理人の言葉は、これまで私が聞いてきたどの愛の言葉よりも鋭く、そして熱かった。 私を守ってくれる――その言葉がどれほど私に勇気をくれるか。 凍りかけていた私の心が、どくん、と大きく波打つ。 仕立てのいいタキシードに包まれた、広く揺るぎない大きな背中から放たれる凄まじい威圧感だけで、蒼大の不遜な笑みをじりじりと削り取っていく。「汚らわしい……? はは、面白い冗談を。財前さんともあろう男が、人の妻を寝取る趣味がおありなのかな? 随分な趣味をお持ちのようだ」 蒼大が鼻で笑い、ひらひらと金縁の招待状を掲げた。「いいか、これは偽物じゃない。正真正銘、この会場へのパスポートだ。美都が俺に宛てて、涙ながらに書き記した『招待状』なんだよ」「そんなの送ってないわ。なにかの間違いよ!」 理人が私を信じてくれた――それだけで勇気がわいてくる。 私が財前夫人と認められるためにも、自分の足で立ち、蒼大に負けないようにしなきゃ! だから自分の言葉で彼を跳ね返そう。「美都? つれないこと言うなよ。お前、俺の腕の中で言ったよな。あんな氷みたいな男のところには、もう戻りたくないって」 嘘。全部、嘘。 そんなこと、一度だって思ったこともない。 けれど、蒼大の言葉はあまりにも堂々としていて、周囲の耳目を集めるには十分すぎる毒を含んでいた。ざわめきが再びさざ波のように広がっていく。 彼はこうやって嘘を広め、私を貶めたんだ―― 蒼大の言葉に理人は動じなかった。 彼はわずかに顎を引き、冷徹なまでの静寂を纏ったまま、蒼大の手元にある招待状を一瞥した。「小倉さん、君は大きな勘違いをしているようだ。いや……読みが甘いと言うべきか」 理人の声には、怒りさえ通り越した蔑みが混じっていた。 彼はゆっくりと蒼大との距離を詰めていく。「その招待状のナンバリングを確認したか? 私の主催するパーティーの招待状は、すべてゲストごとに特殊な透かしと識別コードが印字されているんだ」 理人が手を上げた。短い合図で影のように控えていた秘書が、手元のタブレットを提示した。「小倉氏が手にしている招待状のコードは『072』。……それは、私が本日欠席を確認している別の取引先へ送るはずだったのものです。美都が送ったものではない。なんなら指紋照合でもしましょうか? 君は、誰かからそれを『
Terakhir Diperbarui : 2026-03-25 Baca selengkapnya