何事かと驚いた彩愛だったが、勇真のいつもの手かと気づき、話を合わせた。「勇真お兄様、あまり心配させないでくださいね。颯生お兄様に言いつけますよ。」「わかっているよ。そう言うことなので、これきりと言うことで。」と冷たく言ってこちらの一行と一緒に去って行った。その後ろを来栖夫人が澄ました顔で、「息子がこう言っておりますので、失礼しますね。」と言って同じく去って行った。千登勢と楓香を残して、元々の同行者のように一緒に移動しながら来栖夫人が澪那に話しかけた。「助かったわ。いきなり食事に同席したいって言ってきて。お花をいただいた手前断れなかったのよ。」「あなたも大変ね。」「そうよ。颯生君が留学してしまってますます大変よ。うちの勇真も行かせようかしら。」「寂しいわよ〜。」澪那の誂うような言葉に黙ってしまった来栖夫人に代わって勇真が話しかけた。「颯生君は今度いつ帰ってくるのですか?」「あと一月後くらいかしら。でも10日ほどですぐに戻ってしまうのよ。」「そうですか。やっぱり僕も行こうかな。」「ちょっと待ちなさい、勇真。勝手に決めないで。」凛華は自分の心配が全くの的外れだったと安心した。誰もがあの二人につけ入られるわけではない。あの二人も、今世は生き方を変えないとそのうち大変な事になるだろうに。と、逆の心配が浮かんだがそれ以上は考えるのをやめた。会場に着いた所で翔月と柚莉愛は皆と別れて楽屋に向かった。何故か来栖夫人と勇真も一緒に客席で午後の部を鑑賞する事になった。席に着くとすぐに東雲家と若桜家の使用人達が花束とぬいぐるみを持って来た。それらを見た勇真が、「もしかしてそれ、翔月君へのプレゼント?」と聞いてきた。彩愛が、「そうよ。今日は翔月君に聴きに来てほしいってご招待してもらって来たのだもの。」「そうです。」一応、凛華も返事をした。勇真は、「何だ?声を掛けていれば僕もプレゼントをもらえたのか。それは残念。次は連絡しよう。」「必ず来られるとは限りませんからね。」彩愛は素っ気なく言う。この二人は本当に仲が良さそうだ。他のお誘いを断る口実だけではないのかも。と、凛華は思ったが、さすがに子供同士の恋愛事情に興味はないのでこれも考えるのはやめた。今は自分の事で精一杯だ。翔月の演奏は想像以上に素晴らしかった。会場からは、勇真に負けない
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