋の扉を開ける。 急いでE国に戻るつもりなのだろう。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-27
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184話

ガチャン!と鍵の閉まる音が聞こえ、次いで誠司の慌ただしい足音が遠ざかって行くのがもみじの耳に届いた。 「──痛い」 頭を強かにぶつけてしまい、もみじの目の前はぐわんぐわんと回っていた。 何とか痛みをやり過ごし、側頭部に手を持っていったもみじは、自分の手にぬるりとした感触を覚え、驚いたように目を見開いた。 「え……っ、嘘でしょ……?」 ぬるり、とした感触に手のひらを視界に入れる。 するとそこには──。 真っ赤な血が──。 「あ……」 血を認識した瞬間、ぶつけた箇所の痛みが増してくるように感じる。 もみじは痛みに耐えつつ、何とかテーブルまで戻ると上に置いてあった自分のスマホを手に取った。 迷わずにある人物に電話をする。 数回の呼び出し音の後、出たのは──。 〈もしもし新島さん、どうされましたか?〉 「久保田先生──」 久保田弁護士だった。 もみじは痛みに耐えつつ、今あった事を掻い摘んで久保田に報告する。 すると、もみじの説明が終わった途端、久保田は「すぐに救急車を呼んでください」と告げた。 〈夫に振り払われ、頭を強打したんですよね?救急車を呼んで、救急隊員にその事を伝えてください〉 「で、ですが意識もはっきりしていますし……タクシーを呼んだ方が……」 〈いえ、打った箇所が頭なので救急で向かった方がいいです。出血は今も?〉 「は、はい……柔らかい?肌の部分が切れてしまったようで……まだ止まっていません」 〈分かりました。すぐに電話を切りますので、この後すぐに救急車を呼んでください。私はこの後、どうしても外せない客先への訪問がありますので、別の人間を向かわせます。私に搬送先の病院をメールでも結構ですので、連絡をお願いします〉 「わ、分かりました久保田先生」 〈では、失礼しますね〉 久保田と繋がっていた電話が切れ、もみじは言われた通り救急車を呼んだ。 ◇ 救急車で搬送されたもみじは、病院の処置室で手当を受けていた。 「こめかみの辺りは出血が多いのです。ですが、縫う程にはならなくて良かったですね」 「ありがとうございます。出血量が多くて、焦ってしまいました……動転して救急車を呼んでしまって申し訳ございません……」 「何を言いますか!頭を強打しているのですから、救急で来ていただいた方が安心です。幸い、今回は脳に何の異
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-28
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185話

もみじが唖然としていると、処置室にやって来た髙野辺は早足でもみじの傍までやって来ると、女性医師に顔を向けた。 「先生、新島さんの怪我の具合は──」 「出血が多かったので驚いたでしょうけど、縫合の手術はせずに済みましたよ。脳のCTとMRIも撮りましたが、異常はありませんでした。今日は1日安静にしていただいて、様子を見ていただければ大丈夫かと思います」 「──本当ですか、良かった……」 髙野辺は安心したように息を吐き出した。 だが、もみじのこめかみに貼られたガーゼがとても痛々しく見え、髙野辺は悲しそうに眉を下げた。 「痛そうです……大丈夫ですか、新島さん……。いや、大丈夫なんかじゃないですよね。痛いに決まっている」 「だ、大丈夫ですよ髙野辺さん!鎮痛剤も出して貰えましたし、今は痛みを感じませんから!」 「念の為、今日は入院した方がいいと思います。そうですよね、先生?」 髙野辺が女性医師に振り返り、真っ直ぐ目を向けてそう告げる。 髙野辺の正体を知っている女性医師は背筋をすっと伸ばし、頷いた。 「え、ええ……そうですね。万が一、の可能性もありますから……」 「えっ、そ、そんな……」 「先生もそう言っていますし、入院した方がいいですよ新島さん。入院に必要な手続きは俺も手伝いますし」 「ええ、それに──……」 髙野辺の言葉に同意するように女性医師が気まずそうに告げた。 「我々医者は、家庭内暴力があった事を確認しましたので……。警察に報告する義務がございます。……この後、警察が事情を聞きに来ると思いますので、入院された方が対応も楽だと思いますよ」 「──あっ」 そうだった、ともみじは思い出す。 久保田に言われた通り、怪我の経緯を救急隊員に伝えていたのだ。 そして、救急隊は医者に怪我の理由を伝え、報告を受けた医者は警察に報告する義務が発生する。 難しい顔をするもみじに、髙野辺も自らがここに駆け付けた理由を告げた。 「新島さん。俺も、すぐに動けない久保田の代理でここに来たんです。久保田弁護士から詳細を聞いてくれ、と伝えられていて……。俺も警察への話の際、同席して大丈夫ですか?」 「久保田先生から髙野辺さんに連絡があったんですね?」 そう言えば、久保田は髙野辺に紹介してもらった弁護士だったともみじは思い出す。 だからこそ、知り合いの
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-28
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186話

