「1週間後の友人達との集まりはSKホテルでする事になった。準備はお前がやれ。当日は客が来始める3時頃までには準備を終えて、お前は東区のマンションに帰れ。俺がいいと言うまで数日間はそっちで過ごせ。」社長であり、夫の東雲翔月(しののめかつき)が書類に目を向けたまま、秘書であり、妻の凛華(りんか)に命令をした。「承知しました。失礼します。」凛華は淡々と返事をした後、一礼して社長室を後にした。以前ならば、「私も同席させていただけませんか。」とか、「何日くらいで家に戻れるのですか。」などと尋ねてきたのだが、今日は返事だけしかなかった。不審に思い顔を上げると、彼女は既に部屋を出てドアが閉まる所だった。「どうせまた後でつまらない小細工を仕掛けてくるに違いない。」翔月は秘書室長の神崎に内線で指示をした。「1週間後に仲間たちと若桜楓香(わかさふうか)の誕生日パーティーをやる事にした。準備はアイツにさせるが、また余計な小細工をしない様に見張っておけ。」「承知しました。」神崎にとって上司の東雲翔月という男は、仕事に関して言えば、知識も判断力も社交性も優れている方だと思う。現に、グループ内の数社の代表を勤め、全て順調に業績を上げている。しかし、私生活に関しては全く理解できない男だ。無口ではあるが、温和で優しく事務能力も高い妻がいながら、なぜか派手好きで裏表の激しい義妹を優先する。しかも、社内では凛華が妻であることは自分を含め極少数の者にしか知らせていない。何でも、楓香は子供の頃から共に過ごした幼馴染で、ずっと想い続けた初恋の女性らしい。さっき彼が言った、とは妻の凛華の事だが、余計な小細工をするのはいつも義妹の楓香の方だった。下手に進言すればとばっちりがくる。前任の秘書室長もそれで移動になったと聞いた。今回は彼も二人が接触しない様に指示をしたようだが、それならいっそのこと準備も全て関わらせなければいいのに…。ああ、やっぱり自分には名家のご子息の考えは理解できない。義妹さんよ、頼むから面倒を起こさないでくれ。凛華はパーティー当日休暇を取った。ホテルで誕生日会の準備をする為だ。ほとんどは指示が済んでいる。会場や料理や飲み物などの最終確認や、来客達の急な宿泊の為の部屋の確保など細かい事まで確認した。友人の集まりとはいえ、それぞれそれなりの
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