もみじがルリの荷物を静かに片付けていると、ルリの部屋からそーっと出て来た髙野辺がもみじに気が付き、近付いてくる。 そして、声を潜めてもみじに告げた。 「おばあ様、疲れていたようで今眠りました」 「本当ですか?朝ごはんを作ろうかと思っていたけど……それじゃあおばあちゃんの分は大丈夫そうですね」 声を潜めた髙野辺に合わせ、もみじもひそひそと話す。 そのため、必然的に2人の距離は近くなっており、髙野辺は身をかがめてもみじの顔のすぐ近くに自分の顔を寄せていた。 普段、身長の高い髙野辺とこんなに顔が近づく事は殆どない。 そのため、ぱちり、と目が合ったもみじと髙野辺はあまりの距離の近さにお互いぶわっと顔を赤くした。 ぱっ、と髙野辺がすぐにもみじから離れ、もみじも半歩髙野辺から距離を取ると、誤魔化すように続ける。 「そ、それじゃあ私と髙野辺さんのご飯を軽く作りましょうか……っ、おばあちゃんが起きた時に食べられるように、軽食も作っておきます……っ」 「そ、そうですね、俺も手伝います……!」 もみじと髙野辺、2人は多少ぎくしゃくしながらキッチンに向かった。 食事を作り始めた最初の頃は、どこか気恥しさが2人の間に漂っていた。 だが、2人で料理をしているうちにそんな空気はどこかに行き、今は2人で世間話をしつつ料理をしていた。 ふと会話が途切れた瞬間、思い出したように髙野辺がもみじに告げる。 「──そうだ、もみじさん。病院に着いた時、蒔田秘書から電話があったんです」 「あっ、あの時のですか?」 ええ、と髙野辺は頷く。 ルリを迎えに行った時。髙野辺は電話の対応をするから、ともみじが先に病室に行ったのだ。 その時、蒔田秘書から何を報告されたのだろう、ともみじが首を傾げると、髙野辺が教えてくれた。 「──都内で1件、車の引き取りがあったそうです」 「え……っ」 「引き取りをした車は、恐らくこのまま廃車にされるでしょう。……このタイミングで車を引き取らせるなんて、どうにも怪しい」 「……まさか、その車の持ち主が轢き逃げ犯ですか……?」 「まだ、確実にそうだとは言えませんが……恐らくそうだと思います」 その業者を調べるのに妨害があった事も、恐らく轢き逃げ犯がある程度地位のある人間だと言う事も、髙野辺はもみじに伝えなかった。 「──この件は、俺に
Última actualización : 2026-08-24 Leer más