全てを知った絢香は、しばらく呆然としていたが、封じ込めていた記憶のなかに、たしかに達也がいたことを思い出した。もっとも、そのときは健吾の友達としか思っていなかったため、何も気にしていなかったのだ。しかし、今日の達也からの告白を聞いて、絢香の心は確かに揺れた。嬉しかったけど、それ以上に不安で仕方がなかった。自分が、こんなまっすぐな愛を受け取る資格なんてあるのだろうか?まだ、彼のことをそこまで好きじゃないのに。健吾とのことで、絢香はすっかり疲れ果ててしまっていて、人を信じられなくなっていたのだ。だから、また全てを捧げて、今度は達也にボロボロに傷つけられるのが怖かった。もうこれ以上、誰かのために自分の時間を無駄にしたくなかった。達也は絢香の心の弱さに気づいた。だから、自分から彼女の手をとって、指を絡ませる。達也のぬくもりが絢香の手に伝わり、絢香は心まで一緒に温かくなっていく気がした。達也の優しい声が聞こえる。「心配しなくたって大丈夫だよ。全ての恋が完璧に終わるわけじゃないし、好きじゃなくなったら別れればいい。そんな気にしなくたっていいんだ。それに、君がすごく素敵な人だから、俺は君のことを好きになったんだ。俺は心から君を愛してる。君は世界中の何よりも素晴らしいものを受け取るにふさわしいんだよ」達也の眼差しはいつも優しくて、どんなに凍てついた氷さえも溶かしてしまうような温かさがあった。絢香は黙ったままだったが、その瞳はたしかに揺れていた。この光景を見て、健吾は胸が張り裂けそうになった。健吾は絢香と達也が指を絡めている手を、憎しみを込めて睨みつける。その目は今にも裂けてしまいそうだった。「絢香、こいつが言ってることは全部嘘だ!愛は手放すことじゃない。人を好きになったら、そんなに寛大にはなれないんだよ。いつでも自分の傍に閉じ込めておきたくなるに決まってる!」健吾が声を張り上げて叫んだ。健吾は涙を必死にこらえた。胸の奥からこみ上げてくる苦しさに、押しつぶされそうだった。好きな人が自分の目の前で他の男と一緒にいることが……こんなに辛いことだったとはな。じゃあ今まで、絢香は一体どうやって耐えていたんだろう?健吾は考えることすら怖かった。しかし以前、絢香が目を真っ赤にして、ボロボロになりながら自分の前
Read more