社長室にやってきたもみじと髙野辺。 髙野辺は、もみじを抱いたまま室内に足を進めると、室内にあるソファに優しくもみじを下ろした。 「もみじさん、少し待っててくださいね。救急箱を持ってきます」 髙野辺はそれだけを言うと、急いでその場を離れ、救急箱がしまわれている棚に向かう。 焦っているのだろう。 常に穏やかで、丁寧な動作の髙野辺が苛立っているように乱暴に棚を開け、ガタガタと物音を立てて救急箱を探している。 「──あった」 髙野辺はほっとしたように声を発すると、ソファに座っているもみじに振り向き駆け寄った。 もみじの首筋には、徳居が首を絞めた時についた手形がクッキリと残っており、とても痛々しい。 髙野辺は眉を下げ、その痛々しい痕に手を伸ばした。 「──怖かった、ですよね。……すみません」 「髙野辺さんが謝る事じゃないですよ、むしろいつもすぐに駆け付けてくださってありがとうございます」 もみじにお礼を言われ、髙野辺は自分の判断の甘さを悔やんだ。 (徳居 朱音……こんな事をするなんて。俺のせいで、俺の対応の甘さのせいでもみじさんが怪我をしたんだ……) 髙野辺は、自分の対応の不甲斐なさが悔しくて唇を噛み締めた。 もみじの首元にくっきりと残る痣。 冷やす効果のある塗り薬を指先に取り、そっと痣に塗り込んでいく。 「──ふっ、」 「もみじさん?痛かったですか!?」 もみじが小さく息を漏らした。 すぐにすみません!と手を止めた髙野辺は、痛んだだろうか、ともみじの様子を窺う。 だが、もみじは「大丈夫です」とぎこちなく笑った。 「ご、ごめんなさい……。その、大丈夫です」 「本当ですか?痛かったら遠慮なく言ってくださいね」 「はい、分かりました」 こくり、と頷くもみじに髙野辺は再びもみじの細い首に手を伸ばす。 髙野辺の指先が首に触れる。すると、もみじが小さく息を漏らした。 痛みが出ないよう、慎重に優しく薬を塗り込んで行く。 その間、髙野辺の指が動く度に、もみじの口からは甘やかな吐息が漏れ、体がぴくぴくと震えている。 「──っ」 「……ふっ、……んんっ」 こそばゆいのだろうか。 もみじは小さく声を漏らし、擽ったさに耐えている。 薬を塗るため、もみじと髙野辺の距離は近い。 そのため、もみじの甘やかな吐息はダイレクトに髙野辺の
Última actualización : 2026-07-28 Leer más