「新島さんの病室は──ああ、ここですね」 廊下を進んでいた髙野辺は、とある個室の前で止まるとそこの扉を開けてくれた。 「新島さん、俺の手に掴まってください。立てますか?」 「ありがとうございます髙野辺さん」 もみじは髙野辺の手を借りてベッドに移動すると、そこに腰を下ろした。 横になる様子が見えないもみじに髙野辺は首を傾げる。 「横になっていて大丈夫ですよ?」 「──あ、いえ。その、入院の手続きをしないといけないな、と思って……。それに警察の方も来るかもと……」 「ああ!確かにそうですね」 髙野辺が頷いたのと同時、もみじと髙野辺が居る病室の扉がノックされた。 もしかして、もう警察が?と扉の方に顔を向けたもみじ。 髙野辺は返事をしつつ、扉を開けた。 「はい、どなたですか?」 「こちらは新島 もみじさんの病室でお間違いないですか?我々は──署の者です」 もみじが考えていた通り、病院側から連絡を受けた警察がやって来たようだった。 2名の警察官がやって来て、扉を開けた髙野辺に不思議そうな顔を向ける。 「私は彼女の友人です。どうぞ」 「そうだったのですね、失礼します」 髙野辺に案内された警察官が病室に入ってくる。 頭に大きなガーゼをしたもみじを見るなり、警察官は労るような目を向けた。 そして、もみじと髙野辺と少し会話を交わした後、今回の一件について事情を聞いた。 怪我をした経緯や、夫婦の関係性、そしてもみじは離婚を夫に告げている事などを伝えた。 もみじの言葉を一字一句逃さずに手帳にメモをしていた警察官は、手帳から顔を上げて問いかけた。 「どうされますか?被害届を出されますか?」 「──えっ、被害、届……」 「ええ。ご自宅の室内に防犯カメラは設置されていますか?もし映像が残っていれば立件する事は可能なのですが……」 「いえ、室内にカメラはありません。夫に暴力を振るわれた、と言う証拠がないと難しいですよね?」 「ええ、おっしゃるとおり……旦那さんを逮捕するのは難しいかもしれません……」 「そうですか……」 考え込むように黙り込むもみじに、警察官は髙野辺に顔を向けて話しかけた。 「髙野辺さんは新島さんが離婚される事を……」 「ええ、知っています。離婚訴訟に強い弁護士を紹介したのも私です。今日はその弁護士が都合が悪く……
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-29
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187話

