ヴィクトリアは驚いて閉口している。(初日にも思ったけど、どうしてこの人はレインと私をくっつけようとするの?) 困惑しつつも、原因に思い当たる節はあった。シドが襲来した時にレインに言った、「抱いてほしい」のアレだ。 ジュリアスは知っているのではないだろうか。レイン本人は口が堅そうだが、あの時小屋の周りには大勢の銃騎士隊員がいたのだから、聞き耳を立てていた者がいたとしてもおかしくない。(絶対にそうよ。でなければこんなこと言い出すはずがないわ) ヴィクトリアが黙っていると、ジュリアスが話を続ける。「法律では『貴人またはそれに相当する者に限り獣人奴隷を所持可能』ってなってるけど、銃騎士も社会的信用が高い職業だから、総隊長の許可さえ下りれば可能なんだ。 俺としてもよく知らない奴に君を渡したくはないし、できれば銃騎士隊員の誰かに任せたいと思っている。 レインなら女嫌いだし、何回か美人に言い寄られたこともあったけど全然靡かなかったから、浮気もしないと思う。責任感もあるし、君のことを手放したりしないはずだ。どう?」「嫌よ」 ヴィクトリアは即答した。「なぜ? 理由は?」「だってあの人、私のこと嫌ってるじゃない」「そんなことない。レインは君を好きだと思う」「それはあなたの思い込みだわ。あの人ほとんど私と会話をしたがらないのよ」 昨晩から朝にかけてレインと会話が成立したのは数えるほどだ。ヴィクトリアはそのうちの一つを思い出していた。内容はリュージュの外套についてだ。『私をここに連れてきた時に外套がなかった? あれは大切な人のものだから、もしあなたが持っていたら返して欲しいの』『捨てた』『え?』『燃やした』『燃やしたって…… どうして?』 レインからの返答はなく、会話はそこで途切れた。服を勝手に燃やすとは、だいぶ怖い。かなり憎まれているようだ。 ジュリアスにそのことを話すと、なぜだか口元を手で抑えて笑いをこらえている。 ヴィクトリアはジュリアスの反応に少しむっとして、「笑い事じゃないわ」と言いながらチェスの駒を動かした。「ああ、笑ってすまないな。あいつ本当はそれなりによくしゃべるよ。そのうち話すようになるさ。夜だから寝てるのを見張るだけだし、会話をする機会もそんなにないだろ。まあ、ちょっと苛烈な所はあるが」「私としては、その『ちょっと苛
Baca selengkapnya