บททั้งหมดของ 私の夫は義妹のために99回離婚を切り出した: บทที่ 191 - บทที่ 200

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191話

◇ 翌日。 病院で退院の準備をしていたもみじは、病室をノックする音に扉に顔を向けた。 「──はい」 「おはようございます、新島さん」 「髙野辺さん!」 おはようございます、ともみじが笑顔で挨拶をすると、髙野辺は病室に入って来てもみじの荷物をさり気なく持った。 「退院手続きは済んでいます。今日この後少し時間はありますか?久保田と話した事を伝えたくて」 「あっ、ありがとうございます!はい、時間はあるので大丈夫ですよ」 「分かりました。それじゃあ……話す内容が内容なので……個室のレストランを予約しても大丈夫ですか?」 髙野辺の言葉に、もみじは頷いた。 髙野辺が退院手続きを済ませてくれていたお陰で、病院の退院は驚くほどスムーズに済んだ。 駐車場まで一緒に向かい、髙野辺が助手席のドアを開けてくれる。 もみじはお礼を言いつつ助手席に乗り込んだ。 髙野辺も運転席に乗り込み、2人は雑談をしながら髙野辺が予約しているレストランに向かった。 ◇ レストランに着き、食事をしつつ髙野辺が久保田からの話をもみじに告げる。 「新島さん。昨日久保田と話をしたんですが、新島さんが今まで提出した証拠と、昨日暴力を受けた診断書でどうにか動く事が出来ると久保田が言っていました」 「──本当ですか!?」 「ええ、本当です。それで、久保田はこれから先の事をどうしたいか……それを新島さんから聞いて欲しい、と。久保田に任せていただければ、旦那さんに1度久保田の方から連絡を入れるそうです」 「──私が離婚について動き出している、と言う事が夫にも分かるって事ですよね?」 「ええ、そう言う事になりそうですね」 髙野辺の言葉を聞いたもみじは、少し考える素振りを見せてから再び口を開いた。 「それでしたら、少しだけ待ってもらってもいいですか?あの家から出る準備をします。夫に知られないようにどこか賃貸を借りますので、10日ほど待っていただいてもいいですか?」 家を出る──。 もみじの言葉を聞いた髙野辺は、微笑んだまま頷いた。 「ええ、分かりました。そうですよね、離婚するために弁護士を雇っているのだから、一緒の家では暮らしたくないですよね」 「すぐに離婚したいと言ったくせに、時間がかかってしまい申し訳ないです」 しゅん、と肩を落とすもみじに髙野辺は慌てて首を横に振った
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192話

◇ 場所は変わって、E国。 胡桃が入院している病院。 バタバタと慌ただしく走る音が廊下から聞こえてきて、胡桃はにんまりと口端を持ち上げた。 「胡桃!大丈夫か!?」 「──誠司ぃ!」 胡桃が入院している病室に、血相を変えて誠司が駆け込んで来る。 その瞬間、胡桃は瞳にじわりと涙を浮かべ、走り寄ってくる誠司に向かって自分の腕を伸ばした。 誠司は胡桃の電話を受けてから相当急いで出国したのだろう。 衣服も乱れ、普段はキッチリとセットされている髪の毛も無造作に乱れていた。 「ごめんなさい、誠司。お仕事で忙しいのにこんな事で呼び戻しちゃって……」 「気にするな、胡桃。それより体は?大丈夫なのか?」 「うん、さっき検査結果を聞いたところよ。腹痛は、ストレスだろうって……。慣れない環境での勉強やご飯が体に合わなくて、ストレスが溜まってお腹が痛くなっちゃったんだろうって、お医者様が……」 「そうか……可哀想に、胡桃」 ほろほろ、と静かに涙を流す胡桃を誠司は自分の胸に抱き寄せると愛しげに目を細め、頭を撫でた。 そして誠司は胡桃を抱きしめたまま、行きの飛行機の中でずっと考えていた事を胡桃に話す事にした。 「胡桃。飛行機の中でずっと考えていたんだけどな……?」 「うん、なあに?」 涙で濡れた瞳が、誠司を見上げる。 誠司は思わず胡桃にキスをしてから言葉を続けた。 「俺も、ずっとこっちに居る訳にはいかないだろう?会社もあるし……」 「ええ、そうね……。だから、誠司がお仕事を頑張っている間、私はこっちで──」 「だが、また今日みたいに体調を崩してしまったらどうする?重要な会議や、取引があった場合、胡桃の元にすぐに駆け付ける事が出来ない」 「で、でも最初はその予定だったのだし、私1人でも頑張れるわ。昨日はパニックになっちゃって、誠司に電話しちゃったけど、次からは大丈夫よ。私1人ででも──」 「いや、胡桃に何かあった時に俺が傍に居られないのが耐えられないんだ。胡桃の身に万が一の事があったら?その時俺は仕事で何も知る事が出来なくて……胡桃が1人で苦しんでいると後から知ったら……辛すぎて、どうにかなりそうだ」 「誠司……!」 誠司の言葉に、胡桃は感動したように涙を零し、自分の口元を両手で覆う。 そんな胡桃の肩に手を置いた誠司は、迷いのない目で真っ直
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193話

