Todos los capítulos de 間違い人生のトリガーを破壊して新しい人生を謳歌します!: Capítulo 41 - Capítulo 50

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第41話

「ありがとうございます。母は疲れが出て休んでいます。私ももう少し休みますので大丈夫です。」落胆と安堵という複雑な心境の凛華は、よそよそしい態度でオーロフに返事をした。彼もまた淡々と、「わかった。」と一言答えて、枕元の椅子に座ると持参した鞄から書類を出して読み始めた。この人は何をしているのだろう。凛華はオーロフの様子を不思議そうに見ながらもう一度言った。「あの、私たちは大丈夫ですから……。」「さっき聞いた。」「だったら…。」「私の事は気にせずに休めばいい。芙美華が起きるまでここにいる。」「………。」『あなたがそこにいると気になって休めない。』と言う言葉を声に出せずに、凛華は戸惑っていた。すると、またドアがノックされ返事を返す前にドアが開いた。「こんにちは。お邪魔します。」可愛らしい声と共に、凛華と同じ年頃の少女が入ってきた。「あっ、本当に目が覚めたのね。こんにちは、はじめまして。私はフレイヤよ。凛華、大変だったわね。」「!?フレイヤ?……ああ、はじめまして。」「パパ、やっぱり。さっき看護師さんから凛華が目覚めたって連絡が入ったの。でもパパのことだから無愛想に居座っているんじゃないかってママが心配してたのよ。パパ、女性2人が休んでいる所に面識もない男性が居座ってたら休めないでしょ。私が変わるからもう帰っていいわよ。」「そうなのか?私は凛華の叔父だぞ。芙美華の義兄でもある。なぜだめなんだ。」「もう。女の子の気持ちが全く分からないんだから。ダメなものはダメなの。ここは私に任せて仕事でも家でも行ってちょうだい!」「家に行くって……。わかったよ。ここは君に任せるよ。頼んだよ、フレイヤ。また改めて来るよ、凛華。」「はい、ありがとうございました。」オーロフが部屋から出ていくと、凛華はほっと一息ついた。その様子を目敏く見ていたフレイヤは、「ごめんなさいね。緊張したでしょう。娘が言うのもどうかと思うけど、パパってちょっとカッコいいでしょ。それに威圧感もあるし。初対面ですぐ近くにいられるとちょっと…ね。本当はちょっと天然で優しいのよ。だから警戒しないであげてね。」「……、はい。」「あなたのパパもとっても素敵な人よ。でもね、女心が分からない所は兄弟ね。つまらない意地を張って会いに来ないの。そのくせにしょっちゅう様子を聞いてくるのよ。」
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第42話

「そう!お守り袋!結婚の準備でこっちに帰ってくる時に叔母様が作って持たせてくれたって。もう一つは東雲の叔父様が送ってくださったそうよ。娘さんが初めて作った物だって。凛華、覚えてる?」『初めて作った?そう言えば最初の一つは練習だからって母が持って行った気がする。わざわざそんな物を送っていたなんて。』「はい。覚えています。でも、父に送ったというのは知りませんでした。」「そうだったの。でも叔父様にとっては宝物のようよ。」「そう…なんですね。」父を想い、しんみりとしてしまった凛華を見てフレイヤも何となく口を閉じた。少しして、「凛華、大変な怪我だったから暫くは安静にしてね。トーマス叔父様が本当に申し訳ないことをしたわ。叔母様が起きるまで私がここにいるから安心して休んで。」「ありがとう。お言葉に甘えてそうさせてもらうね。」凛華が静かに目を閉じると、すぐに穏やかな寝息が聞こえてきた。凛華の素直な様子にフレイヤは嬉しそうに心の中で呟いた。『叔父様、大丈夫よ。幸せになってね。』翌日、芙美華とこれからのことについて話をしていると、病室のドアを軽くノックする音がした。芙美華は看護師さんかなと思い、何気なく返事をした。「はい、どうぞ。」「お邪魔するよ。凛華、傷の具合はどうだい?」予想と違い、入って来たのはオーロフと金色の髪と水色の瞳をした美しい女性だった。色合いは少し違うが、雰囲気はフレイヤにとても似ているのでおそらく奥様だろう。「ありがとうございます。お薬が効いているので、じっとしていれば大丈夫です。」「大変だったわね。何かと不自由でしょうけど、暫くは安静にね。」心配そうに気遣ってくれる女性の肩を軽く抱き寄せオーロフが言った。「紹介するよ、妻のアンナだ。私が仕事の時は彼女が力になるよ。遠慮なく頼るといい。」「よろしくね、芙美華、凛華。」「ありがとうございます。よろしくお願いします。」顔合わせが終わるとオーロフは早速今回のことについて報告を始めた。まず、食事会のことについてだったが、あれは颯生と仲良くなりたいサーラとマキ・フカサワの絵が欲しいトーマスの親子が、二人の利害が一致した為に仕組んだことだった。そして、狙撃については悪巧みが失敗したので口封じを狙ってのことだったらしい。トーマスは現在ではほとんど名ばかりの当主だった。無能な癖に気位ばかり
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第43話

