All Chapters of 私の夫は義妹のために99回離婚を切り出した: Chapter 181 - Chapter 183

183 Chapters

181話

「以前俺が連絡した内容だが……調べはついたのか?」 「どうして私が調べなきゃならないのかしら?それに、万が一私が情報を持っていたとして、どうしてあなたに教えなきゃいけないの?」 「……俺はNEW ISLANDの社長だぞ?お前の蘭デザインより社員数も多く、会社もうちの方が大きい」 だから持っている情報を教えるのは当たり前だろう? そんな不遜な態度でふんぞり返っている誠司に、蘭は呆れたようにため息を吐き出した。 「会社が大きいからってそれが何だと言うの?そんなに情報が欲しいならご自慢の大きな会社の権力を使って情報を取ればいいじゃない」 「──っ、小賢しい言い訳をするな!俺が欲しているのだから、お前は大人しく情報を渡せばいい!」 「新島社長……あんた、いつからそんな傲慢な人間になっちゃったのよ……」 蘭は目を細め、誠司をじっと見つめる。 昔の誠司を知っているからこそ、蘭は今の誠司の変わりように驚いた。 確かに多少なりとも傲慢な部分があったかもしれない。 だが、誠司がもみじと付き合っている当時を知っている蘭は目の前に居る男の変わりようが信じられなかった。 「……男って本当に駄目ね、付き合う女1つで変わってしまうなんて」 「何を意味の分からない事を……!早く教えてくれ!駅舎について何か情報を掴んでいるんだろう!?」 誠司の大きな声に蘭はため息をつくと、きっぱりと口にした。 「知らないわ」 「──は?何だと……?そんなはずは……」 「私の実家の事を知っていて、アポも取らずに無理やりやって来たんでしょうけど……私は今実家とは距離を置いているの。……勘当されているような物だから、何の伝手もないわよ」 「……っ」 蘭のあっさりとした返答に、誠司は信じられないと言うように目を見開いた。 蘭の情報をあてにしていたのだろう。 だが、実家との確執までは調べていなかった誠司は、完全にあてが外れた、た愕然とした。 「──そんな、それじゃあ……今回俺が戻って来たのは……」 「完全な無駄足だったわね。ご苦労さま」 もういい?と言うように蘭は誠司に向けていた顔をパソコンに戻してしまう。 はっきり誠司の存在を排除してしまった蘭には、これ以上話しかけても無駄だろう。 それに、実家と折り合いのよくない蘭は本当に何も情報を持っていないのかもしれない。
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182話

タイミングよく鉢合わせてしまったもみじと誠司。 もみじは、誠司に振り向くと離婚届について聞こうと口を開いた。 「誠司、私が昨日渡した離婚届と離婚協議書は?まだサインしてくれていないの?」 「……仕事から帰ってきた夫に対して迎え入れる挨拶もなく、それか。随分と厚かましくなったな、お前も」 誠司は吐き捨てるように言うと、もみじの隣を「退け」と言いながら通り過ぎる。 誠司から軽く手で押されてバランスを崩したもみじは、よろりとふらめきテーブルに軽くぶつかりつつ、それでも誠司に言葉を続ける。 「もうこんな風に生活するのが嫌なのよ。誠司、あなたと一緒に居てもストレスが溜まるばかりで心が休まらないの。だからこんな事は早く終わりにしたいの。私との関係がなくなれば、誠司だって胡桃と一緒になれるからいいじゃない」 「──っ、またお前は胡桃、胡桃と!実の妹に嫉妬するのはやめろ!俺と胡桃はそんな関係じゃないと言っているだろう!」 誠司は叫びながら自分の鞄から昨夜もみじから渡された書類を取り出すと、テーブルに叩き付ける。 「それに、離婚の条件がやはりおかしい!俺には何も望まないなんておかしいだろう!俺と別れたらお前は無一文になるんだぞ!?それなのに、それでもいいから別れたいと言うのはやっぱりおかしい、と胡桃も言って──」 そこまで捲し立てた誠司は、はっとして口を噤む。 誠司の言葉を聞いていたもみじは、険しい表情で口を開いた。 「どうしてそこで胡桃の名前が出てくるの?……まさか、離婚協議書を胡桃にも見せたの?」 「……そうだ。お前の妹なんだし、別に見せても何ら問題は無いだろう」 「専門家に見せて確認してもらうのだったら分かるわ。だけど、それ以外の人間に見せるのは嫌よ。そもそも、胡桃は関係ない人でしょう。どうして胡桃に見せる必要があったの」 まだ、百歩譲ってもみじの両親に確認とアドバイスのために見てもらうのなら分かる。 だが、それだって百歩譲って、だ。 それにも関わらず、何の関係もない自分の妹に大事な公的書類を見せるなんて──。 誠司の対応に、もみじは呆れ果て、開いた口が塞がらない。 「……別に隠す事でも無いだろう」 「ええ、そうね。……それで、胡桃はなんて言ってたのかしら?喜んでた?それとも怪しんでいた?」 「喜ぶ、なんて……!自分の姉が離婚するか
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183話

(心配──?胡桃が?嘘ね。私が誠司と離婚するのを誰よりも、何よりも喜ぶのは胡桃なのに。それなのに心配するなんて……胡桃は私と誠司の離婚を思いとどまって欲しいの……?何のために……?) もみじが考え込んでいる間に、誠司の言葉は続いていた。 何やらずっと喋っているが、もみじの耳には1つも届いていない。 そんなもみじの態度に苛立った誠司は、声を荒らげてもみじの腕を掴んだ。 「──おい!聞いているのか、もみじ!」 「痛っ」 強い力で腕を掴まれたもみじは、痛みに声を漏らした。 その声に反応した誠司が青い顔でもみじの腕からぱっと手を離す。 「わ、悪い──」 誠司が声を発した瞬間。 誠司のスマホの着信音が鳴り、静かな部屋に着信音が軽快に鳴り続ける。 誠司は気まずそうな表情のまま自分のスマホを取り出すと、驚きに目を見開いた。 「──胡桃!?」 「……」 着信は胡桃からのようだった。 誠司は慌てて電話に出る。 「も、もしもし胡桃か!?急にどうしたんだ?」 誠司の声音は、とても優しく甘い。 かつてはもみじに向けられていたそれが、今は胡桃に向いている。 今、誠司は帰国していて胡桃は1人E国に残っている。 その不安が誠司の頭には残っていたのだろう。 胡桃を気遣うような感情が顕著に現れていて、もみじは再び笑ってしまった。 〈誠司……〉 静かな室内だからか、スマホの向こうに居る胡桃の声ももみじには良く聞こえた。 胡桃の声はか細く、誠司に甘えるような響きが現れていた。 「どうした、胡桃?」 〈どうしよう、誠司……凄くお腹が痛いの……〉 「何だって!?」 〈今まで経験した事がないくらい痛くて……心細くて……お仕事で戻ってるのに、こんな事で電話してごめんなさい……〉 胡桃の震える声と、ぐすっと鼻を啜る音がもみじの耳にも届いた。 誠司は胡桃の言葉を受けて顔色を真っ青にすると、電話を続けながら急いで部屋に向かった。 「大丈夫か、胡桃!分かった、今からそっちに戻るから、救急車を呼んでおけ!」 〈でも、海外でお医者様にかかると……〉 「俺が支払うからそんな事を気にするな!いいか、絶対に救急車を呼ぶんだ!搬送された病院が分かったら俺に連絡をするんだぞ!」 誠司はそう叫びながら自分の部屋の扉を開ける。 急いでE国に戻るつもりなのだろう。
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