All Chapters of 幼い頃に契約した神様が、今も俺を離してくれない: Chapter 41

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番外編 きみを神根へ返したかった⑥

 熱の底で、遼は何かを追いかけていた。  金色の光みたいなもの。  あたたかい手。  胸の奥がぎゅっと痛くなる感じ。  それが何なのか、どうしてこんなに苦しいのか、もうわからない。  目を開ける。  見慣れた天井だった。自分の部屋だとわかるのに、身体が鉛みたいに重い。  襖の向こうで、声がした。 「遼のことは問題じゃない。分霊が消えた。それが問題だ」  父の声だった。  遼は息を止めた。  分霊。  知らないはずの言葉なのに、その響きだけが妙に胸を刺した。 「問題じゃない?」  栄子の声が、低く震えた。 「目を覚まさないのに?」 「戻ったなら十分だ」 「十分なわけないでしょ」  短く、鋭い声だった。 「遼は連れていかれかけたんだよ。  消えたのがそっちじゃなくて、遼だったかもしれないのに」  父は少しも揺らがなかった。 「その方がよかった。〈天〉を失った今、この家は終わる」  その言葉に、遼の胸がまた痛んだ。  何を失ったのかはわからない。  でも、自分より大事なものがあるのだと、父は言っている。 「……最低」  栄子が吐き出すように言った。 「こんな家、終わっていいよ」 「音瀬の者ならわかるはずだ」 「わかりたくない」  ぴしゃりと返る。 「私は家のためじゃない。遼のためにやったの」  その声だけが、熱の中の遼にははっきり聞こえた。  遼は布団の上で、そっと指を握る。  何かあたたかいものに触れていた気がした。  大事だった気がするのに、思い出そうとすると、輪郭はするりと逃げていく。  気づくと、目の端から涙がこぼれていた。  熱い涙だった。  頬を伝って、枕へ落ちる。  どうして泣いているのか、自分でもわからない。  ただ、もう二度と触れられないものがある気がして、胸の奥がひどく痛んだ。 ***  あの日から、長い時間が過ぎた。  シーツの熱が、まだ肌に残っていた。  遼は佐伯の腕の中で浅く息をつきながら、ぼんやりと天井を見ていた。  身体の奥はまだ少し痺れているのに、不思議なくらい心は静かだった。  佐伯の指が、遼の髪をゆっくり梳く。  その手つきは、さっきまでの熱とは違って、ひどく優しい。 「……寝る?」  低い声が耳元に落ちる。 「んー……まだ」  答
last updateLast Updated : 2026-04-17
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