凛華は入院中に新たな四人の友人が出来た。一人はフレイヤ。それからフレイヤの弟のフローデと彼の親友のビョルン。もう一人はリハビリを担当してくれている理学療法士見習いのロルフだ。フローデとビョルンはまだ9歳の可愛い少年達だ。フレイヤと一緒にお見舞いに来たのをきっかけに、彼の母からの差し入れを届けてくれたり、凛華の話相手になってくれている。亜麻色の癖っ毛に淡い水色の瞳で細身のフローデに対して、ビョルンは茶色の髪と髪よりはやや薄い茶色の瞳で背もフローデより十センチ近くも高くがっしりしていた。その日も授業が終わった後、二人で母の焼いたパウンドケーキを持ってお見舞いに来てくれた。凛華は左腕を固定されながら、ベッドの上で上半身を起こして本を読んでいた。「こんにちは!凛華。ママの焼いたパウンドケーキを持ってきたよ。一緒におやつを食べようよ。」フローデが明るく声をかけた。「ありがとう。こんなに度々来ていて勉強は大丈夫なの?」「余裕だよ。フレイヤは高等部に入ってから授業が難しくなって大変だって言ってるけど僕たちはまだ小学部だからね。学園の授業だけで十分なんだ。」「そう。だったら来てくれて嬉しいわ。悪いけど、お皿の用意とかお願い出来る?」「もちろん!」フローデとビョルンは手際よく凛華のテーブルをセットすると、ケーキを一切れずつお皿に乗せた。更に凛華の分は1口分ずつ切り分けてからフォークを添えてテーブルに置いてくれるという気の配り様だ。「凛華、どうぞ。今日のはドライフルーツがいろいろ入っているんだって。ママの自信作らしいよ。」「うん、いい香り。美味しそうね。ありがとう、いただきます。」早速凛華が右手でフォークを持ち、一切れを口に運んだ。オレンジピールの爽やかな香りと濃厚な甘みを、しっとりとした生地が包み込んだ一口は、作り手の細やかな心遣いを感じさせ口も鼻も心にも幸福感を与えてくれる。「美味しい!」凛華が思わず笑顔を浮かべた。すると少年達二人も嬉しそうな笑顔になった。そして、ビョルンは紙コップに注いだ紅茶をそっと差し出した。「一緒に飲むと美味しいよ。」「ありがとう。そうね。一人で食べるより三人で食べる方がずっと美味しいね。」マフィンと紅茶が一緒の方が美味しいと言いたかったビョルンは、凛華の笑顔と返事に真っ赤になってしまった。「いや、そういう意味で
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第44話