「嬉しい……っ、凄く嬉しいわ、誠司……!だけど……本当にそんな事をしてもらってもいいのかな……」 「何を遠慮しているんだ?胡桃は素晴らしいデザイナーだ。だが、まだ学生の身で伸び代はまだまだある。そこを、プロのデザイナーに見てもらえば、胡桃はもっと素晴らしいデザイナーになれるだろう?」 誠司の言葉に、胡桃は嬉しいけど悲しそうな表情を浮かべて見せた。 「……だ、だけどお姉ちゃんが……」 「──もみじ?」 胡桃の口から、怯えたようにもみじの名前が紡がれて、誠司は不快そうに眉を寄せた。 「お姉ちゃんだって、デザイン学科にいたじゃない……だけど、誠司との結婚で大学を中退したわ……お姉ちゃんもデザイナーを目指していたのに、私だけ誠司に……」 「そんな事は気にしなくていい。もみじには所詮そこまでの実力しかなかったんだ。実力があれば、俺と結婚した後だって独学でデザインの勉強は出来る。立派なデザイナーにだってなれているはずだ。だが、もみじにはそこまでの能力も才能もなかったんだよ。所詮、そこまでの女だったんだ」 誠司は鼻で笑うように吐き捨てると、胡桃を抱きしめる。 「でも……この事がバレたら、私怖いわ……。私がお姉ちゃんが通っていた大学を受験した時だって……」 「──ああ、確かもみじが邪魔をしたんだったな……。受験票をわざと隠されたり、家の力を使って受験当日の試験の得点を改ざんしようとしたんだろう?」 「うん……。だから、私が誠司にこんなに良くしてもらっているって知ったら、またお姉ちゃん……」 「大丈夫だ。もみじには今はもう実家の力は使えないだろう?それに、もみじに余分な金は渡していない。金に物を言わせて、胡桃を陥れるような真似は絶対に出来ないから安心してくれ」 誠司の言葉に、胡桃はそっと上目遣いで誠司を見上げた。 「ほ、本当……?私、お姉ちゃんを怖がらなくていいの……?」 「ああ、大丈夫だよ胡桃。俺が絶対に胡桃を守ってやるからな」 胡桃の大きな瞳には、溢れんばかりの涙が溜まっている。 誠司の言葉を聞いた瞬間、その大きな瞳からは耐えきれなくなった涙が零れ落ち、胡桃は声を上げてしまわないように声を殺して泣いた。 その姿が酷くか細く、今にも倒れてしまいそうなほど儚く見えて、酷く庇護欲を誘う。 誠司は胡桃を掻き抱くように腕に力を込めて胡桃の体を引き寄
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194話

