「……リョウ、だいじょうぶ?」 耳元で囁かれた声に、思わず目を細める。 身体の奥にはまだ、残響のような熱が残っていて、意識が霞んでいた。 「……っ、アマ……」 見上げると、金の瞳が俺を覗き込んでいた。 その瞳はいつも通り無垢で、優しいのに──どこか、底知れない静けさがあった。 佐伯が片手を上げて、間に入ろうとする。 「はいはい、これぐらいにしとこっか。さすがに遼の身体が壊れちまう」 その軽薄な口調に、胸の奥が軋んだ。 アマが、じっと佐伯を見る。 「……きみ、リョウにさわるの、もうやめて」 その声は無垢で幼いのに、鋭く、ひやりとした温度を孕んでいた。 佐伯の笑みが、わずかに凍る。 「……なにそれ。嫉妬?」 「わかんない。でも、きみが、なんかいうと……リョウのここが、かなしくなる」 そう言って、アマは俺の胸を、そっと指先でついた。 「──え?」 「ぼく、ちがうのが、いい。リョウのここが、あったかいのが、いい」 その言葉に、なぜか喉が詰まった。 佐伯が眉をひそめて言う。 「……何なんだよ、お前は。本当に、なんなんだ?」 「わかんない。けど、きみはリョウにちかづかないで」 アマはそう言って、俺を抱き寄せた。 その指先が、微かに熱を帯びている。 いや、違う──熱ではない。力だ。 神性に近い、何か得体の知れない存在の圧が、背中越しに伝わってくる。 「リョウは……だれにも、わたさない」 ぞくりと、背筋に悪寒が走る。 アマの声は変わらない。でも、その言葉の奥に潜んでいたのは、甘さではなかった。 ──「神様」が本気で奪われることを拒む時、それは――何を意味するのか。 佐伯も気づいたのだろう。 目を細め、言葉を慎重に選ぶように口を開いた。 「……へぇ、やる気か? お前、マジで人間じゃないんだな」 アマは答えない。ただ、ゆっくりと俺の前に立ち、間に入る。 まるで、俺を神域の内側に囲うように。 俺は震える指で、毛布を掴んだ。 佐伯の視線と、アマの背中の間で、胸の奥がちりちりと焦げるような感覚が広がる。 「……やめろ、二人とも……もう、いい……佐伯、今日はもう帰ってくれ」 沈黙が落ちる。 しばらくののち、佐伯が肩をすくめた。 「了解。じゃあな、遼。また呼ばれ
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