凛華とリハビリ室に向かいながらロルフが尋ねた。「あの子達は学園の友達かい?」「いいえ。一人は従兄弟でもう一人は彼の友人です。」「じゃあ幼なじみか。」「それも違いますね。最近会ったばかりです。」「従兄弟なのに?」「はい。事情がありまして。」「そうなんだ。それにしては仲いいね。」「そうですね。二人とも優しいし、話していて楽しいですし。」「ふうん…。で、どっちが好きなんだ?」「……?」「あれ?自覚ないの?」「何の?」「ああ、凛華はそういうタイプか。」「何の話ですか?」 「いや、気にしないで。僕の勘違いだったと言うことで…。」「気になるんですけど。」「ごめん、忘れて。さぁ、着いた。今日も頑張るよ。」凛華は 事件の日から1週間が過ぎ、傷も落ち着いてきた。その為先日から手や肘の動きを中心にリハビリを始めていた。傷に影響を与えないようにしながらも、健全な部分の機能を維持できるように細やかな配慮の元、少しずつ動かしていく。痛みや困難も伴いながら、ロルフの指導に素直に従い施術を受けた。休憩に入った時に、凛華がロルフに尋ねた。「ロルフさんは将来理学療法士を目指されるのですか?」「いや、僕の目標は外科医だ。今はまだ大学部に入ったばかりだから今出来る実習はこれだけなんだ。この分野の知識や経験も必要だと思うしね。」「そうなんですね。私も将来は医者を目指しているので参考になります。」「凛華は何科が希望?」「今はまだ分からないです。ちゃんと勉強して何科がいいのか考えていこうと思っています。」「そうか、将来は同僚になるかもしれないな。」「かもしれません。その時はよろしくお願いします。」その後もロルフとあれこれ話すうちに、凛華はリハビリの重要性を強く感じるようになった。そして、ますますロルフと親しくなっていった。退院を3日後に控えた日、凛華とロルフは病院の中庭のベンチで一緒に昼食を食べていた。「凛華は今休学中なんだろ。退院後は何をして過ごすんだい?」「母の仕事を手伝うつもりです。私の怪我の看病で仕事が随分溜まってしまったので……。」「凛華のママって画商だっけ?」「はい。2週間後に始まる作品展の準備をしています。」「それは大変だね。でも、凛華はまだ左腕を使ってはいけないよ。」「はい、気を付けます。」「心配だなぁ。僕も手伝いに行こう
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第45話

交換を終えると、時間を確認したロルフが言った。「そろそろ病室に戻ろうか。僕も午後の患者さんを迎えに行く時間だ。」「はい。私はゆっくり散歩をしながら戻ります。ロルフさんはお先にどうぞ。」「大丈夫かな。気をつけてね。」「はい。」 ロルフが戻った後、凛華は一人で中庭を歩いていた。秋も深まり既に葉を落とした木々も増えてきた。少しの物寂しさはあるものの、たくさんの木々の間を石畳で整えられた道が続く様は美しい。その道に沿って小動物やノームなどの像が飾られていたり、お洒落なベンチが配置されていたりと癒しの工夫が施されている。凛華は、その空間を楽しみながらゆっくりと歩いていた。すると、左側の建物へと続く分かれ道の向こうから三人の女性たちが険しい表情で近づいて来る。いずれも凛華よりやや年上くらいだろうか、あっと言う間に凛華の前に立ち塞がった。「あなたが、若桜凛華ね。」真ん中の女性が値踏みするような目で凛華を睨みつけた。凛華は嫌な予感がしながらも、「はい、そうです。」と答えると、両サイドの女性たちが「この泥棒猫!」と怒鳴りつけて手に持っていたカップのコーヒーとジュースを凛華に向かってぶちまけた。慌てて一歩下がったものの間に合わず頭からはジュースを、ニットのカーディガンにはコーヒーをベットリと浴びてしまった。『またか。今回は一体誰の関係者なのか。』と、内心ため息をつきながら「どなたか知りませんが、誤解です。」淡々と告げた。その落ち着き様が更に三人を苛立たせた。「誤解なものですか!ついさっきまで向こうのベンチでロルフにベタベタくっついているのを見たのよ!」「ベタベタなんてしていませんよ。連絡先を交換してただけです。」「何であなたが彼と連絡先を交換するのよ!ただの患者と療法士のはずでしょ!」「ちょっと連絡する用事ができたんです。」「白々しい。施術中にも何かと色目を使ってた癖に。」「そんな覚えはありません。ところで、あなたはどなたですか?」「私はロルフと付き合っているの。彼は私の恋人よ。」真ん中の女性が誇らしげに言った。『あれ?ロルフさんて恋人いたの?しかも、こんなに気の強そうな人?』違和感を感じたものの深入りはしたくないのできっぱりと言った。「そうだったんですね。ご安心ください。ロルフさんは私みたいな子供に興味なんてないですよ。本当
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第46話

