◇ 数日後、ある日の昼下がり。 髙野辺は社長室で仕事をしていた。 そこへ、扉がノックされ、秘書2人が入ってきた。 「──どうしたんだ、2人とも?」 髙野辺は入ってきた自分の秘書、蒔田と田島を不思議そうに見た。 蒔田も、田島もどこか険しい表情を浮かべていて。 髙野辺の問いかけに、蒔田は険しい表情のまま、口を開いた。 「──社長、会長からご連絡が」 「……何だと?どんな内容だ?」 「はい。それが……支援している、とある駅舎の立て替えに関して……もしかしたら外部の人間が、情報を得ようとしている可能性がある、と」 「情報公開は来年だろう?何故そんな事が起きている?」 「はっ、それが……ここ最近になって国内で立て替え予定の駅舎の情報を探っている人間がいるようです」 「もちろんその人物の調べはついているんだろうな?」 髙野辺の目がすっと細められ、蒔田を見据えた。 社長室にぴりっとした空気が流れ、蒔田も田島も背筋を正した。 「はい。……田島さん、社長に報告を」 「はい」 蒔田に話を振られた田島は、背筋を伸ばしたまま髙野辺に告げた。 「駅舎立て替えについて探っている人物は、都内大手企業に勤める会社役員──飯島 力雄です。この飯島という人物、息子がおりまして……。その息子が嶋久志 忠の同級生でした」 「──嶋久志、嶋久志……」 嶋久志、と言う苗字に髙野辺は覚えがあった。 そして、すぐに思い出す。 「──新島さんの妹の苗字か……!?」 髙野辺が田島に向かってそう告げると、田島は何とも言えない難しい顔で頷いた。 「ええ……。胡桃様の苗字、ですね……。ご両親の苗字、です」 「じゃあ、嶋久志 忠と言う名前は、新島さんの父親の名前か?」 「おっしゃる通りです」 髙野辺は疲れたようにため息を吐き出し、額を片手で覆う。 「どうしてこのタイミングで……駅舎の立て替えに関しては限られた者しか知らないだろう?」 髙野辺の言葉に、蒔田が頷き、書類を取り出すとそれに目を落として答える。 「はい。知っているのは極一部です。支援をしている髙守株式会社の会長に社長、それに我が社の社長と……駅舎関係者。今の段階では、鉄道関係者も上層部のみかと。……あとは、駅舎のデザイナーですね」 「──デザイナー、か。そのデザイナーは誰か分かるか?」 髙野辺の問
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