脳内にレインの言葉が響き渡る。すぐにはその言葉の意味も、取りつけられた首輪の感触も受け入れられない。(彼は私のことを尊重してくれると思っていたのに…… どうして? 何故?)「レイン…… 奴隷は嫌だって…… 私……言ったわよね?」 問いかけるが返答はない。レインは妖しい光を瞳に宿して無言のまま、カリリ、と歯の奥で何かを噛み、飲み込んでいる。 こちらを見つめるレインの雰囲気が怖い。小屋で冷たい目を向けられていた時よりも、さらに冷え切ってゾッとするような瞳の色をしている。 レインのことは愛している。凍えるような冷たい瞳を向けられても、騙し討ちのように首輪をかけられても、それでも慕う気持ちがなくならない。彼のことをまだ信じたいと思っている。(でも、奴隷は嫌。奴隷になるくらいなら誰とも添わずに一人でいる) 逃げよう。そう思った。レインは奴隷になっても大切にすると言っていたが、今のレインがその言葉を実行するようには思えない。 首輪をかけられた状態ではあるが、その鎖の先をレインがただ握っているだけだ。腕力ならこちらの方が上だ。 思いっきり引っ張ると案の定レインの手から鎖がするりと抜けた。ヴィクトリアはレインから背を向けて店を飛び出す。 しかし―― 走りながらヴィクトリアは体の異変に気づく。(上手く、走れない。おかしい。思った通りに体が上手く動いてくれない) 俊敏な動きを失った足はやがてもつれ、ヴィクトリアは路地の真ん中で膝を折り、座り込んだ。(体に力が入らない…… 立てない……) どうしてこうなったのだろうと絶望的な気分になりながら考えて、先ほどレインに妙なものを飲まされたからだと思い至る。 あれはおそらく体の自由を奪うようなもので、そのあとレインが噛んでいたものは解毒剤か何かだろう。口移しだったから、レイン自分も薬にやられないようにと…… その場から一歩も動けずにうずくまっていると、背後から足音が聞こえてきた。振り返ると冷たい表情をしたレインが立っていた。「君は今日から、俺の『犬』だ」 ヴィクトリアは唇を強く噛みしめ、レインを睨みつけた。『犬』とは、獣人の蔑称だ。 きっとレインはヴィクトリアを対等に扱うつもりはないのだろう。物か、畜生か、そんな扱いだ。「好きだったのに! 何でこんなことするのよ! 今まで優しくしてくれたのは一体何だっ
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