ポケットから取り出したハンカチで、髪に着いたジュースを拭き取りながらフローデが言った。 「凛華、さっきのは誰なんだ。」 彼はまだ怒りを抑えきれずに強い口調だった。 「ロルフさんの彼女さんだそうよ。」 「あいつの彼女が何で凛華にこんな事をするんだよ。」 「私がロルフさんに言い寄っているって思ったみたい。」「凛華、奴が好きなのか?」 ビョルンが驚いて大きな声で聞き返した。 「違うわ。ロルフさんには理学療法士というお仕事についていろいろ教えてもらっていたのよ。退院後の注意点とかも教えてもらっていたの。それでお礼にマキさんたちの作品展に招待しようと思って、連絡先を交換したら凄く怒られちゃった。」 「「なぁんだ。」」 少年二人は安心したように息をついた。 カーディガンのコーヒーのシミを拭いていたビョルンが言った。 「あいつも情けない奴だな。彼女に誤解されて、凛華にこんな事をしているのに気付かないなんて。」 「そうだよ。それにしても凛華、落ち着きすぎじゃない?もうちょっと怒ったり怖がったりするものじゃないの?」 フローデは自分の気持ちが落ち着いてくると、凛華のあまりの落ち着きぶりが気になってきた。 凛華は一瞬何を言われているのか分からなかったが、そうだったと思い当たった。普通はいきなり見ず知らずの人間に怒鳴られ、飲み物をかけられた挙句に、暴力まで振るわれそうになったらもっと取り乱すものだ。しかし凛華は、 「そうよね。でも、私慣れてるから。」 「「……!?」」 凛華は2人揃ってまん丸な目をして凛華を見つめる少年たちが可愛くて、思わずくすっと笑ってしまった。 「凛華!笑いごとじゃないよ!」 「そうだよ!こんな事、慣れちゃうほどされてきたの?」前生の事を思えば、この程度全く問題ない。 高校生の時には公園の池に落とされたり、トイレの個室に閉じ込められて上からバケツの水をかけられたりした。職場でも熱いコーヒーやお茶をかけられたりしたこともあったっけ。一番痛かったのは、あるパーティーで楓香に足を引っ掛けられてシャンパンタワーにぶつかった時だった。グラスとお酒が降ってきて踏ん張りきれずにガラスの破片の上に倒れ込んだのだった。全身傷だらけで半月ほど入院したが、翔月は一度様子を見に来たきり、退院まで一度も見舞いに来なかった。更に、それらすらまだ甘いと思える
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第47話

退院の日、朝からお世話になった方々への挨拶を済ませて病院を出ようとした時、オーロフの秘書が玄関で待っていた。「お待ちしておりました。ご自宅までお送り致します。」「もう迎えは頼んでいたのですが。」「勝手ながらこちらを優先させていただきました。」「そう、ですか。では、お願いします。」 芙美華は仕方ない、と思い彼に従うことにした。凛華と芙美華が後部座席に乗り込むと、車は静かに発車した。彼が徐ろに話しかけた。「若桜様。オーロフより伝言がございます。今夜、夕食にご招待したいので自宅においでいただきたいとのことです。」「……。」いきなりの事で二人とも返事が出来ずにいると、彼は、「是非に、との事でございます。」更に勧めてきた。芙美華は少し考えた後、「同席者をお聞きしてもよろしいでしょうか?」と尋ねた。「はい。オーロフの家族4名と、東雲様と来栖様にお声をかけさせていただいております。」芙美華はほっと息を吐くと、表情も緩んで、「お気遣いに感謝します。ご招待、お受け致します。」「ありがとうございます。では、四時頃にお迎えに参ります。それまで、ごゆっくりお休みください。」「ありがとうございます。よろしくお願いします。」自宅のマンションに戻って、寛ぎながら芙美華が話始めた。「凛華、大変な目に合わせて本当にごめんね。帰って来たとはいえ、まだ暫くは安静にして欲しいの。それでね、昼間だけでもメイドさんを雇おうと思うのだけど、どう思う?」「お母さんは今、作品を描いていないの?」「ええ、今は作品展の準備に専念しているわ。」「そう……。実は私、今描きかけている作品があるの。だから出来たら人の出入りは避けたいの。」「そう。でも、一人で家に置いて出かけるのは不安があるし……。寮も昼間は人が少ないから不安よね。」「画廊の奥とかお借りできないかな。」「そうねぇ…。明日にでも頼んでみようかしら。」「お願いします。」「それと、もう一つ話しておきたいことがあるの。」「なあに?」「実はね。少し前にね、再生医療の研究について話を聞いたの。」「再生医療?」「ええ、患者の特殊な細胞を取ってそれを増やして、目的とする組織に育てたあと元の身体に移植する、と言う治療法らしいの。数年前に特別な細胞が発見されてね。それを使った研究が進んでいるらしいの。実現までにはま
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第48話