警察官を見送った髙野辺は、もみじに振り返り声をかける。 「新島さん。今回の一件、警察にも記録が残るみたいです。離婚する時にその記録も有利に動くはずです」 そこで一旦言葉を切ると、髙野辺は心配そうにもみじの額にそっと手をやった。 「こんな酷い怪我をしてまで、離婚に有利に動くなんて言いたくはないですが……」 「ありがとうございます、髙野辺さん。私なら大丈夫です。彼──夫も、わざとでは無かったですから」 「それでも、新島さんの夫は怪我をしたあなたを放っているんですよね?こんな大怪我なのに、彼はどうして一緒にいないんですか?」 そうだ。 そもそも、どうしてもみじの夫は彼女を放置しているのか。 故意ではなくとも、自分のせいで怪我をしたと言うのに傍に付いていないなんて有り得ない、と髙野辺は怒っている。 そんな彼に、誠司がいない理由を告げたらもっと怒るのではないか。 そう心配したもみじだったが、髙野辺は久保田弁護士の代理で駆けつけてくれたのだ。 怪我の経緯や、誠司の行方などをもみじは久保田弁護士に報告する必要がある。 もみじは躊躇いつつ、髙野辺に誠司が今ここに居ない理由を話した。 「……夫は、妹──胡桃に呼ばれて急いでE国に戻りました」 「は……?」 もみじの言葉に、髙野辺は信じられないと目を見開く。 「胡桃の具合が悪い、と夫宛に連絡があったんです。具合が悪いと聞いた夫は、気が動転して……離婚の話し合いをしていたので、私は夫を引き止めたのですが、振り払われてしまって……」 「……それで、まさかどこかに頭をぶつけたんですか?」 「ええ……、勢い余って壁に……そこで切ってしまったみたいです」 もみじの言葉の後、病室に沈黙が落ちる。 しーん、と静まり返ってしまった病室で、もみじは気まずさから周囲に視線を彷徨わせた。 その時、髙野辺の腕が視界に入った。 髙野辺は、拳を握り締めていたがその拳が小刻みに震えていた。 拳から見える爪は、力を入れすぎていて真っ白に変わってしまっていて。 誰がどう見ても、かなり怒っていると言う事が分かった。 「……信じられない。妻が自分のせいで大怪我をしたと言うのに、助けもせずに不倫相手の所に飛んで行ったんですか?ただの腹痛、で……?」 勝手に医者に行けばいいだろう、子供か。と低い声で罵る髙野辺に、もみじは目
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-29
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188話

もみじは、夫・誠司との通話記録や帰って来た時間、話した内容、そして怪我をした経緯をメモに書き出して髙野辺に渡した。 髙野辺はもみじが書いたメモをしっかり保管すると「久保田に渡しておきますね」と言いながら鞄にしまった。 「新島さん、俺は入院手続きに行ってきます。何か欲しい物や食べたい物はありますか?買ってきますよ」 「えっ、髙野辺さんにお任せする訳にはいきません!私も一緒に行きます!」 「頭を打っているので、今日はあまり動かず安静にしていてください。もし食べたい物があれば、俺のスマホに連絡を入れておいてください」 真剣な表情で動いたら駄目だ、と告げられたもみじは申し訳なさそうに謝罪しつつ髙野辺に入院手続きと買い物をお願いする事にした。 ◇ もみじの入院手続きのため、病院の受付に向かった髙野辺は、途中で電話が出来るスペースにやって来るとスマホを取り出して電話をかけた。 かけた先は、弁護士の久保田だ。 数コールですぐに髙野辺からの電話に出た久保田は、慌てたように話し出す。 〈──新島さんは大丈夫だったか!?〉 「ああ、今のところは大丈夫そうだ」 〈それは良かった……。彼女から連絡があった時は肝が冷えたよ〉 「本当にな。まさか、暴力まで……。今回の件で離婚を早める事は出来そうか?」 〈……診断書を取ってもらうのと、あとは相手が怪我をさせた事を認めれば、だな……。だが、不倫と離婚がバレたら経営者として致命的だ。必死に隠すと思うから、どうだろうな……〉 「やっぱり証拠がないと難しいか……?なら、相手に認めさせればいいのか……。久保田、新島 誠司の出入国履歴を入手してくれ」 〈分かった。すぐに取りかかろう〉 「助かるよ、頼んだ」 その後も久保田と二、三会話をした髙野辺は、通話を切ると今度こそ入院手続きに向かった。 ◇ もみじの病室。 髙野辺が入院手続きをしてくれている間、もみじはベッドに腰掛け、胡桃のSNSを確認していた。 「何か……誠司だと分かるような手がかりが投稿されていればいいんだけど……」 今までも誰が見ても「誠司」だと分かるような写真への映り込みは無かった。 「流石に胡桃も誠司の顔が映り込んでしまうような写真の撮り方はしていないわよね……」 そう呟きつつ新しい投稿はないだろうか、と確認していると、案の定胡桃は新しい投
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-05-01
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189話