◇ あっという間に時間は過ぎ、もみじが退院してから5日が経過した。 もみじは誠司と暮らしていた家の荷物の片付けを進めていた。 恐らく、自分が家を出て行けば誠司は胡桃をここに連れ込み、一緒に暮らすようになるだろう。 誠司は自分の身の回りの事に無頓着だ。 胃腸が弱いのに、食事は無茶な事をするし、家事なども恐らく何も出来ない。 今まではもみじが専業主婦として家の事を全てやってはいたが、もみじが出て行ったあと。 胡桃が誠司の家にやって来て一緒に住むようになったとしても、2人とも仕事をするだろう。 だからきっと家事は疎かになる。 「……まあ、ハウスキーパーを入れれば何も問題はないわね」 今でさえ、もみじは誠司の部屋の掃除や洗濯物に関しては外注していた。 もう、誠司の身の回りに関する世話を何一つしたくなくなったのだ。 だが、外注してしまえばそれはとても楽で。 時間が空いたお陰で、もみじは今十分にデザインの仕事に充てる時間が確保出来ていた。 もみじは、綺麗に物が殆どなくなった自分の室内をぐるり、と見回して満足気に頷いた。 「──うん、綺麗になった。駅近の物件がすぐに見つかって良かった。仮住まいだから、これから本格的に家を買わなくちゃいけないけど……今はあの部屋で十分だもんね」 即入居可の物件を見つけたもみじは、運命を感じてすぐにそこを契約した。 そして、粗方の荷物を荷造りして引越し業者を手配したのだ。 引越しの日は、明日。 誠司が胡桃の元に向かってから、1度も連絡は来ていない。 「私が家を出て行った事に気付けば、流石に連絡が来るでしょう」 もみじはそう呟くと、手荷物を1つだけ手にして部屋を出る。 次にこの家に帰ってくるのは、引越し業者がやってくるその日。 もみじは万が一誠司が帰って来た時のために自分の署名入りの離婚届と離婚協議書をテーブルに置き、その後は1度も振り返らずに家を出た。 ◇ もみじが家を出て、数時間後。 奇しくも誠司は胡桃を伴い帰国した。 胡桃の体調がここ数日、悪化していたのだ。 そのため、なるべく早く帰国して慣れた母国で診察をしたかった。 「胡桃、大丈夫か?もう少しで家に着く」 「うう……ごめんなさい、誠司……。何だか最近お腹が変で……」 「1度大きな病院で詳しく検査をしてもらおう。明日、1番に診察の
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-05-04
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195話

「おいもみじ!帰ったぞ……!」 「お、お邪魔します、お姉ちゃん……」 玄関を開けるなり、誠司は大声でもみじを呼び付ける。 だが、誠司と胡桃が家な中に入り、いくら玄関で待っていようとももみじがやって来る気配は無い。 時刻はお昼少し前。 まさかまだ寝てやいないだろうな、と誠司は苛立ちを滲ませつつ胡桃にそこに待っているように伝えてリビングに向かった。 ドスドス、と足音荒くリビングを通り過ぎ、誠司はもみじの部屋の前までやって来る。 リビングは、もみじの荷物が無くなっていたが誠司はその事には全く気が付かなかった。 もみじの部屋の前に着いた誠司はすうっと息を吸い込み、扉を壊さんばかりの強さで叩いた。 「おいもみじ!まだ寝ているのか!?起きろ!」 ドンドン、と誠司は扉を叩き大声で呼びかける。 だが、扉の向こうからは何の返答もなく、何かが動く気配も何も感じない。 「ふざけるなよ!開けるぞ!」 もしかしたら、部屋の鍵が閉まっているかもしれない──。 そんな考えが一瞬誠司の頭に過ぎったが、ドアノブを掴んで思い切り力を入れた。 すると、意外にもすんなりと扉が開き、誠司は呆気なく感じてしまう。 「おい──」 部屋に入った誠司は、もみじを起こそうと声を上げた所でぴたり、と止まった。 部屋の中はガラン、としており人の気配も何も無かった。 そして、もみじの私物がごっそりとなくなっているのを見て誠司は目を見開いた。 「──は?」 私物のみならず、もみじ本人もそこにはおらず誠司の思考が停止してしまう。 そうこうしていると、背後から近付いてくる足音が聞こえ、胡桃の声が響く。 「誠司……?どうしたの、お姉ちゃんはいた?」 胡桃の声に誠司ははっとして弾かれたように振り向く。 「胡桃……いや、もみじは……」 「どうしたの──?」 胡桃はゆっくりリビングを通り、誠司がいるであろうもみじの部屋に向かう。 すると、リビングを通りかかった時。 テーブルの上に置いてある書類が目に入った。 「──っ!?」 胡桃の目は、思わずテーブルに置かれている二枚の書類に釘付けになる。 【離婚届】と【離婚協議書】の文字が目に入った胡桃は、思わずテーブルに足早に近付き、書類を急いで手にした。 「──胡桃?どうした?」 「……なっ、なんでもないわ!お姉ちゃんはいた?
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196話

