「ありがとう、千隼。大切にするわ」 私が両手を伸ばしてぬいぐるみを受け取ろうとすると、彼は首を横に振った。「重いでしょう。俺が持ちます」「でも、それじゃあなたがずっとそれを抱えて歩くことになるわよ?」「構いません。俺は貴女の荷物持ちですから」 そう言って、彼は本当に真顔のまま、巨大なピンクの猫を小脇に抱えて歩き出した。黒鉄会の構成員が見たら、卒倒するか腹を切るレベルの光景だ。 私は彼を追いかけながら、お腹を抱えて笑い続けた。お化け屋敷でのヒリヒリとした緊張感は、嘘のように霧散していた。「あ、クレープ屋さん。私、あれ食べたい」 笑い疲れて喉が渇いた私は、ピンク色の派手なワゴンの前で立ち止まった。甘いバニラエッセンスと、焼けたバターの香りが漂ってくる。「クレープ、ですか。……俺は甘いものはあまり」「デートの定番でしょ? 一緒に食べるの」 私が強引に列に並ぶと、千隼は巨大猫を抱えたまま、渋々といった様子で私の後ろに立った。 注文したのは、私が「ストロベリーチョコブラウニー・生クリーム増し増し」。千隼には、少し甘さ控えめな「バナナキャラメルカスタード」を強制的に選ばせた。 ワゴンから少し離れたベンチに腰を下ろす。私たちの間には、クッション代わりに巨大猫が鎮座している。「すごいボリューム……これ、一人で食べきれるかな」 私は自分の顔の半分ほどもあるクレープを両手で持ち、まずは先端の生クリームとイチゴに齧り付いた。濃厚な甘酸っぱさが口いっぱいに広がり、思わず頬が緩む。「美味しい。ねえ、千隼のも一口ちょうだい」 私が言うと、千隼はクレープを持ったまま少し戸惑ったような顔をした。「……俺が食べたところは、汚いですよ」「何言ってるの。さっきお化け屋敷で、あんなことしようとしておいて。……ほら、あーん」 私が身を乗り出して口を開けると、彼は一瞬目を見開き、それから観念したように自分のクレープを私の口元へ運んだ。「&hell
최신 업데이트 : 2026-02-24 더 보기