翌朝、カーテンの隙間から差し込む光が、昨夜の出来事が夢ではなかったことを残酷なほど鮮やかに照らし出していた。 広いキングサイズのベッド。隣に残ったシーツの窪み。まだ温もりも残っている。昨日は清良さんの所へは行ったりせず、ずっと私についていてくれたんだ……。 私はゆっくりと起き上がり、自分の指に光る細い指輪を見つめた。昨日の高級ブティックで買ってくれた指輪。急だったからすぐ用意できなくてごめん、って高い指輪を買ってくれた。もっとふつうの指輪でよかったのに……。失くさないように気を付けて、大切にしよう。「おはよう、美都。よく眠れたか?」 リビングへ向かうと、理人がすでにコーヒーを手に、タブレットでニュースをチェックしていた。隙のないスーツ姿。昨夜私を抱き上げ、甘く囁いた「男」の顔は、今は完璧な「弁護士」の仮面の裏に隠されている。思わずドキっとしてしまった。「おはよう、理人。昨日は、その、ありがとう」「礼には及ばない。……さて、君が起きたら話そうと思っていたことがある」 理人はコーヒーカップを置くと、真剣な眼差しで私を射抜いた。「1か月後、財前家が主催する恒例のチャリティーパーティーがある。本来なら俺一人で出席する予定だったが……今回、君を『俺の妻』として、正式に披露しようと思う」「披露!? そんな、私なんかが……」「『私なんか』は禁止」 理人が立ち上がり、私のすぐ目の前まで歩み寄る。彼は私の顎を指先でクイと持ち上げ、無理やり視線を合わせさせた。「君はもう、小倉蒼大に虐げられていた哀れな女性じゃない。俺が選んだ、世界で最も価値のある女性なんだ。……だが、財前家の親族や顧問先は、獲物を探す獣のように鋭い。隙を見せれば、君を『成金妻』だと叩くだろう」 理人の指先が、私の唇をなぞる。「だから美都。今日からパーティーまでの間、俺が君を教育する。歩き方、話し方、そして――財前家の女として完璧にふるまえるように、ね」「教育……?」 思わず聞き返してしまった。理人の声は冗談を言っているようには聞こえない。むしろ、法廷で勝訴を狙う時のような、冷徹で完璧な瞳をしている。 私の顎を上向かせた理人の指先から、熱が伝わってくる。その熱は私の頬を伝い、心臓をドクドクと煽った。 いったいどんな教育をされちゃうんだろう……。「ああ。君の美しさは、ま
Terakhir Diperbarui : 2026-03-15 Baca selengkapnya