胡桃は自然と出てしまった笑みを急いで引っ込めると、慌てたような表情を浮かべ、誠司の胸元に抱きついた。 「ど、どうして!?どうしてお姉ちゃんがいないの!?誠司、お姉ちゃんに電話して……っ!」 「あ……、あ、ああ……っ、分かった……!」 胡桃に急かされた誠司は、自分のスマホを取り出すともみじの名前を探す。 もみじの名前を探していると言うのに、動揺しているからか。 誠司の目は中々もみじの名前を見つける事が出来ない。 動揺しているそんな誠司の姿を見た胡桃は、内心舌打ちしたくなった。 (──はぁ!?どうしてもみじがいなくなっただけで、こんなに動揺するわけ!?私の事の方が好きなんじゃないの!?あんな女がどこに行ったってどうでもいいじゃない!) 胡桃は胸中で叫ぶ。 だが、こんな事を誠司に言えるはずのない胡桃は、表面上は心配したような素振りを見せつつ、悲しそうに呟いた。 「どうしよう……お姉ちゃん怒ってるのかな……。私が誠司をずっと独占してると思って、お姉ちゃんが嫉妬してるのかもしれない……。誠司、お姉ちゃんを探してあげて。私は、家に帰るわ」 「──だが、胡桃のご両親は今家にいないだろう!?誰が胡桃の看病をしてくれる!?家で、1人の時に倒れたらどうするんだ!?待ってろ、今すぐもみじを呼び出すから──!」 ようやくもみじの名前を見つける事が出来た誠司は、迷いなく発信する。 呼び出し音が誠司の耳に何度も届くが、もみじが誠司からの着信に応答する事は無い。 「──くそっ、何をしてる……!」 「いいわ、大丈夫よ誠司……。私はタクシーでも呼んで家に帰るから。お仕事が忙しいんでしょう?私の事は気にせずお仕事に行って?」 「胡桃──……」 誠司の困ったような表情を見て胡桃は笑顔を浮かべると、自分のスーツケースを引いて歩き出す。 胡桃の後を追った誠司は、スーツケースを奪うと自らそれを引いて歩き出す。 「……せめて、家までは送る。仕事が終わったらそっちに顔を出すよ。明日の朝も迎えに行くから、家で安静にしているんだぞ?」 「うん、分かったわ誠司。忙しいのに煩わせちゃってごめんなさい」 「そんな事は気にするな。もみじがいないのが悪いんだからな……」 誠司はそう口にすると、胡桃の体を引き寄せて額にキスをした。 そして、胡桃を自ら車で家まで送り届けた誠司は、急
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197話

◇ 一方、もみじ。 もみじは不動産屋立ち会いの元、新しい家にやって来ていた。 契約内容を確認し、契約手続きを完了する。 不動産屋から鍵を渡されたもみじは、帰って行く不動産屋の担当を見送ってから部屋に戻り、室内をぐるりと見回した。 さほど広くもなく、狭すぎる事もない1LDK。 「──うん。仮住まいとしては十分だわ」 声を弾ませつつ、もみじは寝室になるであろう部屋に向かい自分の荷物を置いた。 まだ、何の家具も無くただ広い空間が広がっているだけだ。 「……今日、家具屋に行って必要なものを買ってこようかな。配送も頼まなくちゃいけないし、そうしよう……!」 もみじは弾む足取りで貴重品と車の鍵だけをバッグに入れ、他の荷物は仮寝室に置いたまま仮住まいの家を出た。 その間、もみじは1度も自分のスマホを確認する事は無かったので、誠司からの着信にも気が付かなかった。 都内の家具店にやって来たもみじは、1人用の小さなテーブルと椅子を購入した。 大型家電などは配送を頼み、数日後に家電は家に到着する。 「今日はご飯を買って帰っちゃおうかな」 家具屋の近くには美味しいご飯のお店がある。 確かテイクアウトもしていた筈だ、と思い出したもみじは家具の購入もそこそこにお店を出て、ご飯屋に向かった。 中途半端な時間帯だからだろうか。 ご飯屋は空いていて、すんなりと注文が済み、後は出来上がりを待つだけ。 テイクアウトのご飯が到着するまでの間、そこでようやくもみじはスマホを取り出した。 「──あれ」 誠司から沢山の着信が入っている。 それに、今までにないほど沢山のメッセージも入っている事に気がついたもみじは、メッセージを開封して内容に目を通す。 1つ目のメッセージを確認したもみじの口からは、乾いた笑いが漏れてしまった。 「──はっ、……ふふっ、私に胡桃のお世話を……?冗談じゃないわ」 誠司が胡桃を連れて帰国した事。 それと、胡桃の具合が悪く、家に連れて来た事。 そしてその世話をもみじにさせようとしていた事がメッセージから分かった。 このまま無視してしまおうか。 そう考えたもみじの耳に、注文していたご飯の準備が出来上がったのだろう。 店員の呼び出しが聞こえ、もみじはスマホをバッグにしまい、慌てて受け取りカウンターに向かった。 ◇ 「もみじー!
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198話

