パタン、と背後で扉が閉まる音がした。 髙野辺は驚きに目を見開き、顔だけ扉に振り返る。 「──こもも。……胡桃?もみじさんの妹の名前が、どうしてあの女性の口から……」 髙野辺は呟き考えるように自分の口元に手を当てる。 そうして、はっとすると急いで廊下を歩き出した。 ◇ 「──もみじさん!」 「わっ!?」 デザイン室の扉が勢い良く開き、髙野辺が焦った様子で駆け込んで来る。 帰り支度をしていたもみじは、勢い良く入ってきた髙野辺にびっくりして声を上げた。 「ど、どうしたんですか髙野辺さん?」 「──彼女、徳居 朱音の口から、もみじさんの妹の名前が出てきたんです……!」 「え……っ。胡桃の名前が……?どうして……」 「俺にも詳しくは分からないのですが……もしかしたら今回、俺ともみじさんが写真を撮られた事も、それを記事にされた事も、妹さんが関わっているのかもしれません……。それと、今回我が社のデータを他社に売ったのも……」 そこでいったん言葉を切った髙野辺は、ちらりともみじを見る。 まさか自分の名前でログインされている、とはもみじも知らないだろう。 だが、当人が知らぬ間に犯人に仕立て上げられる。 そんな事が実際、起こったのだ。 巻き込まれたもみじにも、知る必要がある。 「……今回、他社に情報を売ったのは徳居さんでした。……その時、データを入手するために社外秘のサーバーにログインする時に、徳居さんはもみじさんの名前でログインしたんです」 「──えっ!?私の名前で、ですか!?」 ぎょっと目を見開くもみじに、髙野辺は申し訳なさそうに眉を下げ、説明をした。 そもそも、営業社員と会社の役員がログイン出来るサーバーの情報が他社に流れた。 デザイナーであるもみじは、そのサーバーへのアクセス権限は持っていない。 それに、ログインするためのIDもパスワードも発行されていない。 普通の営業社員だったらそれくらい簡単に分かる。 だが、徳居の目的は仕事ではなく髙野辺個人だったのだ。 だから会社のシステムも、仕事もどうでも良かった。 覚える必要がなかったのだ。 そのため、徳居はその基本的な情報すら頭に入れていなかった。 だからこそ、そんな信じられないミスを犯したのだが──。 「徳居さんが、こももの言う通りにやったのに、と呟いたのが去り際に
Last Updated : 2026-07-23 Read more