フローデのちょっと不安そうな顔を見て、芙美華と凛華はようやく納得がいった。凛華は笑顔になって、「ありがとう。入院中もいっぱいお世話になったのにこんなに気を遣ってもらって……。とっても嬉しいわ。」芙美華も、「サプライズ、とっても嬉しいわ。ありがとう。」と言うと、フレイヤとフローデは満面の笑顔になって、「よかったぁ。」「どうぞ中に入って。ママのデザートも用意してあるから楽しみにしてね!」と、二人の手を取って案内した。彼らと一緒に中に入っていくと、立派なエントランスが広がっていた。映画やテレビで見たお城の中のような光景に芙美華と凛華は少し見惚れてしまった。更に、奥に入って行くとちょっとしたホールのような部屋に続いていた。。部屋の中央には大きなテーブルがあり、八人分の席が用意されている。周囲には花や”退院おめでとう“と言うプレートなどの飾り付けが施されていて、一家の温かい歓迎ぶりが伝わってきた。間もなく全員が揃い、豪華な食事と和やかな会話でとても楽しい食事会だった。食事が終わった後も、談話室に移動して更に様々な話で盛り上がり、ようやく会話が一区切りしたところで、勇真が芙美華に尋ねた。「先日凛華さんにマキ・フカサワさんの絵の購入についてお話したのですが、もうお聞き及びですか?」「ええ、病院にマキさんの絵を飾ってくださるとか。とても光栄です。マキさんのお考えでは、今回、高く評価してくださった方10名位にご希望の作品をお譲りするつもりだそうです。カリンさんも3名ほどお考えです。」「えっ!?カリンさんの作品も購入できるのですか?」「ええ。ご希望の方があれば。」「それは本当なの?」突然アンナが声をあげた。芙美華はちょっと驚いてアンナの方を見た。「ええ、その予定です。」「ねぇ、芙美華。無理を承知で言うわ。カリンさんの絵を家で優先的に購入させてくれない?」「それは、なぜですか。」「私が代わりに答えるよ。」それまで黙って聞いていたオーロフが声をかけた。「グ厶がお二人のファンなんだ。それはもう尋常でないくらい。特にカリンさんの作品が気に入っていてね。よくパソコンで見ているよ。」凛華は驚いて芙美華の方を見た。芙美華も驚いているようで、凛華の視線に無言で首を横に振った。芙美華は、「私の一存でお答えするのはちょっとできかねます。カリンさんに確認し
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第49話