美味しい沢山のおつまみに、美味しいお酒。 そして目の前には、もみじが大好きな親友。 元いた家より全然狭いが、あの家に比べれば息苦しくもなく、ただただ楽しい時間と空間。 もみじは蘭に進められるがまま、次々とお酒を開けていた。 「──はぁ!?あのクズ旦那、不倫相手を連れ帰ってきてもみじに面倒を見させようとしてたっての!?信じられない!馬鹿じゃないの!」 もみじから今日誠司が帰国した事。 そして、誠司が胡桃を連れて帰ってきた事。 具合の悪い胡桃の世話を自分にさせようとしていた事を、もみじは酒に酔った勢いで話した。 そうしたら、蘭は烈火の如く怒り狂い、叫んだ。 もみじも蘭の言葉に同調するように頷く。 「本当よね……、本当に信じられないのよ。どんな神経をしていたら、胡桃の世話を頼めるのよ……私が何も気が付いていないって思い込んでいるから、そんな事が出来るのよ」 「本当に馬鹿よね。とっくに気が付いているし、飛行機でイチャついていた写真も相当出回っているじゃない?気が付いていないのは旦那とその妹だけじゃないの?」 「うーん、誠司は気が付いていないかもだけど、胡桃は知ってるような気がする。あの子、SNSに敏感だから」 「へえ……。気が付いていながらやっているなら、随分面の皮が分厚い子ね、その妹って」 「ええ、そうなのよ……。昔から義母に甘やかされて育っているから……だから、自分の思い通りにならないと癇癪をよく起こしていたし……」 「とんだ我儘ろくでなし女じゃない!」 ひえーっ、と嫌そうに顔を歪めて話す蘭に、もみじも苦笑いを浮かべる。 「もみじは、どうするの?旦那と離婚したら……また実家との付き合いをするの……?」 「いいえ。私は1回家を出てるから、もう戻らないし、あの家とも関係を断ちたいわ。……もう、あそこは私の家じゃないし」 「そう、よね……」 蘭はしんみりとした様子で頷く。 もみじが、嶋久志の実家でどんな風に過ごしていたか。 それを、高校の時から仲の良かった蘭は見ていたし、知っていた。 学生の時は、まだ良かった。 もみじの傍には誠司がいたし、もみじの味方にもなってくれていた。 だが、当日もみじを守り、支えてくれていた誠司は今はもう胡桃に狂い胡桃を大事にしてしまっているのだ。 「私は義母とは折り合いが悪いし……実父とも……あ
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-05-06
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199話

