ビルから出たもみじと工藤。 ビル前には既に車が停まっていた。 「さあ、玖渡川様。社長のご自宅までお送りいたします。どうぞ」 「──ありがとうございます、工藤さん」 「いえ、これも仕事ですから」 表情を一切変えなかった工藤が、初めて柔らかく微笑む。 ドアを開けてくれた工藤にお礼を告げ、もみじが後部座席に乗り込むと工藤が運転席に乗り、エンジンをかける。 外はまだ明るい。 こんな明るい時間に会社を出るのが何だか不思議で、もみじは社長室があるであろう上階を見上げた。 (髙野辺さん……忙しいのに、いつも助けてくれる……。いつも迷惑をかけているのに……) しかも、今回はもみじの親友・蘭の会社が関わっているかもしれないのだ。 もみじはため息を吐き出し、頭を抱えた。 (こんな大変な時に、どうして新島社長はまた煩わせるのよ……) そこまで考えたもみじは、ハタ、と違和感に気付く。 (待って……そもそも、どうして新島社長は私が怪我をした事を知っていたの……?あの騒ぎを知っているようだった……) あの騒ぎが起きたのは、つい数時間前だ。 それなのに無関係な誠司が知っているとしたら。 もみじは急いで自分のスマホを取り出し、ネットで調べる。 TK株式会社の名前を打ち込み、騒ぎ、など単語を絞って検索する。 すると、簡単に今日の騒動の動画やニュースがずらり、と出てきた。 (──あった……!) それの1つをタップして、動画を再生する。 動画を見つめながら、もみじは考えた。 (これらの動画が投稿されたのは、少なくとも1時間前くらい……それなのに、新島社長が知るなんて……。あの人は普段ネットサーフィンをしない……新島社長より、胡桃の方がネットには──) そこまで考えて、もみじはハッとして目を見開く。 (待って……、待って。胡桃は、以前徳居社員の盗撮の件にも関わっていた……。それに、私への執着が強いって、髙野辺さんも言っていたわ。……胡桃は、ずっと私の動向を監視していた……?それで、たまたまこの騒ぎを知って……) 誠司に言ったのだろうか。 そう考えたもみじだが、頭を横に振る。 (いえ……新島社長に教えても、胡桃は何の旨みも無いわ……それより、自分の夫が他の女を心配する姿を見て、嫌な気持ちになるはずよ……それなのに、私の事を新島社長に知らせた……何の
Última actualización : 2026-08-04 Leer más