「凛華、いい機会だ。君の気持ちを聞かせてくれるか。」オーロフの言葉に、先ほどよりは少し落ち着いた凛華が頷いた。「私は…、私は父に会ってみたいです。ずっとどんな人なんだろうって気になっています。それに、私の事をどう思っているんだろうって考えてしまいます。母やフレイヤから少しは教えてもらったけど、会ってみないと不安は消えません。会って、三人で暮らせる日が来るように私にできる事は頑張るつもりです。何より、父には母を幸せにしてあげて欲しいんです。そんな姿を見ることが出来たら、そうしたら私も、自分の将来が考えられるようになる気がするんです。」みんなが凛華の言葉を真剣な表情で聞いていた。やはり真剣な顔で聞いていたフローデが、突然何かに気づいたように顔をあげて言った。「それって、凛華は叔父さんと叔母さんが幸せになるまで恋人も作れないってこと?大変だ。このままじゃ凛華が一人ぼっちになっちゃう!パパ、早く叔父さんを説得しなきゃ大変なことになっちゃう!」フローデの想像は当たらずとも遠からずと言う所だが、大真面目に慌てるフローデを見て何となく場が和んだ。オーロフは、「凛華、気持ちを聞かせてくれてありがとう。君はお母さんが大好きなんだね。弟には君の気持ちをしっかり伝えるよ。それから、私たちもできる事は協力するからね。君一人で抱え込まなくていいんだよ。フローデ、お前も優しいいい子だね。凛華のことはお父さん達に任せて安心していいよ。」フローデは父の頼もしい言葉にホッとしたように頷いた。その後は何となく絵の話に戻り、あれこれ話しているうちに遅くなってしまったので、その日は取り敢えず解散することになった。翌日、芙美華が画廊のオーナーのカーリンに相談をしてくれた。カーリンからの快諾を得て、凛華は早速午後から画廊の奥の個室で絵を描き始めた。昨日の話を思い出しながら、凛華は自分の見たい光景を、そして自分の得たい光景を作品の中に込めていった。1週間後、完成した絵を見た芙美華の目には涙が浮かんでいた。「これが、あなたの夢?」「……。」芙美華の問いかけは、凛華自身が自覚のなかった想いを言葉に変えたもののような気がした。「そうなんだと思う。」ポツリと凛華が呟いた。それを聞いた芙美華は凛華をしっかり抱きしめた。気持ちが落ち着いた頃、芙美華はカーリンを部屋に呼んだ。P12号サ
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第50話

1時間後、画廊にオーロフとアンナがやってきた。凛華は奥の部屋で休んでいて出て来なかったが、芙美華が笑顔で二人を迎えた。「突然にお呼び立てしてすみません。私も思いがけないことだったので。」「いや、声をかけてもらって光栄だ。カリンの最新作が届いたと聞いてはじっとしていられない。」「芙美華、連絡ありがとう。早速見せていただける?」三人は、すぐに奥の個室へと移動した。そして、オーロフ夫妻はそこに飾られた1枚の絵を目にして暫く魅入ってしまった。ようやくオーロフが口を開いた。「カリンは凛華だったのか。」驚いた顔で夫を見つめるアンナに対して確信した顔でオーロフが続けた。「マキ・フカサワは若桜芙美華のアナグラムだ。凛華は漢字を逆に読んでカリン。グムはそれに気づいていたんだな。だからあんなに愛おしそうに絵を見つめていたんだ。」「おっしゃる通りだと思います。ロックスマンさん、この絵の所有者になっていただけますか?」「勿論だ。取り敢えず私が購入する。おそらくグムに取り上げられるだろうが。このことは凛華も承知しているのだろうね。」「ええ、あの子は自分の作品に執着しません。この作品も書き終えたことに満足して後のことは私に一任してくれました。では、所有者さん。この作品を急遽作品展で展示する許可をいただけますか?」「ああ。是非皆に見てもらってくれ。グムも賛成するはずだ。」作品展開催までは、後三日しかなかった。しかし、アディナは大喜びで追加展示を許可した。さすがに図録には間に合わないが、大急ぎで追加ページを準備をした。いよいよ開催初日、何とか準備を間に合わせて開館を迎えることができた。次々と訪れる多くの入館者の中に、芙美華は思いがけない人物の姿を見つけた。東雲夫妻と来栖夫妻だ。東雲夫妻については開催中に訪れる予定だとは聞いていたが、まさか初日に来るとは思ってもいなかった。その上、来栖夫妻も一緒とは。芙美華は四人への挨拶に向かった。「こんなに遠いところまで、ありがとうございます。」「芙美華さん、お久しぶり。いろいろ大変だったと聞いたわ。凛華ちゃん大丈夫?」澪那が心配そうに聞いてきた。「ありがとうございます。もうほとんど大丈夫です。今日は午後から来る予定なんですよ。」「それはよかった。今日の夜は空いているかい?一緒に食事でもしよう。」「はい。ありがとう
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