──ブーン、ブーン、と低い重低音が響く。 その音は何十秒、数分間続き、やっと途切れた。 だが、間を開けずに再び重低音がブーン、ブーンとなり、もみじの意識はふっと浮上した。 「んん……、何……?」 頭がガンガンと痛む。 もみじは小さな声で呻くと、不快な音を奏で続ける原因を探ろうと腕を動かした。 すると、振動し続ける何か──スマホに、自分の腕が触れた。 「……電話?」 長い振動だ。 通知や、メール受信のお知らせではない。 もみじはのそり、とその場に起き上がると隣で自分と同じようにすうすうと寝息を立てる蘭を起こさないよう気をつけながら立ち上がる。 硬いリビングの床の上で寝てしまったからだろう。 体がバキバキになってしまっていて、あちらこちらが痛い。 もみじは何とか寝室に向かうと、扉をしっかりと閉めてスマホの画面を見た。 そこには「新島 誠司」の文字が表示されている。 その名前を見た瞬間、もみじの頭痛は更に増した。 眉を寄せ、顔を歪めつつその電話に出る事にしたもみじは、スマホをタップして耳に当てた。 「……何の用?」 寝起きのもみじの声は、酷く低く掠れている。 そんなもみじの耳に、怒りに満ちた誠司の大きな声が響いた。 〈何の用じゃないだろう!?どこをほっつき歩いている!?胡桃の具合が悪いから世話をしてやれ、と連絡をしただろう!〉 誠司の大きな声に、頭痛が増したような気がして、もみじは耳からスマホを思わず離す。 その間も、誠司の文句はまだ続いていた。 〈今日、俺が胡桃を病院に連れて行く!診察が終わったら胡桃を家に連れて帰るから看病をしろ!〉 誠司の言葉が終わるのを待ち、もみじはスピーカーに向かって落ち着いた声音で告げる。 「そんな事より、離婚届と協議書にサインはしてくれた?」 〈そんな事だと!?まだそんな事を言っているのか!?何をそんなに意地になっている!?まさかまだ俺と胡桃の仲を疑っているのか!?そんな馬鹿な事を言っていないで早く家に帰ってこい!これ以上胡桃を煩わせるな!可哀想だろう!?〉 「可哀想……?はっ、可哀想、ね……」 〈おい、何を笑って──〉 「サインをして。サインが終わったら連絡をちょうだい。それ以外での連絡はしないで、煩わしいから」 〈──っ、もみじ──〉 誠司の怒号が響きそうになった事を察し
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-05-06
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200話

身支度をしている蘭に向かって、もみじは声をかける。 「蘭、おはよう。もう帰るの?」 「あっ、もみじおはよう。うん、急ぎの仕事が入っちゃってね……本当は今日1日休みだったのにぃ……」 悔しそうに言葉を漏らす蘭に、もみじは柔らかく微笑んで近付いた。 「またいつでも遊びに来て?私は在宅で仕事をする事が多いから、いつでも歓迎するわ」 「うん、ありがとうもみじ。またすぐに遊びに来るからね」 もみじと蘭はぎゅうーっと強く抱き合う。 じゃあね、もみじ!と元気良く晴れやかな笑顔を浮かべて帰って行く蘭を、もみじは見送った。 「──さて、昨日購入した家具が届くはずだし、私も家の片付けをしなくちゃね」 腰に手を当てて息を漏らす。 昨晩食べた物や空き缶などを片し、洗い物をしている内にあっという間に時間は経ち、家具が配達される。 冷蔵庫や食器棚、それにベッドや仕事ようデスクなどが次々と運び込まれ、設置されていく。 クローゼットを開けると、そこはガランとしていて、もみじは自分の腰に手を当ててうーんと考えた。 「家から持ってきた服だけだとやっぱり少ないわね……。これからはSeaとしての活動を増やして行くつもりだし……取引先との打ち合わせも増えるから、ちゃんとした仕事着を増やさなきゃ」 それに、ともみじは寝室にかけてあるカレンダーに顔を向ける。 「デザインコンテストの最終選考も、もうすぐだものね……」 デザインコンテストの最終選考の面接には、大企業の役員も参加するらしい。 きっと緊張感が高い面接になるだろう。 「……スーツを新調しようかな」 呟いたもみじは、スマホを取り出して蘭に連絡しようとしたが先程の蘭の言葉を思い出してはっとする。 「……駄目だわ、蘭は仕事が入っちゃったし……どうしよう……後は誰に聞こう……」 大事な面接の場に相応しいスーツを選びたい。 だが、今まで会社員として働いた事のないもみじは、何となくの服装は分かるが自信が持てない。 迷った末に、もみじは髙野辺の名前をスマホに呼び出した。 「……ちょっと、ちょっと聞いてみるだけだったら大丈夫かな。髙野辺さんは会社員だし、そういった場に相応しい服装は詳しいかも……」 少しだけ躊躇いつつ、もみじは簡単に文章を打つと髙野辺にメールを送った。 もしかしたら、仕事で忙しくてすぐに返事は返って
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