【胡桃ちゃん、大丈夫!?】 【彼氏さん、胡桃ちゃんを心配してすぐに戻ってくるなんて凄い!愛されているね、だけど心配だよ】 【早く良くなるように願っているよ!】 などと、沢山のコメントが胡桃の投稿に寄せられている。 「特に誠司だと分かるような投稿でもないし、写真も無いわね……あ、でも待って……!」 胡桃の投稿には、何枚も写真が載せられていて、スワイプして複数の写真を表示させていく。 すると、画像の端っこ。 隅の方に英語で何かが記載されているのが分かった。 その画像をスクショしたもみじは、画像を開いて拡大する。 その英語はE国にある病院名が記載されているのが分かった。 「──!これで、今日誠司がE国に向かったって分かるような出入国履歴を久保田先生に取得してもらえれば……!」 証拠としては弱いが、数が多いに越したことはない。 もみじがスクショを取って証拠を保存した時、病室の扉が開いて髙野辺が戻って来た。 「新島さん、手続きが終わりましたよ。明日の朝に退院です」 「ありがとうございます、髙野辺さん!何から何まですみません……!」 「いえいえ。少しでもお役に立てて良かったです。これが新島さんに頼まれた食べ物と本です」 「ありがとうございます!お支払いは──」 「これくらい大丈夫ですよ」 「えっ、でも以前もカフェで……」 「また次の機会で大丈夫です」 にっこりと圧の強い笑顔で断られてしまったもみじは、これ以上引き下がっても髙野辺に申し訳ない、と思い素直に受け取った。 「ありがとうございます。色々と助けていただいて……もし良ければ、今度お礼にご飯でもご馳走させてください」 「ありがとうございます。食事を楽しみにしていますね」 髙野辺と話していると、もみじはほんわかとした優しい気持ちになれる。 それは髙野辺が優しい雰囲気を醸し出しているからだろうか。 癒されていたもみじだったが、さっき胡桃の画像で見つけたE国の病院名が映り込んでいる写真の事を髙野辺に話そうと口を開いた。 「そうだ、髙野辺さん!そう言えばさっき胡桃の投稿に、E国の病院名が映り込んでいる写真が上がっていて……!」 「──!本当ですか!?その画像、俺に送ってもらっていいですか?すぐに久保田に連携します」 「わ、分かりました!すぐに送りますね」 もみじが画像を送
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-05-01
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190話

「どれぐらい、早く──……」 髙野辺から言われた言葉を、もみじは繰り返す。 なるべく早く、一刻も早く離婚したい。 自分がデザイナーの「Sea」だとバレる前に一刻も早く誠司から離れたい。 自分の妹と。 血の繋がった妹と体の関係を持っている、汚らわしい人とは早く離れたい。 もみじは髙野辺を真っ直ぐ見つめ返して改めて口にした。 「出来るなら、明日にだって離婚したいんです。夫が、離婚届と離婚協議書にサインをしてさえくれれば……。本当だったら今すぐにでも離婚したいんです」 もみじの言葉を真正面から受け止めた髙野辺は「そうですか」と頷いた。 「……髙野辺さん、どうしてそんな事を?」 「──いえ。ほら、俺は久保田の代理で今日ここに来たでしょう?ですから、新島さんの意志を再確認しておきたいな、と思って」 「そうだったんですね。久保田先生には、今お伝えした内容を話してください」 もみじの言葉に髙野辺は「ええ、分かりました」と笑顔で答える。 そして、時計を確認するともみじに向き直った。 「すみません、新島さん。俺はそろそろ……明日新島さんが退院される時に迎えに来ます」 「──えっ!?だ、だけどご迷惑じゃ……」 「大丈夫ですよ。今日、これから久保田に報告をして……明日、久保田からの説明を新島さんにお伝えしますね」 「わっ、本当に何から何まですみません……!ありがとうございます!」 「いえいえ。それでは、お大事にしてくださいね?」 「はい!髙野辺さんも気をつけて帰ってください」 笑顔で見送ってくれるもみじに軽く手を上げて扉を閉めた髙野辺は、廊下を歩く。 (──新島さんの実家が、どうやら妹のために動いているんだよな……。嶋久志 忠、か……。どうする?奴の会社に駅舎立て替えの情報を握らせるか?) 髙野辺は考えつつ廊下を進む。 病院の正面玄関から駐車場に向かうと、そこには既に秘書の田島が待機していた。 「社長、お帰りなさいませ」 「ああ。何も問題は無かったか?」 「はい、社の方は何も」 田島が車のドアを開け、乗り込む。 後部座席に髙野辺が座った後、田島はすぐに運転席に乗り込み、エンジンをかける前に口を開く。 「社の方は大丈夫ですが……どうやら嶋久志の家に駅舎の情報が漏れたようです」 「……早いな」 田島がそう言いつつ、茶封筒を髙野
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-05-02
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