「そうです。カリン・フカサワとの二人展ですね。この画家のことご存じなんですか。」「もちろん知っているよ。僕はファンなんだ。1枚でいいから本物が欲しいんだけど中々売りに出ないんだよね。」「それなら今回の作品展の後、数点売りに出すそうなのでよろしければご検討ください。」「マジで?どの作品が出るの?」「そこまではわかりません。」「そっかぁ。もっと詳しいことがわかったら教えて。父にも伝えておくよ。病院に飾れるようなのが欲しいって言っていたからね。」「そうなんですね。では、何かわかったらお伝えしますね。」「ああ、よろしく頼む。」凛華は勇真と約束して二人と別れた。颯生達と食事をした日の翌日、凛華はもう一つの実習先の画廊を訪ねた。「おはようございます。今日から実習でお世話になります。若桜凛華です。」「おはよう。ごめんなさいね、受け入れが遅くなってしまって。ようやく落ち着いたからもう大丈夫よ。私はこの画廊のオーナーのカーリンよ。よろしくね。」学園の近くの、商業施設が並ぶ大通りを一つ奥に入ったやや落ち着いた通りに面してその店はあった。店と言うより、ドアの上にお洒落な看板が飾られた事務所のような構えの入り口だった。しかし、中に入って見ると広々とした縦長のホールになっていて、その壁面に沿って充分な間隔をおいて作品が飾られている。ホールの中央は簡易なベンチが配置され、さながら小さな美術館である。出迎えてくれた女性は40代くらいで、ややふっくらとした体型の穏やかで上品な人だった。「作品は後でゆっくり鑑賞させてあげるから、まずは奥でこれからの話をしましょう。」「はい、お願いします。」ホールを奥の方に歩いて行くと、一段高い所に応接セットがあった。そこだけはアンティークな家具と落ち着いた照明、ベージュを基調としたお洒落な壁紙…、と邸宅の居間のような穏やかな空間になっていた。思わずキョロキョロしてしまった凛華を微笑みながら見ていた女性は、「気に入っていただけたかしら。ここはお客様に寛いでいただいたり簡単な商談をする為の場所よ。」「はい、とても素敵です。こんな所に飾っていただけたら作品も幸せですね。」「あなたの作品で合いそうなのはあるかしら。」「そうですねぇ、去年描いた花の絵か、この間仕上がった森の絵とかいいかもしれません。…あっ…。」つい、つられて答え
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